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この試合の見所として、京都大学攻守のパワーラインに対して関西学院大学攻守がどのようなパフォーマンスを繰り広げるかが行方を分けるポイントになりそう、という趣旨を示した。 そして、京都大学ディフェンスと関西学院大学オフェンスの攻防は、ショットガン隊形からのRBのランとスクリーン・ショベルパス、そして、WRへのパスというショットガン攻撃VS守備という構図において、「現時点でこの攻撃を止める効果的な守備が定まっていない」という一般的な原理原則に従った結果に落ち着いた。 このような表現をしてしまうと、京都大学も関西学院大学も何もしないまま、ただただシステム上の優劣だけで決したように見えてしまうが、それは違う。 個人の未熟なプレースキルによる結末ではなく、攻守各人がシステム上で要求される最高級のプレーを実施し、そして、最後に残るシステム本来に属する原理原則的な優劣のレベルでの結末である。と、抽象的なことばかりでは意味を成さないので。 ******** 関西学院大学QBが自然体で気負うことなくプレーできたことが一番の要因だが、そのように仕向けることが出来たショットガンオフェンスの仕組みを説明しておくと。 RBへのスクリーンパスとショベルパスでDLの塊を前後に分散させて無力化(システム的に)を行い、そして、QBへのプレッシャーが消えると今度はミドルパスをつなぐ、というのが、現在のショットガン隊形による基本的なストーリーとなる。 RBへのスクリーンパスやショベルパスは、オフェンス側から見るとDLをQBに思い切り引き寄せて(誘い込んで)その背後に残っているRBへのパス、という形になる。したがって、DLの運動量は多いにもかかわらずプレーが止まらない。 なお、パスキャッチしたRBに近い位置にLBが存在するのだが、RB周辺には多数のOLが残っているので、人数上は圧倒的にオフェンス側が優位になる。 そこで、ディフェンス側はDLを後方に残してセットするようになるのだが、こうなると、QBへのプレッシャーがかからなくなるから、今度は、WRへのパスが自由に通るようになっていく。 そして、QBに対するDLのプレッシャーとWRへのパスカバーが厳しくなっていくと、再びRBへのスクリーンパスやショベルパスでDLを下げる、という仕組みになっている。 第3Q終盤の関西学院大学オフェンスは、QBサックや3連続パス失敗を受けて、それならば、もう一度RBへのスクリーン&ショベルパス、という選択によって得点につなげている。 ******** しかし、ここまでに示した理想論を実際に実行するためには、まず最初にRB陣によるスクリーンパスとショベルパスの脅威を見せ付けなければならない。 そして、この試合では、関西学院大学OLが京都大学DLと互角以上に渡り合ったこと、RBがボールを受けて確実にゲインしたこと、そして、QBとRBのパス連携の精度が高かったこと、によって最初の3プレーすべてミドルゲインになったことが、その後の全てを決めたと言える。 京都大学ディフェンス側がスクリーン&ショベルパスに対応すべく、後ろへ下がっていったこと、DLを2人セットにして残りは中間位置でランにもパスにもケアという体制は、今のショットガンからのランパス攻撃に対して、オフェンス側の土俵で戦ったことになってしまう。 この3プレーで、京都大学DLLBが関西学院大学OLを掻い潜ってRBやQBへのボールキャリアに対してプレッシャーを与えていれば、関西学院大学側に戸惑いがあったかもしれない。 もしも、DLがもっとボールキャリアに届いていたら、そして、関西学院大学側に戸惑いが先に見られたら、また少しは違った展開になったかもしれないが、もはやそれは仮定の話でしかない。 ******** ショットガン隊形からのRBへのショベルとスクリーンパス、QBスクランブル、そして、WRへの様々なパス、という攻撃に対して、どのような守備が機能するか、という問いに対する答えを導くきっかけを与えてくれる試合になるかと思っていたのだが。今シーズン今後に期待。 ******** DLの半分がOLをすり抜けてQBにプレッシャーを与える、DL残り半分はOLをすり抜けてQBスクランブルに対応し、LBはRBにショベルやスクリーンが飛ぶ飛ばないに関係なくタックルする。 パスを受けたRBにタックルするのではなく、RBにタックルしたらそこへボールが飛んできたというタイミングが重要。この場所ではレシーバーへのパスインターフェアの反則にはならない。DBはパス専任。 ******** ただし、この試合に限っていえば、関西学院大学の攻撃がFG3点に終わることが多く、京都大学の追い上げによって点差が縮まることによる心理的プレッシャーがプレー精度を乱してシステム上の優位さがなくなる、という、別の観点に立つと、もつれる可能性は残っていた。 ******** 関西学院大学ディフェンスと京都大学オフェンスの攻防は、関西学院大学ディフェンスが4−4−3とか5−3−3という極端な前陣強調守備隊形を敷いて、ランによる中央突破に対応していた。 試合前半のある時点でのディフェンスはDL#94荒牧、#93早川、#98黒澤、LB#4橋本、#97國方、#53柏木、#56佐藤、DB#11深川、#15藤井、#13岡本、#8泊というメンバー、そして、DB#11深川とLB#4橋本がDEの外側にセットして4−4あるいは5−3の極端なフォーメーションを実現している。 DB3人ということもあって、もしも中央をランで抜かれるようなことになると厄介なのだが、そこはLB#53柏木が確実なタックルを再三決めて中央突破を許していない。 一方で、DB3人ということもあってミドルパスが時々ヒットしていて、これが京都大学得点ドライブに大きく関係してくる。 京都大学オフェンス側としてはランプレーでは苦しい状況ではあったけどもWR#87藪崎、TE#34伊藤などへのショート〜ロングの様々なタイミングのパスは威力があった。 ******** ******** 第1Q、先攻関西学院大学攻撃は自陣21ヤード。QB#9三原からRB#35古谷への中央ショベルパスで始まった。このプレーで11ヤード、さらに、RB#21稲毛中央突破ランでも9ヤードと、ショットガン隊形からのRBによる連続キャリーとなった。 そして第3プレーは、ドロップバックからのQB中央決め打ちのスクランブルラン。OLブロックも決まって10ヤードとビッグゲインが続く。 パス失敗を挟んでWR#91萬代へのサイドライン際への13ヤードパスがヒットした。 このあたりから京都大学DLの人数が徐々に少なくなっていき、QBRBへのプレッシャーが減っていく。プレー起点のプレッシャーが減ったことで、余裕を持ってプレー判断が出来るようになっていくのが、このショットガンスタイルの特徴の一つになる。 この第1シリーズが、関西学院大学オフェンスと京都大学ディフェンスの力関係と今後の展開を決めた。 ただし、エンドゾーンが近づいて京都大学ディフェンス陣のカバー密度が高まったことによって、ショベルやスクリーンでも前進できなくなり、最終的にはFG3点に終わっている。 関西学院大学オフェンス第2シリーズは、WR#81榊原へ24ヤードパス成功も、つづくFDでの反則ロス15ヤードが災いしてパントに終わるが、第3シリーズも、WR#81榊原リバースやWR#91萬代への10ヤードパスなどでFD更新を繰り返した。 QB#9三原は、DLに追われたときのボールの投げ捨てやDLをひきつけながらも冷静にパスターゲットを探すなど、余裕の伺えるシーンが続いている。 エンドゾーン目前で第1Q終了。サイドが替わった第1プレー右アンバランスセットのパワーサイドへのプレー、ボールキャリー#53柏木による中央突破はノーゲインに終わるが、続く、第3Dでも再び右アンバランスセット、今度は左側へのスイープでRB#35古谷がエンドゾーンへ飛び込んでTDを獲得した。 ******** 第2Q終盤、関西学院大学オフェンスは、WR#84徳井へ13ヤードパスとランプレーでエンドゾーン手前に迫るが、やはり最後の10ヤードの壁は厚い。 ショットガンオフェンスであってもディフェンスが厚くなると(守備範囲が狭くなると)なかなか打ち破ることができない。ここもホールディング反則ロスが効いてFG3点に終わる ******** 試合前半の関西学院大学オフェンスは、1TD2FG2P。 フィールド中央からのオフェンススタート、そしてショットガンオフェンスも順調と、優位な点が揃っているのだが、反則ロスなどで得点が伸びない。京都大学オフェンスがここまで完封状態だったので、13−0でも、まだ関西学院大学優位は続いているのだが。 確実にゲインするのはRBへのスクリーンパスとショベルパスとQBスクランブル、そしてWRへのパスというショットガンスプレッド特有の攻撃のみ。 ノーマルなRBの中央突破はRB#35古谷、#32河原などが試みるものの、京都大学DLに遮られるシーンが続いた。 ******** 一方の京都大学オフェンスは、RB#21金、#39高松によつ中央突破ラン、さらにQB#19宮下によるQBキープの中央付近のランプレーが、関西学院大学DL#93早川、LB#53柏木、#56佐藤の安定感のあるタックルを受けて全くゲイン出来ない状態が続いた。 第3シリーズでWR#87薮崎へプレーアクションの縦クイックパスが7ヤードヒットするが、ランプレーで京都大学が崩せる見込みが立たない状態、ここまでのプレー組み立てを繰り返す限りでは京都大学オフェンスは手詰まりだった。 しかし、第2Q終盤、残り時間0分55秒。ここから、パスドライブがつながった。 京都大学自陣15ヤード。左TE#34伊藤への縦ミドルパスが32ヤードゲイン、RBドロー5ヤードを挟んで、再び左TE#34伊藤への縦ロングパス45ヤードゲイン。パス飛距離がゲイン距離にほぼ等しいロングパス2本でエンドゾーン手前3ヤードに到達する。いずれもDBLBの隙間へのパスだった 残り時間僅か、かつ、タイムアウトなしの状態、スパイクして時計をとめた時点で残り時間10秒。しかし、ここでディレイオブゲームの反則で5ヤードの後退。 第2D左コーナーTDパスはレシーバーがコースに出られずにに失敗。そして第3D、K#28佐々木によるFGで3点をもぎ取った。 ******** 第3Q、後半先攻の京都大学は、QB#19宮下から右ショートパス#1藤本へのパスと、WR#87薮崎へプレーアクションの縦パスによって、ロングドライブを行う。 このWR#1藤本へのパスは5ヤード付近のところで一度はDBのタックルを受けるのだが、それを振りほどいて合計20ヤードのゲインを記録している。 ディフェンス側から見ると、長短パス連続ヒットを許し、緩いタックルをかわされるという状態は、DB3人の影響も大きいのだろうが、パスカバーに不安定要素が垣間見えた。 京都大学は2本のパスをつないで敵陣33ヤード。そして、さらにTE#87薮崎へのプレーアクションパスが24ヤードヒット、パスだけでのロングドライブを実現して敵陣3ヤードでFD更新し、最後は右へのロングピッチでRB339高松がコーナーギリギリへ駆け込んでTD、京都大学が3点差に迫った。 ******** 続く関西学院大学オフェンスは、DL#92木村によるQBサックによって13ヤード後退させられ、試合はイーブンの力関係になる様相を見せてくる第3Q終盤。 京都大学QB宮下のタイミングパスにDB#13が反応パスインターセプト。 しかし、関西学院大学もショート・ミドルパスを3回連続失敗、先のシリーズ含めパスが繋がらなくなっていく。 試合の行方は混沌としていった。 ******** 関西学院大学P#6大西によるパントは絶妙なコントロールによって京都大学オフェンススタート地点は自陣1ヤード。 京都大学オフェンスランプレーを関西学院大学ディフェンスがエンドゾーンへ押し込んでセイフティーの2点を奪取する。 これで得点差は5点に広がったのだが、京都大学側から見れば1TDで逆転という状況は、セイフティーの有無に関係ない。まだ、5点差。という状況だったのだが。 しかし、ショットガンオフェンスの破壊力が、このイーブンの力関係を打破した。 ******** 京都大学フリーキックで試合再開、関西学院大学フィールド中央から始まった攻撃シリーズ、関西学院大学オフェンスは、この試合最初のオフェンスドライブと同様の組み立てに戻した。 つまり、RBへのショベルパスとスクリーンパスによるドライブである。RB#21稲毛へのショベル19ヤード、RB#35古谷へのスクリーン9ヤード、そしてQB#9三原キープ8ヤードと続くプレーの流れは第1シリーズと全く同様。 直前2シリーズでDLによるQBへのプレッシャーが厳しくなっていてサックロスと3連続パス失敗となっていた。 ならば、そのDLプレッシャーを逆手にとってDL裏へのRBへのパスという、ショットガン特有の組み立てが、そのまま有効だった。 その後は、WR#91萬代への12ヤードパスを挟んでRB#32河原のTDランによって12点差・2TD差とした。第3Q残り時間0分48秒。 ********* その後、京都大学自陣でのパントを関西学院大学がブロック、それをTDにつなげて19点差として、試合の大勢が決した。 この試合の展望コメントへ |