関西学生アメリカンフットボール Div1 第3節



10月04日(土) 王子スタジアム 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西大学





甲南大学







 関西大学前節は近畿大学から40点を奪う猛攻を見せ、さらにディフェンスもスピードパワーが戻って完勝となった。その勢いに乗って今節も前節同様白星を獲得して勢いに乗りたい。一方の甲南大学もオフェンスのプレーバリエーションが豊富で、ディフェンスもDL#67塚本、#54宮本、LB#5橘田、#7佐藤、DB#4中田は早くて的確なタックルを繰り返している。

 したがって、この対戦は、少なくとも試合序盤は緊張したシーンが続くかもしれないが、その中で、関西大学はどこに突破口を見出すか、あるいは甲南大学攻守に勢いがつくのが先か、というところが見所である。中立の位置にあったモメンタムが、何をきっかけにしてどちらに傾いていくか。

 甲南大学オフェンスはQB#11松延からWR#18大槻、#16吉田、#81宅和などへのショート系のパスと、クイックヒットありドローのRB#26高谷による中央突破ラン、とランパスバランスがいい。UBタイプのランナー#44野々村やRBWR兼任#25檜垣の多彩な陣容である。

 対する関西大学ディフェンスもDL#97中田、#92福岡、LB#49宮崎などのスピードパワーが戻ってはきたが、オプションランや中央付近のミドルパスに対して危ういシーンを見せた前節で、第2・3列付近を揺さぶられたときに、どのように対処するか、今節では注目したい。DLLBによる前がかりな守備で甲南大学オフェンスが止まってしまえば問題ないが、QB#11松延のクイックパスが決まり続けると、攻勢逆転まであるかもしれない。

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 関西大学オフェンスは前節でQB#9宮城とRB#37大丸、#35楠田、WR#86強のランパスで前進を重ねており、とくにレシーバーWR#86強へ連続ヒットしたのが大きかった。大型OLもランホールを空けて中央ランゲインを稼ぎ出している。

 対する甲南大学ディフェンスは、特にDEがOLを掻い潜ってQBRB目指して鋭い突込みを見せることがあり、関西大学OLのブロック精度との相対関係は大きなポイントになりそうだ。QB#9宮城が安定したオフェンスを組み立てられるか、漏れてくるDE#67塚本、LB#6内芝を交わしながらパスやスクランブルなどで窮地を脱けだすことができるか。さらにRB#37大丸の中央ランに対するLB#5橘田、DB#4中田の動きにも注目したい。

 さらに、関西大学P#86強、甲南大学P#26板谷によるパントキックのコントロールと、とくに関西大学#16永川、#12森田の高速リターンからも目が離せない。

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 甲南大学はリーグ戦ここまで対関学・対立命に連敗だが、DIV1のスピードパワーに慣れてきて迎える第3戦、おそらくシーズンイン以降で大きな怪我人負傷者による戦列離脱者は存在しないはずで、ほぼ万全の体制で臨む。
 関西大学も、本領発揮した前節のようなランパスで少しずつ丁寧に切り崩すオフェンスとパワフルディフェンスを再現して、できるだけ試合の早い段階で主導権を掌握したいところ。

 ともにリーグ戦後半戦を睨んだ重要な一戦である。










10月04日(土) 王子スタジアム 17:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
近畿大学





関西学院大学
















10月05日(日) 西京極陸上競技場 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
同志社大学





京都大学







 京都大学は前節神戸大学から5回もパスをインターセプトするDB陣大活躍の試合だったが、しかし、詳細に見るとパス攻撃で崩されそうになった試合でもある。

 京都大学ディフェンスLB列は、積極的にQBにプレッシャーをかけることがなくランプレーと判ってからボールキャリアへ突進してくるスタイルで、パスに対してはDLが割り込んでQBに手が届くか、あるいはDB任せのように見える。

 したがって神戸大学両QBのパスはインターセプトされまくったが、ショートミドルレンジのパスでオフェンスドライブがつながりかけていたシーンもある。得点に現れていないことと、第2Q最後の2回のインターセプトが悪い印象を与えてしまっているが、QB#4大原、#11東野とレシーバー陣が大健闘した試合だった。(前節観戦記が落ちそうですが、なんとかどこかで挽回したいものです。京大神戸戦含めて2試合ほど完成の寸前まで行ったのですが、ファイルを上書きしてしまい、消滅しました)
 パスターゲットが豊富なチームは京都大学ディフェンスに対して効果がありそう、というのが、前節神戸大学戦を見た上での私の感想なのですが、いかがでしょうか?

 ということで、神戸大学同様にパス攻撃のバリエーションが豊富な同志社大学QB#17多川率いるパスオフェンスには注目したい。京都大学パスディフェンスはDB#15前川、#47阿部、#14田畑、#1小澤とアスリートが揃い、パスインターセプトを繰り返しているが、神戸大学との試合を踏まえると、WRとの運動量競争になったときの体力精神力のスタミナ面が課題になるかもしれない。

 京都大学ディフェンス視点に立てば、もしも第3列のパフォーマンスが崩れるようになれば、QBにプレッシャーをかけるべく、LBDLのブリッツシーンが増えてくるはず。このときに、入れ違いになるパスやランプレーは効果的で、特にQB#17多川のスクランブルランは厳しい。
 同志社大学前節はRB#2太刀掛不在が大きく効いてしまったが、今回欠場しても厳しいのは確かだが、致命傷にはならないだろう。QB#17多川のパスが通り始めたときの最後のトドメを刺すためのランパスで振り回すときに必要だが、同志社大学側に試合の主導権があるならば、他のプレーでも十分に代用できる。

 したがって、QB#17多川からWR#5上原、#7橋本、#81和田、#87居戸へ、ショート〜ミドルレンジのクイックパスを、確実に成功させたい。ただし、京都大学DBは、サイドライン際へのクイックパスのタイミングを予測して積極的にインターセプトを狙ってきている様子が伺えるので、パスコースとパスタイミングにはチェンジオブペースが必要。

 同志社大学は、開幕戦関西学院大学戦で5回の被インターセプトを記録していて、今回もインターセプト量産になるかもしれない。だが、京都大学陣内で攻撃権を渡すのであれば、パント代わりと考えても問題ないかも。この試合は、パスによるオフェンスリズムを掴み取ることを最優先にしたい。

 なお、ランプレーをするのであれば左右移動を含むオープンランやリバースは、京都大学ディフェンスのスピードに対して効果はないかもしれない。真横からするどいタックルを受けてロスゲインになってしまいそう。できることならば、ノーゲインでもいいから中央を縦に突くことでパスとの対比を際立たせてみたいのだが、いかがでしょうか。ランナーは、RB#21小寺、#22重坂。

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 京都大学オフェンスは、神戸大学戦で23点を獲得しているが、オフェンスドライブして挙げた点数は少ない。1本のTDロングパスと、プレー的には止まっていた中央突破のランプレーにタックルミスが加わったロングゲインがきっかっけになっている。
 さらに、試合後半には、時間消費も併せて目論んだラン中心の攻撃ではFD更新もままならない状態で、試合の流れが神戸大学側に傾きそうな兆候も垣間見えた。
 DBによるパスインターセプトで絶好フィールドポジションを獲得すれば得点につながる可能性が大きいが、京都大学オフェンス単独でみれば、神戸大学ディフェンス陣に対して必ずしも優位な位置にはいなかった。

 京都大学オフェンスはRB#2元村、#3曽田の中央突破のランと、QB#10桐原からWR#17生川へのショート、さらにWR#18坂田へのミドルロングのパスがドライブの原点となる。特に、時々織り込んでくるロングパスが一気にTDパスになるところが脅威になっている。焦点はRBのランプレーでどこまでゲインできるか。

 対する同志社大学ディフェンスもDE#75清松、#43栗山がQBサック等々激しい動きを見せる。さらに中央突破ランに対してはDL#56西村、#98夏目、LB#53藤田などの厚い壁、DB陣は#20岡、#9岸部、#25遠藤、#30桝谷の4人いずれも駆け上がってくるスピードが速い。
 そしてこの試合で注目すべきはDBによるパスカバーで、京都大学WR#18坂田へ飛ぶ突然のロングパスに対するDB陣の反応速度は、重要なポイントである。

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 この試合は、京都大学視点に立てば、前節に引き続き、今回もパスディフェンスが鍵を握ることになる。まだ3年生ながら年を重ねるごとに充実してきているDBユニットの縦横の活躍が、京都大学攻守両面に影響することになる。

 一方の同志社大学は、是が非でもQB#17多川のパスをヒットさせたいところ。つまり、QBコントロールとレシーバ側のハンドリングがキーポイント。ランゲインはロスでもいいというのは極論過ぎる?かもしれないが、パスがヒットし続けるならば、試合展開は一気に混沌状態に陥るかもしれない。










10月05日(日) 西京極陸上競技場 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
立命館大学





神戸大学







 神戸大学は前節京都大学戦でQB#4大原が負傷し、その後を引き継いだ2年生QB#11東野が登場してオフェンスを指揮したが得点届かずで黒星を喫した。QB#東野のパスインターセプトシーンがあまりにも強烈過ぎたので印象が悪そうだが、後半はQB#11東野からショートミドルレンジのパスがヒットしていてドライブに繋がっている。たしかに経験の差の部分はあるかもしれないが、QB#4大原#11東野が指向するスタイルは全く同じで、時間をかければ確実に差は埋まる。それもかなり短時間で達成できるのではないか。

 今年の神戸大学オフェンス陣容の特徴は、昨年と比較して信頼できるパスターゲットが格段に増えたことが挙げられる。#2桂、#84井上、#12石井、#7稲垣、さらに負傷復帰したTE#83東内。その結果、WR#24をフェイクに使えるようになったことが大きく、左右にモーションして、パスディフェンスの布陣を乱している。そしてこれが他のレシーバーへのパスヒットの要因につながり、見事な上昇スパイラルの関係にある。「ダブルカバー返し」やノーバック5レシーバーなど、パスオフェンスは十分に脅威である。一方でランナーがRB#1小椋オンリーなので、負傷するとオフェンス全体のバランスが崩れてしまうくらい影響が大きいかも。

 さて今節は、QB#4大原復帰なるかは重要なポイントに違いないが、QB#11東野でもパスランのバランスアタックは十分に取り組みが可能と見ている。

 ただし、立命館大学ディフェンスDL#92前田、#90久司、LB#99岸本は、前節京都大学ほど後方待機してくれないだろう。おそらくQB目指して突っ込んでくるはずで、神戸大学にはここの回避策打開策が必要でOLの活躍は必須である。QBはパスリリースとのタイミング競争にするか、逃げるか、向かうか。
 そしてWR#24大園がフェイクもパスターゲットにもなる変幻自在なパス攻撃に対して、立命館大学DB#4町、#12今西、#13滝澤の攻防も興味が湧く。

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 立命館大学は、前節同志社大学戦で2TD2FG20点までのロースコアに終わっている。オフェンスはドライブしているのだが、小刻みなゲインを重ねるスタイルなので、どうししても時間がかかってしまう。したがって、時間をかけた結果の結末がFGに終わるかTDまで行くかの違いは大きく、3点7点の差が試合展開に影響することがありうるかもしれない。、というのが今シーズンの立命館大学オフェンススタイルになる。(実は関西学院大学の攻撃スタイルも、距離を進むのに時間がかかるという点で似通ったところがある。この項、別途)

 神戸大学ディフェンスは、今秋2戦だけだが、ほぼ不動のメンバーとなった。昨年までディフェンス各ポジションに負傷者多発で、不動ベストの構成にもならなかったが、今シーズンはここまでほぼベストの布陣できている。
 DL#94久岡、#57春山、#75小澤、#89杉本のフロント4人に安定感がある。LBもILB#55宮川はこれまでの試合でも前がかりの鋭い判断でタックルを決める。#42玉井、#49浅野も加わった4−3は、近年神戸大学ディフェンス陣のなかでも完成度安定性とも群を抜く陣容である。

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 さて、この試合結果の分岐点になりそうなところを挙げてみると。

 神戸大学オフェンスと立命館大学ディフェンスの攻防、つまり、神戸大学QB#4大原あるいは#11東野が十分なパスパフォーマンスを発揮できるか、立命館大学ディフェンスが圧倒なるか、この点も興味のあるところに違いはない。
 のだが、この試合の行方を分ける真のポイントは、神戸大学ディフェンスと立命館大学オフェンスの攻防にあるのではないか、というのが、この試合展望のメインストーリーです。

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 ところで、シーズンイン直前に「DIV1シーズン展望」をUPしましたが、実は書き残し・未公開の部分があって、その内容について今回ここでも「また後日、改めて」とすると、本当に永久に日の目を見ないかもしれないので、未公開別途の中身を簡単に書くと。

 今年のリーグ戦傾向全般について、もう少し言うならば、関学立命オフェンスと、対戦するディフェンスチームとの間で繰り広げられる「モメンタムの傾き」について書こうとしていた。(上記の「別途」も、この関係です)

 立命関学とも今年はQBWRの関係が一新し、さらに、昨年よりも一発でTDを取れるようなプレーが少なくなりそう、しかし、ショートゲインながら積み重ねてロングドライブになる。というのが春を終わっての感想で、特に関学については、このイメージを強く持った。
 立命については観戦試合数が少なすぎるので断定は出来なかったが、ネット上などで入手できるいくつかの情報を元に類推すると、やはり、立命も同じショートゲイン積み重ねタイプになりそうな予感がした。

 そして、このオフェンススタイルになると、得点数が増えないまま時間が消化されてしまうことになり、スコア上は小差でハーフタイム突入になったりする。なので、ある程度はディフェンスの助けが必要になるかも、と某チームのシーズン展望で書いた。
 第1・2節の関学立命の試合はまさにそのような試合展開になっていて、昨年一昨年の「オフェンス爆発」と比較すると点数上は物足りないかもしれないが、計4戦とも今年のスタイルで「オフェンス爆発」はしている。

 ただし、もしも勝ち進んだときに、例えば関東とか社会人を想定すると、やはり、一発でTDを取れるような、あるいは、そこまでいかなくても一気にポジションを獲得できる手段が必要なシーンに遭遇するのは間違いない。
 そこで、リーグ戦シーズン中でも試行錯誤しながら、少しずつ成長していくことになるのではないかと、考えていた。前節関学甲南戦での第2Q関学2ミニッツオフェンスは、この視点に立ってみると、かなり納得できる2分間だった。(もっとも、このストーリーは私の思い込みのみで成り立っていて、チーム関係者がそのようなことを考えているかどうか、当然のことながら、不明です。)

 さて、このスタイルの立命関学オフェンスが、強烈なディフェンスチームと対戦したときに、本当に小差僅差のまま試合が推移していくと、変な空気・緊張感が生まれてくるかもしれない。それはそのままモメンタムが傾くことにつながっていく可能性が否定できない。
 微妙な雰囲気が漂うための点差は、おそらく前半を終わった時点で、最大甘く見積もっても1TD1FGまで(実質1TDまででしょう)。それ以上の得点差は、関学立命オフェンスにとって今シーズンの目指しているオフェンススタイルそのままに完全に力を発揮できている状態、つまり、自分たちのペースなので、シーソーは傾かない。

 シーズンイン直前、今シーズン日程表を眺めながら、「強烈なディフェンスを有するチーム」との対戦までに、立命関学オフェンスチームに変化があるか・間に合うか、などと考えていた。これが「DIV1シーズン展望」で欠落してしまった部分です。

 第3節でこのような対戦になったのだが、これは、私がシーズン前に想定していた時期に合致しているか否かは、試合直前の今となっては関係のないことです。

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 立命館大学オフェンスはQB#11松田からWR#31常包、#1呉田、TE#5森などへのクイックパスとRB#22西田、#34橋本による中央付近を突くランを組み合わせる。しかし、前節同志社大学DL#75清松などライン選手の動きが目に付いたように、OLブロックの安定感UP中という状態であり、今回も神戸大学DLの活躍するシーンが多くなるかもしれない。
 神戸大学DLLBによるQBサックやランプレーでのロスゲインタックルなどなどが繰り返されるようだと、本当に混沌としてくる。一方で、立命館大学のパスが連続ヒットする可能性も残っていて、このあたりいは本当に微妙。

 立命館大学側視点に立つならば、どこのポジションの誰がどうこうではなく、攻守ともに丁寧かつ確実なプレーが必要になる。それは反則やベンチワークも含む。後半戦を迎えるにあたっての大きな砦の試合になる。

 神戸大学は金星を目指し、立命館大学はステップアップのための試練。それぞれのチームの立場になって考えてみると、それぞれに勝ち上がってほしい試合です。










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