関西学生アメリカンフットボール Div1 第1節





 いよいよ2009年リーグ戦が開幕する。近年ではリーグ各チームの戦力が均等化しているので、シーズン序盤から注目のカードが目白押しの状態である。さらにシーズンが深まってリーグ戦順位がちらつきはじめるとさらにヒートアップしていく。
 思っていたとおりの試合展開・シーズン展開になったりならなかったり、チームとして、あるいは個人としてやるべきことはやった満足感が溢れたり、様々なところで悲喜交々のシーンが巻き起こる。
 その全てを見て、全てを観戦記に反映させたい、と思いながらもシーズンが深まるにつれて観戦記が1個欠け2個なくなり・・毎年申し訳なく思います。今年も全てを最後までということにはならないかもしれませんが、よろしくお付き合いください。

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 という前振りの後にこの話題に入るのも、いかがなものか、ですが。

 第1節の日程については、9月初旬は残暑厳しく炎天下の昼間は試合する環境ではないという健康面・熱中症対策もあって、過去には第1・2節の間を1週間空きのチームと2週連続試合という偏った日程や、全チームが2週連続試合という強行スケージュールが組まれたシーズンもあった。
 そして今回は、1週間の休みを確保するために8月最終週にずれこませて、全てをナイターにするために他会場同時刻開催という日程になったようだ。
 全てのチームの全ての試合を見たいが、試行錯誤の一環の意味も含めれば、止むを得ないところか。

 このように他会場同時刻開催で日程が組まれることが普通になってしまったのは残念だが、最近では、最終節(昨年など)だったり、第3?4?節(いつだったかの関学神戸@王子と関大近大@長居)という例がある。だが、私が知っている限り第1節は初めて?かもしれない。

 第1節の試合が他会場同時刻開催になったときに私的に困ることは、春夏を経てどのように成長したかを見る楽しみが先送りされてしまうことと、第2節の試合観戦準備ができないところになる。
 一方で最終節で他会場同時刻開催になると、その年の集大成の姿を見られない、とくに4年生最後の試合を見ることができないところが寂しい。そういう点で言えば、第3節あたりで重なってもその前の数試合で類推しやすいという利点はあるが、やはり、全部の試合を観戦したい。

 ということで、4試合中2試合を選択しなければならなくなった。

 考慮したポイントは3点で、春夏経過後の姿は見てみたいが、ネット上の情報にフィルターをかけることで補えるならば、それを用いる。
 開幕戦如何でその後が大きく変化(良くも悪くも)しそうなチームについては観戦する。残念ながら開幕戦黒星であったとしても、第2節以降は立ち直れるだろうと思うところは諦める。(後悔するとすれば3個目だろう)
 こうして、HPには反映させない個人的な第2節4試合の展望を描くにあたっての不都合が無いように2試合を選択してみた。のだが。

 片方は、おそらくこの判断で良いだろう心変わりすることはないと思うが、もう一方は今でも悩んでいる。もしかしたら当日になっても、電車に乗りながらも、この判断でよかったのだろうかと頭を抱えていることだろう。あなたは、どの試合を観戦しますか??

 2009年秋。始まります。









08月29日(土) 王子スタジアム 17:30
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
神戸大学73013230-0-1
甲南大学09311230-0-1
(関西学生結果速報メール)
 





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08月29日(土) 西京極陸上競技場 18:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学0706130-1-0
関西大学7142114561-0-0
(現地観戦)
 
京都大学
関西大学
G× 1Q
FG×
1Q TD
2Q
TD
RTD
TD
2Q END
3Q RTD
P×
TD
TD
RFL
3Q
4Q
TD
G×
FL
TD
TD 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方



 関西大学の得点は8TD56点。その内訳は、キックオフリターンとパントリターンが各1回(ともに#1藤森による)。ロングゲインラン1発による4TD(#1藤森2回、#22松森2回)。そして、敵陣でのパントブロックからの1TDと、最終シリーズでQB#18井上によるショットガンで1TDだった。
 つまり6TDが高速ランによるもので、オフェンス組み立てによるものは実質最後の1個のみになる。

 ロングゲインTDランはいずれも同じような風景で、インサイドオープンの違いはあるものの、RBがスクリメージ付近を抜けたときには、京都大学DLLBは完全に巻き込まれているか、あるいは巻き込まれる寸前の体勢なのでタックルに正確さを欠く。一方関西大学側はボールキャリア含めOL他数名以上が突進する状態。
 オープンへ展開したときもWRのブロックがしっかりしていたのでスクリメージ突破は簡単だった。その後はDBがスピードと体格に巻き込まれ、あるいはスピードのミスマッチでボールキャリアに手が届かないままにロングゲインTDとなっていった。

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 関西大学オフェンスはQB#14原口スターターで、そして第4Qに入ってからはQB#18井上に交代している。
 注目のフォーメーションだが、第1シリーズでショットガンセット、SBモーションプレーにDLが突っ込んでロス、RBショートゲイン、そして第3Dショートパス失敗。簡単にパントを蹴ることになるが、しかし、その後はセットバックメインに変わっていった。

 そして、第2シリーズはRB#5播川のドロー中央5ヤードとTE#89青木等参加のスイープ8ヤードでFD更新、WR#24川田へのクイックヒット13ヤードでFD更新、パワーOT8ヤードの後にRB#1藤森の右OT32ヤードTDランとなる。
 その後は、第3シリーズはランプレー3個でTD、後半敵陣1プレーでTD、後半2回目シリーズもランプレー3個でTD。オフェンスチームとしては、ほぼ何もしていない状態(というと正確ではないが、実質・・)にもかかわらず得点だけが重なっていく。
 QB#14原口のオフェンスで最も工夫があったのが第2シリーズ最初と第2Q最後のシリーズだけで、UBカウンターやスローバックパスのような凝った連携プレーを試みていたが、そんなことをしなくてもよい状態だった。

 そして第3Q後半以降、QB#14原口とQB#18井上によるショットガンセットによるパス中心オフェンスに切り替わっていく。
 オプションを得意とするQB#18井上にパス経験を、というショットガンオフェンスの取り組みだっと考えられるが、最終シリーズでRB#22松森の30ヤードのあとに、WR#24川田、#19堤、#17高原へパスをつないでTDまでドライブを完成させた。

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 この試合は先攻京都大学だったこともあって、チャートにあるように序盤は京都大学が試合の主導権を握りかけていた。

 第1シリーズ、QB#10桐原から右WR#82中村へのパスは行って戻ってフリーになって17ヤードのパスキャッチでFD更新する。しかし、その後は関西大学DBがレシーバーにべた付きなのでショートクイックを投げられずDL#91のプレスを受けてパントキック。  ここで関西大学にランニングインツーの反則があってFD更新まで1ヤードを残した第4D。一応はパントフォーメーションだったが、ショートスナップからのスペシャルプレーを行った。一瞬はボールの位置を見失ったのだが、関西大学選手がスクリメージ付近で前向きに対応しているところは見えている。

 ここで関西大学オフェンスがFD更新なく、簡単に攻撃権を京都大学に渡した。

 京都大学はゲインするポイントを見つけたか、たまたま連続ヒットしただけかもしれないが、右WR#18坂田に縦ロングパスを決めて敵陣7ヤードに迫り、先制のチャンスを迎える。
 しかし、ここでも関西大学ディフェンス堅守が光る。DLが中央ランをノーゲインに抑え、DLプレスで投げ捨て、左ピッチもディフェンスが付いてロス、さらにFGキックをブロックする完璧ディフェンスによってピンチをしのぎ切った。

 そして、ここを境界にして以後は関西大学オフェンスの得点が重なっていった。

 ただし、ここから第2Q以降を「関西大学ペースで試合が進んでいく」としてよいか、ここが微妙なところで、もしかしたらハーフタイム中でも京都大学側には追いつけるという感触があったのではないか。何故なら、第2Q最後の攻撃で、QB#10桐原からWR#82中村オンリーターゲットながら連続パスヒットで自陣24ヤードからTDドライブしていて、得意とするプレーが止まっていなかったから。

   DB3人くらいに囲まれながらも長身を生かして25ヤードクイックミドル。さらに、12ヤードヒット後のクイックミドルは失敗するものの、第4DQB#10桐原スクランブルで24ヤード前進する。最後も右コーナーギリギリの12ヤードTDパスが#82に繋がっている。

 失点がビッグゲイン3プレーだったこともあって、もしかしたら止まるかもしれないと思ったかどうか定かではないが、少なくとも得意とするプレーであっさりと得点できてしまったことで、京都大学オフェンス単体で見ると、後半に可能性があったと考えたかもしれない。

 試合前半の京都大学オフェンスは、ミドルロングパスシリーズだったり、RBへのロングピッチで左右に振ろうとしたり、インサイドラン突破を試みたり、QBカウンターだったり。一見バラバラだが、ゲインする可能性のあるポイントを探っていたかも。
 さらに関西大学DBがWRにべた付きだったのでショートクイックパスは投げられなかったが、DB裏への少し距離のある早いタイミングパス、が第2Q最後のオフェンスドライブで効果を確認できた。

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 京都大学にとっての誤算は、第3Q開始直後の関西大学#1藤森のリターンTDと、その後のパントキックをブロックされて、後半2分で合計4TD差に広がったことだろう。

 その次のシリーズでも、京都大学#5による40ヤード近いリターンによって、フィールド中央付近までポジションを挽回、ミドルパスを投じるも惜しくもサイドライン外などで攻撃が繋がらず。その次の関西大学攻撃で、再び、一発で持っていかれて5TD差に広がったところで、ゲームプランが成立しなくなってしまった、ということではないだろうか。

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 京都大学オフェンスのゲームプランを崩していったもう一つは、やはり随所に光る関西大学ディフェンスファインプレーになる。

 第1Q最初のDLLBの踏ん張りが京都大学に傾きかけていた試合の流れを引き戻し、その後増えていくミドルレンジ以上のパスに対してはDLLBのプレッシャーがQBのパスコントロールを乱していく。 第3Qパントブロック前の第3Dでは、この日OLBに入った#30小原がQB#10桐原の右ロールアウトに一人付いていってQBサックロス(5ヤード以上あったかも)を決めたり、その他QBキープやRBのインサイドアタックに対してDL#91杉原、#44田村などが随所でファインプレーを披露、OLB#2豊田も持ち味の鋭い突っ込みでキャリアに対応していた。

 この日の関西大学ディフェンスは特にDB5人を配してWRにべた付きのパス対応をしている。昨年までDB(S)を担当していた#30小原がOLBとDB位置を兼務して4〜5に変化させている。なお、DBの最終列に一人セイフティとして配置された選手は文字通り最後の砦として重責を担うことになる。(背番号をメモしているのですが、試合後半以降で再確認したときに似通った番号だったので、反対に最初の番号が本当に正しかったのか疑問が出てきてしまいましたので、今回は割愛します。)

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 この試合は、関西大学オフェンスについては、極論だが、何もしていないと考えたほうが次の試合以降に向けて位置付けを誤らないかも。ディフェンスは、第2Q最後に連続でパスを通されたシーンについて次の試合以降に向けて検討が必要か。

 京都大学については、オフェンスはゲームプランが崩壊してしまった形なので、次の試合で再スタートを切りたい。ディフェンスはILB#99又賀が不在だったが、その他のDLLBについては春とほぼ同じメンバーだったと思う。





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08月30日(日) 王子スタジアム 17:30
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西学院大学1421613541-0-0
近畿大学006060-1-0
(関西学生結果速報メール)
 





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08月30日(日) 西京極陸上競技場 18:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学1421140491-0-0
同志社大学003030-1-0
(現地観戦)
 
立命館大学
同志社大学
1Q
TD
FL
TD
1Q G×
TD 2Q
TD
G×
TD
FG× 2Q
TD 3Q
FG
TD
3Q
4Q FG×
G×
FL
REND 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方



 立命館大学オフェンス試合前半は、QB#9松田(竜)、RB#34橋本、#27高野橋、さらに途中からはRB#39川端も加わったランプレーは、まさにOLブロックドライブだった。
 OLがDLを掃除してそこをRBがトップスピードですり抜ける、あるいは、巧みにブロッカーつけて、いずれも大きくゲインする構造で、ディフェンスとしては如何ともし難い状態が続く。パスはWR#4尾崎、TE#99荒木(悠)、WR#84岡部、WR#2宜本への何度かヒットするものの数本にとどまり、実質7シリーズ連続の怒涛のTDランドライブで得点を重ねていった。

 RBによる中央ラン突破に対して、同志社大学DBもボールキャリアを逃がさない・外さないタックルをしているのだが、RBもなかなか倒れないままズルズルと数ヤードを稼ぐ。この足腰の強さについては次の試合以降でも確認しておきたい項目になる。

 こうして得点を重ねていった立命館大学オフェンスは、第3Q2回目以降QB#12荒木(裕)に交代すると、ここからはWR#2宜本と#4尾崎へのパス中心の攻撃を仕掛けていく。試合前半のラン中心と比較するとパス重視のオフェンスに変化したところは興味深い。

 同志社大学ディフェンスとしては、特に試合序盤は対応できないまま時間だけが経過していくのだが、しかし、少しずつLB陣(#57杉垣、#53藤田、#4辻田)のファインプレーが出てくるようになった。その中でも特に印象に残ったのはOLB#57杉垣がQBサック等シングルタックルで決めていたことで、LBの人材層はさらに厚くなっている。今後が楽しみなディフェンス陣です。

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 同志社大学オフェンスはQB#8佐藤によるショットガンとセットバックの併用スタイル。

 インサイドからOT付近までのRBクイックヒットは、立命館大学ディフェンスに対しても効果があって、試合序盤からRB#34河野と#22重坂のスピードのあるランプレーで、前半3回目の攻撃シリーズではFD更新3回している。

 そして後半最初のシリーズではミドルレンジのパスが連続ヒットから敵陣ゴール前まで侵攻してFG3点を獲得している。
 立命館大学ディフェンスメンバーはほぼスタートメンバーのなかで、#34河野による高速リターンから始まって、WR#7長谷川が11ヤードキャッチ、WR#82黒田はショートパス&ラン14ヤード、そして#22重坂もインサイドをスピードで抜ける14ヤードゲインで一気に敵陣へ。最後はDL#95山本、#96青山などフロントパワーに遮られるもののFG3点をもぎ取った。

 反対にロングピッチでディフェンスをかわそうとする試みは、むしろディフェンス選手団の集まりが早くて逆効果になりロスゲインが多くなってしまっている。

 QB#8佐藤からのクイックパスは、プレーコールやコントロールは冴えていたのだが、それを上回る立命館大学ディフェンスリアクションに驚かされることが多く、DLLBの長身メンバーが、手を伸ばし、さらにジャンプして何回カットしたことか。この壁がなければパス成功していただろうという失敗もかなりある。

 なお、この日のパスターゲットはWR#82黒田、#11岸本、#7長谷川、さらにRB数名という多彩なターゲットで構成されていた。

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 同志社大学オフェンスとしては結果につながっていないのだが、内容的には試合序盤からRBのスピードランやQBWRのクイックヒットなどで前進するプレーはあって、プレーコールもいい感じで、QB#8佐藤も激しいプレッシャーの中で投げ捨て判断もしっかりしていて、大きなサックロスゲインはなかったはず。

 今年のオフェンスは、とくにスピードのあるRBWRが多いことが特徴で、この日のようにプレーコールタイミングとパスキャッチなりタイミングがあえば一気にロングゲイン得点という可能性は確認できた。

 ただし、春に見たオフェンススタイルと若干違う?レシーバー中心にボールセキュリティに甘さが見え隠れするところには、春に感じた緻密さ丁寧さと異なるところが少々気がかりなところだった。

 なお、同志社大学リターナーは#34河野と#22重坂が交互。立命館大学のカバーチームの隙間を突いた巧妙なランスタイルで、スピードに乗って大きくリターン距離を稼いでいる。
 このリターンプレーは今後の試合でも十分に威力を発揮することになるだろう。注目したい。

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 立命館大学ディフェンスは、例えば電工戦など春の試合と比較すると若干メンバーが異なり、一部背番号にも変更があるようだ。
 スタートメンバーはDL#48十亀。#96青山、#90藤井、#97井上だったが、その後#96山本などが交代出場、LBでは#44相馬、#53浦川、#43盛田、DB#13北川、#35柘植、#21海島、#26荻須。

 試合を重ねながら、メンバーが固まっていくというスタイルになりそうなので、この日のディフェンスパフォーマンスが全てではない。
 ただし、オープンプレーにはほぼ対応していたものの、もしもスクリメージを中央突破できたならば、それがパスターゲット候補ならばパスヒットしたり、それがボールを託されたスピードランナーならばミドルゲインなったりしそうな印象。開幕戦1個ではなんとも言えないが。





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