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近畿大学の直近2試合とも大差敗退という成績で、攻守とも勢いが消えてしまったような試合が続いた。その原因を、対戦相手が立命館大学・関西学院大学だったからというところに求めたくはないのだが、いたしかたのないところ、なのだろう。初戦の関西大学戦と第2節同志社大学戦では攻守ともテンポある僅差の競った試合を繰り広げている。 反対に、大阪産業大学の直近2戦(関西大学・同志社大学)は、最後まで勝敗の行方が見通せない接戦が続き、攻守パフォーマンスとも成長をうかがわせるシーンが続いた。逆に開幕から2戦(立命館大学・関西学院大学)は、時期的なことも含まれるが、まだ途上という印象の試合である。 つまり、立命館大学・関西学院大学両校とその他6校の間の「溝」を個人的にも認めたくはないのだが、一万歩ぐらい譲って何らかの差があるとするならば。 ここ最近の勢いだけを見れば、大阪産業大学が攻守とも上昇気流に乗っていて優勢に見えるが、近畿大学もこの試合から再び攻守にキレのある動きが復活する可能性も十分にあると考えている。この試合の見所のポイントの一つはここで、近畿大学のパフォーマンスが戻れば、その時は、両チーム攻守とも動きのある面白い試合になるだろう。 ******** 大阪産業大学オフェンスは、前節ミドルパスがTDプレーになっているように、これまでのラン重視のオフェンススタイルから少しずつ変化していくかもしれない。 ボールキャリアは、RB#30田儀、#2渡邊、そして、前節接戦の立役者となった#31阪本による中央ラン突破。さらに、今後活躍シーンが増えるかもしれないショート〜ミドルレンジのパスパスターゲットには、WR#19寺川、#1粕井。 QB#11康は、試合を重ねるごとにのランパス判断も磨きがかかり、度胸の据わったプレースタイルになってきていて今後が楽しみなQBである。さらにK#8崔のFGキックも安定している。 対する近畿大学ディフェンスは、DL#97高山のプレッシャーが厳しく、他のDL#61石浜、#91末常とともにフロント陣の勢いがある。直近ではLBDBとも活躍シーンが少なかったが、開幕戦第2戦ではDB#17谷原#27小野澤などの堅守が光った。 大阪産業大学オフェンスと近畿大学ディフェンスの攻防は、中央ラン突破がどの程度ゲイン出来るか、これがひとつの境界になりそう。ランが出ればパスもという構図に持ち込めれば、大阪産業大学に勢いがつく。 近畿大学ディフェンス側が優位に立ってこそ、つまり、「上り調子」の勢いを止めてはじめてこの試合はイーブンの展開になるかもしれない。 ******** 近畿大学オフェンスの特徴は、やはり、バックス陣のスピードだろう。RB#20山上、#29吉田によるスピードラン、さらに、WR#19森、#6井本、#88永山のスピードも目を離せない。 一方でRB#21尾下による中央突破のダイナミックなランプレーと、そして、QB#5春日井のスクランブル判断からのランプレーでも、これまでにもミドルゲインを連発してきていてる。スピードだけでなくテクニックが噛み合ったオフェンススタイルを披露するツールは備わっている。 これに対する大阪産業大学ディフェンスだが、こちらもDB#24辻、#18奥野のスピードは侮ることが出来ない。また、前節同志社大学戦でQB村上のスクランブルに対応できたディフェンス布陣ならば近畿大学QB#5春日井のスクランブルランにも十分な対策を持って試合に臨むことだろう。 さらに、DL#99松岡、#97白井、#90稲田、LB#55中田によるランストップも前節ですばらしいパフォーマンスを見せている。2試合連続で同じスタイルのチームと対戦できることの利点は多い。 近畿大学がスピードとテクニックでかき回すことが出来ればだが、同じようなスタイルの同志社大学に対して接戦まで持ち込んだディフェンスを崩すことができるか。近畿大学がどのように攻略しようとするか、そのストーリーを追ってみたい。 そしてスピード競争ならば、スペシャルチームにも注目が必要になる。パントキックのリターナーは大阪産業大学#24辻と#19寺川。近畿大学は#19森など。ビッグリターンがあれば試合の流れが変わる。 ******** この試合、「上り調子」と言う点では、冒頭にも記したように大阪産業大学優位は否定できないところだが、それに対して、近畿大学復活なるか、が最大のポイント。今季初白星を目指す両チームの戦いに注目です。 |
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春の関関戦は、雨天の中で第4Qまでもつれる接戦だったが、最後は関西大学ファンブルロストと関西学院大学ミドルパスで試合の行方が決した。 この6月の関関戦は、関西学院大学にとって関東遠征2連敗を喫した直後の関西地区での試合だったので、関西学院大学の全てのパフォーマンスに大きな注目を集めた試合だった。 そして、オフェンスはQB三原のショットガンパスが雨という悪条件下ながら、それまでよりも安定して繋がる一方で、ディフェンス陣は中央付近をランプレーで大きく割られるシーンが多かった。 OLDL含め整備途上の春の試合だったが、しかし、関東2連敗直後かつ悪天候にもかかわらず、意識の高い試合という印象を残している。 一方で、関西大学にとっての6月の関関戦は、絶不調の関西学院大学に対して、どこまで肉迫するかはもちろんのこと、当然のように白星を目論んでいたはず。さらに、攻撃スタイルがどのように変わりつつあるかという点に注目を集めた。 そして、QB森口によるランパスバランスオフェンスを披露し、さらに、第4Q途中まで僅差接戦と期待を持たせる展開だった。それゆえに、痛恨のファンブルロストが、厳しかった。 さて、第5節。春の再戦だが今回も終盤までもつれる展開になるか。近年のリーグ戦では、03年に関西大学勝利、04年は開幕戦関西大学がエンドゾーン目前のタイムアップで逆転ならず、そして、昨年は4TD差で関西学院大学の白星という戦績を残している。 03年04年はシーズン前半の対戦、そして、昨年はシーズン後半の対決だったが、今年は第5節。接戦以上に持ち込むことが出来るか関西大学、そして、今年も差をつけて白星とするか関西学院大学という対決の構図は、いろいろと見所が多い試合になる。 ******** 関西大学のオフェンスは、前節神戸大学戦でQB#14森口が復帰し、そして、スローバックパスを続けて神戸大学を一蹴した。ターゲットは、WR#29河原、#16永川、#17西尾。QB#14森口の横パスは開幕戦でも高い成功率で繋がっていたので、この試合でも、スローバックパスはキーとなるプレーになりそう。さらにTE#86強へタイミングのずれたプレーアクションの縦ミドルパスパスが彩りを添える。 ところで、リーグ戦ここまでは、春ほどにランプレーで切り崩すスタイルにはなっていない。RB#22中西、#38川瀬など揃うが、#22中西に対して各校完璧なマークによって零封されているというのが実際のところ。 さて、RBに付いている厳しいマークを外すためには。 関西学院大学DB#15藤井、#11深川、#13岡本などスピードはあるが、パスカバーという点ではファインプレーもある一方でレシーバーフリーにすることもと、安定感の面では前節まで発展途上の印象を残す。 したがって、関西大学は、パスカバーに若干不安定さが残る関西学院大学DB陣を振り回すことができれば、つまり、WR#29河原、#16永川、TE#86強への長短横縦パスが繋がれば、RBに対する厳しいマークが緩んでいき、その結果、ランプレーでもゲインできる可能性が広がるだろう。そして、関西大学オフェンスのパスの成否は、そのまま関西大学の生命線になりそうだ。 関西大学OLQBと関西学院大学DLLBによる前列の攻防も興味深いのだが、WRとDBのバックス対決でどちらが優位に立つか。ここをこの試合の最大の見所ポイントとしたい。 ******* 今年の関西学院大学ショットガンスタイルのオフェンスは、プレー種類が豊富なことと、完成度が例年に比べると高いという印象がある。QB#9三原のスクランブルランに切れが出てきたことはもちろんだが、今年はRB陣の活躍が光る。 RB#35古谷、#31川村、#36山田の4年生の中央突破ランには少しでも前にという気持ちを感じることができ、さらにスクリーンやショベルパスでのハンドリングにも安定感がある。その結果、WRへのパスを絶対に通さなければという追い詰められるシーンが少ないのでオフェンスプレー全体に余裕が生まれている。プレッシャがないことでRB#21稲毛、#32河原などの1・2年生の活躍にも繋がっている。 関西学院大学オフェンスは、この試合も従来同様のショットガンスタイルからのRBへのスクリーンやWRへの様々なパスという組み立てになるだろう、ここまでの4戦で全戦圧勝をもたらしたオフェンス全体の安定感は、この試合でも揺るがないのか。 関西大学ディフェンスは、ここまで京都大学や神戸大学などの中央付近のランプレーをDL#91杉山、#94岡田、#90和久、LB#49宮崎などがことごとくノーゲインに押さえ込んでいる。さらに、ロースコアの競った試合を白星に結び付けているディフェンス全体の集中力は、侮ることが出来ない。 さてショットガンに対抗する関西大学ディフェンスだが、やはり、ポイントはプレー起点となるQBとRBに対してDLLBのプレッシャーが届くか否か。DLとLBが積極的にプレッシャーをかけ続けてプレー精度を落としていくことができるか、に尽きる。 関西大学DLには勢いのある強烈なメンバーが揃っており、さらに、これまでの試合で何度もソロタックルを決めているILB#49宮崎の判断力瞬発力にも期待したい。 そしてパスに関しては、関西学院大学WR#81榊原、#91萬代というスピードのあるロングパスターゲットに対して関西大学DB陣(#13山本、#23長谷川、#24大塚、#6木ノ下)がどのようにカバーするかを、挙げておきたい。 関西大学DB陣は前節は神戸大学WR大園に対して厳しいマークを続けていたので、この試合でも関西学院大学WRとの攻防は見応えがあるだろう。パスターゲットを完全マークしてパスコースを消すというのも、対ショットガンにおける有効なディフェンス手段に違いない。 ******** ここまで4戦全勝の関西学院大学が白星を重ねるか、それとも、関西大学が3年ぶりの秋関関戦白星とするか。 |
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両チームの攻撃における飛び道具といえば、京都大学はTE#34伊藤へのプレーアクションパス、神戸大学はWR#24大園への縦ロングパス。 他に、京都大学はWR#87薮崎、#1藤本へのショート〜ミドルレンジのパス。神戸大学もWR#19福田、#80古川、TE#83東内へショートミドルパスなど。ランプレーならば、京都大学はRB#39高松、#21金、QB#19宮下キープ。神戸大学は、RB#1中井、#20竹内などによる中央ランとQB#7多和のオプションプレーによるラン。オフェンス陣容は両チームとも似通ったスタイルになる。 ******** このカード、昨年は開幕節で行われ、神戸大学が試合終了間際にパスによるTDドライブを決め、そして2ポイントPATによって逆転勝利という内容だった。昨年の試合も得点が大きく動き始めたのは第3Q以降。 そして、神戸大学今シーズンは、関西学院大学戦、立命館大学戦での得点は第2Q終盤、いずれもミドルパスやランで連続ミドルゲインする怒涛のドライブで得点を挙げている。 一方の京都大学も、関西学院大学戦第2Q終盤にTE#34伊藤への2本のパスでFGを獲得、立命館大学戦では得点に至らなかったが一瞬のミドルゲインは第2Q終盤だった。 2ミニッツ時間帯のオフェンスドライブは、勢いがその原動力になりやすい。つまり、ディフェンスDLLBのパワーサイズが強烈であっても、波に乗っている勢いと集中力が、ディフェンスを粉砕する。 ディフェンス側から見ると、この2ミニッツを止めるためには、相手の流れに引き寄せられないこと、だが、勢いがつくと止まらないのがモメンタムというもの。 ******** 別の見方をすると。 両チームとも、自陣から相手陣に入るロングドライブはラン中心になることが多く、1回6分が平均ペースで、長いときには8分ドライブもありうる。となると、やはり、前後半合計で2TD程度のロースコアの試合展開にならざるを得ない。 ということで、両チームともロースコアの試合展開を望んでいる訳ではないだろうが、オフェンススタイルから必然的にロースコアの試合展開になってしまうというところだろう。 相手陣に入ってTDになるかFGになるか。京都大学K#28佐々木と神戸大学K#18阪本、#9藤田によるFG一つでも明暗につながる。 ******** ロースコアの均衡が崩れるとしたら、それはスタミナ勝負になって、どちらかのスタミナが切れたとき。 神戸大学オフェンスがランパスで京都大学ディフェンスを広範囲に振り回す展開。あるいは、京都大学のOLDL重量ラインが、神戸大学のラインをじわじわと消耗させていく展開。 近年で神戸大学が尼崎や宝が池で崩れていったパターンは、いずれもスタミナ切れによる終盤の一方的な展開になっている。 したがって、神戸大学のスタミナが最後まで持てば、最後まで勝敗の行方は不明の試合、スタミナ切れならばやはり神戸大学が崩れていくパターンになるか。 もっとも、過去の試合を引き合いに出して、云々しても意味をなさないので、10月29日17時@王子で、御確認ください。 |