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風間完
北の海
中央公論社 中公文庫
初版発行 1980年9月10日
解説 小松伸六
頁数 643
収録作品数 1
わが青春への鎮魂譜 ― 著者
「北の海」は、「しろばんば」「夏草冬濤」に続く、少年から青年への移行期を取扱った自伝風の小説である。もちろんフィクションもあり、誇張したところもあるが、作中に登場して来る少年たちには、それぞれモデルがある。モデルになっている友の何人かは夭折し、何人かは戦争の犠牲になっている。少年たちは、小説の中ではやたらに荒々しく、純粋で、元気よく跳び廻っているが、一方、この小説は、故人となった友への鎮魂の思いに加えて、今も健在である友や私自身の過ぎ去った青春への、いわば鎮魂の譜でもある。
日本海の荒波に面した金沢での三年間の高校時代、私はひたすら柔道に専念した。柔道のほかは眠気と食い気だけの三年というものを一生の間に持ったことは、途方もないことのようでもあるが、私の後半の人生の基礎を作ったといえることもたしかである
備考
中公文庫 A8-2
収録作品 初出年 情報 紹介 感想
1 北の海 1949年 有   有
文庫本限定!井上靖館作品