home > 山歩きの雑学 >

サクラ天狗巣病(タフリナ)

 

 天狗巣病は、Taphrina wiesneri という糸状菌(カビ)の一種によって引き起こされます。感染した枝の一部分が膨れてコブ状になり、そこから不規則なほうき状の細かい枝が密生します。形態に異常を引き起こすことからこのカビは植物ホルモンに影響を与えていることが想像できます。この写真は晩秋に撮ったもので、周囲に葉がないので奇妙な枝が目立っています。春になればその密生した枝にも小さな葉がつきますが花芽がつくことはありません。その葉は早々にしおれ、葉の裏に灰白色・粉状の子のう胞子がつくられます。飛散した胞子により伝染しますので、病巣部を見つけ次第切り取って焼却する必要があります。冬から春にかけて胞子がつくられる前に行うのが効果的です。切り口には防菌・癒合促進剤かペンキを塗っておき、切り口から腐れ始めるのを防ぎます。この病気はソメイヨシノやコヒガンザクラでよく見られますが、ヤマザクラの仲間では見られないということです。山地や寒冷地のソメイヨシノによく発生するらしく、長野県内でよく見かけます。

 上記では「花芽がつくことはありません」と書きました。一般に、病巣では花の時期に葉が出てしまって花がつかないのですが、この写真のように病巣でも花が咲いている例がありました。

サクラ以外にも天狗巣病に感染する植物があります。

 これはツツジの枝に着いた病巣です。

 ササの天狗巣病

 笹原ではよく見かけます。異常増殖し、枝がしなっているのですぐ見つけられます。

 病巣の枝先

 先端から白いものがあふれ出ています。天狗巣病の原因菌です。ここで胞子が作られ感染が拡大していきます。