作品名 | 姨捨 |
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さくひんめい | おばすて |
初出誌 | 文藝春秋[1] |
初出号数 | 1955年1月号[1] |
文庫/全集 | 巻 | 文庫本名/副題 |
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新潮文庫 | - | 姨捨 |
集英社文庫 | - | 十字路の残照 |
旺文社文庫 | - | 猿狐・小盤梯 他八編 |
講談社文芸文庫 | - | 補陀落渡海記 |
井上靖小説全集 | 11 | 姨捨・蘆 |
井上靖全集 | 4 | 短篇4 |
時代 | 昭和(戦後) |
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舞台 | 長野県(冠着山、善光寺平、千曲川、篠ノ井線、姨捨駅、信越線、戸倉駅、長楽寺)、福岡県(遠賀川、芦屋町?)、静岡県(伊豆半島、天城、土肥) |
あらすじ | “私”は人生において何度か、幼い頃に読んだ姨捨山の伝説を思い出す機会があった。社会人になってから何度か紐解いた姨捨山の伝説をまとめた書物で、知識を身に付けたこともあった。そして、“私”の母が自分を姨捨山に棄ててくれと言い出した時から、信州の姨捨山のことが気になるようになる。その後、夫や子供を置いて家を飛び出し、一人で暮らしている妹を訪ねた“私”は、自分の一族が持つ厭世観に気付く。 |
作品について | 小説的粉飾が加えられてはいるが、作品中で語られることはほぼ事実に基づいて描かれている。『姨捨』には登場しないが、井上靖の父の隼夫や叔父の一人も早々に身を引いており、一族の血が流れていることを感じさせる。[6] 作品に登場する「姨捨山新考」は実在していて、長野県東筑摩郡坂井村の西沢茂二郎(1991年没)が1936年に著している(信濃郷土誌刊行会)。[7] |
作品名 | 関連 |
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小さい旋風 | 『姨捨』の中で“私”(井上靖)の妹について「事情があって、夫と子供を置いて婚家を飛び出し」という一文があるが、この事実を脚色して描かれたのが『小さい旋風』である。 |
おなまえ | 日付 | ちょっと一言 |
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たばたのぶこさん | 2001.01.06 | 心に「ひゅうっ」と冷たい風が吹いた。今居る場所を捨ててどこかに行きたい願望が自分の心の底に眠っているのに気づいたから。それは誰にも見せない、そして普段は自分自身でも気づかない人間の孤独の一面だろうか。心を揺さぶられる短編です。 |
[1] 井上靖ノート
[6] 新潮文庫『姨捨』〜解説(福田宏年)
[7] さらしな堂『更級への旅15』