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イギリス・アーマー天文台

しし座流星群とダスト軌道分布(訳)

しし座流星雨の母彗星である55p/テンペル・タットル彗星は33年ごと(ほぼ1世紀の間に3回)に近日点に回帰し、そのたびに新たな流星物質とダストの軌道分布を生成する。数世紀の後に全体的なしし座流星群物質へと拡散してゆくまで、これらの狭い範囲の軌道分布は流星物質の分布密度が濃い領域となり、従って地球が軌道分布の中を通過すると流星雨が生じることとなる。しし座流星群軌道分布についてのより詳細な記述はD.アッシャーによるアストロノミー&スペース誌に掲載。

以下の年次のプロットが閲覧可能である。

2000年のプロット図2001年のプロット図

プロット図の著作権はアーマー天文台・D.アッシャーが保有しており許可無き転載を禁ずるが、個人・教育目的の利用は可能とする。本研究はオーストラリア国立大リサーチスクール・オブ・アストロノミー・アンド・アストロフィジックスのR.マクノートとの共同でなされたものである。

プロット図について
地球軌道は青で示され、地球の大きさは10倍に拡大されている。彗星が黄道に交差する点は緑の×印で示した。軌道分布上の粒子は、およそ17度の傾斜角(プロット図を上から見た場合に下方向に)であるため黄道面との交差場所が現れるが、このことを除けば粒子は地球と反対方向の運動が卓越している。これらの交差部分はその軌道分布が生成された年号を付記してある。一般に位置は最近6周回前分、すなわち200年前までのものについて計算を行った。1999年から2002年分に関しては7、8、9週回前までのものについてもつけ加えられている。関連する軌道分布部分が摂動や拡散などにあって消失してしまい、それにより該当する年の11月中旬に交差が起こらないことがある。交差部分は概略的に色付きの楕円で示した。実際は密度には、軌道分布の中心や複数の軌道分布の交差部分、同一の軌道分布上の複数の点から大きく外れたりといった、うまく当てはまらない側面がある。色の違いは年次の違いであり、密度の濃さを示すものではない。ただ若い分布は拡散の度合いがより少ないため、結果的に濃密なものであると考えうるかもしれない。マクノートとアッシャーは軌道分布に遭遇した際のZHRを計算するモデルを考案している。しし座流星群は一般に夜半過ぎに観測可能となるため、地球がそれぞれの軌道分布に遭遇する日付(プロット図には世界時で表示)は、世界のどこで流星雨や突発出現が見られる可能性があるかを示す。日付の端数がおおむね0.1、0.4、0.8の場合はそれぞれヨーロッパ・アフリカ、南北アメリカ、東アジアが好適となる。観測図はアストロノミカル・ソサエティ・オブ・オーストラリアのしし座流星群ページを参照。このプロットはしし座流星群の活動期間内に限定した若い軌道分布との遭遇のみを示していることに注意されたい。全体的にはしし座流星群の活動は数日間に渡る。


(c) Armagh Observatory 1999 , (c) Kota Aoyama 1999.
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