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上田・佐久地方で雲海のできる気象条件とは?

2005年11月4日に小諸市・車坂峠に至るチェリーパークラインから雲海を見ましたので報告します。

 小諸市八満地区から高峰山方向を見てもどんよりと雲がかかって全く山は見えませんでした。わずかに霧雨も降っていました。

 チェリーパークラインを登っていくと約1300mくらいから霧が出てきました。1500m付近になるとかなり明るくなってきましたが写真のように、いわゆるガスがかかっているといった状態です。

 さらに登ると急に天気が良くなり、車坂峠に近い所からは雲海を見ることができました。遠くの山は八ヶ岳です。写真には入っていませんが左手に富士山もきれいに見えました。ここで見られる雲海は標高約1300m〜1500mに生じる層雲によるもので、夏の北アルプス等で見られるような層積雲による雲海(およそ標高2000m)より低くなっています。このタイプの雲海は朝10時前後に消えることが多く、遅くとも午前中には平地でも晴天になります。

天気予報ではよく「上田・佐久地方」と呼ばれていますが、どのような気象条件の時に、ここに雲海が発生するのでしょうか。

 まず、11月14日9時の天気図を見てみます。長野県は高気圧圏内にあり、高気圧の中心は西日本にあります。

 こちらの天気図は1998年10月11日9時のもので、同じくここで雲海が発生していました。こちらも長野県は高気圧圏内にありますが、高気圧の中心は長野の北部にあります。

 9時の時点で長野県が高気圧圏内にあり、高気圧の中心が西方から北方にある時に、この地域で雲海が発生しやすいようです。高気圧の中心が長野県の東や南、あるいは真上にある場合には雲海にはならないようです。また、天気図上に明確な高気圧の中心が書かれていなくても、長野県が低気圧に挟まれていて相対的に気圧の高い状態の時にも小さな雲海が見られることがあります。

 天気図でだいたい予想することができますが、雲海が実際に発生しているかどうか見極める方法があります。浅間山ライブカメラを利用するのです。北方にある浅間東ライブカメラの映像では浅間山上空が青空なのに、同時刻の小諸市では曇って浅間山が見えないようなときには小諸市上空に雲海が発生していると判断できます。

 浅間山東のライブカメラ(11月4日7時)

 小諸市のライブカメラ(11月4日7時)

これを利用すると、11月1日にも規模の小さな雲海が有ったことが分かります。11月1日の浅間東小諸市の映像を比べてみて下さい。

 ちなみに11月1日9時の天気図は左のようになっています。9時の時点で高気圧の中心が長野に極めて近いので、早朝に発生していた雲海は早々に消失しました。