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太陽光の強さに応じて調整:クズの葉の調位運動

  

クズは河川敷など比較的開けた土地ではびこり、よく見かける身近な植物です。根からとったでんぷんが葛粉で、根を乾燥した物が漢方薬の葛根湯に使われます。

そのクズの葉は興味深い特色があります。太陽の光が弱い早朝には太陽の光を多く受けるように葉が動き、逆に太陽の光が強すぎる昼間は光が当たらないように葉の角度を変える性質があります。光に対して向かっていく場合は、向日運動屈光運動と呼ばれますが、この場合は光の強さに応じて位置を調節する運動なので調位運動と呼ばれています。調位運動はクズをはじめとするマメ科の植物やヒマワリ(キク科)でも観察されるそうです。

6月17日に観察した様子を写真に撮りました。左の写真は朝7時40分です。2番目の写真はほぼ同じ位置から1時間半後の9時10分に撮りました。1時間半の間に葉が大きく動いているのがわかります。太陽を背にして写真を撮ると、3番目の写真に見られるように光と平行になるように葉を移動させているのがわかります。3枚ある葉のうちの真ん中(頂小葉という)の葉は縦にして光を避けていますが、右側を向いた頂小葉と左側を向いた頂小葉があり、この回転させる向きについても何か規則があるのか興味深いところです。

調位運動をする理由とは何なのでしょうか。太陽に対して葉を平行にしてしまうと光合成量が落ちてしまわないのでしょうか。九州大学の研究によると、調位運動をしない葉は する葉に比べて葉の温度が5度くらい高くなって、それに伴い蒸散量が多くなって約2倍多くの水が必要になるそうです。光合成量はどうかというと、調位運動をさせたほうが良い成績でした。葉の温度が高くなりすぎると局所的に水不足になって光合成量が落ちるということなのでしょうか。