この写真は、長野市大谷地で撮りました。湿原の水に油を流したような光沢のある膜が見られました。この特徴ある膜はここだけでなく、斑尾高原・沼の原湿原や黒姫高原・御鹿湿原など各地の湿原で見られました。なぜ、このような「油膜」が生じるのでしょうか。また、共通して付近の土壌が茶褐色をしているということが何か関係しているのでしょうか。
茶褐色の土壌が謎を解く鍵となります。この色は、湿原の水に溶けている鉄イオンが酸化され酸化第二鉄が析出したときに見られます。この酸化の多くは空気中の酸素によりますが、それだけでなく、鉄バクテリアとよばれる細菌によっても行われることがあります。特に水の流れのない所でこのバクテリアが増殖すると、水面に光沢のある酸化鉄の皮膜ができ、それはまるで油膜のようです。湿原でこのような「油膜」を見つけても放置しておいて問題ありません。