関西学生アメリカンフットボール Div1 第4節



10月10日(土) エキスポフラッシュF 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
神戸大学914020431-2-1
近畿大学000000-4-0
(現地観戦)
 
神戸大学
近畿大学
1Q
P×
FG
TD 1Q
2Q
TD
FG×
TD
RFL
FG×
2Q END
3Q
3Q G×
4Q
FL
RTD
G×
TD
G×FL
TD
4Q END
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方





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10月11日(日) 王子スタジアム 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西学院大学2114146553-1-0
甲南大学00714211-2-1
(現地観戦)
 
関西学院大学
甲南大学
1Q
TD
TD
TD 1Q
2Q
TD
TD
2Q REND
RTD 3Q
TD
TD 3Q
4Q TD
TD
FG
FG 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 関西学院大学が7TDと2FGで55点を獲得して勝利した。

 前節関西大学戦の敗戦の影響は如何にというところがこの試合の観戦ポイントの一つだった。私はメインスタンドで観戦していたのだが、バックスタンド側の関西学院大学サイドラインからは久しぶりに透き通った張り詰めた空気が伝わってくる。

 例年ならば第4節あたりでは徐々にパワーアップ途中で、極度な張り詰めた感が伝わることはないのだが、この試合は、そのような空気が漂う中で、いくつかのスペシャルプレーと新規中核選手の登場、および、負傷者復帰の朗報も織り込んで、精度の高いプレーが繰り返された。こうして関西学院大学怒涛のTDドライブによって近畿大学戦を上回る大量得点で圧勝となった。

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 関西学院大学最初の攻撃で、いきなりOL陣のトリックブロックが炸裂する。甲南大学ディフェンスの動きが止まっている瞬間にQB#6加藤からTE#95垣内へ11ヤードパスヒット、さらにWR#80小山へ12ヤードパスヒットとQBキープラン10ヤード、とビッグゲインを連発した。

 敵陣37ヤードでFD更新すると、右WR#1松原への縦ポストパターンのパスはQBWRコンビネーション完璧のパスとなって関西学院大学が速攻TD先制点を獲得する。

 次のシリーズではRB#7松岡、#22久司の中央突破ランに対して甲南大学ディフェンスも食い下がってギリギリのFD更新が続く。だが、パスではQBWRの抜群な連携を披露し、スペースに入ったレシーバーへジャストのコースでボールが飛ぶ。WR#82寺元へ10ヤード、さらにWR#1松原へスクリーンヒットによる40ヤードゲインなどで追加点を獲得した。

 第2Qに入っても関西学院大学攻撃は益々勢いに乗るばかりで、WR#1松原、#16和田へミドルパス連続ヒットで敵陣に侵攻すると、今度はOLブロックとRB#7松岡のコンビネーションで42ヤードTDラン、さらにWR#80小山、#87柴田のパスヒットとQBキープで4個目のTDを奪った。その直後のキックオフではオンサイドキックの練習も加わる。

 そして第2Q残り0分41秒自陣13ヤードからのWR#1松原に5本、WR#80小山に1本の合計6回パスによるQB#6加藤のTDドライブは圧巻だった。

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 関西学院大学は第3Qあたりから攻守メンバーを少しずつ交代させていて、これが、試合後半の得点不足と甲南大学得点が伸びた要因になる。

 後半は、QB#11糟谷が登場したがQB#6加藤と同様のプレーシーケンスを展開してバックアップ体制に課題なしをアピール、WRでは1年生WRがスピードと正確さで注目を集め、さらにRB#38平田も出場して得点ドライブに加わっている。
 久しぶりに見る#38の番号、この日は#99河原の出場機会はなかったが、次節では両雄揃いぶみといきたい。

 ディフェンスでは今シーズン序盤からDEに入っている1年生#45梶原の動きが冴えていて、さらにDL#96長島、LB#41安井、DB#8善元など新旧メンバーでの融合が進んでいる。

 ただし、冒頭に記したように、特にオフェンスはレシーバーキャッチミスなくプレー精度は高くなった集中力によるところもあるのだが、WR陣によるホールディングの反則が目に付いた試合でもある。
 レシーバーにとってのブロックプレーは、そのプレーにおいてパスターゲットでなければ必然的にブロッカーとなる。全プレーパスでも4人レシーバーならば、比率的にパス1回ブロック3回。なのでブロック精度を高めることは必須だろう。

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 ただ、この試合は関西学院大学がどのような姿で再登場してくるか、そして、どのような内容でも勝利すれば次につながる、という試合展望で描いていた私の思いにおいて完璧な姿を見せてくれた。久しぶりに安心してスタジアムを去っていくことが出来た試合だった。

 その翌日。立命館大学が関西大学に敗戦し、関西学院大学の自力優勝の芽が現時点では完全消滅した。立命館大学が勝利して自力優勝の芽が復活・・・というストーリーを描いていたかもしれないので、前節関西大学戦敗戦に続いて今シーズン2回目の曇天気分だったはず。そして、再び、復活してきているところと思う。

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 甲南大学は、この試合も前節後半に引き続いて元気がなかった。と見るべきなのだろうか。第3Q、関西学院大学メンバー交代があったものの、少しずつ試合の流れを引き寄せていたのも事実で、オンサイドキック1回成功して怒涛のTDドライブをつなげている。

 オフェンス前半はQB#11松延、後半はQB#13京極による。
 前半の3シリーズとも第1DでRB#26高谷がQB位置にセットしたキープランだが、いずれも関西学院大学ディフェンスに遮られる。いずれもキープランだったこともあるが、最初にパスでも投げていれば、また違った展開があったかもしれない。だが、完全にディフェンスに対応されてしまって3シリーズ連続でオフェンスストップ、そして点差が広がっていってしまった。

 さらにQB#11松延からWR#18大槻へのパスは前節でも多用していたプレーでだったことも影響しているのか、関西学院大学DB#8善元にインターセプトされてしまった。またDL#92高野、#45梶原、#96長島、LB#59吉川などによるプレッシャーが厳しく、RB#26高谷のオープンラン22ヤードゲインで敵陣侵攻しても、DB#14吉井にインターセプトされるなどで、攻撃が続かない。

 そして第2Q残り0分46秒敵陣32ヤード付近での第4D、FD更新まで残り7ヤード。これまでの甲南大学だったらパントフォーメーションからのギャンブルをしているシーンだが、普通にパントを蹴ったのが少し衝撃的。攻撃の手がないということの現われだったのか。

 後半はQB#13京極による。いきなりキープランで18ヤードゲインしてFD更新すると、RB#26高谷による中央突破ランが50ヤードのゲインとなって後半開始直後に甲南大学の反撃が開始する。
 その後もQB#13京極オプションキープによる40ヤード近いロングゲインをきっかけにTDを獲得、さらに、オンサイドキック成功からはQB#11松延、WR#14国田、#18大槻によるパス攻撃でさらにTDを追加する。このように攻撃に勢いが戻ってきたのだが、前半の失点が大きく勝敗を左右するまでには至らなかった。

 甲南大学攻守ともに後手に回る苦しい展開だったが、意図するところがあったか、なかったか、そこは不明。甲南大学次節は、同志社大学と対戦する。これまでのリーグ戦戦績は、甲南大学が1勝2敗1分、同志社大学が2勝2敗なので、勝ち星数で同志社大学が上回っている。甲南大学としては負けられない試合になる。






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10月12日(月) エキスポフラッシュF 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学003031-3-0
同志社大学3700102-2-0
(現地観戦・関西学生速報メールより)
(残り1分30秒同大@88京大タイムなしまで観戦)
 
京都大学
同志社大学
1Q FG
1Q
2Q
FG×
2Q TD
3Q
FG
3Q
FL 4Q
途中
4Q残り1分30秒まで観戦
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 同志社大学先攻で試合開始、その最初のリターンで#34河野が55ヤード超のビッグリターンを見せる。これで敵陣攻撃スタートとなった同志社大学攻撃QB#8佐藤による攻撃は、QBキープやRB#34河野ドローなどで敵陣11ヤードまで到達するものの、そこからスクリーンターゲットのスリップダウン等で最終的にはエンドゾーンを割れずにFG3点に止まる。

 その後両チームともパスオフェンスにおいてレシーバーのイージーなキャッチミス等が続いて、一進一退が続く。
 その中で、京都大学によるインサイド中央ラン突破で大きくゲインするようになっていく。RB#34安河内、#95曽田、さらにQB#10桐原キープ等で京都大学第2・3シリーズは敵陣侵攻した。

 同志社大学ディフェンスは、京都大学のパスを警戒してDBに人数を多く割り当てるフォーメーションを採用、その分LB人数が少なくなっていた。
 一方の京都大学攻撃は、前節近畿大学戦にと逆にRB#95曽田などによるによる中央ラン突破を仕掛けてくる。人数的に若干手薄のディフェンス中央を1プレーで10ヤード程度前進する状態で京都大学ラン攻撃が、同志社大学ディフェンスを崩す寸前までになっていた。

 しかし、第2シリーズでは、そこからショートパス失敗、同志社大学LB#53藤田の厳しいプレッシャでのパス失敗。第3シリーズもショートパス失敗のあとにディレイ罰退、さらにDL#96大西によるカウンターロスゲインタックルと、同志社大学ディフェンス堅守と京都大学プレープランによって、京都大学得点に至らず。

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 この日の京都大学パスはQBとレシーバーとの連携が合っていない状態で、ミスが続く。
 第2Q残り2分、京都大学自陣20ヤードからの攻撃。サイドライン際へのパスをつないで時計を止めながら進むものの、やはり最後の2本は失敗して時計が余った。

 同志社大学は自陣21ヤード。残り時間19秒。RB#34河野によるドロー右OT。そんな複雑なプレーではないと思うのだが、タックルをかわしながら、さらに多数存在するリードブロッカーとの連携も見事にはまって1プレーTDとなった。結果的にはこの7点が勝敗の行方を大きく左右することになった。

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 後半も、京都大学オフェンスは、中央ラン突破はゲインが続くもののWRとのコンビネーションが確立しない状態が続く。

 RB#95曽田のパワー、QB#10桐原カウンターキープによる中央突破ランは、抜ければそのまま独走TDランという際どいシーンが何度かあった。しかし、いずれも同志社大学DB(S)#23富がその立ち位置でランコースを消し、そしてソロタックルでキャリアを止めている。

 攻守攻防が続く中で、京都大学攻撃が敵陣深くまでたどり着いたのが2回ある。一度はエンドゾーン前5ヤードまで到達しながらも、さらにQBスクランブルスペースがありながらもパス失敗という悩ましいシーンもあったりして、京都大学攻撃が攻めきれない。

 さらに同志社大学ディフェンスもDL#43栗山、LB#53藤田によるQBサックで第4DFGトライに追い詰め、さらにファンブルリカーバー。インサイドラン突破を許す苦しい状況もあったが、同志社大学ディフェンス各選手とも粘りの中から、様々なところでファインプレービッグプレーを狙っていた。

 DBWRの攻防においても、京都大学ミドルパスにDBが反応してカットしたり抜かれたりと成否交互していたのだが、DB#5中嶌のミドルパスカットと最後はDB#24岡による値千金&会心のインターセプトで京都大学追撃を封じた。

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 第4Q同志社大学の攻撃は残り7分55秒、自陣30ヤードから。

 RB#22重坂ドロ12ヤード、#21小寺のショベルパス12ヤード等のミドルゲイン以外にもRB#41土井、#45中村によるはランプレーばかり。残り4分を切ったあたりのフィールド中央付近で第3D残り4ヤードのシチュエーションにはRB#34河野とOLWRによるパワープレーでFD更新する。

 さらにQBスクランブルもインフィールドデッドで時計を進めながらのロングドライブで敵陣33ヤード付近での第3D残り7ヤード。残り時間2分でWR#82黒田への会心のミドルパスヒットとなって敵陣12ヤードでのFD更新となった。

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 私の観戦はここまで。なお当日は(敵陣20ヤードでのFD更新まで観戦)としましたが、私のメモに敵陣12ヤードでのFD更新が残っていたので、訂正しておきます。

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 同志社大学は、これで前半戦を2勝2敗で折り返す。立命関学に黒星だが、今シーズン不調とはいえ神戸・京大から白星をもぎ取ってここまでで5分の星勘定である。

 後半戦残り3試合は、甲南大学・関西大学・近畿大学との対戦は、3チーム3様の面白い試合になりそうだ。白星をいくつ重ねることができるか。1個ならば2005年以来のシーズン3勝。2個で上位グループ進出、そして、3個ならば同率3位以上確定。
 攻守ともにビッグネーム・スーパースターは存在しないが、近年ではもっともチーム状態が良く見える。後半戦を楽しみにしています。

 京都大学オフェンスは、何故かランとパスの順番が悪いほうにシフトしてしまう。この試合、うまく運べば2TDは確実だったと思う。
 明るい材料としてはDB陣で怪我人(#14田畑と#24大岡)が復帰してきたことと。リーグ戦ここまで1勝3敗の成績で後半戦に突入する。今後、立命・関学・神戸と続くが、今後の試合に期待したい。






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10月12日(月) 京セラドーム大阪 14:30
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学070073-1-0
関西大学0770144-0-0
(現地観戦)
 
立命館大学
関西大学
1Q
G×
1Q
2Q
TD
TD
END 2Q
3Q
TD
3Q
4Q G×
G×
G×
4Q END
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 関西大学勝利でリーグ戦戦績は4戦4勝になりリーグ8チーム中で唯一の全勝チームとして先頭に立つ。そして、リーグ優勝に最も近い位置にいる。
 スポーツ新聞5紙にも、関学に続いて昨年王者立命を破って唯一の全勝&単独1位爆走中、とか、61年ぶり云々と、優勝戦線の今後の展開条件など大きい文字が並んでいた。当ホームページとしても触れないわけにはいかないので、言葉と数値を並べておく。

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 さらに、2009年関西学生リーグの優勝チームの可能性についても触れておくと。
 関西大学は、残りの3試合を全勝した時に、関西学生61年ぶりの単独優勝を遂げることになる。そして、もしも・万が一、黒星1個が加わってしまったときは、黒星1個の他チーム(立命あるいは関学)があれば両校優勝になる。この場合も関西学生61年ぶりの優勝には違いないが、学生選手権出場権をかけて1敗チーム同士でのプレーオフに臨むことになる。

 以上、大きな数字・大きな見出し・有史以来初、そして「優勝」の二文字を散りばめてみた。が。

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 しかし、まだリーグ戦7戦中の半分が経過しただけのこと。残りの3戦は、今までとは違う新たな厳しい戦いになる。

 そのためには、とりあえず忘れて、もう一度最初から。引かない攻撃的ディフェンスで。
 どの試合も1/7。目の前の試合を見て1個1個をのりきるのみ。難しい試合が続きます。

 第5節では近畿大学と対戦する。近畿大学はここまでリーグ戦4戦4敗の成績を残すが、一方で関西大学も○年に関西学院大学戦勝利した次の節で近畿大学に大敗している。
 第6節では同志社大学と対峙する。同志社大学は開幕節と第2節で立命関学に連敗するものの、その後神戸大学と京都大学に競り勝ってきていて上昇気流に乗っている。
 そして第7節最終戦は甲南大学との戦いになる。甲南大学は第3・4節で立命関学に黒星を喫するものの、集中力と粘りで白星をもぎ取るしぶとさが今年のセールスポイントになる。

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 ところで立命館大学と関西学院大学は、ともに1敗で関西大学を追う立場になったが、現時点で両校とも優勝の望みがなくなってしまっている。
 両校に優勝の可能性が出てくる条件は、関西大学が今後の試合で黒星になったときのみ。その時だけ上記のようにプレーオフへの参加資格が生まれる。もちろんその資格は関学か立命のどちらか一校にのみ与えられるものになるので、今後の試合はお互いの直接対決も含めて負けられない試合になる。

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 では、この試合の始まる前に視点を移すと、この試合の観戦ポイントとしてあげたておいたのは、次の2点。
 立命館大学経験豊富なOLとRBに対して関西大学ディフェンスはタックルミスをしないことと、パスディフェンスに若干不安がありそうな立命館大学ディフェンスに対して関西大学がどのような工夫で挑むか。

 ただし、関西大学オフェンスがパスを通すための具体的な手順・プレー組み立てを記載していない。思いつかなかったというのがひとつの理由で、関西大学の工夫を見てみたい、というのが結論だった。

 そして、立命館大学オフェンスに対して関西大学ディフェンスはタックルミスをしないこと。こちらも、具体的なプランを思い描けなかったのだが、トップシークレット級の情報を頂いてしまうとあまりに理屈が通り過ぎていてそこから逸脱するプランが描けませんでした。

 以上の2点を頭に置きながらの試合観戦と観戦メモを見ながら振り返ってみると。オフェンスチームについては、なんとなく、これが意図したところなのかなと思うところが見えてくる。もちろん、これは私が個人的に考えたことなので、実際の関西大学オフェンスチームの方針と一致しているかは不明です。

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 試合会場を当初のエキスポフラッシュフィールドから京セラドーム大阪に変更になった第4節の全勝対決。関西大学側の様々な緊張の種と、立命館大学には準備が間に合っただろうか第4節の山場対決という、心理的にも不安定な要素が渦巻く中でコイントスセレモニーを迎えた。

 コイントスの結果、関西大学が選択権を得る。そして「後半に選択権行使」を選択した。関西大学キックで試合開始。その関西大学がオンサイドキックでボールを確保して最初の攻撃権は関西大学に与えられた。

 本来、挑戦者の立場にある関西大学がコイントスで選択権を得たならば、前半先攻を要求する、というのが最近のコイントスでの選択傾向にある。ところが慣例に倣わずに後半行使を選択をした。立命館大学側には先攻のチャンスに攻めていこうと勢い付くはず。
 そして、上記のとおり、関西大学が意表をつくオンサイドキックを敢行、さらにボールを確保するという一種戦慄的な第1プレーだった。

 ただし、ここで立命館大学ディフェンスも慌てることなく、しっかりと仕事をしている。結局、関西大学ラン対応ディフェンスなどでにFD更新を許さずに攻撃権を奪い返した。

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 関西大学QB#14原口によるオフェンスは、RB#22松森の右オープンカウンターで13ヤード、WR#7池井、#17高原へのパスは左サイドにヒット、さらにQBロールしたりしなかったりで、立命館大学ディフェンスを左右に揺さぶる。

 立命館大学オフェンスも、QB#9松田(竜)からRB#34橋本スクリーン17ヤード。RB#33東松の左オープンスピード19ヤード等、ミドルゲインはある。

 だが、両チームともディフェンス堅守が続いて、結局、単発のミドルゲインに終わっている。これを見方を変えれば、ほんの僅かだが、DB陣あたりまでボールキャリアが到達することがある。ということになる。

 攻守攻防が続くなか関西大学LB#33大舘が立命館大学TEマークでショートゲイン。立命館大学OLブロックも関西大学DLLBが持ちこたえる形でオープンプレーもDBスピードで対応する。
 立命館大学オフェンスもRB#34橋本中央40ヤード突破とIR#2宜本への縦パスがミドルゲインがあるものの、ミドルパスをDB#13林にインターセプトされるなどで、一進一退が続いた。

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 このような状況で時間が経過した第2Q中盤、関西大学攻撃はフィールド中央付近、RB#1藤森への右オープンピッチプレーがTDプレーになる。リードブロッカーの存在が走路空間を空けて46ヤードTDラン、関西大学が先行した。

 一方で立命館大学もインサイドレシーバー#2宜本の右セットから11ヤード、左セットで23ヤードの連続パスヒットと、RB#34橋本ドロー中央が抜けて26ヤードゲインして敵陣エンドゾーン目前の4ヤードに達する。そして第1プレー中にペナルティフラッグが飛ぶが、その間に立命館大学は右TE#85居林へTDパスを決めた。

 このフラッグのシーンだが、立命館大学はフラッグに関係なくプレーを続けたが、関西大学ディフェンス陣は動きが緩慢になっていて、フリーTDパスになる。積極的に動いていてもパスカットできたかは微妙だが、プレーサイド数名がフラッグを見て動きを止めてしまったところは、今シーズンここまでの関西大学ディフェンス集中力からは考えられないところだった。

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 こうして試合前半は7−7の同点で終了してハーフタイムを迎える。試合の流れとしては、少なくとも立命館大学ペースではないことは明らかだった。
 そして両チーム後半に向けてどのようなゲームプランを練っているか、興味のわくところだった。

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 後半も先攻の関西大学オフェンス。後半最初の攻撃シリーズでは、右オープンランと左オープンランはいずれもショートゲイン、そして第3DはQBパスからのスクランブルラン(決め打ちか止むを得ずかは不明)。第2シリーズではカウンターによる左サイドへのランと、左から右へのリバースオープン。いずれもディフェンスを左右に大きく振り回す試み。

 試合前半は右サイドにランプレー、左サイドにミドルレンジ付近のパスというバランスだった。そして第3Q最初からプレーサイドを左右に大きく振ってDBの動きを見ながら、狙っていたのだろう。
 その第3Dが右へのQBロールアウトからWR#7池井へ31ヤードのミドルパスヒットになる。DBがQBケアとWRケアに判断できず、全員中途半端な位置にいて、結局QB#14原口がもっとも効果のあるプレーを選択した結果だった。こうして、少しずつディフェンス、とくにDB陣が振り回されていく。
 次のプレーも右WR#7池井への縦パスで18ヤードミドルゲインとなって敵陣16ヤードに到達すると、ここからはQB#14原口のカウンターとロールアウトからパスとスクランブルのオプションで10ヤードラン。QB#14原口とWR陣による揺さぶりで関西大学ペースとなってエンドゾーン目前4ヤードでFD更新する。
 さすがにここからのQBキープは2回ともショーツゲインに終わるが、第3DでのRB#1藤森の左G付近を付くドローランがトップスピードでスクリメージを突き抜けたシーンは、この時間帯の攻守勢いの差を如実に示していた。

 この関西大学得点ドライブの所要時間は5分少々。第3Q残り4分15秒で再び関西大学がリードを奪い、そして終盤戦へと突入していく。

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 次のキックオフ。関西大学はオンサイドキックを選択した。だが、キック飛距離が届かなかままに関西大学側のタッチがあって攻撃権は立命館大学側に与えられる。
 ポジションは関西大学陣39ヤード。関西大学は微妙なフィールドポジションを献上し、立命館大学は絶好のチャンスを得た。のだが。
 関西大学DL#95水村のロスゲインタックルなどでランプレーが進まず第4D。ギャンブルプレーはパス失敗だったが、両チームともに反則があってオフセッティングでやり直し。結局パスヒットで立命館大学攻撃が続くのだが、FD更新直後のミドルパスをDB#30小原がパスインターセプトとなる。

 オンサイドキックから立命館大学得点チャンスを迎えるものの第4Dギャンブル失敗。これが関西大学にも反則があって生き返ったもののパスインターセプト。立命館大学関西大学ともに流れを掴みかけたり放したり、微妙なバランスの中で繰り広げられる手に汗握る息の抜けない攻防が続いた。

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 続く関西大学オフェンスでは、第1Q同様に左サイドへミドルパスを集めてQB#14原口からWR#89青木へ2本のパスヒット(20ヤード+24ヤード)。これで敵陣へ侵攻するがFD更新後の3プレー中2プレーが微妙だった。第2Dでは第1QのTDプレーと同じようなロングピッチだったがディフェンスを崩せず、それ以外の2プレーが、そこまでの攻撃的な攻撃プランと比較すると思いのほか淡白に見えたが。
 敵陣37ヤードでの第4D残り2ヤード。ギャンブルプレーが始まりかけていたのだが関西大学3回目のタイムアウトを行使(残り時間9分台)する。ただしギャンブルプレー失敗で攻撃権は立命館大学に移動した。

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 だが立命館大学攻撃は糸口がなくなりかけていて、このシリーズからQB#9松田(竜)のスクランブルランを多用する。もっとも第1DでのOLホールディングロスが効いていて10ヤードスクランブルゲインもFD更新まで距離を残す。止むを得ず投げた左側ミドルパスをDB#13林にこの試合2回目のインターセプトされてしまった。残り時間7分44秒。立命館大学陣48ヤード付近で関西大学の攻撃開始。

 しかし、ここからの立命館大学ディフェンスも圧巻だった。得点差は7点残り時間7分台なので、ここで関西大学に追加点が入ると、ほぼ勝敗が決してしまう。TD7点は言うに及ばずFG3点で決するかもしれない。関西大学にはキックの名手#30小原が存在する。したがって、立命館大学ディフェンスとしては、これ以上のフィールドポジションを関西大学に与えることは許されなかった。

 一方の関西大学オフェンスも最も確実かつ時間が消費されるプレーとして、QB#14原口によるキープを選択する。一度はQBスクランブルでFD更新するものの、ここからはディフェンスマークも厳しくなってQBキープ等のランプレーに立命館大学ディフェンスロスタックルが2プレー続く。
 そして第4D。FD更新まで14ヤードを残し、さらにボールポジションは立命館大学陣36ヤードでFGキックを蹴るには微妙な距離が残った。関西大学はFGフォーメーションセットするもののギャンブルでFD更新を狙ったが、至らず。(関西学院大学戦でのFGフォーメーションからのギャンブルと同じようなパストライだった)

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 立命館大学に残った時間は5分01秒。自陣36ヤード。ただしRB#34橋本、#27高野橋には関西大学徹底マークが付き、パスはディフェンスプレッシャー等でコントロールに不安を残す状態。止むを得ず前シリーズ同様のQBスクランブルを試みて24ヤードゲインするものの2回目のQBスクランブルで負傷してしまい退場となってしまった。

 切羽詰った時点で全てを委ねられたQBが1年生#12荒木だった。WR#17呉田へ7ヤードパスや第4Dギャンブルメジャー付き成功で敵陣25ヤードに迫るものの、最後は届かず。関西大学ディフェンスの堅守が攻撃権を奪取して、勝敗が決した。

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 1TD差で関西大学の勝利となった。が、立命館大学も最後のシリーズで敵陣20ヤード付近までのドライブを行っていて、そこの成否の差が、そのまま勝敗結果に結びついている。(なお、ここで立命館大学がTDを獲得していてもPATは1点狙いのキックになっていたはず。したがって、立命館大学勝利の可能性という点では限りなくゼロに近かった)小さかった遠かったが。同点引き分け関西学生)

 この試合は徐々に関西大学ペースになっていったと言っても良いだろう。最初のオンサイドキックもそのモメンタムを掴んだ一つのきっかけであることに違いないが、やはり第4節で頂上決戦に持ち込んだ時点で、関西大学が3ヶ月間のリーグ戦全体における主導権を握ったことになる。

 立命館大学に油断があったのか、それとも第4節ピークコントロールできたのか定かではない。今後の試合でさらにステップアップして行けば、結果的にこの第4節がピークでなかったとも言えるが、この試合があったからこそのステップアップでもあるかもしれないので、ここの部分を議論してもあまり意味はない。

 関西大学としては第3・4節で頂上決戦になるだろうことは想定できる。対して立命館大学には可能性として考えることがあっても、実際に最初から狙ってここピークを持ってくるのは無理がある。第3節での関西学院大学戦結果を見てからのアクセルベタ踏みでは間に合わなかった、ということかもしれない。

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 関西大学オフェンスは、QB#14原口によるロールアウトからプレー選択するシーンが何回かあった。選択項目はスクランブルランとパスを投じるの2択。DBは、QBを追うとパスを心配し、パスを警戒してレシーバーカバーするとQBに走られ。
 序盤から行われていたランとパスのプレーサイド固定。そして第3Qに入って左右逆転とQBロールからの選択がDB陣の足を止めた。QB#14原口は、浮いているレシーバーの存在を確認しつつスクランブル走路の確認。そして最終的に安全なプレーを選択してゲインFD更新する。選択のフェイクも加わって主導権はQB#14原口とWR陣のものになる。第3Q関西大学の追加点はこのようにして生まれた。

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 関西大学トリックギャンブルは、第4Dギャンブルが3回(Pフェイク・メモなし・FGフェイク)。オンサイドキックが試合開始直後と、第3Q得点後の2回。合計5回のギャンブルプレーがあった。このうち成功したのは、最初のオンサイドキックのみ。

 ただし、この最初のオンサイドキックはその成否にかかわらず関西大学の思いを立命館大学に見せ付けるという点において、キックをした時点ですでに成功だった。その直後の立命館大学ディフェンスが冷静に対応したことで、即、関西大学ペースに傾くことはなかったが。

 トリックプレーは、相手を騙して動きを止めるためのもの。これで時間を稼いで自分に有利なプレーから試合の流れを引き寄せる。

 だから、試合の流れが自分のところに来ていたら、それを維持する、その試合の流れに逆らわない、流れに任せるというのも一つの考え方。一方で、試合の流れを完全に手中に収めるための攻撃的なトリックプレーも考え方としてある。そして、トリックプレーを失敗したら相手に流れが行く可能性もある。

 この試合は積極策も必要な試合だったことと、実際に関西大学ディフェンス堅守もあって、この多数機会いずれも立命館大学側に流れが大きく傾くことはなかったが、残り9分で全てのタイムアウトを使い切ってしまうことも含めて、少々やりすぎ、と思わなくもないが。

 例えば普通に冷静にパントを蹴ることで立命館大学に与える衝撃もある。一方でリターンされることは避けたいが、トリックプレー失敗後に残るフィールドポジションも、と、タラレバは重なっていくが、結果から類推すると何でも言えるので。

 ただ、第2Q早々の関西大学パント前に立命館大学がタイムアウト1回消化している。第4Dで10ヤード近くを残していたが立命館大学陣だったことと、開始直後のオンサイドキックや直前のパントギャンブルを見せられていたので、タイムアウトを要求して警戒するのも当然の行動になる。

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 この一連のギャンブルプレーを立命館大学視点で考えてみると、最初のオンサイドキック以降から試合後半も繰り返されたことで(言葉が悪くて本当に申し訳ないのだが)舐められている、という思いは抱かなかったのだろうか。
 関西大学サイドで観戦していた私は、立命館大学の反骨精神に火をつけるのではないかとヒヤヒヤしていたのだが、意外に、盛り上がらなかったようだ。ギャンブルを続けてくる相手の意識に、さらに、追い詰められてしまったのだろうか??

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 立命館大学は3勝1敗で後半戦に突入する。今後の試合は京都大学・神戸大学と続いて最終節では関西学院大学と対戦する。現時点では自力優勝の芽はないが、それは置いて。もう一度スタートを切る。

 一方の関西大学今後の試合は、目の前の対戦相手との試合以外のものとも戦わなければならない。緊張するか平常心で臨めるか。次節は近畿大学と対戦する。2005年には3戦全勝で迎えた第4節での近畿大学戦で油断から大敗することもあったが。

 ところで、関西学院大学戦も最後は関西学院大学逆転ドライブをしのぎ、今回も立命館大学同点ドライブをディフェンスが守り切った展開。開幕戦京都大学戦での大量得点のイメージが付きまとうが、その後の3戦はロースコア僅差の緊張した試合の中で最後を逃げ切るスタイルになっている。
 これが相手との力関係と天候のみに依存するのか、それとも関西大学攻撃の基本形なのか。少なくとも次節の試合を見てから考えたいと思う。

(以上)

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 この試合は、関西大学勝利なので様々なフェイクトリックも含めて、それなりに明るい色が付いて白星のための階段として記憶に残る。一方の立命館大学側の様々は、試合結果から見ると、あまり明るい色での記憶は残らないかもしれない。
 しかし、もしも、立命館大学が終盤で同点引き分け以上に持ち込んでいたら、関西大学の様々、および、立命館大学の種々の出来事は、おそらく現実とは異なった色になっているのは間違いない。

 この試合も、どちらか一方が完璧に崩れ去った試合ではない。前節の関西大学関西学院大学戦でも書いたが、たまたま、通った/通らなかった、に過ぎない。

 しかし、関西大学攻守の準備と見事な集中力・突進力は、最大級に称えるべきもの賞賛すべきものである。今年の関西大学は、第4節までを一つの目標としてストーリーを立てて達成のために時間をすごし、そして目標その1を達成した。
 対する立命館大学は緊急発進的だったかもしれないが第4節決戦に向けて調整し、さらに、試合中には想像以上の関西大学攻守完成度に驚きと緊張感が沸き起こったかもしれないが、それでも第4Q最後には攻守最後の力を振り絞った事実。

 両者切磋琢磨の中で互いに大きく成長していって、さらに高度なアメリカンフットボールの試合が行われていくことになるだろう、今年の残り試合と、そして来年以降も、新たなリスペクトの中で。

(了)






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