ブロッケン現象は、日の出や日の入りなど日差しが低い時、太陽を背に前方に霧が流れていると見られることがあります。これは、粒子と光散乱に関する「ミー散乱」理論で説明されます。ミー散乱とは、光がその波長と同じ程度の粒子に当たったときに起こる光散乱のことです。ブロッケン現象は、日光に対して観察者の後方でみられるので、その中でも後方散乱によります。光の波長ごとに散乱角度の固有のピークがあるため、虹のような色が観察されるということでした。
このようなメカニズムで光環が現れるので、その視角は一定となります。よって、観察者の近くに霧の壁があったときには、この写真のように影に対して一回り大きめの輪が見られる一方で、霧の壁がもっと遠方にあったときには自分の影の視角が小さくなるのに対して、光輪の視角は変わらず一定であるため、両者の見かけの大きさの差が大きくなります。
ドイツ中部のブロッケン山でよく見られることから「ブロッケン現象」あるいは、「ブロッケンの妖怪」と呼ばれますが、日本では御来迎と呼ばれてきました。霧の中に後光が差した阿弥陀如来が現れたと解釈されていたのです。
今回見られたブロッケン現象の外側には、左の写真のように光の輪が観察されました。これは、霧虹と呼ばれているものです。空中に漂う水滴が十分大きいと普通見られる虹のようにプリズム効果で色が分かれて見えますが、霧は粒子が小さいので色を分解せず、白色の光環になります。そのため、白虹と呼ばれることもあります。
霧虹と茶臼山の頂上看板
美ヶ原にある茶臼山は2006mで2006年に登ろうキャンペーン