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湖底の亀甲模様:本白根山・鏡池

 鏡池は群馬県草津町の本白根山の北東にあります。ひっそりと静かな中に、時に霧が立ちこめ、時に硫化水素の臭いも感じられるという独特の雰囲気のある池です。7月下旬には池周囲にヒメシャジンが多数咲き、花好きのハイカーたちにも人気のあるスポットです。

 池を見下ろす位置の遊歩道から見ると、ここの湖底には奇妙な模様があることがわかります。亀甲模様と言われていますが、六角形をしているのではなく、丸や舌状の形や多角形模様のパターンが並んでいて便宜上亀甲模様とよんでいるだけのようです。この現象は、湖底に限ったことではなく、水の貯まっていない本白根山の爆裂火口の中にもわずかに見られるし、北海道・トムラウシ山の地表でもこの模様が大規模にあることが知られています。

 具体的に何が起きて模様が生じるのでしょうか。上の写真を拡大してコントラストを高めたのが左の写真です。模様の中では小さいものから大きなものまで、ほとんどの石が取り払われて、残っているのは砂のような極小さな石だけのようでした。実は、これは構造土とよばれるもので、土が凍ったり解けたりを繰り返すことで生まれる地面の模様なのです。冬に土が凍ることでその体積が増し、周囲の石を押しのける効果があります。それが毎年冬が来るたびに繰り返されるので大きな石さえも模様の中から押しのけられてしまったという訳です。地面は均一に凍るのではなく、石が少なく水分を多く含む砂地から凍っていくので長い年月をかけてある程度の大きなパターンになったのです。そのため模様の形に規則性はなく、様々な形のパターンが出来上がっています。