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関西大学は6戦全勝、対する関西学院大学は5勝1敗で迎えるこの試合、関西大学が勝利または引分ならば、2010年関西学生リーグの単独優勝が決定する。また関西学院大学が勝利すれば、関西大学とともに6勝1敗となって両校優勝、さらに、前日に立命館大学が同志社大学に勝利していれば3校が6勝1敗となって3校優勝となる。 そのときは関西学生プレーオフトーナメントと全国大学選手権トーナメントが合体した形で行われることになる。 まず、2校優勝のときは、12月4日12時@長居陸上で2校による再試合を行い、勝者が12月12日16時40分@王子で南山大学と西日本学生代表を賭けて対戦する。 次に3校優勝の時は、12月4日12時@長居陸上で2校が対戦、12月5日14時@王子で南山大学と第3校が対戦、両試合の勝者が12月13日(月)19時@京セラドーム大阪で西日本学生代表を賭けて対戦する。 (ニュースソース1・ニュースソース2は、いずれも関西学生アメリカンフットボール連盟公式ページ) ******** 昨年は第3節に対戦し、関西大学17VS関西学院大学13。第4QにQB原口から左コーナーへのパスをDBと競い合いながらWR#17高原がパスキャッチ、これが決勝点となって関西大学が勝利して全勝キープ。次節立命館大学との全勝対決を制してリーグ優勝へと突き進むことになった。 第3節の全勝対決に関西学院大学がどの程度の準備をして臨んだのか実際にところを知る手段もないのだが、6月の関関戦で変貌振りの片鱗を第3フィールドで披露しているので、「序盤戦だが大きな山場」という認識はできたに違いない。 今年の6月の関関戦は雨天の関西大学で行われ、18−0で関西学院大学が勝利している。ただ試合内容を見てみるとオフェンスで挙げた得点は4FGのみ、ディフェンスのリターンTDで7点追加という状態で、レッドゾーンまで侵攻するものの関西大学鉄壁ディフェンスを崩せなかったオフェンスという姿が見え隠れする。 この試合でもう一つ特徴的だったことは、激しい肉弾戦衝突の中、担架で運び出されるのは関西学院大学選手がほとんどだったということ、それほど関西大学のアタリが激しかったということで、体格差(フィジカル差)は春の段階でもかなり広がっていたことを表す出来事である。 関西学院大学にとっては、このような過去の試合を経ての本番を迎えるわけだが、立命館大学に1敗を喫していて負けは許されない状態なので、相当の準備をして臨んでくることだろう。 もしも立命館大学に勝利していれば(6戦全勝同士の全勝対決ならば)準備の内容は変わっていたかも、と考えている。少し明るいお祭りムード的な雰囲気の中での全勝対決になっていたと思う。実際は、あとのない崖っぷち状態なので、前者とは真剣度合いの方向性が微妙に異なる。ここがこの試合のキーポイントの一つになる。 ******** ******** 関西大学にとって6月の関関戦は、完封負けを喫している試合なのだがオフェンス的にいろいろ試みている中での敗戦なので、黒星自体には意味を持っていないだろう、さらに、昨年リーグ戦の試合は昨年の試合として全く別物で意識もしていないと思う。 唯一、過去の試合で意識するものがあるとすれば、2008年の神戸ユニバーで行われた秋リーグ戦でのVS関西学院大学戦でになろうか。もちろん、当時の選手と現在現役選手ではオーバーラップするところはほんのわずかで、選手の皆さんには2008年神戸ユニバの試合、といわれても関係のない話になってしまうだろう。 ただし、関西大学スタッフ関係者にとっては2008年神戸ユニバは意識に残る試合になるのではないだろうか。ま、自分以外の人が何を考えているか想像しても仕方のないところなので。 今年のスケジュールが発表されて、神戸ユニバで関西大学VS関西学院大学が行われると知った時に、私の頭の中で最初に浮かんできたのが、2008年の神戸ユニバでの同カード。 その試合は、前半を関西大学19VS関西学院大学14、関西大学がリードを奪ってハーフタイムを迎えた。しかし、後半は関西学院大学オフェンスが左右にランパスで大きく振り回し、関西大学ディフェンスの足が止まってしまってパフォーマンスが急低下、そして逆転負けを喫することになる。思えば試合前半から少し飛ばしすぎという試合だった。 2008年関西大学チームは、特にディフェンスについては2009年当初メンバーよりも充実したメンバーが揃っていたので、立命館大学戦・関西学院大学戦ともに、ある程度以上の希望を持って試合観戦していたのだが、関西学院大学戦の失速は個人的には予想外だった。 当時と現在現役選手で最も大きく異なるところは、フィジカル・体格が格段に良くなったところと、スタミナ面でも充実しているところになる。それは前節立命館大学戦での激闘、立命館大学フィジカルと対等以上に渡り合えたことでも証明されている。 また試合運びの面でも大きな変化が感じ取られる(詳細は、少なくともこの試合終了後)。前回のように「飛ばしすぎの前半」ということは攻守ともに二度と起こり得ないことだろう。 このような観点で私個人が勝手に考えていることだが、チーム関係者スタッフの方々には、2008年神戸ユニバーの雪辱戦という意味合いも少なからずあるのではないかと思っている。 ******** ******** というわけで、前振りが長くなってしまったのだが、この試合の展望・展開を考えてみると・・・ ************************ キーポイントは、フィジカルと想像力。そしてチーム固有では、関西学院大学は、あとがないことが良い方向に向かうか、それとも緊張度が増すか、関西大学も、あとがないという点では同じだが、今シーズンも一戦ずつ丁寧に試合に向かい合っているので、試合最終盤で追い詰められていない限りは平常心だろう。さらに負傷ケガ以外は立命館大学戦の影響もないはず。 **関西学院大学攻撃VS関西大学守備**** 体格フィジカルな部分では攻守ともに関西大学のほうに分がありそう。スピードはイーブンかもしれないが、春関関戦での実績もあるように衝突時のダメージ・担架出動回数は関西学院大学のほうが多くなるか。 近年の関西学院大学オフェンスは、このフィジカル差を身のこなしとトリックプレーで解決しようとする傾向にあって、特に立命館大学戦・京都大学戦ではスペシャルプレーが増えてくる。この試合でも、やはりフィジカルでは差があるので、やはり、今までに披露したことのないプレー内容・選手起用方法は、必ず、どこかで試みてくることだろう。 これでフィジカル差が解消できるかどうかは、やってみないとわからないところだが、例えば、スクリメージ後方でのフリフリであれば関西大学DLスピードが破壊するかもしれない。さらに関西大学DB陣には、ミドルゲインは奪われたとしても対応できるスピードとスタミナがある。例えば今シーズンのDBはビッグゲインでの一発TDを許していないという実績は大きい。 キック関連でのトリックプレーも挙げておこう。例えばオンサイドキック。フリーキックのボールを如何にして自分の攻撃権に結びつけるか。前節関西大学も立命館大学戦で披露しているが、関西学院大学も得意とする分野である。 さらに第4DパントやFGフォーメーションでのフェイクプレー、そして、おそらくプレーされることはないと思うが第3Dクイックパント。さらにはディフェンス視点で言えばパントキックブロックなどなど・・・・ このキック時のトリックには関西大学側も細心の注意を払わないとフィールドポジションが大きく変化するかもしれない。特にFGフェイクのトリックプレーはTDにつながる可能性が高くなる。そして、昨年今春ともレッドゾーンオフェンスをFG3点に抑え込まれている関西学院大学攻撃としては、最も取り組むだろうトリックフェイクプレーはFGトライでのものになるのではないか。3点と7点では関西大学のゲームストーリーにも少なからず影響するはずだ。 これらセットプレーからのトリックプレーの数々。毎年、いろいろと試みているが関西学院大学の想像力(創造力のほうが相応しい・・)には、驚かされる。 ******** 戦力の均衡した試合ではQBランが勝負に大きく影響する。前節関大VS立命の試合序盤で両チームともQBキープが最もゲインしたプレーになっているように、この試合でも鍵を握ることになりそう。春の関関戦、関西大学ディフェンスは、関西学院大学QB#6加藤のキープランにあまり対抗できなかったが、この試合でもQBあるいはワイルドキャット・ダイレクトスナップのRBのキープは要注意プレーになるだろ。 ボールキャリアは、立命館大学戦で併用なったQB#18畑、さらに#11糟谷の復帰待ちと、メインQB#6加藤、いずれのQBも走りまくることになりそう。そしてワイルドキャット・ダイレクトスナップ要因としては、RB#39稲村、#31尾嶋、#7松岡、#13野々垣など。RB複数がクロスする紛らわしいハンドオフもあるが、ボールキャリアは最も垂直にスクリメージラインに突っ込むRBになるはず。 ******** そしてQBキープは試合後半のパスプレーを出す布石になる。QBが走ろうとするとDB陣も前に上がらざるをえない。そうなると奥に走りこむレシーバーとはすれ違いになってフリーターゲットが生まれ、そこへパスヒット。するかしないかは、QBWRのパス精度の部分になる。 関西学院大学としては是が非でもこのディフェンス隙間へパスを通したいところ。ただしホットラインがWR#86春日のみというのであればQBスクランブルのフェイクを入れたとしてもDBのWR#86春日マークは厳しくなるのは間違いない。できることならば、新たな信頼できるレシーバーが欲しいところだが、TE#95垣内、#85榎、WR#81渡辺、#82寺元、#87小山、#11松原、#89正林・・・。パスキャッチにはハンドリングの正確さと執念が必要だ。 QB側で言えばスクランブルかパスか、第2ターゲットかディフェンス隊形を見ながらQB#6加藤の判断が要求されることになる。ただし、関西大学DL#98石田、#68清家、#95水村いずれもスピードがあるので、時間的な余裕はほとんどないとみてよいだろう。 もしも関西学院大学のパス精度が落ちるであればQBスクランブルが唯一ゲインするプレーになりそうだが、スクランブルもディフェンスに対応されると攻撃手段はなくなってしまう。 最後はノーマルなランプレーだが、RB#39稲村、#31尾嶋、#13野々垣いずれもスピードとカットである程度のゲインは見込めるが、DLLBタックルをかいくぐっても、やはり最終列DB陣とのスピード競争はイーブンになりそうなので、MAX10ヤード程度??。 ******** 関西大学ディフェンスここ数試合の先発メンバーはDL#95水村、#98石田、#68清家、#52小林。LB陣では#45岡田、#49白滝、#31西口。そして前節試合途中で#2豊田が復帰したがフル出場ならなかった。もっともLB連携の成熟度を考えてのことならば、この最終戦はフル参戦もあり得る。DB陣は、#10森本、#8飾磨、#11中谷、#44砂川、#13中村など。DB陣は前回立命館大学戦で今シーズン初めて大きく攻め込まれ、バラバラにされた感じもあるので、この試合はある意味では挽回のチャンスになる。 このDB陣は、上記したように今秋シーズン、ビッグゲインでの一発TDを許していない。前節立命館大学戦WR#11呉田のロングパス&ランをゴールライン直前でタックルし、ディフェンス機会を作り出している。結果的にはエンドゾーン手前数ヤードだったのでTDを奪われてはいるだだが、役割は果たしている。春の神戸ボウル電工WR長谷川、RB石野にも同様、ビッグゲインされてもそのままエンドゾーンには飛び込ませないスピード執念は驚異的。 以上をまとめると、関西学院大学攻撃手段は、QBスクランブルとワイルドキャットの細々としたフェイクプレー、さらにQBランとパスのコンビネーション、オンリーターゲットは気になるものの、ライン戦でイーブンになれば、ある程度はゲインする可能性はあるかもしれない。それでも関西大学第3列DB陣が一発TDを許さない。となると、最終的にはレッドゾーンオフェンスに追い込まれることになる。 焦点はレッドゾーンオフェンスでゲインするプレーはあるか。ラン?パス?FGキックフェイク?というポイントに収まるだろう。そして、FGキックフェイク。3点か0点か7点か。試合を結果を大きく左右することになるだろう。 **関西学院大学攻撃VS関西大学守備**** ライン戦で関大OL優位になるのであれば、普通にRB#1藤森、#5播川、#28藤井、#39前田のランプレーが炸裂する。関西大学OLには重要なところで反則でプレー帳消しにすることがあたったが、この試合では細心の注意を払いたいところ。OLメンバーは#57角田、#72西田、#50五ノ井、#59抱、#75保呂。 関西大学オフェンスとしては、まず最初にRB#42菊池、#92宗實をリードブロッカーに配置したパワープレーで中央から左右OT付近まで感触を試みる。ここでTBが自由に走れるのであれば(10ヤード近いゲインが続くのであれば)パワードライブは止まらない。その時点で勝負あった、お手上げ状態であろう。時間は消費され、フィールドポジションはどんどん悪くなるだけ。2009年を除く関学VS立命において、関西学院大学が第4Qの立命館大学パワードライブを止められないのと同様のシーンが再現されることになる。 関西学院大学は第5節立命館大学戦第4Qに9分95ヤードドライブを許しているが、それは残り時間が迫ってきた切迫感・緊張感が加わったもので、平常時はそれほどではなかった(もっとも立命館大学も平常時は積極的な力勝負を挑んでいないが)。今回、試合早々から切迫感はないだろうが、1敗している事実が案外早くからプレッシャーになるかならないか。 パスは前節勝利の立役者であるQBWRマジックが活躍する。QB#7池井のパスがWR#17高原、#25高崎、TE#89青木へ炸裂した前節。ディフェンスプレッシャーを受けて追いかけられてプレーが崩れながらもターゲットに届いたQBWRの連携は見事。セットプレーの想像力が関西学院大学ならば、動きながらのプレー・プレーが崩れたときのQBWR想像力は関西大学優勢と思わせた前節だった。 関西大学パスターゲットは他にWR#19堤、#16岡など。特に前節のリベンジもあってマークが厳しくなるWR#17高原を囮にビッグプレーメーカーになるかもしれない。 立命館大学戦観戦記でも触れたようにQBに時間を与えたらWR有利DB不利になる。関西大学WRTEと関西学院大学DBの集中力・想像力、そして、ボールへの/得点への/勝利への執念が、WRDB対決を決める。 関西学院大学DLプレッシャーが届けば、QB池井といえども慌てることはありうる。ブリッツ要員は例えばOLB#8善元。さらにQB#7池井のランパス両面に対してLB#52平澤の完全マークが徹底できるか、もしもRBケアも必要であるばらばプレッシャー半減以下、ランもパスもという状態になりかねない。 関西学院大学ディフェンス布陣、ここ数試合のスタートメンバーは、DL#98長島、#90梶原、#96池永、#52平澤、LB#91村上、#59前川、#8善元、DB#37渡辺、#14吉井、#12重田、#48池田。学年だけをみれば関西学院大学DBに若手が多く関西大学WRの経験が上回りそうだが、最終的には、心の部分が身体を動かす。 ************************ 以上総括すると、繰り返しになるが、フィジカル対決が第一ポイント。攻守ライン戦そのもので差があるようであれば如何ともしがたいことになりそう。 均衡する展開になるならば、関西大学・関西学院大学ともにQBのキーププレーとパス/スクランブルの判断(投げるタイミングを逸しても投げられるか受けられるか)。そしてQBWR想像力とWRDBボールへの執念。パスヒットすればDBはレシーバーを追走することになるパターンが多くなると思うが、DBLBの執念がフィールドポジションを左右する。敵陣2ヤードか敵陣20ヤードか、それともTDになるか。そして関西学院大学オフェンスがレッドゾーンで何を仕掛けてFG3点をTD7点に変換するか。 各チームとも、攻撃回数6〜7回。関西学院大学オフェンスは、見かけ上はラン・パスで刻みながらもドライブFD更新するもののレッドゾーンを攻めきれず。MAX4回のFGで12点、うち1回がTDになれば16点、2回TDになれば20点。対する関西大学が勝利するためには6〜7シリーズで3TD必要・・。 引分でもいい関大と2ポイントPATが必要な関西学院大学という競った展開になるか、それとも、関西大学オフェンスがフィジカルで圧倒しまくるシーンばかりになるか。どちらの展開になるかは、実際に試合をしてみないとわからないところ、としておきます・・・ 2010年関西学生リーグ戦の最終戦、神戸ユニバ記念競技場@14時。NHKでテレビ中継もありますが、神戸の山奥は紅葉がきれいです。天気予報では、晴れ時々曇りで最高気温14度(11月26日19:00時点)陽のあたるバックスタンドでお待ちしています。 (了) |