関西学生アメリカンフットボール Div1 第6節



11月13日(土) キンチョウスタジアム 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
甲南大学14212-4-0
近畿大学14140-6-0
(現地観戦)
 
甲南大学
近畿大学
FL 1Q
1Q
2Q
FL
TD
TD
FL
2Q REND
3Q
TD
TD
3Q
TD 4Q
END 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 前半と後半で全く違う試合になってしまった。

 試合前半は甲南大学3回のファンブルロストとパスインターセプト1回。近畿大学ディフェンスの出足が早くQBサックでボールがこぼれてのファンブルと攻撃リズムがつかめない状態。
 一方の近畿大学オフェンスはこのターンオーバーで得た敵陣30ヤードのポジションをQB#16龍野のカウンターで甲南大学ディフェンスを完全に振り切ってTD、7点先取となる。

 さらに第2Q残り1分を切ったところで甲南大学パスをインターセプトしてフィールド中央から始まった攻撃を、パスランでFD更新、QB#7中田の中央ミドル17ヤードパスヒットと、QB#16龍野のドロー突破25ヤードでTDと、所要時間38秒という速攻で2TD差リードを広げた。

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 戦前の個人的な予想・想像とは全く異なる試合展開になってしまい、どうなることやらと思っていたのだが、後半開始し早々から甲南大学ディフェンスチーム&オフェンスチームが前半とは全く異なるチームになる。

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 後半先攻近畿大学攻撃は3プレーで10ヤードのロス。ロスした原因は甲南大学ディフェンスプレッシャーによる。横パス、QBパスドロップバックに鋭い突っ込みでスクリメージラインを突破できない。サック記録やRBへのタックルはLB#23豊福、DL#99堀、#47尾崎だが、DLLBDBいずれも、思い切った前掛かりの攻撃的ディフェンスに変貌した。

 こうして近畿大学後半3回のオフェンスシリーズは、すべて10ヤード程度のマイナスゲインでパントを蹴ることになる。

 そして甲南大学オフェンスもこの3回の好フィールドポジシオンを、全て得点に結び付けて3TDで逆転する。

 甲南大学後半最初の攻撃は敵陣38ヤードから。QBからWR#10戸田へのクイックパス、RB#26高谷へのショベルパス、TE#85前田への縦パス、いずれも10ヤード超のゲインであっという間に敵陣1ヤードに達するとラン3回でTDを獲得した。

 2回目はキックリターン22ヤードがあって敵陣15ヤードからスタートすると、プレー数3の速攻26秒でTDを獲得して同点に追いつくと同時に、試合の流れは甲南大学ペースへと大きく傾いていた。

 3回目のTDドライブは、SE#3永吉へ20ヤードパスはDBと交錯しながらの執念のパスキャッチによる。途中に第4Dギャンブルを挟むもののRB#26高谷中央突破でFD更新すると、最後もRB#26高谷の中央突破ランがビッグゲイン18ヤードで3個目のTD獲得。

 圧巻は甲南大学最終シリーズ。自陣7ヤード、残り6分38秒から始まったそのドライブは、徹底した時間消費を目的としてランプレーが続く。
 ディフェンスが集まり始めたところでSE#7仲野へのパスヒット1回があるが、ベースはラン。そして自陣30ヤードでFD更新後は、QB#3永吉のキープが続く。ファンブルロストを最低限に抑えた徹底ぶりが見事だった。
 こうして6分38秒を使い切ってタイムアップ、甲南大学の逆転勝利となった。

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 ハーフタイムに甲南大学ベンチで、何が起こったのか、というところだが、後半の攻守は前半チームとは全く別物、気合の入れ方一つでチームがここまで大きく変わるものかと、改めて、アメリカンフットボールのモメンタムという「魔物」に驚いた次第です。

 次節の最終戦は京都大学戦。今年のメンバーで行う、おそらく最後の試合になる(数字上は、京都大学戦敗戦すると入れ替え戦出場の可能性が残る)と思うが、この近畿大学戦後半の勢いがあれば、面白い試合になりそうだ。
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 近畿大学後半の最後の攻撃シリーズは、それまでの3シリーズほどディフェンスプレッシャは厳しくはなく、QB#16龍野キープランとWR#88小野澤パスヒットなどで攻撃リズムを取り戻しはじめていた。QBキープとWRミドルパスヒットなどで敵陣38ヤードまで侵入する。

 さらにランプレー2回合計7ヤードゲインし第3DではQB#16龍野キープでFD更新。かと思われたのだが、ここで反則があって15ヤード罰退することになる。第3D11ヤードでパスを試みたが失敗。
 第4D。敵陣ではあったが残り時間7分近くあったので、パントキックで相手陣深いところに釘付け、という選択肢は十分に考えられる範囲のものではあったのだが・・・。次の攻撃チャンスは訪れなかった。




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11月13日(土) キンチョウスタジアム 13:40
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
京都大学10173-3-0
神戸大学12152-4-0
(現地観戦)
 
京都大学
神戸大学
1Q
TD
1Q P×
FG 2Q
FG
TD
2Q END
FL 3Q
3Q
4Q TD
TD
G×
END 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 この試合も、前半と後半でことなる試合展開になっている。ファイナルスコアは京都大学17、神戸大学15だが、逆転していてもおかしくない試合終盤戦は白熱した攻防が繰り広げられている。

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 先攻したのは京都大学。いきなりRB#95曽田の中央パワープレーで30ヤードのビッグゲイン。敵陣26ヤードでFD更新すると、LBやスクリーンパス対応した神戸大学健闘するもののWR#18坂田への10ヤードパスヒットとRB#95曽田のランでTD先制する。

 さらに神戸大学をパントをブロックして京都大学敵陣40ヤードスタートと、再びの得点チャンスを迎える。WR#18坂田への18ヤードでFD更新し、ラン突破でFD更新と、ランパスで京都大学攻撃に勢いがあった。

 ただ神戸大学ディフェンスもロングパスをDB(S)2人でカットしたり、ピッチプレーでファンブルを誘うなどで、意識が切れることはなかった。結局、このシリーズは京都大学はFG3点追加に止まる。

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 次のキックオフで京都大学はショートキック。これを神戸大学が抑えて神戸大学攻撃も敵陣スタートの得点チャンスが訪れる。

 それまで2回の攻撃シリーズでランドライブを完封されていたこともあって、ここではパスが続く。QB#7林から横パスWR#80稲葉へ成功しWR#81岡本の好ブロックで11ヤードゲイン、さらに11ヤードパスヒットで敵陣16ヤードまで侵攻、FG3点へと繋げた。

 神戸大学はその後もRB#22木内へのハンドオフなど適度に挟むものの、ゲインするプレーはパス。第2Q終盤自陣からもWR#89麻生、#81岡本へとミドルショートを繋げると、#7→#22→#7→#81への28ヤード縦パス成功とスペシャルプレーでテンポアップ。パスインターフェア(1回目)でさらに前進、いいリズムでドライブを進めていたのだが、ここまで。
 ロングパスを京都大学にインターセプトされてしまったのが惜しい。

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 第2Q終盤京都大学オフェンスは自陣8ヤードスタート、46ヤードのスクリーンパスが成功して敵陣侵攻すると、その後DB#34吉江のファインパスカット、WR#18坂田へのパスカバーと随所に光るプレーを見せるもののパワープレーでは京都大学に分があった。

 敵陣8ヤードまで進む、残り32秒。

 左コーナー、DB#13小川とWR#18坂田の対決攻防。1回目はアウトコスのパスをDBカット。しかし、2回目は同じコースと見せてイン再度へステップを切ってフリーたゲット、TDパス成功して、17−3。京都大学が大きくリードしてハーフタイムを迎えた。

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 後半、京都大学オフェンスがFD更新すら出来ない状態が続く。パワープレーからパスとスピードラン系にシフトしたこともあって、神戸大学ディフェンスプレッシャーが効いてくる。
 OLB#8長渕とDL#91駒井でOTプレー対応、DLプレッシャーでロングパス失速、DL#90福島がスクリーンパス対応し、RB#21高木にはDL#94都間がロスゲインタックルを見舞うなど、神戸大学ディフェンスのファインプレーが随所で発揮されるようになる。
 こうして京都大学オフェンスはリズムを乱していってFD更新すら出来ない状態へ。

 一方の神戸大学も第3Qはパス失敗でFD更新できずで両チームとも膠着状態が続くのだが、この中で、少しずつ神戸大学オフェンスリズムが整っていった。

 互いにパントを蹴りあった第3Qだったが、一方はリズムを乱し、他方は、リズムが整っていく、その対比が、第4Qになって得点という形で具体化してくる。

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 第3Q終盤、神戸大学自陣38ヤード。ドライブのきっかけは京都大学パスインターフェア、これで久しぶりに敵陣へ侵攻すると、WR#89麻生へ12ヤード、さらに27ヤードのロングパスを成功させて敵陣3ヤードに達する。サイドチェンジした第4Q、WR#81岡本へのTDパスを決めて追撃開始。ただし、ここでのPATキックは京都大学にブロックされてしまい6点獲得までとなる。(第4Q残り10分26秒)

 次の神戸大学攻撃は自陣44ヤードから。同じくQB#7林のパスが冴えて各レシーバーへミドルパスがつながる。WR#11東野へは16ヤード、RB#22木内ショベルで11ヤードゲイン、さらに京都大学に2回連続パスインターフェアの反則。2回目はエンドゾーン内TDパスへのインターフェアだったために、神戸大学は敵陣2ヤードでFD攻撃権を獲得、QBスニークでエンドゾーンへ飛び込んだ。(残り7分09秒)

 ここのPAT前に神戸大学がタイムアウトを使ってしまう。先のPATキック失敗の段階で、次のPATでは2ポイント狙いになることは確定していたはずなのだが、ゲームクロックにして3分少々、実時間では10分弱の間、オフェンスコーディネーターは何をしていたのだろうか、という部類の話になってしまうのが惜しい。結果はパス失敗で、京都大学リードは2点となった。

 続く京都大学攻撃は再びFD更新なしのパント、神戸大学に追い上げられていたのだが攻撃リズムが戻ることなく、DB#34吉江のショートパス対応と、2回パス失敗で第4Dパントとなる。

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 残り時間6分07秒。神戸大学攻撃は自陣39ヤードから。

 2点差なのでFGでも逆転、6分を使って50ヤード進む、という余裕は生まれなかっただろうか、という類の話は、やはり、結果論になてしまうのか。
 第1試合では甲南大学が3シリーズ連続で同じプレースタイルで逆転しているので、神戸大学が3シリーズ連続パスメインも頷けるところではあるが・・・・
 自陣39ヤード、DL#73岩崎にQBサックを受けて4ヤードロス、その後10ヤードパスヒットと第4Dギャンブルで一度はFD更新する。

 敵陣48ヤード、ここから2回のロングパス失敗。京都大学インターフェア狙いという意図があったか不明だが、特に第1Dあたりをノーマルなランプレーにして、たとえそれが「捨てプレー」になったとしても、次のパスの布石にはなった・・・と、具体的なことを一緒に観戦していた友人が言っていました。

 結果はロングパス2回失敗、5ヤードパス成功、第4Dミドルパスはレシーバと京都大学ディフェンスが競い合った末に叩かれてギャンブル失敗。15−17のままタイムアップとなった。

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 神戸大学としては、2回目のPATでに2ポイントをどこまで練り上げたものだったのか、というところと、最後の6分にどれだけ余裕があったか。多分に結果論であることは重々承知しているのだが、惜しい試合だったと思う。

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 この日のキンチョウスタジアム(長居球技場)の2試合は、いずれも前半と後半で、試合主導権を握るチームが逆転してしまっている。気持ちの入れ方一つでここまで大きく変わるものと、改めて認識した次第。
 次節は最終戦。今年の最後の試合になるチームが約半数だが、悔いの残らない試合になるように願っています。
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11月14日(日) 西京極陸上競技場 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西学院大学1021455-1-0
同志社大学1-5-0
(現地観戦)
 
関西学院大学
同志社大学
1Q
TD
FG 1Q
2Q
TD
FL
TD
FL
TD
2Q END
TD 3Q
FL 3Q
4Q
TD
FG× 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方





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11月14日(日) 西京極陸上競技場 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西大学176-0-0
立命館大学155-1-0
(現地観戦)
 
関西大学
立命館大学
FG 1Q
1Q
2Q FG
G×
FG×
END 2Q
3Q
TD
TD 3Q
4Q
TD
G×
TD
END 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 関大キックで試合が始まり、そのフリーキックをカバーしたのが関西大学というビッグプレーから始まった試合は、ともにFG3点を加えて迎えた第2Q、関西大学が敵陣エンドゾーン目前にして第4Dギャンブル失敗すれば、一方の立命館大学攻撃もエンドゾーン目前にまで達するものFG失敗、ともに得点機を逸して前半3−3の同点で折り返す。

 後半立ち上がり、関西大学攻撃チームに反則罰退が続いてリズムが乱れはじめる。その間に立命館大学がTDを獲得して試合の流れを掴み始めるのだが、PATキックを関西大学がブロックして6点どまり。
 反則罰退の続く関西大学オフェンスは攻撃リズムは乱れたまま迎えた第3Q終盤、自陣第3D残り10ヤードの崖っぷちで起死回生のロングパスヒット、ここから試合の流れがイーブンに戻っていく。 
 こうして再逆転(1点差)に成功した関西大学は、今度はディフェンスのパスインターセプトで得た敵陣での攻撃チャンスを再びパスでTD獲得し、8点差リードとして試合の主導権を握ったのが第4Q序盤。

 しかし、立命館大学オフェンスの勢いも衰えることなく、その後に2回の猛攻ロングドライブを敢行。1回目は関西大学ディフェンスが耐えしのぐものの、2回目はエンドゾーンを割られてしまった。
 ここで立命館大学はPATに2ポイントを選択、決まれば同点というシチュエーションにまで追い上げたのだが、惜しくもパス失敗で2点差は縮まらず。こうしてタイムアップを迎えるに至る。

 得点上は第3QのPATキックブロックが最後の最後で大きく影響することになるのだが、詳細に試合展開を見ていくと二転三転する激しい攻防が繰り広げられたことがわかる。

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 この結果、関西大学は6戦6連勝でとりあえず関西学生2連覇を達成した。次節最終戦の関西学院大学に勝利または引分で単独優勝が決定する。
 もしも関西大学が敗戦すれば、関西学院大学も関西学生リーグ優勝チームとなり、さらに、立命館大学が前日の同志社大学戦に勝利していれば、立命館大学も関西学生リーグ優勝チームとなって3校優勝ということになる。そのときの大学選手権出場チームの決定方法については、関西学生公式ページに記載があるのでそちらを参照してください。

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 コイントスで関西大学が選択権を獲得すると「後半行使」を選択し、立命館大学が「前半のレシーブ」を選択する。この時点で、すでに関西大学側観客席では、昨年同様の「オンサイドキック」を待ち望む空気が広がっていた。

 そしてキッカーK#6吉野による、短い山なりのキック。立命館大学側もある程度予測していたであろうが、立命館大学陣40ヤード地点で両チーム入り混じるボールの奪い合い。これを制したのが関西大学となって、攻撃権は関西大学に与えられた。

 なお、この日の関西大学フリーキック(得点後のキック)は、すべてこのスタイルになっていて、1回目ほどではないが2回目以降もあわよくば関西大学攻撃権確保を、そして最低でも立命館大学にビッグリターンを許さないという目論みとなって、立命館大学攻撃は40ヤード地点から始まることになる。

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 こうして試合立ち上がり、いきなりのビッグプレーで攻撃権を得た関西大学オフェンスは、QBに#5播川を配するスペシャルフォーメーション。しかし、キープランはショートゲインまで。結局このシリーズは攻撃権獲得した勢いでラン5ヤードパスとパスショートヒットで敵陣8ヤードまでドライブするが、立命館大学DLLBの勢いを前にエンドゾーンを割ることが出来ず、FG3点獲得に止まる。

 その後の攻撃でも、基本的にRBによるノーマルランプレーはリードブロックをつけてもゲインできない。かろうじてWR#17高原、#25高崎への早いタイミングでのパスがミドルヒットする。さらにQB#7池井によるキープスクランブルでも前進できる。
 第2Qは、このようにパスとQBキープでディフェンスを何とか惑わして敵陣12ヤードまで侵攻、5ヤードを残した第4DでもFGではなくプレー選択したがLB#52猪野に縦クイックパスをカットされてギャンブル失敗。FG3点追加ではなくTD7点を求めて果敢に攻めた結果だが、無得点に終わった。

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 一方の立命館大学オフェンスは、最初の攻撃シリーズこそDL#52小林、#98石田もロスタックルを受けてFD更新なしだったが、その後はQBキープと、RB#27高野橋のカットランが冴えて中央を大きく割るミドルゲインが続く。

 第1Q終盤、RB#27高野橋の中央35ヤードとQB#15谷口キープ15ヤードで敵陣10ヤードまでドライブ、そこから3回の中央突破はいずれも関西大学に0ヤードに抑えられるがK#17松山のFGキックで同点とする。

 そして第2Q残り5分39秒自陣6ヤードスタートの攻撃シリーズは、関西大学ギャンブル失敗後のドライブで、相手の「ミス」を経て得点につながれば試合の流れが大きく傾くチャンスだった。
 RBに右オープンランが50ヤード超のビッグゲインとなって敵陣28ヤードでFD更新。そして今度はRB#27高野橋右OTからカットインで18ヤードと、ステップ一つでディフェンス陣を惑わした。こうして敵陣5ヤードでFD獲得するが、やはり最後は中央オープンいずれのランプレーも関西大学ディフェンスに遮られてしまった。

 第4D。先の関西大学がギャンブル失敗だったのに対して、立命館大学はFGキックを選択、3点先攻を目論むが、惜しくも左へ逸れてしまった。

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 両チームともに得点チャンスを潰した形になる第2Q。思い通りにならないオフェンス陣に、じれったい雰囲気が流れていく。

 第2Q残り2分01秒関西大学攻撃、自陣から積極的にパスを試みたのは、あわよくばFGレンジへ入って3点でも追加できればという思いがあったかも。後半のパス攻撃のフォーメーション確認も兼ねたいたかどうかは不明。
 ただし関西大学にタイムアウトは残ってなく、フィールド中央で残り10秒。サイドライン際へのロングパスはレシーバーキャッチ成功も、立命館大学DB陣がレシーバーをサイドライン外へ出さないようにタックル、もがいている間に時間がなくなってしまい、敵陣18ヤードでFD獲得と同時にハーフタイムとなる。

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 前半のスコアは3−3の同点。関西大学オフェンスはQBキープとパスに活路を見出し、立命館大学はQBキープとRB#27高野橋の個人技でゲインを重ねる。どちらかというと関西大学側の攻撃手段がRBのランプレーを完封されている分だけ手詰まり感は濃い。まだ、パスを本格的には用いていない立命館大学に分がありそう、というのが私のハーフタイムでの感想。

 関西大学ディフェンスがランとパスで振り回されたときにスタミナが持つか、個々が一つのポイントだった。数年前の関西大学だったら試合後半のスタミナ切れも予測できたが、昨今の肉体改造は半端ではないので、杞憂に終わるほうに予測した。
 もう一つのポイントは、攻撃手段が少ないこと。WR#17高原へはミドルパスを何本も通した前半なので後半マークは厳しくなる。パス偏重になれば、QBへのDLプレッシャーもさらに厳しさを増す。DL#3南、#6十亀・・・。その中で得点チャンスはあるのだろうか、どちらかと言えばオフェンス側が気になっていた。

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 後半先攻関西大学。しかし、ここでフォルススタート・イリーガルフォーメーション・ディレイオブゲームと5ヤード系反則のオンパレードで合計15ヤード罰退。さらに、ランプレーでも立命館大学ディフェンス壁があつく、ドローでロス4ヤード等。第3DRB#1藤森オープンで5ヤード挽回がやっとの状態。
 トータル15ヤード反則ロスで、攻撃のリズムが一気に崩壊してしまいかねない、ある種の非常事態に陥った。

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 続く立命館大学オフェンス。QB#15谷口のパスコントロールが良い。シーズン序盤はサイドスローといわれていたが、ここにきて普通に上手投げになっている。敵陣40ヤード付近での第3D残り8ヤード。WR#11呉田にジャストヒットの40ヤードロングパスはレシーバーもしっかりとボールをキャッチしに行った執念のプレーだった。(このロングパスをTDパスとしなかったエンドゾーン手前でキャリアに渾身のタックルを見舞った関西大学DBもファインプレー)

 これで立命館大学は敵陣1ヤードでFD更新、2回の中央突破は止められるもののQBキープ中央突破TDランは止まらず。

 こうして、この試合立命館大学が始めてリードを奪う。関西大学オフェンスは反則でリズムを乱したあとの立命館大学得点ドライブで、試合の流れは立命館大学側に傾きはじめる・・・
 ただし、PATキックを関西大学がブロックしたことで7点ではなく立命館大学得点は6点となった。

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 立命館大学キック&関西大学リターン、#1藤森が35ヤード付近まで戻すものの、リターンと関係のないところで関西大学にアンスポの反則があり、攻撃開始地点が下げられてしまう。
 攻撃リズムが悪くなっているオフェンスチームに、さらに枷が加わった状態、第3Q残り時間3分42秒なので時間は残っているが、立命館大学オフェンスにランもパスもある程度のゲインを出されている状態なので、関西大学のこの攻撃ドライブの結果によって一気に立命館大学ペースへと傾く、そんな時間帯だった。

 関西大学第1DはRB#1藤森オープンもゲインできず0ヤード。右パス失敗して第3D10ヤードのシチュエーション、オフェンスとしては崖っぷちに追い込まれた。

 このシーン、私は、次の関西大学ディフェンスが立命館大学猛攻を阻止できるだろうか、というところに思い巡らしていたのだが、まさに起死回生の40ヤードのロングパスヒットが生まれる。
 QB#7池井のキープフェイクでDLプレッシャーをかいくぐったもののおそらくプレー的には崩れていたのではないだろうか。ただエンドゾーン方向へ走ることだけがきまっていたレシーバーとの約束事が生きたような、QB絶妙な判断とWR#17高原の連携だった。
 QBがディフェンスプレッシャーを避けながら逃げながらターゲットを探す、そんなパスだったので、WRがDBカバーを振り解こうとする意思があれば、走力のあるレシーバーならばフリーターゲットになるのはそんなに難しいことではない。DB陣のパスカバー・パスディフェンスの及ばない領域でもあり、このパス成功はQBWRを見るべきものだろう。
 こうして敵陣40ヤードでFD更新すると、再び第3D10ヤードをむかえるもののてTE#89青木へミドルヒット、さらにTE#89青木へのTDパスとPATキックで、関西大学が1点差リードとなる。第3Q終了。サイドチェンジ。

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 続く立命館大学自陣での攻撃、第1プレーショートパスをレシーバーと競いながらLB#31西口がインターセプトターンオーバー。ここで攻撃権交代して、攻守交替。

(クォーターのサイドチェンジ直後ということもあって運営側にもミスが出る・・・)

 敵陣39ヤードで関西大学が攻撃権を獲得、第1プレ2ヤード、第2DはQBスクランブルでサイドラインを切ったところは敵陣30ヤード地点だったのだが、関西大学にFD更新。
 第1D、左コーナーWR#25高崎へのTDパスはプレーアクションでDBを抜き去ったレシーバーへのドンピシャのパスヒット、PATキックも決まって8点差となる

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 しかし、立命館大学攻撃もとまらない。QB#9松田キープ、QB#15谷口キープ、RB#27高野橋中央突破、WR#25宜本中央パスヒット、いずれも10ヤード程度の距離を稼ぐ。こうして自陣43ヤードから3回FD更新して敵陣17ヤード。

 だが、ここからは関西大学レッドゾーンディフェンスの出番。LB#49がQBキープ対応、ロールパスにDLプレッシャー対応などで立命館大学攻撃も進まない。第4Dギャンブル右ミドルパスをDB#8カットで立命館大学1回目の攻撃は止まる。

 続く関西大学オフェンスは残り5分34秒から。1回FD更新するもののランプレー3回をLB#5菊地などが対応して、再び立命館大学に攻撃権が移動する。残り2分31秒。

 自陣40ヤードからWR#25宜本へのミドルパス2連続(15ヤード+20ヤード)、さらにWR#1田中へ20ヤードロングパスヒットでエンドゾーン手前5ヤードに達する。  再び関西大学レッドゾーンディフェンスを発揮するが、パス2回失敗後の第3D、QB#15谷口の中央突破ランが止まらなかった。
 この時点で立命館大学15、関西大学17で2点差。第3QのPATキック失敗の1点不足が、ここでPATに2ポイントを要求する。
 ゴールラインから3ヤード手前に置かれたボール、プレーは右ロールアウトからのパスだったが関西大学ディフェンス1名がもれてきていてプレッシャーがかかる状態、パスを投げるもののターゲットに届かず。2点差のままとなった

 続く立命館大学フリーキックでオンサイドキックを蹴るもののボールを確保できず、攻撃権は関西大学となって関西大学勝利が確定した。

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 関西大学QB#7池井、立命館大学QB#15谷口、QB#9松田ともにキープランは威力があった。そしてQBランがあったからパスもヒットするという構図。QBがボールを持って走るのであればLBDBは前に動き、その空間に入ったレシーバーへパスが通る。フェイク動作一つでディフェンスの動きをコントロールできるという点でもQBの醍醐味であろう。

 関西大学のTB(RB#1藤森、#5播川)が走るランプレーは、FBのリードブロック役をつけても全くゲインできず。立命館大学DLLB全体の早い潰しにあってノーゲイン状態。
 序盤にあったRB#1藤森へのピッチプレーも裸単騎ではDLのパワフルなタックルを受けて怪我してしまいそうな状態。QB位置に#5播川が入ってそのままキープランのプレーもあったが、RBのランプレーは全般ほとんど効果なしだった。

 結局、関西大学オフェンスでゲインしたのは、試合前半のQB#7池井のキープランと、後半は、キープフェイクのWR#17高原へのロングパス、さらにTE#89青木へのパス。ライン戦では関西大学OLが押し込まれていたシーンのほうが多く、さらにプレー的には崩れたところからのパスが多かったのだが、それでもパス成功してしまうコンビネーションは驚異的。

 一方の立命館大学オフェンスはQB#15谷口のキープとRB#27高野橋、#39川端のオープン、カットランなどで、関西大学LBDBが振られるシーンが多かった。
 さらに第3QのWR#11呉田、第4Qの#1田中による執念のスーパーパスキャッチ。こちらも、すばらしいの一言に尽きる。

 途中にも書いたが、QBWR連携は崩れたプレーでも成立する。そして崩れたプレーだからこそ、レシーバーフリーになる時間が生まれるので、DB陣のパスカバーも役に立たなくなる。
 それでもWR#11呉田へのロングパスをゴールライン前1ヤードで追いついた関西大学DB筆頭に、随所で発揮されたWRとDBの競争は文字で全てを伝えるのは不可能である。集中力と判断力と、そして崩れたあとの想像力・・・。ひさしぶりに痺れる試合を観戦することができました。

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「たられば」は挙げれば切りがないので一つだけ。第4Q立命館大学が関西大学陣まで攻め込んだときのギャンブル選択について。
 ギャンブルではなくFG3点で12−17で5点差とする。そして残り時間5分半のうち最後の2分でTDで逆転、というストーリーもある。
 試合終了後、そのような会話が周囲から聞こえてきたので、考え方の一つとしてあげておく。(ただし私的には、相手に攻撃権を渡してしまうよりも、ギャンブル選択のほうがいいように思う)

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 第4Qサイドチェンジ後の、立命館大学被インターセプトによる攻守交替。審判がサイドを間違えて攻守進行方向を反対向きにセットしかける。このサイドの間違いは、直ちに修正されたのだが、少なくともミラー側のヤードチェーンが曖昧のままスタートしてしまった。結果敵陣39ヤードで攻撃開始、2プレー合計2+7ヤード前進してFD更新し、直後の30ヤードTDパスにつながる。

 この試合は全勝対決となって注目度の高い試合、初めて観戦する人も多かったと思うのだが、大丈夫だったのでしょうか。試合後半、観戦暦の長い私の嫁ですら、目の前の状況とコメントの不一致に「???」?マークを飛ばしていたので「場内アナウンスを聞くな」と言っておきました。

 2008年も場内アナウンスの誤ったコメントを受けて奇妙なプレーが生まれている。
 西京極での立命館大学VS神戸大学。「ターンオーバーにより立命館大学攻撃権獲得」と場内アナウンスがあってディフェンスメンバーがベンチに下がっていたのだが、審判団の正式な判定は「パス失敗」。
 神戸大学の攻撃は第4Dパント。立命館大学選手はフィールドに誰もいない状態で、このまま神戸大学がプレー開始し、パンターがボールキープしてFD更新している。

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 この結果、関西大学は6戦6連勝でとりあえず関西学生2連覇を達成した。次節最終戦の関西学院大学に勝利または引分で単独優勝が決定する。
 関西学生ルールで2連覇達成となったが完全優勝ではない。立命館大学に勝利した関西大学チームモチベーションはどんなものなのだろうか、次への切り替えはできただろうか。怪我人負傷者の心配よりもそちらのほうが気がかり・・。
 1試合ずつ毎試合丁寧な準備と試合運びをするチームなので難なくクリアすると思うが、昨年含めた14個の試合の中で、次節がモチベーションコントロールという点では最も難しい試合になるかも。

(了)

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