関西学生アメリカンフットボール Div1 第1節



09月01日(土) エキスポフラッシュF 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西大学0077141-0-0
神戸大学0028100-1-0
(現地観戦)
 
関西大学
神戸大学
1Q
G× 1Q
2Q FL
FG×
2Q END
3Q
(S)
G×
TD 3Q
4Q G×
TD
TD
END 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 関西大学オフェンスは第1シリーズでQB#18西隈を起用するが、その後は試合最後までQB#9宮城でプレーを組みたてる。そのQB#18西隈がQBロールからのスクランブルキープで左右サイドから縦突破ランでミドルゲインを繰り返していた。  関西大学1年生OL#79保呂、#51角田が配置された右側のブロックが良かったこともあるが、試合開始直後で神戸大学ディフェンス陣のエンジンがかかっていなかったという見方も出来る。
 実はこの点を確認したくて関西大学オフェンスの第2シリーズに注目していたのだが、QB交替によってプレー傾向が変わってしまい、マニアックな楽しみが失われてしまったのが個人的なことだが残念だった。

 一方の神戸大学オフェンスは、QB#4大原による攻撃が続く。試合前半はRB#40竹内、#1小椋などによるランプレー中心で展開し、後半からは少しずつWR#12石井、#16永田、RBへのパスを織り交ぜていくという組み立て方は、昨年リーグ戦でも見られたようなスタイルとなっていた。

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 試合前半は、神戸大学が1回、関西大学はほぼ2回、いずれも自陣からロングドライブを行っている。いずれも相手ディフェンスの立ち上がりの反応が悪く、神戸大学はRB#40竹内と#33冨田、さらに#1小椋、関西大学はRB#37大丸、#22松森とQB#9宮城スクランブルによるランプレーで中央もオープンも、ずるずるとゲインが続いた。

 しかし、エンドゾーン間際に迫ってくると、ともに相手ディフェンスにロスゲインタックルを受けて距離を残してしまう。
 最後のシーンは、神戸大学がエンドゾーン目前でQBとTBの交錯によるファンブルロスト、関西大学はギャンブル失敗とFGキック失敗というところだが、そこに至るまでの段階で、関西大学ディフェンスLB#33大舘、#49宮崎、DL#91杉原など、神戸大学もDL#99小澤、LB#52西澤、#49浅野などによるQBサックやノーゲインタックルを受けて追い込まれていた。

 こうして前半は0−0の同点のままタイムアップとなる。戦前予想では、もう少しハイスコアリングゲームになるかと考えていたのだが、ドライブ距離はあるもののディフェンスが踏ん張るという構図である。
 均衡が崩れる「きっかけ」は何でも可とういう状態で、後半の試合展開が全く読めないままキックオフを迎えた。

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 後半は、神戸大学キック、リターン関西大学で再開したのだが、実は、キックシーンを見ていない。類推するに、神戸大学はショートキックを行い、そして神戸大学側が抑えたようだった。これが狙ったものなのか偶然の産物なのかが不明である。(これが、この試合の行方を別けるポイントの一つになる)

 第3Qの時間帯は、前半とは一転して両チームともディフェンス優位に立つ。後半先攻神戸大学中央のランに対して関西大学ILB#33大舘、OLB#49宮崎が対応、その後DL#91杉原のクイックネスがオープンプレーをシャットアウトした。

 一方神戸大学もP#18阪本のコントロールパントで関西大学をエンドゾーン手前に追い詰めると、エンドゾーン内での横パスにDL#57浦久保がセイフティーを奪い2点を先取、その後もオープンプレーにはDB#34宮路、#26中江、インサイドのランプレーにはLB#42玉井、#49浅野が対応という均衡状態が続く。

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 試合は2−0の僅差のまま第3Q終盤へ突入、そして、最初に大きく動いたのは神戸大学だった。フィールド中央付近での第4D、パントフォーメーションからのギャンブルは、RBへのショートパスだったのだがわずかに届かずギャンブル失敗。これでフィールド中央付近でターンオーバーとなる。

 続く関西大学オフェンスは、QB#9宮城からインサイドレシーバーへ20ヤードパスヒット、さらにWR#16永川へのスクリーンパスが30ヤードのTDパスと、わずかに2プレーで逆転のTDを奪った。

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 第4Q、追いかける神戸大学はWR#24大園へ短いパスをつないでFD更新するが、RB#40竹内に対する関西大学LB#33大舘、#5坂田、#49宮崎というLB陣の厳しいマークは前半同様のままでショートゲインに止まる。

 さらにWR#24大園にはDB#13林が徹底マーク、さらにDB#8井野も加わったダブルカバーでロングターゲットとならず。第4DギャンブルでパスターゲットをWR#24大園から他のレシーバーへ変更してショートパスでFD更新を狙ったがわずかに届かなかった。

 第4Q、残り5分15秒、神戸大学は自陣から攻撃開始。ここまでRBによるランプレーはLBに対応され、ロングターゲットWR#24大園はダブルカバーで封印されている状態だったが、もう一つだけ攻撃の選択肢が残っていた。それは試合前半でも少しずつ見せていたWR#12石井へのショート・ミドルパスだった。

 そしてこのシリーズはWR#12石井への2本のミドルパスで敵陣25ヤードに到達する。このパスが通ったことでQB#4大園スクランブルキープなどでもゲインして敵陣12ヤード。WR#12石井へショートパスを挟んで最後はRB#40竹内の中央突破ランで神戸大学が逆転に成功、さらにPATでもQBキープのオープンランで得点を重ねた。

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 神戸大学キックオフ。またしても見逃してしまったのだが、山なりのショートキックだったようだ。

 そして神戸大学の反則(キックキャッチインターフェア)により、関西大学は敵陣44ヤードからの攻撃開始となった。残り時間は2分05秒は結果的には再逆転に十分な時間だった。

 関西大学はQB#9宮城からWR#16永川、#19中村へのショートパス、RB#22松森のドロー中央突破に対して神戸大学も懸命にディフェンスを展開しフィールド内でボールを止めるなどでエンドゾーンを死守するのだが、2回FD更新してエンドゾーン手前13ヤード、QB#9宮城からTE#86強への縦パスがTDプレーとなる。この試合はじめてのTEへのパスで関西大学が開幕戦白星を獲得した。

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 試合展開は第3Q終盤までロースコア僅差で時間が経過したが、この僅差を打破すべく最初に動いたのが神戸大学で、第3Q最初のショートフリーキックや第4Dパントフェイクのギャンブルパス、さらに、第4Q逆転後にも短いフリーキックを試みている。普通に蹴ってフィールドポジションを得るという考えもある一方で、たたみかけるという方法もある。このあたりは結果論なのだが、試合の流れが変わったまさにターニングポイントでもあった。

 関西大学オフェンスはQB#18西隈のキープランがゲインしたのは関西大学OL#79保呂、#51角田という1年生OLサイドだった。因果関係を明確に掴むまでには至らなかったが次戦以降の楽しみとしたい。
 QB#9宮城によるオフェンスではRB#37大丸、RB#22松森に自身のキープラン、さらにWR#16永川などへバランスよく決まっていたのが印象的で、2TDに留まっているが、手詰まりという状態ではなく安定感のある攻撃だった。
 対する神戸大学ディフェンスもLB#42玉井、#49浅野、DB#26中江、#34宮路などディフェンス陣の粘りが光った。ただし、TDドライブを許した2回のシリーズだけは、いずれも引き気味のように見えたのだが、このあたり今後の試合でどのようにでてくるか。
 神戸大学はQB#4大原によるショットガンからRB#40竹内、#1小椋、#33冨田による中央付近突破のランプレーと、WR#12石井をターゲットとしたショート〜ミドルレンジパスという組み立て方だった。パス失敗も少なくオフェンスとしてはきれいにまとまっていたように思う。

 対する関西大学ディフェンスは特にILB#33大舘の守備範囲の広さが目に付いた。中央を抜けてくるランプレーはもちろんのこと、オープンプレーであっても、必ずボールキャリアに絡んでいる。さらにOLB#49宮崎、#5坂田、DL#91杉原なども反応のいい動きを見せていた。
 さらに特筆すべきは、DB(CB)#13林が神戸大学WR#24大園と1対1でかなり厳しいマークをしていたことである。ともに2年生なのだが来期以降の対戦が楽しみである。










09月01日(土) エキスポフラッシュF 17:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学13142114621-0-0
近畿大学000000-1-0
(現地観戦)
 
立命館大学
近畿大学
1Q
TD
TD 1Q
2Q
TD
TD
2Q END
TD 3Q
TD
TD 3Q
4Q G×
TD
TD
G×
END 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 立命館大学のTDが9個で62−0という大差のついた試合なのだが、両チームとも最後まで丁寧な試合運びだったこともあって、点差を感じることなく最後まで観戦できたというある意味では、珍しい試合となった。

 立命館大学オフェンスはQB#9木下が第3Q最後まで、そしてQB松田が第4Qを担当した。もっとも、第3Qの立命館大学オフェンスは、実質的にはプレー機会がなかった状態ではあるのだが。

 その立命館大学オフェンススタイルは、QB木下の場合はセットバックからのIフォーメーションを多用した。正確にメモしているわけではないのだが、おそらく6−4程度でセットバックからのRBWRへのランパスという攻撃スタイルになっていた。なお、QB#16松田の場合は、逆に比率でショットガン隊形からの攻撃が多い。

 RB陣ではTB#25高野橋、#29西田という若手がメインのボールキャリアとなり、さらにRB#44浅尾、#47中道がUBとしてセットしたパワープレーもあり、UBをリードブロッカーとしてTBが中央を突っ込むという、近年での立命館大学オフェンスでは考えられなかった珍しい光景が続いた。
 近畿大学ディフェンス陣は、この立命館大学RB#25高野橋、#29西田による左右OTからオープンへのランプレーに対して、なかなか対応できず、前半の4TDうのうち3TDはこのランプレーによる。

 パスターゲットとしては、WR#1本多、#7小城、#11前田など昨年今春活躍したメンバーとTE#85森、WR#86尾崎へパスが飛ぶ。

 もっとも、試合開始早々にQB#9木下からWR#1本多へ50ヤードの縦パス1本によるTDプレーはあるが、その後はショートパスキャッチからのミドルゲインが数回はあるものの、近畿大学DB陣が立命館大学レシーバーを執拗にくいさがったと見るほうがよさそうだ。
 第1QにDB#32鷲野がパスインターセプト、WR#11前田に対してDB#21吉田、DB#32鷲野、WR#80井上に対してDB#26武藤など近畿大学DB陣のスピードが印象的だった。

 さらに第2Q最終シリーズでは、ノーハドルオフェンスだったが、QB#9木下がLB#9藤井のブリッツでパスコントロールを乱したり、DL#99平原のサックを受けるなどで、パスよりはランの脅威を感じた試合だった。

 なお、第3Qの立命館大学オフェンスの3TDは、いずれも、キックリターンでビッグゲインした敵陣スタートからのわずか数プレーによる得点である。  1回目は、#29西田による49ヤードリターンで得た敵陣でWR#1本多へのサイドパスキャッチからのTDラン、2回目は、#82呉田の52ヤードリターンとTB#29西田26ヤード中央突破と#33山本のTDラン、さらに#82呉田による55ヤードリターンで計3TDを追加した。

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 近畿大学オフェンスは前半がQB#18原田、後半が#8荒木という起用方法だった。そして前半の近畿大学オフェンスがFD更新ゼロ回に対して、後半では何回かFD更新を繰り返しているのだが、やはり、これは立命館大学ディフェンス陣のメンバー交替によるところが大きい。

 前半の立命館大学ディフェンスは、DL#56岡本、#97久司、#57武知、#90佐倉、LB#54名和、#52海島、#5木下、DB#13石貞、#12今西、#4町、#20木下というベストメンバーによる鉄壁ディフェンスが近畿大学のスピードを完封した。

 しかし、第3Q終盤、近畿大学がQB#8荒木からTE#33佐藤へのプレーアクションパス11ヤード、WR#19森への中央ミドルパス27ヤードと連続ヒットさせて始めて敵陣へ侵攻する。
 ここで立命館大学DLが先発メンバーに交替、そしてDL#56岡本によるQBサックによって16ヤードのロスゲインを奪って近畿大学のロングドライブをシャットアウトした。

 なお、近畿大学オフェンス組み立てを調べてみると、QBによる相違点がなくはない。
 前半に出場したQB#18原田は、RB#5尾下、RB#29吉田の中央ランや自身のキープなど主にランプレー中心の展開を試みた。実際のところは、相手ディフェンスに完封されてしまっているので、その可能性については、なんとも言えない。
 後半に出場してきたQB#8荒木は、パス中心の攻撃となり、ショートパスからのランプレーやミドル〜ロングパスを何度か試みていた。ターゲットは、WR#88永山、RB#44三好、TE#33佐藤、WR#19森などWRRB関係なくパスターゲットとなっている。
 相手ディフェンスフロントスピードとの関係もあるが、プレッシャーのかからない状態でならば、面白いオフェンスになるかもしれないという印象を受けた。

 もうひとつ近畿大学側で目に付いたことは、特に試合前半で立命館大学にパントリターンをほとんど許していないカバーチームのスピードだった。パンターのキックコントロールも冴えて、#25川野などがリターナーの周囲を取り囲んでリターンさせない状態が続いている。スペシャルチームの整備も行き届いている様子が伺える。(なお、第3Qには先に記したように3回連続でビッグリターンを許しているが、どちらに修正があったかは未確認)

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 両チームともに内容の濃い試合で、大差の試合という感じを最後まで受けなかった。今シーズン今後の試合を睨んで目の前の1プレーに集中している雰囲気がフィールドに溢れていて、意識の高い試合だった。今後のリーグ戦で両チームがどのような試合を繰り広げていくのか、楽しみである。

 さて、シーズン展望でも示したように、立命館大学オフェンスがどのようなスタイルで登場してくるかが、今シーズンの一つの大きな注目ポイントだったのだが、セットバックによるIフォーメーションからのランパスというスタイルとなった。
 これが今シーズンのメインスタイルになるのか、それとも、例年通りのショットガンフォーメーションからのRB#26松森のランとWRへのパスというスタイルになるのか、実は、この開幕戦を完璧なスタイルで試合終了してしまったことで、全く姿が見えなくなってしまった。

 この試合を、大量得点の末に、雑になってダラダラした試合展開になっていれば、昨年までのイメージどおりの立命館大学だったのだが、過去には「アニマルリッツ」と言われたチームが、オフェンス・ディフェンス・スペシャルチームいずれもが、これほどに冷静かつ丁寧な試合をやってのけたという事実が、今年は昨年までとは全く違う何かを感じさせるチームになっている。

 この試合でRB#26松森は出場機会がなく、QBWR陣は昨年メンバーのまま。唯一OLの入れ代わりがあるが、それだけなので、その気になれば、昨年のスタイルで1試合を通すことも可能なのではないだろうか。

 対戦相手にとって最もいやなことは相手チームの戦力が全く読めないことで、モヤモヤした不安感が、少しずつ脅威とか恐怖心に変わっていく可能性がある。その全貌が明らかになるのは、果たして、いつの試合になるのだろうか。









09月02日(日) エキスポフラッシュF 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学01000100-1-0
同志社大学00013131-0-0
((現地観戦)
 
京都大学
同志社大学
1Q FG×
1Q
2Q
TD
G×
FG
2Q END
3Q
FL 3Q
4Q
TD
TD
4Q END
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 先攻同志社大学は最初の攻撃ドライブで、RB#2太刀掛とRB#6浦による中央とオープンのランプレー、さらにショベルパスとQB#17多川のキープを織り交ぜて3回のFD更新する。

 しかし、京都大学ディフェンスがRB#2太刀掛を重点マークするようになってドライブが止まり、さらにFGキックも右へ逸れて無得点に終わった。

 その後は、同志社大学のRB#2太刀掛、#6浦ドローやQB#17多川キープなどのランプレーに対して、京都大学ディフェンスが完全に対応するようになる。LB#52中村がRB#6浦ドローを2ヤードに止め、DL#91三井、#79酒井がQBキープをノーゲインに押さえ込むなどで、同志社大学オフェンスを追い詰めた。

 これに対して同志社大学はQB#17多川から左右サイドライン際へのパスとミドルパスを加えていく。第2Q最後のオフェンスドライブは、#11木原、#3越智へこれらのパスをつないだ結果による。
 しかし、このシリーズ、FD更新まで13ヤードを残した第4D、つまり、パス狙いがほぼ確実のシチュエーションでギャンブルを選択、DL#91三井、#55大嶽、#59木村の集中砲火によるQBサックを受けてしまい、京都大学に得点チャンスを与える結果となってしまった。

 なお同志社大学QB#17多川は、ショットガンフォーメーションとセットバックを併用するスタイルでオフェンスを展開した。春の試合でも3年生ながら大器の片鱗を覗かせていたが、それが、実現しそうなすばらしいパフォーマンスを披露していた。

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 一方の京都大学オフェンスは、QB宮下によるセットバックからRB高松のランと、WR#28坂田、TE#87薮崎、WR#7安藤へショートパスによる。
 特にQB宮下から各レシーバーへショートパスが確実にヒットしていたために、ランでもパスでもゲインを重ねることが出来、オフェンスドライブにつながっている理由の一つである。

 もうひとつは同志社大学が最初のころに5−3−3と前方重視の隊形だったために、RB#39高松のオープンランやTE#87薮崎、#28坂田へ左右外へのショートパスからのランが10ヤード近いゲインを繰り返していた。
 これで京都大学オフェンスも敵陣への侵攻を繰り返すのだが、一回目は最後を同志社大学DL#43栗山などに遮られ、2回目も右コーナーへのTDパスをDB#25遠藤にインターセプトされるなどで第1Qは終了した。

 第2Qに入ると同志社大学ディフェンスが4−3−4に変更して対応したことで一瞬はイーブンになる兆候が見えてきたのだが。

 これに対して京都大学は、RB#39高松のスピードでオープンをまくって15ヤード、TE#87薮崎への中央パスなどが通り、さらに#7安藤による逆サイドからジェットモーションによるピッチプレー、RB#21佐野へスクリーンパスなどでディフェンスを前後左右に大きく振り回す。
 途中で同志社大学側に負傷者が数名発生したこともあって、その後もショートパスヒットやRBのモーションプレーでゲインを重ねる。京都大学が自陣から5回のFD更新の末に、最後はQB#19宮下のドローでTDを奪って先制した。

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 後半も序盤は京都大学オフェンスに勢いがあったのだが、前半と違って、10ヤードギリギリでのFD更新が続くようになる。同志社大学ディフェンスの負傷者のうち何名かが復帰したことも大きく、DL#9藤井、#93染谷などがノーゲインロスゲインでタックルを決めるなど、少しずつだがディフェンスのプレッシャーが効きはじめて来る。

 この京都大学レシーバーのパスキャッチ後のラン途中に、同志社大学ディフェンスの鋭いタックルを受けてボールをファンブル、そして、同志社大学がボールを確保してターンオーバーとなった。
 実は前半の最初の京都大学攻撃中にも、同志社大学がランナーのボールを掻き出すタックルでファンブルを誘っている。その時は、京都大学側のリカバーとなったが、ディフェンス陣の意識の高さを覗かせていたのだが、それが、第3Qの終了直前という時間帯で実を結んだ。

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 後半の同志社大学オフェンスは、前半同様ランとパスで臨むも、DB#14田畑などに対応されて2回の攻撃機会ではFD更新も儘ならぬ状態だったのだが、ディフェンスの勢いが少しずつオフェンスにパワーを与えたのだろう、第4Q中盤の後半3回目の攻撃の第1DでWR#11木原へ39ヤードのロングパスを決めてリズムを掴む。さらにWRへのアクロス14ヤードでエンドゾーン前9ヤードに到達すると、最後はQB#17多川の左オープンキープでTDを獲得した。

  その後は京都大学の攻撃に対して、同志社大学DL#9藤井、LB#52田中、同志社大学の攻撃に対して、京都大学DL#59木村が対応、さらに京都大学P#99又賀、同志社大学P#5上原のともにコントロールされたパントキックがリターンをさせず、フィールドポジションを追い詰め、と、両チームギリギリの攻防が続く。

 3点差リードされている同志社大学ディフェンスは、DB#25遠藤、#19荒井が京都大学のオープンプレーに食らいついてFD更新を許さず、オフェンスに残り時間2分17秒自陣46ヤード地点での攻撃チャンスを与えた。
 これに対して京都大学ディフェンスも執拗なタックルで、同志社大学の攻撃をFD更新まで残り3ヤードの第4Dというシチュエーションにまで追い詰めたのだが。

 同志社大学はRB#2太刀掛の右オープンラン。DB陣の手がかかったのだが、それを振り解いて45ヤードの逆転TDランとなった。

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 今年の京都大学オフェンスは、QBからWRTEへショートパスが確実にヒットしている。さらにランでもパスでも少しでも前に進みもうとする意識の高い選手が多い。
 QBキープとRB#39高松のランプレーと、WR#7安藤、#21佐野、TE#87薮崎へのショートパスによって、バランスのいいオフェンススタイルになりそうなのだが、RBが高松オンリー?なことと、とくにQBRBに対してDLLBのプレッシャーが直接届いてしまう時が多く、組み立て的には苦しい状況が続いている。

 一方の同志社大学オフェンスでは、QB#17多川の度胸あるパフォーマンスが光っていて、同志社大学の過去の系譜に倣ったダイナミックなQBに成長しそうだ。
 スタイルとしてははセットバックとショットガンを使い分ける形を採用し、RB(TB)#2太刀掛と#6浦、さらにUB#91山口のランプレーと、レシーバーではWR#11木原、#3越智がQB多川のメインターゲットとしてQBWRのいい関係が出来上がっている。この日のパスコースはサイドライン際へのショートパスとLBとDBの中間に入り込むタイミングパスを多用していた。

 オフェンスの攻撃手段としては、溢れるほどの手数ではないのが、京都大学ディフェンスがラン攻撃に対応したならばパスで攪乱するというプレー選択の妙だけで十分に切り崩せることを証明した。緻密なオフェンス作りは、コーチや選手の連携のたまものである。

 そして同志社大学のディフェンスだが、最後の攻撃時間2分をもぎ取った執念のタックルを筆頭に、ファンブルを誘うボールへ向かうタックルを見せるなど、いい動きを見せていた。DL#9藤井、#93染谷、#56西村の前へのプレッシャーが厳しく、LB陣はキャリアをしっかり見据えて判断を下し、最終列DB陣は確実なタックルを決める。この連携が試合最後まで途切れることなくハイレベルを維持しながら続いていた。



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09月02日(日) エキスポフラッシュF 17:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西学院大学1421714561-0-0
龍谷大学070070-1-0
((現地観戦)
 
関西学院大学
龍谷大学
1Q
TD
TD 1Q
2Q
TD
FL
TD
RTD
TD
END 2Q
3Q
TD
RFL
3Q
4Q
TD
TD
G×FL
G×
REND 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方





 関西学院大学は前半QB#9三原が6シリーズ中5TD、後半#16加納は4シリーズで3TDを奪う猛攻を披露した。さらに最終シリーズでは#17浅海を起用した。大雑把に言ってしまうとショットガンスタイルからの攻撃となるのだが、各シリーズで目標があったかのように多彩な攻撃が続く。

 第1シリーズは、RB#45石田中心による中央ラン突破などのパワースタイルで臨む。セットバック・ショットガン併用スタイルからのラン突破だったが、開幕戦第1シリーズという緊張もあったか龍谷大学DL#10田坂、LB#54末本などの的確なタックルを正面に受けてしまう。第3D残り3ヤードのシチュエーションでの中央ラン突破でも2ヤードゲインに止まってしまい、最初の攻撃をパントで終えた。

 続く第2シリーズは、QB#9三原による決め打ちのショットガンからのキープが連続3回、相手ディフェンスの隙間を縫って合計56ヤードを含めたスピードドライブで得点する。
 その後も、RB#21稲毛が48ヤードのオープンランでTD、WR#85秋山へ75ヤード縦ロングパス1本でのTDと続いた。

 ここまでの3個のTDプレーは、いずれもスピードで相手ディフェンスの隙間を突破するというスタイルによる。

 しかし、パワー系のプレーでは、第2シリーズ敵陣7ヤードからインサイドのランプレーでエンドゾーンに飛び込むまでに3プレーを要しており、龍谷大学ディフェンスDLLBの勢いを前にすると、オーバーパワーしている状態ではなかった。

 関西学院大学の第5、第6シリーズはランとパスで刻んだドライブによる得点になっているが、RB#38平田、RB#21稲毛、RB#99河原によるインサイドのランプレーは龍谷大学DL#99岡持、DB#5高崎に対応されて大きなゲインにつながっていない。このシリーズでもエンドゾーン手前3ヤードでもやはり2プレーを必要としている。

 ただし、QB#9三原からWR#1岸へのアウトパス、RB#99河原へディレイパス、#21稲毛へのショベルパスなど、10ヤード程度のゲインなのだが、パスでは確実にゲインしていた。

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 試合後半は、QB#16加納によるパフォーマンスとなる。だが後半は、やはりWR#88松原によるスピードに任せた2本のTDパスが度肝を抜いた。
 1本目はフィールド中央での第3Dタイムアウト明けに56ヤードのロングTDパス、2本目もフィールド中央からのスクリーンパスでディフェンスの隙間をトップスピードで駆け抜けてTDを獲得する。
 なお、第4QにもWR#88松原へプレーアクション気味の短いパスが飛んでいるのだが、龍谷大学DB#5高崎の完璧マークによって3ヤードゲインに止まっている。

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 この試合で関西学院大学オフェンスは、スピード系のプレーとショートパスで前進を重ねるスタイルでドライブして得点を重ねていった。
 もっとも、オフェンススタイル自体は、春の段階である程度は今シーズンの形が出来上がっていたこともあり、この試合を観る限りでは、そこからの大きなサプライズ変化は感じられなかった。

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 対する龍谷大学ディフェンスは、DL#10田坂、#91城内、LB#54末本、#98西村、#2安本、DB#5高崎などが関西学院大学によるインサイドへの攻撃に対応、RBに鋭いタックルを決めていた。
 ブリッツを入れるほどの派手さはなかったが、今年も龍谷大学特有の攻撃型ディフェンスは健在である。

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 龍谷大学オフェンスはQB#12善元を中心に組み立てられている。第1、2シリーズではリストバンドを使ったノーハドルオフェンスを展開するが、キープ、オープンランに対してLB#56佐藤、#11深川にロスゲインタックルを見舞われる。
 さらにDL#93早川、#97國方の厳しいプレッシャーを受けながら果敢にパスを投じるのだが、なかなか突破口を掴めないまま2シリーズが終了した。

 第3シリーズでは普通にハドルタイムを設けたランドライブを展開、RB#3楠田のランドローやQBキープ、さらにUB#9上野のダイブなどで5ヤードゲイン程度だがコンスタントに進みかけていた。
 しかし、ここで第1Q終了サイドチェンジの時間を挟んでしまった。龍谷大学にとっては中央ランプレーがリズムよく進んでいただけに惜しまれる。
 サイドチェンジの後の第3D、FD更新まで2ヤードを残していたが、QBがDL#93早川に襲われてドライブが止まってしまった。

 ただし、龍谷大学オフェンスは次のシリーズでもRB#31小幡、#3楠田、#40野村が連続して中央を突くランプレーによってFD更新している。1プレーあたりのゲイン距離は大きくはないのだが、やはり、関西学院大学ディフェンスに対しては、インサイドのランプレーが有効のようだ。

 このように龍谷大学オフェンスもある程度は前進しているのだが、ディフェンス側のプレッシャーがあるのかもしれないが、パス失敗でダウン数が増えていくのがドライブが止まってしまう一つの原因である。

 第4Qには、RB#31小幡へショベルパス11ヤード、WR#18西川へ33ヤードパス、その後もRB#3楠田カウンター、#45若山へパスなどで、自陣13ヤードからリズムのある攻撃でランパスをつないで敵陣19ヤードまで侵攻する。
 ただし、ここでも最後の詰めの段階でフリーのレシーバーによるパスキャッチミスなど、惜しい失敗が続いた。
 QBレシーバー間のコンビネーションがアップすれば、視野の広い度胸のあるQBなので、このシリーズのようにランパスを散りばめたオフェンスは、かなり効果的だろう。

 なお、龍谷大学は第2Qに、#7堀による99ヤードのリターンTDを奪っている。キャッチ後のリバースフェイクで関西学院大学に迷いが生じてボールキャリアを見失っていた。その間に#7堀がスピードで間隙を縫ってのリターンTDである。

 龍谷大学は、オフェンスのバランスアタックと、攻撃的なディフェンス、さらに、スペシャルチームのスピードが揃っており、DIV1復帰初年でも白星をいくつか獲得できる勢いがある。



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