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ツマトリソウの名の由来

  ツマトリソウ(サクラソウ科ツマトリソウ属)は、双子葉合弁花類に属します。花冠が深く7裂しているので、離弁花のように見えますが、花冠が脱落したところを観察すると合弁花であることが納得できます。花冠と雄しべが一緒に落ちるのであって、花びら一枚一枚が別々に脱落するのではありません。

この白く印象的な花を撮っていると、行き会ったハイカーに花の名前を尋ねられることがよくあります。ツマトリソウと聞くと多くの人は「妻」を連想するようですが、由来となったのはそうではなくて「端」の意味のツマです。花冠の先端が淡い赤で縁取られることからツマトリソウと名付けられました。しかし、長野では、縁取られたツマトリソウは滅多に見ることはできません。多くの場合、白一色のツマトリソウです。2番目の写真は、名の由来となった赤く縁取られた”珍しい”ツマトリソウです。注意してみないと見逃してしまうほどの淡い赤です。花冠の裏側の方が若干色が濃く見えます。

 これは一株に咲いた二輪です。つぼみから開きかけの花の方が、赤色が濃く見えます。

 つぼみであれば全て赤く縁取られているかというと、そうではなくて、同じ群落の中でもほとんど赤色のついていない株も見られました。みなさんもこの花を見かけたら花冠の裏側もチェックしてみてはいかがでしょうか。