今年('06年)4/18〜19日と二日連続で長野県内でも黄砂が観測されました。4/8に続いて今年2回目です。黄砂により写真のように視程が極端に下がりました。この写真は4/18の16時頃に上田市半過の千曲公園から浅間山方向を撮りました。東太郎山の山塊の右には烏帽子岳〜黒斑山〜浅間山とあるはずですが、全く見えなくなっています。この日の午前の松本市では視程が5kmと発表され、視界が極端に遮られていました(通常の視程は20〜30km)。
黄砂とは、中国大陸の砂漠(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯で砂嵐によって吹き上げられた多量の砂塵が偏西風に運ばれて日本、韓国、中国などに徐々に降る現象をいいます。特に春先(3月から5月)によく観測され、夏には見られなくなるという特徴があります。気象庁によると目視により観測され、特に視程が10km未満になる時や明らかに黄砂と判断されるときに大気現象の記事として記録されています。大規模な黄砂が発生したときは、大気が黄褐色になることがあり、衛星画像に写り込むことさえあります。実際にこの日も気象予報士が衛星画像を示しながら解説していました。
黄砂の粒の大きさは、0.5μmから5μmくらいです。雲の粒が10μm、花粉は10-50μmと比較しても大変小さい粒子であることがわかります。この粒子によって太陽の周りでは光環現象が観察されることがあります。光環は、太陽光が水滴や微粒子によって回折されることによって太陽の周りにできる色のついた光の輪です。粒子が小さいほど光環の直径は大きくなるので、水滴よりも粒子の小さい火山灰や黄砂等が浮遊している場合は視角が10度以上にもなる巨大な光環が見られることがあります。この他、杉花粉が大量に飛散しているときにもこの現象が観察されます。
黄砂の影響について。
日本には年間 1〜5t/ km2の黄砂が降り、北太平洋全体では年間約3.3億トンの黄砂が降ると推測されています。そのため、思ったより大きな影響が各方面に出ます。
1) 交通や各種観測に対する視界が悪くなることによる影響
2) 洗濯物や自動車、住宅に対して黄砂が付着する被害
3) 農作物に付着する被害
4) 咳、痰、喘鳴や鼻水など、呼吸器官への影響
5) 黄砂は炭酸カルシウムを含むので、酸性雨を中和する効果
6) 鉄分をはじめ必須微量元素が含まれているため、海洋表面に降下した黄砂は、海洋表層の植物プランクトンの栄養塩としてはたらく
7) 一般には、日射を遮る冷却効果 積雪箇所では太陽熱を吸収することによる温暖化効果
私の実感ですが、黄砂中は目に違和感がありましたし、咳が出て困りました。