関西学生アメリカンフットボール Div1 第7節



11月22日(土) 王子スタジアム 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西大学
京都大学








11月23日(日) キンチョウスタジアム 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西学院大学
立命館大学


 リーグ戦最終戦の全勝対決は2012年以来2年ぶり。勝ったチームが2014年の関西学生リーグ優勝チームとなって、大学選手権に進出する。

 私の周囲の人々の「どちらのチームがどんな展開で・・・」について、あまりヒヤリングできていない。個人的な思いでは某チームが優勢なのではないかと考えているのだが、外したら恥ずかしいので、秘密にしておく。もっとも、これから記載していく展望文章の行間から、にじみ出てきてしまているかもしれないが・・・・。

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 両チームともにここまでリーグ戦全勝で決勝の場に辿り着いたのだが、今春スタート時点からの成長カーブはまったく異なる。辿ってきたルートが違うにもかかわらず、同一地点に辿り着いたこと、そして、最後の決着をつけるという構図は、非常に興味深い。

 関西学院大学の春は、対学生で全勝をキープし、唯一の黒星が神戸ボウルでのパナソニック戦だった。日本大学戦など一部の試合を除いてほぼ全試合を観戦している。
 今年も、試合の前半と後半でメンバーを大幅に入れ替えて経験を積ませるというここ数年のスタイルを踏襲している。過去数年ほどには前後半できれいに選手が交替できた試合は少なかったようだが、それでも、試合結果を見れば圧勝していると感じさせる内容もある。ただし、詳細を見れば微妙なシーンも見え隠れしている。それが、選手起用によるのか、春時点での本当の課題なのか明瞭でない部分もあった。

 一方の立命館大学の春は、5月にアミノバイタルでの早稲田大学戦で黒星を喫し、さらに6月のパナソニック戦でも黒星となる。対社会人については時期的にも止むを得ないところがあるが、対学生の早稲田大学戦での敗戦は、少なからずのインパクトがあった。本当はこの試合を観戦に行きたかったのだが、結婚式場でのネット観戦で敗戦を知ることとなった。
 今春のどこかの観戦記で書いたと思うが、今年の立命館大学チームは、攻守とものスタートメンバーのほぼ全員が昨年までのスターター経験がない、という経験不足かつ未知なチーム構成でのスタートとなった。そのチーム動向を探るのにパナソニック戦だけでは物足りず、対学生でどんな試合をするのかチームの方向性は、などというところを観ておきたかったのだが冠婚葬祭では止むを得ず。ただ、敗戦こそしたもののパナソニック戦のひとつの試合だけでも十分に感触を掴むことはできた。
 感触とは。数年前の6月、上ヶ原からの帰りのバスの中で感じた感触ほど確固たる自信までには達しなかったが、それでも、それに近い高揚感・期待感と半年間の宝物を得たという感覚はあった。

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 両チームの秋リーグ戦内容については各節のスコアとチャートと観戦記に譲る。試合のスタッツ数値を集計しても、合計数値にはあまり意味がないと考えているので、獲得距離等々の数値合計も省略する。
 ただし、反則罰退距離は、チーム全体の整備状況・進捗状況・心理状況を見るという点において意味があるかもしれないので、公式サイトのスタッツから数字を拾ってみた。以下に、両チームの試合順に、対戦相手と反則による罰退距離を書き出している。


【関学】
同大15→近大05→神戸20→龍谷65→京大25→関大30=合計160

【立命】
神戸51→同大05→龍谷15→近大15→関大00→京大48=合計134


 関西学院大学の反則罰退数値には、ここ数試合のバタつき具合が見事に現れている。
 立命館大学の数値は、開幕戦でパスインターフェアが頻発したが、それ以降は、安定して少数値を保っている。
 ただし、前節で一気に数字が跳ね上がっているが、もちろん、整備状況・進捗状況・心理状況に何があったか理由を突き止めることは不可能。個々の反則内容に立ち入ってしまうと主旨が異なってくるので、ここまで。

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 ここでは、予想する試合展開を挙げておく。

 昨年は0−0のスコアレスドローがったは、今年はお互いに得点は入る。つまり、お互いに失点はする。先に得点したほうが心理的優位に立って試合の流れを支配するか、あるいは、次の相手攻撃シリーズで得点すれば振り出しに戻る。という攻防の繰り返し。
 そして、自チームが得点したあと、次の相手の攻撃を封じたチームが優位に立つ、という心理戦が繰り広げられる。観戦する立場としては、観ていて胃が痛くなる試合、良い意味で疲れる試合。

 トリッキーなプレーでの得点も時間帯や得点差によっては効果はあるが、できれば、王道・正面玄関から得意とするプレーで得点をしたい。しっかりとした得意とする攻撃パターンで得点をした!(相手パターンでドライブされた・失点してしまった!)という実績も、お互いの心理面に大きく影響する。その結果は、ジワジワとプレー精度や反則に現れてくるはず。

 先制点がとても重要で、最初のシリーズは様子見・・・している余裕はない。つまり、コイントスで権利を得たチームは、先攻・レシーブ選択は必須。
 そして、先に2ポゼッション(10点)リードしたチームの勝ち。ファイナルスコアは(21〜24)−(10〜17)だが、ロースコア側の最後の1個は、試合の行方が決した後のもの。

 ということで、先制点がとても重要になると考えている。


 では、今シーズンのここまでの試合で、両チームが、どのような方法で、どのような時間帯に先制点を挙げてきたか、各試合から拾ってみると。

【関学】
同大FL・TD→近大TD→神戸TD→龍谷TD→京大FL・P・TD→関大P・TD

【立命】
神戸P・P・TD→同大RTD・TD→龍谷P・TD→近大RTD・TD→関大TD→京大P・RTD・・・

(神戸大学戦は、関西学院大学はQB伊豆、立命館大学はQB西山が担当)


 立命館大学先制点のうち3個はディフェンスによる。第2節同志社大学戦では同志社大学オンサイドキック成功からの最初の攻撃でファンブルを奪いそのままリターンTD、第4節近畿大学戦でも近畿大学最初の攻撃でのパスをインターセプトしてそのままリターンTD、いずれも最初の守備で得点を獲得している。第6節京都大学戦は第2シリーズになるがパスインターセプトからのリターンTDで先制点を獲得している。

 ちなみに、関西学院大学のリターンTDは2回で、京都大学戦第3Qに勝敗を決したRTDと神戸大学戦試合最後のインターセプトからのRTD。


 さらに両チームの奪インターセプトと奪ファンブルロストの回数は以下のとおり。

【関学】
ファンブルロスト4回・インターセプト7回
(公式サイトのpdfでは6回、公式サイトの各試合数値の合計は7回)

【立命】
ファンブルロスト5回・インターセプト11回

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(以下続く予定)

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 ここからは、両チーム攻守陣容について簡単におさらいをしておく。立命館大学オフェンスRBは、TBもFBも人材豊富という印象がある。TB#29玉井、#5森本、#26西村、#39田中はいずれも、どちらかと言えばスピードタイプのランナーである。昨年から要所で活躍する#5森本と、1年生で#26を背負う西村の存在は春から予見はできていた。しかし、今秋初登場なった4年生#29玉井の出現は衝撃的である。他校から見ればまったくの予定外であり、しかも、スピード判断兼ね備えたエース級の動きを見せるのだから厄介な存在以外の何者でもない。

 TB#42長谷川はIフォーメーションからの中央突破のパワーランナーという役割を担う。シーズン序盤には大活躍し、第5節関西大学戦では終盤に登場してきたが前節は出場機会なし??。立命館大学オフェンスがどのようなプレープランで臨むのかにもよるが、パワープレー主体の組み立てならば、文字通り試合の行方を決めるキーマンの一人になる。シーズン序盤で執拗にIフォーメーションを採用していたことと、後半戦での出場機会激減は温存&カモフラージュなのか負傷?なのか。不気味な存在である。
 FB#33上山はブロック要員としてTBの走路確保に徹している。だが、春の試合ではパスターゲットにもなっているマルチプレイヤー的存在である。以上キャリアとしては5名程度が交互にフィールド内外を行き来しながらのプレー参加になる予定。

 WRは、堅実な最上級生#83中野を筆頭に、RBの経験も豊富な#11猪熊、春から大活躍1年生#88近江という陣容。さらにTEは、春から少しずつパスキャッチ機会のある4年生コンビ#85永野と#89藤原に前節から2年生#97吉永が加わった。大型サイズながら秀逸なハンドリングテクニックは随所で披露している。
 パスの組み立てで見ると、スピード重視のロングパスターゲットと、インサイド縦のクイックパスにアクロス系等々、様々なパターンに複数名揃っていることになり、人材層は厚い。

 QBは4年生#4前田と1年生#15西山による。QB前田の昨年から今春前半までのパフォーマンスは(関西学院大学QB斎藤ほどには)正確に把握できていない。ただし、今秋のここまでの試合で見せている特にパスのパフォーマンスは、6月のパナソニック戦と比較しても飛躍的に向上しているのがわかる。特に9月開幕戦同志社大学戦でのパスパフォーマンスには、わずか2ヵ月半でこうまでも変化するのかとかなり驚かされた。そして関西大学のパワフルなディフェンスフロントに対しても臆することなくパスを決めている。そこから類推するに、この試合でもライン戦で大きな力の差がなければ、かなりのパス成功率を確保できるのではないかと考えている。

 最後にOLだが、印象に残っているのはLT#55寺岡を筆頭にいずれもブロック精度が高いことと、ダウンフィールド含めて正確に役割を果たす堅実さが光る。ダウンフィールドブロックについては、RB#33上山筆頭にRBWRもボールキャリアのために丁寧なブロックをする選手が多いのが今年のチームの特徴でもある。

 今年の立命館大学オフェンスは、QB#4前田からの長短パスと、OLRBによるパワープレードライブ、どちらも、関西学院大学ディフェンスに対して、ある程度以上のゲイン前進は見込めそうだ。パスとパワープレーのどちらを先に、そして、その後、どのように組み立て方を変えていくか、このあたりに着目してみたい。

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 関西学院大学オフェンス、RBは主将#28鷺野のスピードランと今春から大活躍の2年生#40橋本による中央パワーランという担当になる。さらにパワー系ではTB#36西山、スピードタイプのRB#3飯田なども存在する。ところで、確かに#40橋本の台頭は衝撃的だったが、彼以外の新芽は存在しないのでは?と感じさせるのは#40橋本のビッグプレー数が多いからか。

 WRでは#82横山をメインターゲットに、#85木下、#81水野、そして京都大学戦で完全復帰した#15大園に、さらにTE#86松島、#91蔵野など。QBWR連携では春以降試合を重ねるごとにアップしてきている印象があり、特にWR#81水野はセイフティバブル的な存在、さらに、ホットライン#15大園の復活も頼もしい。インサイドから様々なパスコースに出るテクニシャンタイプが揃う。一方で高速ターゲットが不在なのが今年の特徴か。#88木戸が万全の体制ではないようだが、最終戦この試合で完全復活というシナリオも否定はできない。

 そしてQBはエース#11斎藤とバックアップの#6伊豆の両名が担当する。そしてQB#11斎藤の今シーズンの成長には目を見張るものがある。今秋のどこかの観戦記で書いているが、いまや、チームを牽引できる選手になった。  私の考えていたこととして、昨年シーズン終了後から今年の関西学院大学のキーはQB斎藤の成長次第と思っていて、少なくともQB起点でプレー崩壊することは避けたいと思っていた。だが、秋シーズン序盤からそんなシーンは見ることのないまま、むしろ、チームの窮地を救うQBに変貌したのが頼もしい。おそらくこの試合でもチームのキーマンとして試合組み立ての中心的役割を果たす、というよりも、QB斎藤が機能しないと勝ち目はない。そして、全く機能しないところまで完全に封じ込まれるうこともないと思うが。

 攻撃パターンとしては、スピードランナーによる一瞬のすれ違いと、パワーランナーの中央突破、そしてアウトサイドへのクイックパスが基本のドライブパターン。だが、今回はこの基本形だけで立命館大学ディフェンス網を突破するのはほぼ不可能。だが、前節関西大学戦でも垣間見ることができたように、ディフェンスを揺さぶるトリッキーな動きを大小組み入れての展開になるはずだ。

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 立命館大学守備は、LB#44山本、#56浦野、#43長谷川の本格的LB陣に、DB(S)兼任の#3八条という布陣。シーズン序盤はオーバーリアクションが気になっていた3年生も安定感を増してきた。LBの守備範囲が広いところが特徴だが、スタミナ面ではこの試合耐えられるかはキーになりそうだ。
 そして第3列DB陣は、CB#21秋山、#23奥田、S#34奥野、#19荒木そして守護神S#13大貫という布陣。さらに#13大貫の負傷欠場後に台頭してきた2年生#38木村には注目しておきたい。キャリア判断とそこに達するスピードは秀逸である。
 開幕戦神戸大学戦でエンドゾーンを背負っての3連続パスインターフェア反則はインパクトがあったが、私的には織り込み済みだった。だが、その次の試合からインターフェアの反則がほぼ完全消滅してしまっている。この修正能力の高さには正直今でも驚かされている途中である。そして、今回のこの関西学院大学との試合でもWRDBの攻防は繰り広げられ、そして、反則の有無は試合展開を大きく左右することになるのは間違いないが、どのようなパスディフェンスを披露してくれるか注目しておきたい。
 DLは、NEWERAで大活躍以降気になる存在の#8高木を筆頭に、#93仲里、#91中村、#96大野というほぼ不動のメンバーによる。

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 関西学院大学の守備LBは、#43作道、#47山岸、#31吉原そして守護神LB#57小野、という陣容。ポジショニングは特徴があって、ILBには#57小野が確定し、#43作道と#47山岸がその両脇を固め、#31吉原はさらにその両脇でDB(S)のような位置に立つ。ILB的なLBが#57小野1名で3名はOLB的なLBとして機動力を前面に押し出したフォーメーションで展開する。さらに、第3列DBは、S#20国吉、CB#10田中、S#37小池とアスリートが揃う。
 DLは#93岡部、#52松本を両エンドに、NGに京都大学戦関西大学戦などでは#53藤木が先発出場している。前節は負傷退場後に#92安田が参加、フォーメーションは3−4を基本形に2−5から4−3まで臨機応変な対応をしている。
 注目は、立命館大学オフェンスがパワープレーメインに組み立てたときに、3−4を維持するのか人数チェンジするのかというところと、前節で負傷したNGが復帰できるか否か。ちなみに、立命館大学も前節京都大学戦でディフェンスチームに多くの負傷者を出しているが・・・

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 昨年はスコアレスのドローだったが、今年は両チームともに得点は入る。立命館大学は得意とする正面玄関からのプレーで得点できそうだし、関西学院大学も得意とするプレーとトリッキーなプレーを組み合わせて得点することはできるだろう。
 なお、上のほうで、先に2ポゼッション差リードしたほうが断然優位としたが、それはその後に3ポゼッション差になっていることが前提。もしも、2ポゼッション差以内で第3Q終盤を迎えるようなことがあると、当然のことながら、少し微妙になってくる。

 この場合のキーは、両チームともにディフェンスにありそうだ。

 際どい試合展開というのは、今シーズン両チームともにほとんど経験をしていない。緊張と警戒で弱腰になってしまうと、そこに付け入る隙ができてしまう。ここの経験不足が終盤になってディフェンスに襲い掛かるような試合展開になると、もはや展開予測など不可能、無意味になってくる。

 関西学院大学QB#11斎藤のパスに対して、立命館大学パスディフェンスのDB陣は、前掛りでポジショニングできるか。腰が引けてしまうとミドルレンジ以内のパスが連続ヒットして、ここから形勢は一気に逆転して攻撃側優位に立つことになりそう。この限定したシーンを想定すると、ピンポイント的だが微妙なポジションがあるようなないような。良い雰囲気でパスディフェンスをしているシーンも見る機会はあったが。

 これは立命館大学攻撃と関西学院大学守備の攻防にも当てはまり、QB#4前田からのパスと中央ランの連続ドライブが止まらなくなったときの関西学院大学ディフェンスの拠り所は何か。ポジション的にはILB小野が担当だが、おそらく巻き込まれてしまう当事者になっているはず。DB陣に付近からサポートしたいのだが。


 第3Q終盤で、どの程度の点差になっていて、どちらがボールを持っているか。
 もしも2ポゼッション差以内ならば、オフェンスのボールキープ力、あるいは、ディフェンスチーム全体の前を向く意識と、フィールド内でのディフェンスキャプテン・サブキャプテンのリード等々がポイントになりそうだ。そして3ポゼッション差以上あれば、十分に逃げ切りが可能。

 というところで、時間切れ、です。

(了)









11月24日(月) EXPO FLASH FIELD 12:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
近畿大学
龍谷大学








11月24日(月) EXPO FLASH FIELD 15:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
同志社大学
神戸大学








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