関西学生アメリカンフットボール Div1 第6節



11月13日(土) キンチョウスタジアム(長居球技場) 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
甲南大学
近畿大学











11月13日(土) キンチョウスタジアム(長居球技場) 13:40
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
神戸大学
京都大学


 前節観戦記にも書いたが、京都大学神戸大学ともに、ここまで2勝3敗の成績を残していて、「リーグ戦勝ち越し&リーグ単独4位」の可能性がある唯二のチームである。

 神戸大学前節は、リターンと相手ファンブルで得たチャンスをモノにした「スミ一」の得点を、ディフェンス堅守とオフェンス時間消化で逃げ切るというチーム一体となって甲南大学から勝利を獲得、勢いに乗ってきている。

 一方の京都大学前節は、近畿大学DLにコントロールされてランプレーではほとんどゲインできていない。(公式ページによる公式数値では、ラン31回108ヤード)しかし、パスに活路を見出して、WR#18坂田、#83木原、#10杉本へのロングパス(パス16回試投9回成功153ヤード)で3TD1FGを獲得、今シーズン2勝目とした。

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 さて、4位争いとして注目の試合だが。

 神戸大学DL#90福島、#92白石、#59庭山のフロント、LB#3花田、#42前川、#8長渕が、京都大学RB#95曽田、#82北畠によるパワーランの中央突破を食い止めることができるか、ここが一つの境界線。前節近畿大学DLが対応できたのでそんなに難しいことでもない??
 そのときに、残りはパスだが、DB#17種田、#13小川、#34吉江とDB陣も動きはよくなってきているので、京都大学WR陣のとの対決は注目したい。
 個人対決ではWR#18坂田のスピードに神戸大学DBのスピードがイーブンになるか、#13小川が対面ならば、縦のスピード競争は興味がわく。インパターンならば種田吉江のDB(S)との対決になるが、こちらもパスに対する反応はいいので、かなり際どい対決になるだろう。

 京都大学オフェンス側に視点に立てば、ラン突破で手詰まるようだと残りは、神戸大学DLが容易にパスを投げさせてくれるかどうか。QBパスコントロールとWRDB競争、いずれもパスの成否が結果を分けることになりそうだ。

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 一方の神戸大学オフェンスは、前節は敵陣で得たチャンスをモノにしたものでオフェンス自体ではドライブできていないところが少々気になるところ・・・。

 前節京都大学ディフェンスを参考にするならば、QBキープでは近畿大学からゲインを奪えている。これを単純に適用してよいのかという疑問はあるものの、神戸大学QB#7林、#14原田ともにオプションキープのフェイクは絶妙で、攻撃の突破口になりえるかも。
 そのときに京都大学ILB#84福田の守備範囲が広いがその広さを逆手にとって試合序盤戦で大きく振り回す展開は考えられそう。他にRB#22木内、#29種、#28三宅など選手層はあつい。

 神戸大学はランオフェンスで前進できるようならば、WR#81岡本、#80稲葉、#89麻生など玉際に強いレシーバーへのミドルショートのパスもつながってテンポアップした攻撃につながるか。
 
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 京都大学パス攻撃VS神戸大学パスディフェンスと、神戸大学ランオフェンスVS京都大学ランディフェンスというのが前節の試合結果を踏まえた対決ポイントとなる。 「リーグ戦勝ち越し&リーグ単独4位」という目標は、かなり重要な大きいものなので、この試合は激戦必至です。










11月14日(日) 西京極陸上競技場 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
同志社大学
関西学院大学











11月14日(日) 西京極陸上競技場 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西大学
立命館大学


 第6節第4試合、このカードは、2010年シーズン関西学生の優勝の行方を大きく左右する大一番となった。ここまで関西大学、立命館大学ともに5戦全勝であり、この試合の勝者は完全優勝に大きく近づくことになる。(この試合の勝者はとりあえずは関西学生優勝チームとなるが、次節の試合結果で敗戦すると同率優勝の可能性が発生する。反対にこの試合含めて2連勝すれば単独完全優勝チームとなりえて、現時点でその可能性を残すのは、この関西大学と立命館大学の2校のみである)

 昨年は第4節で対戦して、関大14、立命7。第4節での全勝対決を関西大学が制して、リーグ優勝へ大きく前進することとなった。

 関西大学が試合開始早々のオンサイドキックやパントフォーメーション・FGフェイクの第4Dギャンブル、2個目のTD獲得後もオンサイドキック敢行と、ギャンブルプレーが盛りだくで試合の主導権を握る。
 一方の立命館大学オフェンスは3回のパスインターセプトを喫して劣勢状態だったが、第4Q終盤にTDを目指したドライブは敵陣20ヤード付近まで侵攻するもののそこまでだった。

 もっとも昨年は第4節の対戦だったからこそ開始直後のオンサイドキックやその他のフェイクギャンブルを行ったこと自体で、立命館大学にプレッシャーになった面を否定できない。第4節で突然のピークを強いられた立命館大学を浮き足立たせるのには十分に役に立ったギャンブルプレーだった。

 だが今回は第6節。ともに、相手の力を認めた上での優勝を目の前にした極限状態での全勝対決なので、昨年のようなフェイクプレーひとつで試合戦況がガラリと変わることはないだろう、それよりも、ギャンブル失敗から相手に得点チャンスを与える危険をおかしてまで、するべきことではない、と個人的には思っている。

 確かに、昨年もオンサイドキック以外はすべて敵陣でのギャンブル選択であってフィールドポジションを考えてのこと、とうのは判るが、今回の試合はフィールドポジションの少し優劣も試合結果を大きく左右することになりそう。例えば、立命館大学K#17松山のキック力は前節関西学院大学戦で2本のFGを決めた実績がある。

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 とりあえず、前節の試合を振り返ってみると。

 立命館大学前節は、関西学院大学の3個のミスのすべてに乗じて得点を獲得するものの、その他の攻撃シリーズでは関西学院大学ディフェンス陣の出足にさえぎられた形になっている。上記したK#17松山の2本の飛距離40ヤードFGキックは、オフェンスを陰で支えたキック。そして第4QになってからはQB#15谷口と(#9松田併用)で9分近くを使用した95ヤードドライブは、立命館大学得意中の得意とする領域へ関西学院大学を引きずり込んで勝利を獲得した。
 ただし、この9分ドライブは、前節観戦記にも書いたように、第4Qという時間制限が迫ってきたことによる緊張が関西学院大学ディフェンス側の足を引っ張った部分もあるので、単純に立命館大学オフェンスを見る上では、とりあえずは除外すべきプレー時間帯であろう。第3Qまでの均衡したところが、前節時点での立命館大学オフェンスの姿、見るべきと考えている。

 立命館大学ディフェンスだが、関西学院大学3個のミスのうち2個はディフェンス陣のボールへのタックルによるファンブルと、ボールから目を離さなかった集中力による。
 その他にもDL#3南、#6十亀、LB#8佐藤、#5菊地がRBに対応し、さらにはQBに襲い掛かるシーンも見られた。この前がかりのDLLBの姿勢は、立命館大学ディフェンスのチームカラーである。おそらく、これまでの試合ではセーブしていたのだろう、やっと本来のアグレッシブな動きを披露してくれた。
 DB陣も#21海島、#35柘植、#20矢部、#13荻須それそれビッグプレーを演出、プレースピード判断のクイックネスを披露している。

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 一方の関西大学オフェンスは、RB#1藤森、#5播川がOLやFBとのコンビネーションプレーが、もっとも完成度が高かったのが前節の試合になる。RB#42菊池、#20有谷、#92宗實、さらにRB#28藤井と#39前田も参加した後半、選手層の厚さを伺わせる。
 第1プレーではQB#5播川→#1藤森→#7池井→#17高原のスペシャルプレーでTDを奪うなど新たなオフェンス連携を見せる一方で、従来のパスターゲットとの間では若干の不安を残す結果になったが、それも今回は補われていることだろう。

 ディフェンスはDL#98石田、#95水村などがスクリメージ付近でプレー破壊しまくりながら、さらにDLメンバーを変えた上での3−4を試みる実験的なことを試みている。つまりDLが立命館大学OLにコントロールされたときのLB陣の対処反応のシミュレーションを実地で行ったに等しい。
 そのLB陣は、#49岡田、#45白滝、#31西口というスタートメンバーだったが、#41島津や#8飾磨がOLBに参加するなど最後の試行錯誤を繰り返している。メンバー的には、まだ谷、金部、豊田も控えているはずで、第6節は、大掛かりなローテーション起用でオフェンスを撹乱することになるかも。
 DBは、#10森本、#8飾磨の4年生に#13中村、#44砂川の2年生が加わる。そして、ここ数試合では#11中谷がスターターとしていい動きを見せている。

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 立命館大学は前節全勝対決となった関西学院大学戦で、攻守ともに質・量ともに持っている力のかなりの部分を発揮している。一方の関西大学は攻守ともに少しずつ今年の形を見せつつもまだまだ隠れている部分があるような試合運びだった前節。

 前節試合内容の分析によって立命館大学攻守は丸裸にされていて、関西大学としては分析解析準備は万全のはず。対する立命館大学は関西大学攻守の変化に現地対応しなければならない部分を多く残す。あるいは、もしかしたら、立命館大学に隠されている部分もあるかもしれない・・という全勝対決である。

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 さてこの試合だが、昨年の14−7に匹敵するようなロースコアの試合になることは間違いないだろう。3TDを獲得したほうが勝利に限りなく近づく、そんな試合になる。

 立命館大学ノーマルなランオフェンスRB#27高野橋、#39川端、#33東松もノーマルなプレーではOLブロックが見事にはまったときにある程度ゲインはできるものの、ラインブロックがタイミングよくきれいな形ではまり続けることは確率的にも少ない。
 それは関西大学オフェンスRB#1藤森、#5播川のランプレーにもいえることで、ラインとTBのコンビネーションだけで崩せる相手ではない。
 FBが加わってリードブロッカー役が1人2人とリードブロッカー役が加わったところで、中央を抜けるかどうか微妙な情勢。とりあえずは関西大学RB#42菊池、#20有谷、#92宗實、立命館大学FB#2高田や春電工戦で実績のあるFB#99荒木などが入った時に、相手DLLBのどこまで巻き込めるかだか、このプレーだけでは限界はあるだろう。

 パスターゲットでは、関西大学#17高原、#16岡、#19堤、TE#89青木、立命館大学#25宜本、#84頓花がメインターゲットになるが、パスコースーは、ともにDB陣とのポジション取り競争になる。リーグ戦前半の試合では、両チームDB陣ともパスを投げてくるのを待ちわびているような、投げてくれば必ずインターセプトするような姿勢を見せている。
 ちなみに前節までの両チームパスインターセプト回数だが、立命館大学は6回(#35柘植3回、#20矢部2回、#13荻須、#7水澤1回)、関西大学は10回(#11中谷3回、#13中村、#8飾磨各2回、#44砂川、#31西口、#14玉城各1回)  この数値でも判るように、立命館大学DB#35柘植と絡むところには投げられないし、コーナーならいけるかと思っていたのだが、ここ数試合の両CBの反応は良い。関西大学DB陣も2〜3回のパスインターセプトで対戦相手から見ると投げるところはない。
 このように両チームDB陣のパスディフェンスは秀逸で、ノーマルなパス攻撃では投げるところがない。特に時間をかけたロングパスではWRDBのスピード競争もイーブンで着地地点ではどちらが優位かわからない。短いパスならばWR優位でヒットするだろうが、これではランプレーと同様で、オフェンスドライブを続けにくいし、そもそもパス失敗もありうる。
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 結局のところ、忍耐・辛抱・粘り強く守ったほうの勝利、ということになるのはだが、それでは、あれなので。

 やはり、相手ディフェンスのリアクションの反対側を突くというスタイルは効果的だろう、例えばQB含め全選手が右へなれる中で、一人だけ左サイドオープンを駆け上がる、そこへ投げ込むスローバックパスは十分に効果のあるプレーになりそう。
 反対サイドへ遅れて出てきたレシーバー役は、重要な得点源・キープレーヤーになりうる。この一気一発のプレーが何回ヒットするか。
 もう一つは、関西大学QB#7池井ならば、難なく左右どちらの方向にもスローバックも考えられるが、横手投げに近い状態からのスローバックは片側は不可能に近い。左利きのQBが右へ流れて左方向へパスは投げられるが、左へ流れて右サイドライン際へはパスは飛ばないだろう。ただしセンター付近の例えば右SEのインミドルはむしろ要注意なパスコースになる。

 そして、もうひとつは、ロングパス。WRDB競争になるのは百も承知の上での「1対1の勝負」なシーンもあり得る。関西大学WR#17高原のジャンプ力を昨年関学戦、今年の京都大学戦で実証ずみ。立命館大学レシーバーは器用な#25宜本、体格の大きい#84頓花は印象にあるが、ディープでDBとの競走に打ち勝とうとする精神力の強いレシーバーは、誰か存在するか。
 長いパスならばパントキックの代わりとして、十分にあり得る。QBのパス遠投力として関西大学QB#7池井、#18井上、立命館大学QB#9松田、#15谷口、それぞれのパスコントロールが試される。

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 ディフェンス面では、DLLBの前掛かりのスピードパワーには注目したい。立命館大学DL#3南、#6十亀、#54武知、関西大学DL#98石田、#95水村、#68清家などなど。ともに相手QBRBをタックルすべくOLブロックをすり抜けて突進してくるだろう。オフェンスドライブがつながりかけたところでリズムを分断するか、そもそも、最初からオフェンスに何もさせないか。

 あまりにも前掛かり過ぎると、ショベルパス・スクリーンパスで抜かれる可能性はるが、最近は、単純なスクリーンショベルにはDLが反応したりLBが残っているのでビッグゲインにもなりにくい。リードブロッカーが付いていれば別だが・・・インターセプト・ファンブルロストの可能性を考えたら自陣では、コールしにくい・・・。

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 結局、オフェンス視点に立てば、効果的なプレーというのはスローバック含むカウンタープレーくらいだが、連続使用してしまうと効果はない。つまり、攻撃の手がない、ノーマルなランパスで時間を潰しながら、タイミングを見計らって、キラープレーということにならざるをえないだろう。

 エンドゾーンへ飛び込むであろうプレーヤーを挙げておくと、立命館大学QB#15谷口のキープラン(前回関学戦で見せたような・・)とWR#25宜本のパスキャッチ後のディフェンスをかわすテクニック(関大DB陣も追うことを諦めない執念深さはある・・)そして個々数試合起用されていない巨漢TE#85居林と#95荒木。
 関西大学側では、RB#1藤森、#39前田のスピードに注目だが、それらのランプレーのを進めるためのリードブロック役RB陣にも注目したい。かなり練りあげたラン(?)プレーになるはずだ。そして#17高原、#25高崎のボールを奪い取るようなパスキャッチに注目。

 ディフェンス視点に立てば、DLLBがプレー破壊すべきなのは必須だが、漏れてきたボールキャリアに対してDB陣がどの位置で対応できるか。ロースコアの試合なので1個の判断遅れ・タックルミスが命取りになる。DBがボールキャリアを見失わないことは必須条件になる。

 フィールドコントロールの点では、立命館大学PのパントコントロールとK#17松山のロングFGは実績がある。一方の関西大学はK#3吉野によるFG、パンターによる京都大学戦フィールドコントロールの実績。 

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 つらつらと、長々と、思いつく限りののことを書いてきたが、結論は単純で、「やってみないとわからない」試合です。

 このカードは、立命館大学のパワーと関西大学の重量パワーが全面対決する試合になる。残念ながら関西学院大学にはこの両校ほどの「パワー」のイメージはないので、学生対決において最もハイレベルなパワーのぶつかり合いの試合と言えよう。身体のサイズがありながらの突進は、単純なスピード突進とは異なる肉弾戦である。
 関学VS立命が「日本最高峰の試合」であるならば、この関大VS立命にも、何か名前を付けたい、そんなビッグカード、昨年は第4節での対決だったので、ある意味ではもったいないカードだったが、今年は第6節での対戦であり、隠すところのない、準備万端な状態で迎えることが出来る。

 立命館大学勝利ならば2年連続で最終戦を消化試合とする展開に王手がかかる。関西大学勝利ならば2年連続完全優勝への第一歩を踏み出すことになる。2010年シーズン、いよいよ大詰めです。









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