1998年 7月 8日
『表現力に一定の価値観が付いたものが芸術』 講師 寒川商業研究所
寒川 のぼるさん
グローバルな視野を持つことが、大事。高松と言う地方でありながら、全国的に展開され
ている。現在は、構造不況よりも構想不況である。
商店街の衰退で政府が一番慌てている。例えば、ドイツのある都市は、花がたくさんあり、
いい香りがして、温かく感じ、やすらぎのある町となっている。そこには、伝統と文化が
存在する。文化を壊すと、町の財産を失うことになる。文化が消えたところには、町は存
在しない。歴史と文化が深い所が、観光客を集める。商店街自体もしっかりしなければな
らない。食だけは、ストックがきかない。観光客にとって、一番印象に残るのは、もちろ
ん食べ物だと思う。「あれがおいしかった、また行こう。」が、旅の目的だと思う。
その場所ならではの風土や、壊さずにより厚みを増した風景や、味や旬の風味を大事にす
る必要がある。商店街は、早い時間にシャッターを閉じて、ギブアップしてるようにも見
える。本来商店街は夜のイルミネーションである。色鮮やかに花が咲いているように、明
るいと、自然に人が来るようになる。商業日本が、下降線をたどることになってしまう。
歴史的な財産を大事にする。寒川さんのデザインには、次のようなものがある。
宮脇書店本店―都市景観賞 二回。僕も見たことがあったが、そんないいものだとは知
らなかった。今度は、関心があるから、じっくりていねいに見たい。
地方にいるから、できないということではない。
桜井の甘精堂―長野オリンピックの前に、風物詩として全米に放送もされた。やすらぎ
が、そこにはある。町の文化を大事にしながら、がんばっていて、元気が出てくる。
石原荘―旅と温泉写真パネル展に展示される。小学校の廃校を利用している。古い物に
命を吹き込み、生き返らせ、利用している。
甘精堂〜栗の木テラス―全英にニュース放映される。人は、文化の高い建物のなかでは、
ホッとする。
石原荘〜妙見―デザイナーが、模型を作り、自分で撮影もしている。日常のけんそうを
離れ、古い文化と新しい時代感が調和した温もりのある宿になっている。
以上のような作品は、作者の手を離れても存在感を持ち、感性や表現力がにじみ出てい
ると思った。芸術と単なる作品との違いは、価値観があるかないかだと思う。寒川さんの
のような人の表現力に一定の価値観が付いたものが芸術なのかなと思った。