関西学生アメリカンフットボール Div1 第6節



11月07日(土) 神戸ユニバー記念競技場 13:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西学院大学





京都大学
















11月07日(土) 神戸ユニバー記念競技場 15:40
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
神戸大学





立命館大学
















11月08日(日) エキスポフラッシュF 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西大学





同志社大学







 2009年関西学生アメリカンフットボールシーンの一つの区切りの試合になるか。
 関西大学が勝利ならば61年ぶりの関西学生リーグ戦優勝が決まる。もしも同志社大学が勝利ならば、立命館大学関西学院大学にも自力優勝の可能性が復活(前日神戸ユニバのでの試合に勝利していれば)するという大きな試合である。

 関西大学は、ここまで5戦5連勝で勢いに乗っているが、対する同志社大学も直近の3試合を3連勝していて、こちらも勢いがある。連勝街道爆進中のチーム同士の正面衝突となった。

 さてこの試合だが、挑戦者の立場にあるのは同志社大学、そして、守るものがあるのが関西大学、という構図になろうか。
 もっとも、関西大学は毎試合とも同じ重要度の試合と位置づけているようなので、この試合も挑戦者の立場・攻めの姿勢で試合に臨むことは間違いないだろう。
 一方の同志社大学はある意味では失うものはないので、京セラドームで関西大学が見せたような再三のトリックフェイクのように、ここ一番ではギャンブルに挑める。もちろん、実際に様々なフェイクをするか否かは同志社大学ゲームプランによるが。

 では展望本題に入る前に、今シーズンここまでの両チームの戦績を振り返ってみると。

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 同志社大学ディフェンスは試合を重ねるごとにパフォーマンスが成長してきている。シーズン序盤から中盤にかけてDLLBの動きが目に付くようになり、前節ではDBの動きも的確になってきた。
 シーズン前半戦では、各試合ともにDBパスカバーが抜かれるシーンがあるものの、試合時間経過とともにパスタイミングとパスコース・ターゲットにアジャストしていく能力の高さに感心していた。そして前節ではランプレーにもパスプレーにもかなり早い時間で鉄壁ディフェンスとなった。
 DL#39西田、#43栗山、#98夏目、#96大西はスピード嗅覚揃ったDEの重厚なDTによる。LBは#53藤田、#4辻田、#57杉垣。DB#24岡、#23富、#2福田、#5中嶌というメンバー構成。

 一方のオフェンスは、パス精度に試合毎の波があるようにも感じるが、それを補って余りあるバックス陣容とプレー種類がここまでの白星をもたらしている。
 RBだけでも、RB#22重坂、#34河野、#41土井、#45中村、#21小寺の5人。レシーバーではIRとしてTE#86清松、#49東、SB#46青木、#21小寺の4人。WRでは#15中尾、#81和田、#82黒田、#89山林と4人。そしてOLは#58友金主将筆頭に、#69中野、#50前渕、#64浜田という経験豊富で運動量の落ちないライン構成になっている。
 今シーズン初白星となった第3節神戸大学戦ではRBWR怒涛の5TDで圧勝し、京都大学戦・甲南大学戦では僅差辛抱の試合をディフェンス堅守とオフェンスボールコントロールというチーム一丸で逃げ切り勝利を掴んでいる。

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 一方の関西大学は、開幕戦京都大学戦をRB#1藤森、#22松森のスピードランで快勝すると、雨天の中で行われた神戸大学戦ではQB#14原口からスローバックのミドルパスをRB#1藤森にヒットさせるとともにディフェンス堅守で逃げ切って、2戦2勝とした。

 そして第3節の関西学院大学との全勝対決では、第3QにQB#14原口からWR#17高原へのロングパスで逆転すると、関西学院大学攻撃をFGまでに止めていたディフェンス陣堅守で逃げ切り勝ちで3戦3勝、そして、関西学生リーグ戦話題の中心に躍り出た。

 迎えた第4節立命館大学戦。再びの全勝対決は今年のリーグ戦最後の全勝対決となって勝利すれば「優勝」の二文字が完全に視野に入る大一番。試合会場変更や周囲世間の喧騒を完全に振り切った関西大学は、挑戦者の立場に徹して再三再四再五のギャンブルフェイクプレーで果敢に立命館大学を攻め立てる。こうして自らの土俵に引き入れると、RB#1藤森、#22松森のミドルゲインとQB#14原口のスクランブル&ロールからのパスと得点を重ねた。そして、立命館大学最後の反撃をディフェンス堅守で逃げ切るスタイルで「唯一全勝チーム」の位置に立った。
 前節近畿大学戦は、関学・立命を撃破した余波もあって、攻守ともにリズムを欠いたシーンがなくもなかったが、それでも、大差完勝で試合勘を取り戻して5戦5勝、今節第6節を迎える。

 オフェンスは、QB#14原口のセットバックとショットガン併用スタイルで、RB#1藤森、#22松森、#5播川のスピードランが際立つ。パスは試合毎にパスコースが変わっていき、そのターゲットもWR#7池井、#17高原、#16岡、#10辻、#24川田、TE#89青木、#86平山など多岐にわたる。
 OLは若いメンバーも多いが経験豊富でスタミナが衰えないのが今年の売りポイントになっている。そして、ショットガンセットからのハンドオフプレーとQBのランパスオプション、さらにセットバックでのRBWRと、オフェンス手段は豊富に揃っている。

 ディフェンスはDL#90重近、#91杉原の中央2名とILB#33大舘の中央が厚い。さらにDE#95水村、#44田村、OLB#30小原、#2豊田のスピードと判断の良さが際だつ。DBでは#13林が再三のインターセプト奪取、さらにLB兼務の#30小原の守備範囲の広さと、DB#8森本、#23飯野に1年生ながら後列を任されている#9砂川、#32中村という布陣になる。

 関西大学ここまでの試合展開は、上記のように、ロースコア僅差で対戦相手に追い上げられながらもディフェンス堅守で逃げ切るスタイルが3試合ある。関学戦立命戦の2試合は考えようだが、第2節神戸大学戦は悪天候だったからか、そもそものプラン通りなのか。いずれの試合にも大きな失敗があるわけではないので、ロースコアになるそもそもの関西大学オフェンススタイルが今回も当てはまるのか、それとも、大差の試合になるのだろうか。

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 さてこの試合だが、上記したように、挑戦者の立場にあるのは同志社大学、そして、守るものがあるのが関西大学、という構図になるところが、試合の行方を左右する起点になるだろう、と考えている。

 得点差でいうと、試合中盤段階で関西大学得点リードが1TD差以内であるならば、少なくとも関西大学の完全掌握ペースではない。そして、その後は同志社大学が主導権を握るか、それとも関西大学ディフェンスが再び堅守で逃げ切るかだが、ここの攻防は精神的にも同志社大学が優位に立つかも。
 少なくともこれまでの関学戦立命戦のように、1TD差以内でもリードしていたら関西大学ペース、ということにはならない。ここがこれまでの試合と立場が逆転するところになる。

 したがって、この試合で関西大学ペースという実感を得るためには、試合中盤で関西大学が2TD以上の点差が必要になる。関西大学としては、なるべく試合の早い時間帯で、得点差を広げておきたい。反対に同志社大学ディフェンスは、試合序盤から関西大学オフェンスの攻撃パターンと攻撃スピードに対応できるか。
 つまり、関西大学オフェンスに対して、同志社大学ディフェンスがどの時間帯でアジャストできるか。ここが試合の行方を左右する大きなポイントを握っていることになる。

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 前節同志社大学ディフェンスは、甲南大学RB#26高谷を完璧にマークしてランを封じ、パスを強いたがフロントプレッシャで対応。さらに、#26高谷のスクリーンパスにもいち早くアジャストしている。
 今回はRB#22松森と#1藤森のスピードランと、そして人数を集めたオープンスイープ、さらには、QB#14原口のドロップバックあるいはロールアウトからのスクランブルランとパスというところが、今シーズンここまでの関西大学オフェンススタイルの基本形。派生分はTEパスとFBが加わったパワースタイル。

 同志社大学ディフェンスとしては、DLの安定度とLBとDBでの役割分担の整理が必要というところだと思うが、そこはスタッフが私の考えなど及ばないところで、策を練っているはず。DL#39西田、#43栗山とLB#57杉垣、#53藤田、#4辻のフロントパワーとプレー嗅覚、そしてCB#24岡、S#23富と#2福田のポジションに注目。
 京都大学戦・甲南大学戦とも僅差の試合をコントロールした同志社大学ディフェンス。運動量という点では、この関西大学戦がスピード的にもこれまでにないものになると思うが、そこは挑戦者の立場で。早い時間帯にスピードとスタイルにアジャストできてスタミナ配分を間違わなければ、勢いに乗れるかもしれない。

 一方の関西大学オフェンスは、ランパスでディフェンスを振り回したい。ラインもバックスもプレープランも豊富なので、キーポイントは当日のコンディションとプレー精度だけということになりそう。
 ある一定の精度水準を保っていて、それなりにプレーバリエーションを加えてもゲインできない状況に陥るとすれば、それは同志社大学ディフェンス大健闘以外の何者でもない。その時の関西大学スペシャルプレーのプレー精度と同志社大学ディフェンス対応力が最後のポイントである。(単純にスペシャルプレーと言ってるのではなく、具体的にキャリア選手名とプレー種類を挙げてもいいのだが、やめておく。)

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 同志社大学攻撃と関西大学ディフェンスの攻防だが、上記のように同支社大学もオフェンスは様々なキャリアが揃っている。基本形はQB#8佐藤によるショットガンセットからのプレーだが、特にパスパターンのついてはキャリアとパスパターンの組み合わせが膨大になる。ショートクイックアウトからミドル縦とクロスと、サイドライン際ロングパターン。各試合とも1プレーずつでも十分にローテーションできるほど多彩にある。

 そしてRB#34河野と#22重坂、#41土井、#45中村のプレーに対する集中力と「+1ヤードへのこだわり」は必見特筆ものである。ディフェンスタックルを受けながらも足を動かして前に倒れようとするので、最終的には1ヤード以上2〜3ヤード加わったランゲインになる。
 旨くいけばタックルが外れて生き返ったりもする。ディフェンスチームが、「止まりそう・・」と思って集中力を切らしたところを抜き去ってロングゲイン出来るRB陣である。

 以上の同志社大学オフェンスランとパスの陣容において、関西大学ディフェンスのどの部分に仕掛けていくかだが。これまで関西学院大学戦や立命館大学戦で苦しんでいたポジションといえばCB??案外長い距離のパスでDBが抜かれていたりもするが、連続でパスを通すような軟いDL陣ではなくQBへのプレッシャーは厳しい。インサイドランはDLLBの壁が厚いが、RBスキルと足を動かす執念が関西大学のタックルミスを誘うか。同志社大学オフェンスチームがどのようなゲームプランを仕掛けてくるか、楽しみにしたい。

 関西大学ディフェンスとしては、オフェンス同様こちらもタックルミスの有無、という基本的なところがキーポイントになる。

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 この試合は、上記したように、関西大学が試合の早い時間帯でどのくらいの得点差をつけることができるかを分岐点として、概ね二種類の試合展開が考えられる。どちらのストーリーになるかは、同志社大学ディフェンスと関西大学オフェンスの攻防次第だが、試合終盤までもつれる可能性を捨てきれない。

 11月8日の日曜日。試合会場はエキスポフラッシュフィールド。天気予報では、天候は晴れで気温もかなり高めの予報数値が出ているようです。

(了)










11月08日(日) エキスポフラッシュF 13:40
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
近畿大学





甲南大学







 前節の近畿大学観戦記でも若干触れたように、近畿大学はQB#8荒木率いるオフェンスのパスショーとミドルレンジがヒットするようになってきた。ターゲットはWR#24秋田とWR#88小野澤とWR#7永山。
 一方でRBはここまで無理な起用をされたRBが前節で負傷退場していて今節の出場は微妙だが、せっかくに機会なので来年以降のRB陣の成長機会という起用をしてくるかもしれない。

 近畿大学がどのようなオフェンス方針で試合の臨むかわからないが、パス偏重なってもターゲット固定とならばディフェンスDBの厳しいカバーとDLLBのQBプレッシャーが厳しくなるかもしれない。
 やはり途中にはQBキープランなどのランプレーをはさみつつ、その他のターゲット出現もあるかも。いずれにしても少々変化してきている近畿大学オフェンスの新たな展開は楽しみだ。

 対する甲南大学ディフェンスは、DL#67塚本などフロントパワーとLB#42平瀬、DB#23豊福、#22田中、#19川崎、#34永井などセカンダリーの動きに注目。

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 甲南大学前節は同志社大学戦でRB#26高谷のランとフェイクを巧みに用いてディフェンスを撹乱、WR#81大槻、#14国田をターゲットとするロング〜ショートのアクションパスとRB#26高谷へのスクリーンパス等でドライブしている

 最終的にはランを封じられて、厳しい鋭いDLプレッシャーの下でパスを投げさせられ、コントロールを乱され、というストーリーで追い込まれてしまった前節だった。

 さてこの試合の甲南大学しかし、前節までの甲南大学オフェンスパフォーマンスと近畿大学ディフェンスパフォーマンスを比較すると、甲南大学優位だろうと思うのだが、近畿大学ディフェンスに何か変化があれば、話は少々異なるのだが。このあたりを見所ポイントとしてあげておく。

 甲南大学はここまで1勝3敗1分、この試合がもしも黒星だと入れ替え戦出場の可能性が少し見えてくる。開幕戦直後の勢いを立命館大学戦と関西学院大学戦で分断されてしまった形だが、シーズンも終盤、最終節関西大学との大一番にむけて、この試合で再び盛り上がりたい。

 一方の近畿大学は全敗で黒星が並ぶが、シーズンも終盤を迎えて、そろそろ、きっかけを掴むか。










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