関西学生アメリカンフットボール Div1 第4節



10月13日(土) エキスポフラッシュF 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
同志社大学





立命館大学







 今シーズンの立命館大学は、全ての面で開幕戦から下降線を辿ってきているようで、ある種奇妙な成長曲線を描いている。そして、前節立命館大学は、神戸大学攻守に対して互角の内容で第4Qまでもつれる試合を演じた末の辛勝だった。

 もっとも、数ヶ月にわたる長いシーズン、あるいは、年間を通せば、連続して緊張を維持することはやはり不可能であり、中弛みの時期というものは、必ずいつか訪れることになる。それが、たまたま、前節の試合時期に当たったということだろう。

 そして、この試合展開を分けるポイントも、やはり、立命館大学攻守がどこまで立ちなおっているか、ここに大きく依存することになる。

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 同志社大学のオフェンスは、QB#17多川によるセットバックからのRB#2太刀掛による中央突破ラン、#11木原、#3越智、#5上原へのショート〜ミドルレンジのパスという組み立てで、そこにQB#17多川のキーププレーが巧妙に加わって展開される。堅実な面と大胆な面とを持ち合わせていて、それがプレーのバリエーションを広げている。

 OLによるライン戦は、これまでの京都大学戦、関西大学戦にはイーブンの力関係を見せて接戦の立役者となった。
 前節関西学院大学戦では、試合序盤はピンポイントで通用するのみだったが時間経過とともにイーブンの関係になって、RBのランプレーやQBキープによるオフェンスのドライブにつながっている。

 この試合でも、立命館大学のモチベーションによっては、同志社大学OLが試合前半からランホールを開けることも十分に考えられるが、そのチャンスを同志社大学が確実に得点に結び付けたいところだ。

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 立命館大学オフェンスと同志社大学ディフェンスの攻防も、やはり、立命館大学チーム全体のモチベーションに大きく左右されることになるだろう。
 もっとも、攻撃側は個人技でも得点することが可能で、RB#26松森、WR#1本多、#11前田、#7小城、TE#80井上などのスピードで一気にというシーンも考えられなくは無い。前節の試合は、まさに、この個人技で白星につなげたようなものであり、立命館大学の個人技が驚異なのは間違いない。

 しかし、得点僅差のまま試合中盤以降を迎えたときに緊張感が走るのは、やはり立命館大学側だろう。ここから負のスパイラルで萎縮して・・というのが前節神戸大学戦第4Qでも垣間見ることが出来たが。

 一方の同志社大学ディフェンスで特筆すべきは、DLに#56西村、#9藤井、#93染谷と血気盛んな選手が揃っていることだろう。前節関西学院大学戦でも再三の鋭いタックルを浴びせ、さらに、際どいプレーを見せていた。

 立命館大学OLも試合経験を積んで来ているものの、この同志社大学DL陣との対決は興味深いポイントになりそうだ。QB#9木下にまで手が届くようなことがあれば、それも均衡緊張した試合展開への入り口となるかもしれない。

 さらにLB#52田中、#54輪地には堅実さがあり、また最終列DB#25遠藤、#19荒井のランパスに対する反応もいい。ただし、LBDB間に隙間が開くことが多く、過去の試合でも、このポイントを狙われるとミドルパスがつながってしまう傾向にあるところが少し苦しいか。

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 試合を分けるポイントは、冒頭に記したように立命館大学攻守のモチベーションによるところが大きいのは言うまでもないが、第4節は、まだ微妙な時期でもある。
 今年の同志社大学は攻守とも侮れないところがあり、もしかしたら、ここでも緊張した試合になるか。

 試合会場はエキスポ・フラッシュ・フィールド。同志社大学が京都大学から白星を奪い、関西大学と引き分けた試合会場。もっとも立命館大学も開幕戦完璧な試合を演じたところであり、初心に戻るという意味もある。ということで最後は、縁起担ぎになってしまいました。










10月13日(土) エキスポフラッシュF 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
京都大学





近畿大学







 両チームとも前節の試合では、時間消費のランドライブを多用し、さらに、ランプレーのみでロングドライブを行ったために、1試合のオフェンス回数が5〜6回、その中で得点を重ねていくスタイルで、京都大学のスコアは12−0、近畿大学も17−7と数値上はロースコア僅差だが相手を圧倒した内容でともに白星となっている。

 オフェンススタイルも、京都大学と近畿大学ともパワーオフェンスという点でかなり似通ったチームになっている。もっとも近畿大学側にはスピード高速オフェンスという手段系が残されているし、一方の京都大学パワーは重量とサイズに裏打ちされたものと、若干の差異は残っているのだが。

 さてこの試合だが、両校ここまでの試合でのプレーの安定性を考えると、おそらくはラン重視のパワー系オフェンスによるゴリゴリスタイルになるのではないだろうか。パスは水物であり、もしも地上戦である程度の前進の可能性が見込めるならば確実性は高い。

 そして、ランで突破口を探してゲインできればそのまま、もしも糸口が見つからないのであればパスを加えるという方向になるだろう。もっとも、ランゲイン出来ないまま、それもミドルレンジ以上ロングパスを多投することになれば、それはオフェンスが追い詰められている証拠である。

 この時は、京都大学DB#15前川、#20永田、近畿大学DB#32鷲野、#21吉田、#34西村のパスカットからパスインターセプトの餌食にさらされることになる。
 京都大学パスディフェンスは神戸大学戦でWR大園を封じ、その他のレシーバーへのミドルパスにも対応して勝利に結びつけたように、昨年までのDB陣とは大きく異なる。
 近畿大学DB陣も同様でそのアスリートぶりは春NEWERAなどでもその兆候は見せており、また、ここまで第2節関西学院大学戦を除いてパスインターセプトを繰り返している。

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 京都大学オフェンスは、RB#99又賀、#39高松のパワーランとQB#19宮下キープに対する近畿大学DL#97高山、LB#9藤井、#43末吉のフロント陣の攻防、さらにはWR#82中村、#17生川への長短パスに対する近畿大学DB#32鷲野、#21吉田、#34西村のスピードあるパスディフェンスの対決。

 近畿大学オフェンスRB#5尾下、#44三好、#29吉田の中央突破ランをOL#56金田、#72皆川、#57岸田が支える。これに京都大学重量級DL#91三井、#59木村、#79酒井、LB#52中村、#5南出、#54川島、#11武藤による重量感溢れるタックルによるランディフェンス、さらにWR#88永山、#7冨尾、#19森のスピードあふれるレシーバー陣と京都大学DB#15前川、#14田畑、#20永田のパスディフェンスパスカバーという対決である。

 両者を対比して表現するならば、攻守ともスピードで上回る近畿大学、重量パワーの京都大学という表現になるが、差を強調しているに過ぎない。
 しかし、京都大学オフェンスと近畿大学オフェンスのスタイルが似通っているなどという表現をする時代が来るとは思ってもいなかった。

 この試合は、前回同様にドライブ少数回となるかは、相手ディフェンスとの力関係によるのでなんとも判断は出来かねるところ。しかし、おそらく、辛抱堪らずにプレー選択や選手起用面などで動いたほうが相手ディフェンスの網にかかる、そんな試合になりそうだ。










10月14日(日) 王子スタジアム 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
龍谷大学





関西大学







 関西大学オフェンスは、シーズンイン段階ではQB#9宮城、#18西隈、#14原口、RB#22松森、#27地下、#37大丸、WR#19中村、#86強、#16永川、#17西尾とバックス陣が揃っていたが、試合を重ねる毎に負傷者が増えていく状態で、前節でもフィールド内に立つものの機能を果たしていないところが見え隠れする状態にある。
 チームカラーとしてのスピードでゲインを稼ぐというスタイルを崩さずに、あとは選手層の問題、として総力戦で乗り切ることで成してみたい。

 関西大学ディフェンスは特にLB3人#5坂田、#49宮崎、#33大館が元気で、キャリアの動きに反応するスピードが際立つ。中央付近のランプレーはライン戦互角ならば大きく崩れることは無いだろう。さらにこのLB陣を軸に構成されるディフェンスメンバーDB#8井野、#13林のパスカバーもスピードはある。ただし、これまでの試合ではライン戦から崩れることも多く、龍谷大学OL陣との攻防が試合を左右するポイントとなる。

 関西大学は、ここまで1勝1敗1分と完全五分の星勘定だが、この試合で攻守ともきっかけを掴んで後半戦に臨みたいところです。

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 一方の龍谷大学は、ここまで3戦3敗だが攻守とも粘り強いところがあって最後まで精神力が途切れないところに今後の可能性を覗かせる。

 オフェンスは、ここまでWR#18西川、#4北山、#84西野へのパス精度は必ずしも高くはなかたのだが、前節京都大学戦ではいくつかのパスがヒットするようになってきている。
 また、ランプレーでも、前節ではRB#3楠田、#9上野、#40野村などによる中央付近をスピードで抜けるランプレーでゲインする見込みを覗かせている。ドローやピッチを巧妙に織り交ぜての緩急の差でプレーバリエーションが広がっている。

 もっとも、これまでの対戦相手が、立命関学、そして前節で京大という関西学生でもトップ級のディフェンスを相手にしてのオフェンス組み立てであり、理想的な展開にならないのも止むを得ないところがある。これまでの強固なディフェンスに対して、ランパスいずれも種々に工夫を重ねてきた結果がこの試合以降で見えてくるころだろう。

 関西大学のLB陣をどのように攻略するか、厳しいマークをいかにして外すか、このあたりがポイントなのは前述の通り。さて、如何に。

 またスペシャルチームでは、リターナー#7堀の存在に注目しておきたい。関西学院大学戦ではリターンTDを決めており、ビッグリターンで敵陣スタートというチャンスを掴む手段がある。

 ディフェンスは、DL#10田坂、LB#54末本、#44小栗、#98西村のフロント陣のQBRBに対するプレスが厳しい。DBでは#5高崎、#7堀などスピードのある選手のパフォーマンスに注目したい。関西大学オフェンススピードに対する龍谷大学の速さは対抗できる範囲内だろう。

 ディフェンスも立命関学京大戦の後を受けてそろそろ本領発揮となるか。色々な面で後半戦につながる試合を見たい。










10月14日(日) 王子スタジアム 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西学院大学





神戸大学







 神戸大学前節は立命館大学と第4Qまでもつれる試合を展開した。攻守ともライン戦でイーブンだったことがその第一の要因として挙げられるのだが、立命館大学側の気の緩みなのか、それとも、神戸大学ラインの整備が整ったと見るか。
 神戸大学としてはこの試合でも均衡したライン戦を展開してイーブンに持ち込みたいところだが、これだけは相対比較になるために、実際に関西学院大学のラインと対戦してみないと、不明なところが多すぎる。

 神戸大学これまでの試合は、京都大学戦でパス中心、立命館大学戦でバランスアタックを展開したが、関西学院大学に対してはどのように仕込むか。切り口突破口をどこにおくかだが、できたら関西学院大学ディフェンスのウイークポイントであるインサイドのランプレーだけは確実にゲインを重ねたいところだ。神戸大学RB#40竹内、#47大月によるラン攻撃に注目したい。

 そして、神戸大学はエースレシーバーWR#24大園をどのように起用するか。春の関西学院大学戦ではWR#24大園へ短いパスヒットが続いていたが、それは、関西学院大学ディフェンス側のロングパスは許さないがショートパスはパスキャッチ後のランゲインをさせないというパスディフェンスの方針によるところが大きいかもしれない。
 両校ともメンバー的には春とほとんど変化していないWRとDB陣なので、つまり、ショートパスはゲインするということなのだろうか。このあたりの長短パスの組合せと成功率は注目ポイントの一つとなる。ちなみに前節では、WR#12石井あるいは#16長田と同じサイドに配置してDBカバーをブロックしようとする意図が見え隠れしていた。

 WR大園がらみでもうひとつ。これまで神戸大学と対戦してきた関西大学京都大学はダブルカバーで対応した。そして立命館大学はDB(S)がかなり意識はしていたものの通常の1対1カバーで対応し、そして、1回のTDパスを除いてほぼ完封している。さて関西学院大学ディフェンス陣は、どのように対抗するか。三流ネタだが、一つの見所として挙げておこう。

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 関西学院大学ディフェンスとしてはDLがインサイドのランで抜かれるという現象は、春から秋リーグ戦前節まで続いており、おそらく今シーズンのディフェンス陣では、この点に関しては大きくは改善されないだろう。このウイークポイントとどのように付き合っていくかだが、しかし、試合の大勢が決した時間帯だけでなく、試合前半の重要な部分でもその兆候は見え隠れしており、今後の対戦相手つまり京都大学立命館大学を想定すると苦しいポイントに変わりはない。

 ディフェンス各ポジションは、DLの一部を除いてほぼベストメンバーで過去3戦を戦ってきているが、懸案の中央ランプレーの最終的なタックラーはLB#56佐藤、DB#84徳井、LBDB兼任の#11深川になる。この位置まで突き進まれるということであり、このLBDB陣がランにもパスにも対応しなければならない状況にある。瞬時の反応速度はもちろん持久力という観点での体力精神力までも要求されることになるのだが、対戦チーム攻撃側の組み立てのターゲットポイントになるかもしれない。

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 さて神戸大学ディフェンスだが、前節立命館大学戦ではイーブンの関係を見せて一発プレーの失点にとどめている。ライン戦で接戦となったことでディフェンス全体がリズムよく動けていたようで、DL#99小澤、#95春山、LB#52西澤など各ポジションともそれまでの2試合とは違った鋭くて勘のいい動きを見せた。
 その中でも特筆すべきは、立命館大学レシーバー陣のパスをショートゲインまでに押さえ込んだDB陣である。DB#11大垣は再三のパスカット、さらに、DB#34宮路、#26中江、#21山下がパスキャッチ後のランゲインを許さなかったこと、さらにインターセプトが1回。第3列のパスディフェンスがロースコアに結びついているが、この試合でもDB陣の活躍は試合の流れを左右することになるだろう。

 ランプレーでも立命館大学RB松森に執拗なタックルを決めていたが、ここでもRB#2横山、#38平田、#21稲毛などのスピードキャリア・パワーランナーに対して確実にタックルを決めたいところ。前節で一変したディフェンスパフォーマンスをこの試合でも発揮してほしい。

 さて前節神戸大学ディフェンスのトピックといえば、DB(CB)に#24大園を配置したことであり、私の知るところでは春の近畿大学戦でも終盤でCB位置でプレーしている。
 CBの仕事といえば当然パスディフェンスとランディフェンスだが、大園起用の意図は、レシーバーとしての能力・才能をディフェンス側にも発揮させたい、つまり、パスインターセプトによる攻撃権奪取、あるいはリターンTDにまでつなげようというのが神戸大学の狙いである。

 対戦相手もインターセプトされるのを嫌がってそちらサイドへのロングパスを投げ込まないかもしれない。しかし、それならばそれで反対側サイドを重点警戒すればいいことになる。もっとも、実際はその裏を付くことも考えられるので単純ではないのだが。

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 関西学院大学オフェンスは、ここまでの3戦いずれもQB#9三原が率いる時間帯限定ならば、ランパス散りばめて得点を挙げている。
 しかし、QB#16加納などが登場する後半以降は、全てのポジションで少しずつ選手が交代していくのでパフォーマンス低下が顕著になり、前節同志社大学戦ではFGの3点のみに留まってしまった。

 OLバックス含めほぼベストメンバーの前半と後半の内容を単純比較は出来ないのは当然だが、しかし、QB#9三原がスクランブルするたびに怪我をしないかヒヤヒヤしてしまうのも事実であり、やはり、二番手以降とのギャップの大きさを意識せざるを得ない。これはQBについてのことではなくオフェンス全ポジションでのことであり、不測の事態で全てが崩壊しそうな危うさがある。試合前後半を通じての安定した得点力、という試合にはならないのだろうか。

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 第4節最終戦。リーグ戦ターニングポイントであり、まだ白星の無い神戸大学は後半戦のために、そして、関西学院大学も後半戦の3強対決に向けてと、遠い目をしていられる試合になるか、それとも・・。両チームともに懸念事項はある。










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