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2015年リーグ戦も後半戦を迎え、そしてこの試合は全勝対決その1で、優勝争いという観点では見逃せない試合となった。 ******** 今年の関西大学は、攻守ともに堅実でロースコアな戦いを経て第5節を迎える。ここまでの試合は前節の40点が最大で第3までは20点台で推移している。失点は前節のスペシャルチーム起因による3失点があるが、ここまでTDによる失点がない。相手よりも1点でも多ければ試合勝利という理屈を実践してきた堅実守備と効率のいいオフェンスが今年の全体的な特徴である。 オフェンスではランパスバランスよく攻撃を組み立てていて、目指す距離もショート〜ロングの様々なプレー種類を有する。ランプレーではRB#22古川のスピードテクニックとパワーランナー#46畑中、そして、前々節あたりからQB#19大内のキープランも機能し始めている。 そしてQB#8石内にうよるパスも、今春の法政大学戦ですでに飛躍的向上が見られたが、時間経過とともに更に精度アップしてきている。ロングターゲットWR#82中村を筆頭に、#88原田、#84三木、#83西村、IRとしてTE#1青根、#48平井などの綺羅星レシーバー陣である。 攻撃の司令塔となるQBは実質3年目となる#8石内が担当し、さらにここ数試合で#19大内がワンポイントで交代出場している。 ディフェンスは、ここまで3−3−5の布陣を徹底して採用してきている。DLがOLからQBRBまで対応、LBはRB対応し、DB(S・CB)はIRとORのショートミドルのパスに対応する。 この3−3−5フォーメーションが機能する最大の要因は、DL3人で十分にスクリメージを支配できていることが大きい。3年生#92高谷を中心に、2年生#96松原、#95小石という若手で構成される布陣は試合を重ねる毎に重量感が増す。ここに4年生#98寺西、#99中村、そして主将#90藤谷も存在するが、出場シーンが少ないままシーズン後半戦を迎える。決して実力的に劣るようなメンバーではなく、経験値を伴った選手層が厚い。 LBも春の試合から様々なメンバーを試行錯誤した結果、多くの選手が成長して完全に2ユニットを構成できるまでの陣容は、関西学生トップの層の厚さである。特にILB#大滝が大きく成長したことでディフェンス全体の安定感が増加した。さらにILB#44小段、330安田、OLBでは#7湯川、#29岩永など。各個人では守備範囲の広さやスピード等で個人差が生じるのは止むを得ないが、熟成した連携プレーがその個人差を埋めている。 DBも昨年終盤から引き継ぐメンバーが多く経験値は豊富、昨年終盤からパスディフェンスが向上しそれに磨きがかかって京都大学戦WRに対して完璧な位置取りで様々なパスコースをシャットアウト対応したのは記憶に新しい。主将#40森岡(S)筆頭に、#13小阪田、#10田中、そして1年生名がらスターターポジションに就いた#16長井に注目。DBによるパスインターセプトは4試合で5回を記録している。 ******** 一方の立命館大学オフェンスも、秋本番のリーグ戦を戦い抜く中でランパスのバランスいい攻撃組み立てになってきている。RB#32西村のスピードによるOTから外の捲り上げと、パワーランナー#42長谷川によるインサイドのランドライブが計算できる。 パスではWR#2佐溝、#83宗村、#84近江、そして#86猪熊などなど。QB#11西山のパスコントロールも安定してきているが、前節観戦記で書いたようにどちらかと言うとミドルレンジまでのパスが多いのも特徴である。 ディフェンスは昨年経験者がそのまま多く残る。DLでは#93仲里、#53中村、#57田辺という見慣れた布陣は安定感がある。 LBは#4長谷川、#56浦野の2名で、このポジションも昨年来の大型LBが揃う。関西大学LBが軽量級スピード重視のタイプが揃っているのに対して、立命館大学LBはスピードを維持した重量級タイプである。 DBでは、カバーエリアが広いOLB兼任#3八条、S##34奥野、CB#13奥田、#20長尾など4年生が揃っている。開幕戦京都大学戦でいきなりインターセプトして試合の流れをもぎ取った#20長尾、主将#13奥田の責任感あるパスディフェンスなどに注目したい。 ******** 次に、関西大学攻撃と立命館大学攻撃を比較してみると、プレーの選択肢・バリエーションとしては関西大学優位という印象がある。 パス飛距離では関西大学QB#8石内とWR#82中村のホットラインで示されるように50ヤード超のロングパスシーンが多い。 対する立命館大学は、ここまでロングパス一発でのビッグゲインというシーンは少なかった。神戸大学戦で#86猪熊がロングパスターゲットとなった瞬間はあるが、どちらかというと20ヤードまでのミドルパスをつなぐというスタイルになる。 両方ともに一長一短はあるが、バリエーションという点ではディフェンスストレッチしやすいのは前者だろう。 またショットガンセットのシングルバックからのランプレーにおいて、立命館大学キャリアはRBがほぼメイン、さらにWRモーションからのオープンプレーという組み立てに対して、QBも走れる関西大学のほうが、ディフェンスにとっては厄介なのではないだろうか。 そして攻撃の起点となる司令塔QBの経験値では、関西大学QB#8石内は、ここまで様々な経験を重ねて試合の組み立て方もマスターしてのスターター3年目で総仕上げの年となるのに対して、立命館大学QBは今シーズンからスターターとなる2年生#11西山がリーグ戦全勝対決という重責を担うことになる。 単純に経験時間を数値化しただけでは語れないが、しかし、経験の有無の差は否定できない。次のプレーを準備してフィールド内に指示するまでの時間とか手順とかのベンチワークはスムーズに行って若いQBを支えたい。 守備では、関西大学3失点、立命館大学10失点と数値上はほぼ互角な内容である。また連盟ページ掲載のチームスタッツによると、ここまでの4試合で守備の喪失距離が最も少ないのが立命館大学で1プレーあたり2.7ヤード、ちなみに関西大学は1プレーあたり3.4なので、立命館大学のほうがディフェンス優勢ということになる。 ただし、VS京都大学の試合で、開幕戦で対戦した立命館大学には天候の影響もあったのか#82のパスがなくラン主体の攻撃となったのに対して、前節の関西大学には要所でロングミドルパスが飛んでいる。つまり、VS京都大学を基準にしたパスディフェンスのパフォーマンス比較が出来ないのである。 もしも京都大学が開幕戦でも同じようなパスパターンを多用していたら・・・関西学院大学DBでも少し対応に苦労していたが、それでは、立命館大学DBのパスディフェンスはどのようなパフォーマンスを見せてくれたのだろうか、というのは気になるところです。 ******** と、ここまで立命館大学と関西大学の攻撃と攻撃、および、守備と守備を比較してみた。いつもの試合展望ならば、守備vs攻撃と攻撃vs守備を想像の中で対戦させて、いろいろと身勝手な類推をするのだが、今回はやめておく。 上記を読んでいただければ、バックス優位なのは関西大学・・とAK'sでは考えている、ということが透けて見えてしまうかもしれない。しかし、守備vs攻撃と攻撃vs守備の結果は、まず、攻守ライン戦攻防の結果が大きく関係するが。そもそもここまでの4試合で本当にそれぞれチームの個人の全開パワーで臨んだのかというとそうでもないかもしれない。過去にも、ラインパワー不足と思っていたのに全勝対決で全く違ったパフォーマンスを示したチームもあるので、全勝対決の本番を迎えてみないと力関係は見えてこない。 春のエキスポフラッシュフィールドでの試合では、関西大学24−7立命館大学と関西大学勝利となった。そこから関西大学は整備を重ね、そして立命館大学も春の姿はどこへやらのここまで攻守ともに大きく成長した。秋リーグ戦全勝対決その1、注目です。 |
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