Visitor's Review
反論元レビューはここ


椎名林檎で考えてみよう
アスク mail

再びの反論です。
まず最初に私のやや感情的であった文章に対し、非常に紳士的かつ論理的に応対をいただいたことを本当に嬉しく思います。そして「無罪」氏の発言に対してまた意見したく、これを書いている次第です。

まず、「室見川」「ベンジー」「モラトリアム」を並列に「切り捨てた」ことについて。
確かにこの3つの言葉は全然違うものですが、同時に同じ共通項をもっています。それはつまり、知らない人は知らないけどもちょっと詳しい人なら知っている単語。そしてそれを知っている人にとっては「ああ、なるほどね」と思わせるような強いイメージをもった単語であるということです。そしてそう言う単語をばら撒くことがどう言った効果をもたらすかというと、リスナーにある種の選民意識みたいなものを植え付けるわけです。
勿論そういうことをやること自体はとてもおもしろいことだと思うし、今までにもそういうことをやったアーティストは多く存在します。
では、そこでなにが問題だったのかというとそれに対するメディアを代表とするリスナーの受け取り方だったのです。言葉で言うと、その「傲慢さ」に尽きます。

「無罪」氏の言葉を借りれば彼女の詩は「詩人によって計算された言葉遊び」であり、その表現は的確なものだと思います。けれど、それを受け取ったリスナーに私が見たもの。
それは、「彼女の世界観カッコイー」→「自分もああいうの考えるの好きなのよねー」→「なんとなく自分も認められた気分」→「自己肯定」という発想の仕方。彼女は確かに「なまぬるい世界観」を歌ってるけど、語感とかイメージとかに関してはかなり気を使って洗練させてる。けど、それを聴いて嬉しがってる君たちは似ても似つかない自身と彼女をダブらせて悦に入るだけならまだしも、傲慢に自己肯定してるだけだろ?おいおい。というなんか理不尽な気持ちになってしまったわけです。

ですから、最初に原稿を書いたのも彼女よりもむしろ、彼女のファンに冷や水を浴びせたいという思いからだったのです、実は。なので、「無罪」氏のような謙虚な方ならば全然OKなんですけど、そういう人ばかりではないので・・・。あ、当然彼女に対する好意の持ち方は全く違いますけど。それはそれでまたOKで。

次に、「根本的な意味を持たない詩はダメなのか」ということについて。
それに関しては、そんなことは全然ありません。というか、個人的な話ですが、私はいわゆるメッセージソングというのが全然だめなのです。特に嫌なのがドラゴンアッシュに代表される「がんばれソング」。音とかすんごくカッコイイのに、何で歌詞がそれなの?という。「駆け抜けろ時代を」だの「今ともに戦おう」だの。気持ち悪いっつうの。誰だよお前は?みたいな。
その気持ち悪さの正体は、一言で言うと「何でお前にがんばれって言われなきゃなんないの?」という違和感だと思います。加えて「がんばる」ということの世間的なプラスの意味。がんばりたくないでしょ、普通?そして一番タチが悪いのが、「がんばれば必ずその報いがある」という思想。そんなわけないって。でもがんばってその報いがなかったら相手に非があると考えて、自分を正当化する。最悪なサイクル。

だから、そういった意味では彼女の詩は大丈夫なわけです。ただ趣味に合わなかったというだけで。

とつい最近まで思っていたのですが、考えが変わりました。
椎名林檎「幸福論」。歌詞が分かる方には是非、試してもらいたいのですが、歌詞の中の「君」を「あたし」に、「その」を「この」に変えると最高の「がんばれソング」になるのです。いうまでもなく、「あたし」は「君」だし「その」は「この」と同義なのです。

この発見は私にとっての彼女に対する違和感の原因をかなり解明するものでした。そして少々失望しました。けど、逆にドラゴンアッシュや椎名林檎が50万枚以上も売れたのはやはりそういう下地があったからなのかという納得の仕方もできましたが。

最後に。
>椎名林檎ファンは、多分、「室見川」や「ベンジー」から新鮮なインパクトを受け、
>その詩的アトマスフェアを嗅ぎ取り、それを「悦楽」と感じる者達なのだと思います。
「無罪」氏のこの考えは非常に的を得たものだと思います。そしてこの2行で済むならばなにも問題はないわけです。それは、文中に書いた通りです。

>それを少しもお感じになろうとしないあなたに、「椎名林檎が好きだ」などと言って
>ほしくありません!
けれど、これに関しては異論があります。冷静になればおわかりになると思いますが、このセリフは逆も言えるのです。「あんな世界観にはまって、椎名林檎ファンを擁護するようなあなたに、椎名林檎を好きだなどといってほしくありません!」と。けど、そんなことをいってもどうにもなるはずがありません。まあ、全体から見れば確かに私のような好きかたをしている人は少数派で、悪しきファンに見えるかもしれませんが、そんなことは関係ありませんから。
だって、「彼女歌詞は確かにゲンナリだけど、すんごくいいメロディ書くし、「歓楽街」っていうトコとか発音するだけで気持ちいいし、プロモとか写真だとかわいいし、やっぱ好き!」って思っちゃいますんで。

ただし、愛情のない者は批評すべきではないというのは、全くもって同感なので、その点で「愛情が感じられない文章」を書いてしまった事に関しては、不快にさせて申し訳なかったと思っております。

以上が、私の返事であり、意見です。


P.S
ついでに、といってはなんですがネット上の皆様が「がんばれソング」に関してどうお考えなのか、気になるところです。
機会があれば是非ご意見をききたいと思うのですが、どうでしょうか?

投稿先
to TOP