関西学生アメリカンフットボール Div1 第7節



11月25日(土) エキスポフラッシュF 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
神戸大学001316293-4-0
大阪産業大学3007100-7-0
(現地観戦)
 
神戸大学
大阪産業大学
1Q
FG
1Q
2Q
G×
END 2Q
G× 3Q
TD
TD
3Q
4Q
TD
TD
G×
FG
G×
TD
REND 4Q
(作者Aのメモより)
詳細テーブル


 この試合を観戦した人ならば、神戸大学WR#24大園と、大阪産業大学DB#24辻によるパスレシーブVSパスカバーに目を奪われたに違いない。

 WR#24の前に入り込んだDB#24のインターセプトあり、DB#24マークを外すための一瞬の動作でフリーの時間を作り出したWR#24。そしてロングパスに対するWR#24とDB#24のスピード競争も。

 神戸大学WR#24大園は1年生。そして大阪産業大学DB#24辻は2年生。来年もこのスピード対決を見たいと思わせる競演が繰り広げられた。

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 試合前半、大阪産業大学ランオフェンスに対して神戸大学ディフェンスが対応、特に#42玉井、#47川村、#39松井などのLB陣による再三のランストップタックルが効果的だった。

 しかし、神戸大学の第3列DB陣は負傷者を抱えているようで、経験の浅い選手が起用されているように見受けられるシーンがある。
 この試合でも大阪産業大学のランプレーは止まるのだが、WR#1粕井、#19寺川、#89春田へのミドルパスは、QBレシーバーのコンビネーションがパスカバーを上回っているようで、ヒットを重ねていた。第1Q大阪産業大学のFG3点も神戸大学のパスインターフェアの反則がきっかけの一つになっている。

 だが、神戸大学ディフェンスも徐々に修正が加わっていったのだろう、第2Qに入ると、DLのプレッシャーがQBに届くようになる。DL#95春山、#90荒谷などのQBサックが続いた。

 こうして、試合前半で神戸大学ディフェンスフロントパワーが大阪産業大学のランパスの両方に対応できるようになっていった。

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 一方の神戸大学オフェンス前半は、どちらかと言えば手詰まり状態。FD更新も儘ならない状態で波に乗れない。
 前半唯一のドライブは、QB#4大原によるピッチフェイクのQBカウンターラン12ヤードゲインが突破口になる。その後もQB#4大原の連続キープで15ヤード11ヤードとミドルゲインを連発したが、それもフィールド中央付近まで。パス2失敗でドライブが止まってしまった。

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 試合前半は大阪産業大学のFG3点のみ、3−0のロースコアの試合となった。

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 後半、神戸大学ディフェンスは、前半同様にDLLBのランストップとDLのQBプレスで大阪産業大学の攻撃の芽を摘み取っていた

 一方の神戸大学オフェンスは、今年のオフェンス切り札WR#24大園にボールを集めて得点を託す。
 WR#24大園の周囲にボールを飛ばせば、あとは個人技でDBのマークを外し、そして、スーパーキャッチでミドルゲインになる可能性が大きい。そして、実際にすべて実現するところがWR#24大園のすごいところ。

 自陣36ヤードから、WR#24大園へイン17ヤード、そしてDBと競いながらの35ヤードロングパスキャッチで敵陣へ侵攻、最後はTE#83東内とのクロスによってフリーとなった#83東内へのTDパスで神戸大学が逆転に成功する。

 その次のシリーズはRB#1の左オープンピッチからのラン57ヤードゲインとWR#24大園の巧みなステップワークでDBカバーを振りほどいた23ヤードTDパス、ビッグプレー2個で追加点をあげると、第4QにもWR#24東内の55ヤードロングパスキャッチをきっかけにして得点を重ねた。

 残り時間8分57秒、神戸大学19、大阪産業大学3。大阪産業大学は2TDでは逆転できない点差である。

 その後、大阪産業大学はRB#31阪本のオープン45ヤードランなどで7点を返すが、神戸大学もQB#7多和からWR#87山本へのTDパスで突き放し、そして試合が決した。



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11月25日(土) エキスポフラッシュF 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西大学014010244-3-0
同志社大学070072-5-0
(現地観戦)
 
関西大学
同志社大学
1Q
FG×
FG×
1Q
2Q TD
RTD
TD
FG×
2Q END
3Q
3Q
4Q
FL
TD
FG
FG×
4Q END
(作者Aのメモより)
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11月25日(土) エキスポフラッシュF 17:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学10377274-3-0
近畿大学000002-5-0
(現地観戦)
 
京都大学
近畿大学
1Q P×
RTD
FG×
FG 1Q
2Q
FG
FL
G×
2Q END
TD 3Q
3Q
TD 4Q
G×
END 4Q
(作者Aのメモより)
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 展望ではパワーの京都大学とスピードの近畿大学の対決という見出しをつけたが、実際に両チームディフェンスの健闘が序盤の引き締まった展開を演出した。

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 先攻近畿大学オフェンススタートは自陣17ヤード。QB#10岡からWR#19森へのミドルパスでFD更新するが、続くランプレーを京都大学DL#59桂木に、さらにDL#92木村によるQBサックとディフェンスパワーによる後退が続いた。

 そして、第4D。近畿大学パントを京都大学がブロック、DL#59桂木がボールを確保する。先のランプレーでロスゲインを奪っていたこともあって、エンドゾーンは目前。ディフェンスパワーで京都大学が先制した。

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 近畿大学はWR#88永山、#87石田へのミドルパスがディフェンスの隙間にヒットするものの、UB#35平城、QB#10岡のキープなどのランプレーは、試合序盤から京都大学LB#29植竹、LB#54川島等に遮られ続けていた。

 近畿大学の前半4回目の攻撃、WR#19森、#82島田へミドルパスを3本ヒットさせて敵陣11ヤードまで侵攻するのだが、その後のランプレーは、やはり京都大学ディフェンス網を突き破ることが出来ない。
 そして、敵陣5ヤード付近でファンブルロスト、チャンスを得点につなげることができなかった。

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 一方の京都大学の攻撃は、どちらかと言えばランプレーが進む。今シーズン京都大学オフェンスドライブの原動力となったRB#39高松のスピードランは、この日もミドルゲインを繰り返す。
 さらにこの試合では、UBに配置された#36二見のダイブ中央突破ランダイブも効果的なゲインを稼ぎ出していた。

 京都大学の第1シリーズは、UB#36二見による34ヤードの中央突破ダイブで一気に敵陣へ侵攻、さらに、RB#39高松による右OT付近を執拗に突くランプレーで18ヤード、9ヤードと前進、DLもランキャリーも加わってFD更新ツーゴール、最後はK#28佐々木がFG3点につなげた。

 第2QにもDB#22中西のパスインターセプトによる敵陣18ヤードスタートのシリーズをFGへつなげてリードを広げる。

 前半京都大学13得点のうち10点はディフェンス側が稼ぎ出した得点となった。

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 近畿大学のランオフェンスは、京都大学DLLBに対応されてシャットアウトを繰り返す。かろうじてミドルパスが繋がっていたのだが、少しずつDLパワーが漏れるようになっていた。
 そして第2Q終盤には、DL#92木村のQBサックやDBによるインターセプトが見られるようになり、徐々に近畿大学オフェンスの芽が摘み取られていく。

 一方、京都大学のオフェンスはQB#19宮下とRB#39高松によるランプレーはある程度ゲイン出来る見込みはあった。
 しかし、パスは、近畿大学DLLBのQBへのプレッシャーが厳しく、DL#97高山のQBサックやLB#51森安によるインターセプトなど、どちらかと言えば、オフェンスドライブが止まる要因となっていた。

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 後半の京都大学オフェンス組み立てがラン中心になったのは前半の結果からなのだろう、後半第1シリーズ、RB#39高松による連続キャリーでカウンター14ヤード、右OT25ヤードランなどで一気に敵陣10ヤードに到達すると、その勢いのままにRB#39高松の右OTランでTDを獲得した。

 さらに第3シリーズもLB#9吉田、#25岩井、#51森安の執拗な対応を掻い潜ってRB#39高松、#32庄司、QBカウンターランなので3回のFD更新、そして右サイドをRB#39高松がスピードで捲り上げた。こうして京都大学後半はオフェンスの力で2TDを追加する。

 一方の近畿大学オフェンスは、後半再開直後から3シリーズ連続でFD更新できず。いずれもパス中心の組み立てとなったが、パス失敗やDB#23田畑パスカット等毎シリーズパス失敗が先行するので第3Dロングのシチュエーションを残す。そして、当然のパス狙いに対してディフェンスに警戒されるという悪循環が続いた。
 リバースプレー等でディフェンス拡散を狙うものの、LB#54川島、DL#92木村に対応され、近畿大学オフェンスは京都大学ディフェンスパワーに完全に追いこまれてしまった。

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 第4Q、京都大学は、自陣20ヤードからRB#39高松、#36二見等によるランプレーで前進を繰り返し、一方で時計は回すという得意のタイムコントロールオフェンスを展開、わずか30ヤードを進むのに7分を使い切るという「マジック」によって、近畿大学から攻撃時間を奪い取った。

 近畿大学後半4回目の攻撃は残り時間わずかに3分21秒。しかしここでも京都大学DL#52川島、LB#29植竹、DB#23田畑などの堅い守りが近畿大学に攻撃の糸口すら掴めさせない。そして、このままタイムアップとなった。



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11月26日(日) 神戸ユニバー記念競技場 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学7007146-1-0
関西学院大学0907167-0-0
(現地観戦)
 
立命館大学
関西学院大学
1Q
FL
FL
TD 1Q
2Q TD
(S)
2Q END
FG× 3Q
FG×
3Q
4Q TD
G×
TD
4Q END
(作者Aのメモより)
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 得点7−7の同点で迎えた第2Q終盤。
 関西学院大学第4Dパントの前に立命館大学はタイムアウト行使で時計を止めた時点で、残り時間1分01秒。

 立命館大学のタイムアウトには、パントキックに対するリターンと、その後の数プレーで得点したい、という狙いがあった。

 しかし、立命館大学リターナーの周囲には、関西学院大学選手複数名が迫っていて、リターンできなかった。

 残り時間0分52秒、立命館大学オフェンスは自陣22ヤードから。

 第1Dは当然のようにロングパス狙い。しかし、QBサックによるロス7ヤードでボール位置は自陣15ヤード地点。

 このポジションになると立命館大学としては逆に時間を消費したいところと考える。しかし、今度は関西学院大学がタイムアウトで時計を止めた。

 第2D、DL#94荒牧によるQBサックロスを避けるべくパスの投げ捨て。そして、再び時計が止まった。残り0分33秒。

 第3Dは、左ロールアウトからのパス失敗(スクリメージを越えた不正な前パスの反則)ロストオブダウン5ヤード。ポジションは立命館大学陣10ヤード地点。

 そして、第4Dパントのシチュエーションが巡ってくる。

 しかし、センターのスナップしたボールがパンターの頭上を越えてエンドライン後方へ。第2Q残り19秒、関西学院大学がセイフティーによる2点を獲得した。

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 第4Q。関西学院大学16、立命館大学7。9点差で関西学院大学は自陣20ヤードからの攻撃開始。残り時間は8分07秒。

 ここから反則分含めて計3回のFD更新ドライブは、少しずつ、距離を稼ぐということから時間を消費することへ、重点ポイントが変わっていった。

 敵陣42ヤードでのFD。

 立命館大学は、ランプレー2回合計0ヤードと渾身のディフェンスタックル。さらにQBスクランブルも8ヤードに止めて第4Dへ追い込む。さらに、時計を止めるために立命館大学後半2回目のタイムアウト行使。

 関西学院大学は、このシリーズここまで5分間近い時間消費を行ったが、できることならば攻撃権を渡したくない。そして、第4Dパントフォーメーションセットからのスペシャルプレーを試みた。

 ブロッカ役へダイレクトのスナップからライン裏へレシーバーへのショートパス。レシーバーもスライディングキャッチを試みたが、惜しくも失敗。攻撃権は立命館大学に移動した。

 残り時間3分16秒。

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 立命館大学オフェンスはパスインターフェア、WR#84中林、WR#22和田などへのミドルパスをつなぎ、さらにQB#9木下スクランブルで連続FD更新。そしてWR#1本多へのTDパスを決める。圧巻のオフェンスドライブだった。得点差は2点。残り時間1分51秒。

 立命館大学オンサイドキックは、ボールに触れるものの獲捕できず。

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 関西学院大学オフェンスは自陣44ヤード、残り時間1分49秒、点差は2点、つまりFGで逆転する状況、さらに先の立命館大学TDドライブを見せ付けられると、関西学院大学側としては、絶対に立命館大学にボールを渡せない。

 一方の立命館大学は、少しでも時間を残したい。時間を残すために何をすべきか。ボール位置も重要だが、1プレーで得点できる立命館大学オフェンス陣容を考えれば、残り時間のほうが重要だった。

 こうして、両チーム攻防の焦点は、時間をどれだけ残すか、どれだけ使うか、に絞られた。

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 関西学院大学自陣44ヤード。第1Dランプレーゲイン0ヤード。立命館大学は後半3回目のラストタイムアウトを行使。残り時間1分37秒。

 第2Dは、QBキープからのロスゲイン。しかし、フィールド内でボールデッド(プレー終了)したので、時計は回る。

 時間は流れて試合残り時間は0分台へ突入した。

 関西学院大学は25秒計で2秒を残すところまで時間を消費して、3回目のタイムアウト行使。残り時間0分48秒。

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 この関西学院大学タイムアウトは、残り2プレーでどのようにして時間を使うを検討したのだろう。

 それに対して立命館大学ディフェンス側は、どのようにして時間を残すか/作り出すかが、検討課題となる。
 しかし、「オフェンス側が時間を作り出すために」という状況と実際は、これまでも数多く見てきたが、「ディフェンス側が時間を作り出す効果的な方法」というのを考えたことがないような。

 ディフェンス側が時間を残す(作り出す)方法は、相手がパス失敗しなければ、いち早くタックルしてプレーを止めるしかない。しかし、フィールド内でボールデッドとなると時計が回ってしまう。
 したがって、フィールドの外へボールを運び出さなければならない。もちろん関西学院大学ボールキャリーはフィールド内でダウンしようとする。

 だがら、中でプレーを潰さない、キャリアをフィールド外へ追いやる、というところが具体的な方策となる。
「外へ追いやる」の究極は「かつぎ上げて外へ運ぶ」ということだが、そんなことができるのだろうか。物理的またはルール的に。

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 残り時間0分48秒、関西学院大学第2Dプレーが始まった。

 再びQBキープのラン?。そしてディフェンスが集まるがフィールド内でプレー終了デッドとなる。時計が回る。

 そして、一度は許されるディレイオブゲームの反則で、25秒を消費した。スタンドにはカウントダウンの声が上がるが、しかし、25秒を消化しても、試合時間が3秒残った。

 関西学院大学は必ず1プレーしなければならない。そして第4D。次の時計再開はセンターのボールスナップから。

 ここで関西学院大学は、再びディレイの反則をするが、それは、最終プレー確認のためか。5ヤード下がってしまうことよりも、最後のプレーを確実にこなすこと、3秒をしっかり消費することのほうが優先される。その準備のための時間を作ったディレイオブゲームの反則。

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 さて、第4D残り3秒。プレー選択としては大きく分けて3個。

 通常通りパントを蹴る方法。これは立命館大学がボールをキャッチしてリターンTDの可能性が出てくる。したがって、ボールを蹴ることは避けたい。

 そこで、ランプレーとして3秒間ボールを持って逃げること、になる。

 そのランナー役を誰がするか。通常通りP(パンター)がするか、あるいは、通常通りQBかRBに持たせるか。
 この段階でどちらが「通常」かは重要ではなく、どちらが安全かということになる。

 実際に行われたプレーは、ロングスナップしてP(パンター)にボールを渡して、#6大西が逃げ回る、だった。結果は関西学院大学陣5ヤード地点でボールデッド、試合終了となったのだが。

 しかし、ロングスナップによるボール後逸の可能性もあった。そのままボールが転がってエンドゾーンに達すればセイフティー。
 P(パンター)が、ボールを狙ってくる立命館大学選手に囲まれてニーダウンできない、あるいは、パンターを追い込んで(かつぎあげて)エンドゾーン内でセイフティーまでも。
 関西学院大学選手がPの周辺に数名残っていれば、少しは違うが。

 あるいは、通常通りのQBのボールキャリーでは、ディフェンスが突進して怪我することを避けたか。

 実際に行われたロングスナップでボールをエンドゾーンに近づけるという行為は、あとから振り返ると、ヒヤヒヤモノのプレーでもある。もしかしたら観客席でも何人かは叫んでいたかもしれない。
 関西学院大学選手スタッフは、どの可能性を考えて何を最善としたか。そしてプレーを行う選手の誰に何を託したか。真相が外部に漏れてくることはないが、3秒を確実に消費したのは事実である。

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 第2Q、立命館大学が得点を狙ったシーンもタイムアウトの応酬による試合時間の確保と消費が入り乱れた。そして第4Q最後で再び秒単位での試合時間の奪い合い。
 極限状態の中での2006年立命VS関学は、最終スコア関西学院大学16、立命館大学14で幕を閉じた。


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*********

 先攻関西学院大学第1シリーズは、第1Dでロールからの逆サイドへのスローバックバス、第2DはQB#9三原のキープ、そして第3Dが中央ミドルパス。結果的にはFD更新ならずだが、ボールを3方向へ散らしてディフェンスの反応を見たというところか。

 それに対して立命館大学オフェンスは、自陣27ヤード付近からミドルゲインを重ねてFD更新を繰り返した。RB#26松森の連続ランキャリーによるFD更新、さらにWR#11前田へミドルパス12ヤードがヒット。
 その後もRB#26松森ラン、WR#1本多パス、RB#26松森ランはいずれも10ヤードゲイン。左右OT付近と中央パスで勢いのあるドライブが続いた。
 しかし、敵陣24ヤード付近でのランプレー途中、雨で滑ったのか、QBRB間のボールの受け渡しでファンブルロスト、ターンオーバーとなってしまった。

 一方の関西学院大学攻撃もRB#32河原の中央突破が大きく34ヤードゲインして敵陣へ到達する。
 しかし、続くエクスチェンジで関西学院大学もファンブルロスト。雨のためか両チームともオフェンス側はバタバタした状態が続く。

 さらに第1Q終盤、関西学院大学オフェンスチームは、レディーフォーでセットしたが、ゲームクロックは動いていて残り0秒を迎えようとしていた時。
 おそらくプレーせずにそのまま時計を流して第1Qを終了させようと思っていたのだろう、しかし、ゲームクロック残り1秒付近でセンターがボールをスナップしてQBがお手玉。最終的にはボールを確保して事なきだったが、ミス多発の試合となったのは、全勝対決による緊張の連鎖なのかもしれない。

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 第1シリーズでオフェンスドライブが続いた立命館大学ショットガンオフェンスは第2シリーズでも再びゲインを重ねた。
 パスに対して関西学院大学DB陣は足が止まったままボールの軌道を見ているだけで、レシーバーマークも出来ない状態なので、レシーバーフリーのミドルパスがヒットするのもやむを得ない。
 WR#11前田13ヤード、#22和田へプレーアクションパス中央15ヤード、さらに、#7小城、#26松森など中央やサイドライン際へ、QB#9木下から早いタイミングパスがつながる。最後はWR#84中林にTDパスを決めて立命館大学が先制した。

 ここまでの立命館大学オフェンスは止まりそうな雰囲気が全くなかったのだが、しかし、このあたりから少しずつ変調をきたしてくる。

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 一方の関西学院大学オフェンスは、RB#35古谷ショベルスクリーン15ヤードとWRクロスした#1岸へ21ヤードヒットして敵陣15ヤード地点に到達する。パワーで前進するというより関西学院大学らしい技巧的なプレーによるミドルゲインだった。

 さらにQBカウンターキープで9ヤードゲインする。そして、再びQBキープの中央突破ラン。しかし、スクリメージの密集を突破しようとした瞬間にボールをファンブルしてしまう。
 最終的にボールを確保したのが関西学院大学OL#50生田。その位置がエンドジーン内ということで関西学院大学のTDとなったが、これでOL後方QB付近でのファンブルが3回目となった。

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 一方、立命館大学オフェンスと関西学院大学ディフェンスの攻防でも、関西学院大学ディフェンスLB#56佐藤、#53柏木等のファインプレーが少しずつ目につくようになり、それにともなって立命館大学オフェンス全体の様々な判断が乱れていく。

 さらに立命館大学第3シリーズ以降パス中心にオフェンスを組み立てていこうとする狙いがどこにあったのか。第2シリーズはパスでTDにつなげているが、それは、ランを組み込まないのか、それとも、組み込めないのか。序盤にあったRB連続キャリーも見られなくなっていた。
 そして、関西学院大学DLが立命館大学OL陣をコントロール、LB#56佐藤、DL#93早川、#94荒牧などのプレッシャーがQBに伝わっていく。

 この途中にもWR#11前田がなんとか前へと、右サイドライン際ショートパスキャッチ後にDBを一人二人と抜いていってミドルゲインにするシーンもあるのだが、基本的にはプレー開始前ハドル内で打ち合わせたプレーが出来ていないような印象を受けた。

 第2Q立命館大学オフェンスは2シリーズ連続でパントによる攻撃権放棄。

 このような状況下で、タイムアウトを使って作り出した前半最後の攻撃時間。なんとしても得点を取りたいという思いは、直前2シリーズのパント攻撃権放棄と無縁ではないだろう。

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 前半を終わって関西学院大学9、立命館大学7、得点差は僅かに2点。

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 後半、立命館大学はRBに#21中西を配して試合前半と同じようなランパスのバランスアタックを展開、そしてRB#21中西右OT付近の中央ラン12ヤード、WR#22和田へのプレーアクション18ヤードパスがヒット、ランが出ればパスもつながる好循環状態が、しばらく、続いた。

 だが、敵陣25ヤード付近に到達したころには関西学院大学ディフェンスも対応できるようになり、LB#56佐藤がRB#21中西のカウンターランに、LB#44笠原がWR#22和田のパスに対応してドライブが止まる。

 第4DFGトライは、ホルダー敵陣30ヤード付近で、少し距離が長い。さらに、向かい風だった。

 バックスタンド上層の観客席では、キックされたボールが真上に上がったとほぼ同時に右から左へ強い風が吹いた。フィールド上空の風向きは不明だが、しかし、ボールは風に押し戻されたのか失速して急降下した。
 風がなければFG成功していたのか、定かではないが、しかし、不気味なボールの軌跡だった。

 立命館大学後半第2シリーズは、RB#21中西のラン、WR#22和田のパスという組み立てもホールディングの反則ロス分を挽回できず、さらに、ロールアウトのパスプレーに対してはDLLBが漏れてQBに余裕がなくなるという、試合前半の状況に似てきていた。

 一方の関西学院大学もRB#35古谷によるパワーオープンスイープで28ヤード、WR#1岸へのミドルパス14ヤードで敵陣侵攻するものの、LB#44橋本のQBサック等で第4D、距離の長いFGトライは、関西学院大学も失敗に終わる。

 両チームのFGトライは、距離の長い簡単なキックではなかったのだが、得点差は2点なので、3点の意味は大きい。
 立命館大学のFGには入れば逆転の、関西学院大学のFGには立命館大学逆転にTDを強いる状況へ追い込める、という緊張感があった。

 第3Qはともに無得点のまま終盤を迎えようとしていた。だが、第3Q終盤から始まった関西学院大学攻撃シリーズによって試合が大きく動く。

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 関西学院大学オフェンスは、先にミドルゲインしたRB#35古谷スイープの裏となるリバースやQBと逆サイドへのパスとなるスローバックパスを試みるものの、立命館大学LB#44橋本、DL#56岡本、DB#4河村、LB#5木下などの反応のいい堅い守りが、連続ゲインを許さない。
 立命館大学ディフェンスと関西学院大学オフェンスの力関係は、イーブン状態が続くいていた。

 関西学院大学はショートゲインの積み重ねで2回のFD更新するものの、敵陣33ヤードで、再び立命館大学の壁に捕まる。
 カウンターランに対してDB#4河村が反応して0ヤードゲイン、スローバックパスに対してLB#44橋本がレシーバーを完全に捕捉、パス成功も0ヤードゲインとして、第3D残り10ヤード。
 ここを立命館大学ディフェンスが対応すれば、最悪でもFG3失点だったのだが。

 QB#9三原から左コーナーへのロングパスは、しかし、立命館大学にとって痛恨のパスインターセプトの反則をもたらした。

 関西学院大学は敵陣15ヤードでFD更新すると、左オープンフェイクの右スローバックパス13ヤード、最後はRB#31川村が飛び込んでTD、得点差を9点とした。1TDと2ポイントPATでは届かない点差である。

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 残り3分16秒、立命館大学オフェンスはこれまでのロールアウト系と異なる早いタイミングのパスを繰り返した。
 QBに対して関西学院大学DLLBのプレッシャーが届く前、そして、DBがレシーバーを捕捉するまでにボールがレシーバーに到達するので、ミドルゲインが続く。
 WR#84中林へ18ヤード、WR#22和田へ20ヤード、さらにQB#9木下がパスの構えからスクランブルで10ヤードゲイン、最後はエンドゾーン内でフリーになっていたWR#1本多へのTDパスをつなげた。

 立命館大学14、関西学院大学16。

 自陣35ヤードからエンドゾーンまでの所要時間は90秒足らず。次の超高速ドライブに期待がかかるが、オンサイドキックは、ボールを確保できず。

 そして、再び立命館大学に攻撃のチャンスが訪れることはなく、ファイナルスコアとなった。

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 関西学院大学は、試合前半にオフェンスがばたばたするシーンが続いたが、後半はしっかりと立て直していたようだ。
 ディフェンスは中盤以降でランプレーをシャットアウトしたこととロール系のパスに対してDLLBのプレッシャーがQBに届いていたことで優位な試合運びになっている。
 最終の第4Dシーンは、ここまで4年間甲子園から遠ざかっていたことによる産みの苦しみというところか。

 立命館大学オフェンスは、第3Q開始直後、そして第4Q得点ドライブでプレー組み立てに様々な工夫が加わっていた。また、ディフェンスも関西学院大学オフェンスに対してイーブン以上の力関係だった。




(了)


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