関西学生アメリカンフットボール Div1 第7節



11月26日(土) 王子スタジアム 13:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
神戸大学





龍谷大学





 


 2005年の関西学生リーグもいよいよ第7節最終節となり、各試合によって順位が決定いていく。この試合も神戸大学が引き分け以上ならば他校との同率6位あるいは単独7位が確定する。龍谷大学が勝利ならば神戸龍谷両校同率7位となって、入れ替え戦の対戦カードは抽選で決まることになる。

********

 神戸大学今シーズンは、開幕戦京都大学で勝利して幸先のいいスタートを切ったのだが、その後は黒星が続いてしまい、現時点では1勝5敗という成績に留まっている。対関西学院、対立命館含め、どの試合も中盤までは僅差の試合を繰り広げており、特にオフェンスはいい形を見せつつ、しかし、結果に結びつかない。完敗の試合がないので余計に惜しい。

 神戸大学QB#7多和率いるオフェンスは、パスでもランでもゲインする手段を有している。パスターゲットは、WR#25矢野川、#12村上、#19福田、TE#43三輪、そしてRBは#1中井、#2井ノ上、#29中桐などなど。OLもサイズがあって今年はランプレーでごり押しできそうというのがシーズン前に考えていたことだった。

 しかし実際は開幕戦京都大学戦最後のドライブのようにパスでもドライブをつなげることができる。前節同志社大学戦でも2ミニッツでのパスドライブは集中力があってテンポがよかった。一方で関西学院大学戦ではランプレーだけでのごり押しドライブも行っており、ランパスバランスのいい理想的なオフェンススタイルである。
 だが、ロングドライブを続けつつ、しかし、ある瞬間を境にしてパタリとドライブが止まってしまう。プレー選択の問題なのだろうか、スタミナ切れなのか、単なる巡り合わせなのだろうか。いずれの試合でも神戸大学優位の時間帯が必ずあるのだが、それが得点にまで至らないことが多いのが惜敗の原因である。

 一方のディフェンスは、DL#57中西、#90荒谷、DB#13佐野,#11大垣、#25矢野川,#27秦、LB#47川村、#5清水,#6阿部など個々人レベルではアスリート集団であり、オフェンス同様勢いに乗れていれば相手攻撃をシャットアウトできる攻撃的なディフェンスを見せるのだが、網目が埋まらないもどかしい時間帯もあった。

********

 龍谷大学オフェンスは2年生QB#12善元が1シーズンフル稼働でシーズンを終えそうだ。WR#9中川、WR#8山口、RB#1山形、#29楠田というスピードキャリアによるロングゲインと、リバースとかフリフリッカーとか手の込んだプレーが多い。またアスリートWR#9中川のリターンやショートパスからのロングゲイン、あるいは、ロングパスなどは注目である。

 ディフェンスはDL#91丹山、#99石川の両DEや、LB#10水澤、#44西、#45末元、DB#6原、#20島、#42高崎、#21宇津と個々選手の能力は高く、ボールキャリアの判断とスピードが際立つ。各ポジションとも若い学年も含んでいることもあってか、ディフェンス全体のコンビネーション確立にシーズンを使ってしまった印象があるが、来年以降も楽しみなチームである。

********

 さてこの試合だが、両チームのオフェンス側から見ると、神戸大学がランパスいずれでもショートからミドルゲインによるドライブを続けるというスタイルに対して、龍谷大学はRB#1山形、#29楠田、WR#9中川などによるロングパスやスピードを生かしたビッグプレーで一気に前進するというスタイルである。

 神戸大学オフェンスは言うまでもなく、龍谷大学オフェンスも前節近畿大学戦後半から見事に追い上げを図っったドライブを披露しているように、両チームともオフェンスが調子付くと手の付けようがないほど大暴れする。一方で突然ドライブが止まってしまうのも両チームの今シーズンの特徴である。
 この試合は、オフェンスミスしたほうが苦しい立場に追いやられるのは間違いない。ただ、フィールド内選手のプレー中のミスはもちろんだが、サイドラインベンチのプレー選択も大きな要因を占めることになりそう。ベンチワーク含め両チームのオフェンスに注目したい。






11月26日(土) 王子スタジアム 15:40
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
同志社大学





近畿大学





 


 この試合は見所の多い面白い試合になりそうだ。リーグ戦ここまでの成績は、近畿大学が3勝3敗、同志社大学は2勝4敗で、近畿大学はリーグ戦勝ち越しがかかっているが、それはこの試合の結果であって、両チームにとって今シーズン最後の試合は全勢力を動員した総力戦になる。

********

 同志社大学オフェンスは、RB#25福山、#22会田、#32平野、そしてQB#8村上のキープランと中央オープンへのランでの展開がテンポよく決まるようになってきている。前節は試合前半全シリーズ得点に結びつける効率のいいパフォーマンスを展開するなど、オフェンス全体としては上り調子にある。

 シーズン序はRB#1永富の負傷欠場によってオフェンスの安定感がなくなってしまったのだが、そこから形を作り直して見事に復活を遂げた。快速RB#25福山のランは#1永富と少しタイプは違うがここ数試合のキーマンの一人になっている。この試合は復帰したRB#1永富のランプレーにも注目したい。
 パスはターゲットWR#9池田、TE#4天野が今シーズンラストゲームとなるこの試合でベストパフォーマンスを披露してくれるに違いない。

 ディフェンスもLB#99沖宗筆頭にDB#2江上,18津田,13西山、LB#55岩佐,53川口、DL#90赤堀、#94藤井などここ数試合では勢いのある攻撃的なディフェンスを展開見せている。この試合の注目ポイントの一つは近畿大学スピードキャリアに対してどのように立ち向かい、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。一発で持って行かれることは1回ぐらいはあるかもしれない。だが、次のドライブをしっかりと止める気合の入ったディフェンスを見たい。

********

 近畿大学オフェンスはQB#5春日井先発になってからテンポがいい。さらに、RB#20山上、#21尾下、#25冨尾、WR#19森という高速スピードキャリアの一発TDの脅威には拍車がかかる。さらにOL#57白木などラインパワーによるRB#7樋口の中央突破ランも円熟味を増した。一方でQB#5春日井のオプションキープによる緩急のラン混在はディフェンス側からみると、ややこしいプレーが混在しており、一瞬のタックルミスでもロングゲインになる可能性を秘めている。

 オフェンスの課題筆頭は、QB#5春日井とQB#10岡をどのように使い分けるかだが、同学年に2人のQBが存在するという問題は今回のこの両名に限ったことではない。過去に何度も経験ずみだが、今回はどのようにするのだろう。

 ディフェンスは、DL#97高山、#71柳川、#79末常の重量ラインとDB#26井上#27小野澤、#17谷原の第3列スピードが際立つ。

********

 同志社大学も近畿大学も乗ったときの攻守はすばらしいパフォーマンスを発揮する。というかアメリカンフットボールとはそんなもので、必ず1試合の中で何回かは自チームに追い風が吹くものである。この風をキャッチできれば得点が重なっていく。
 この両チーム攻守に力の差はない。試合の流れを上手にキャッチして上昇気流に乗れた側が優位に立つ。丁寧な試合運びと流れに逆らわない理にかなったプレー選択。アメリカンフットボールの見所満載の面白い試合になります。






11月27日(日) 西京極陸上競技場 11:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学





関西大学





 








11月27日(日) 西京極陸上競技場 13:40
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学





関西学院大学





 


 2005年関西学生DIV1最終節を迎えリーグ戦6戦全勝キープしているのは、立命館大学と関西学院大学の2チームとなった。だが両チームとも負傷者怪我人が多い。DB・DL・WR・・のうち何人かは出場できないのはないかという怪我を負っており、単純には勝ち抜けない混戦リーグ戦を象徴している。フィールドに立つメンバーもQB出原、QB池野筆頭に少なからずの故障持ちで怪我を騙しながらの出場になるはずだ。リーグ最終節はまさに総力戦、4年生から1年生までの全学年全選手の出場があってもおかしくない。

 昨年のリーグ戦でのこの対決では、関西学院大学がTEOLへのスローバックパス、立命館大学はWR木下のQB起用やDL紀平のTE起用など両チームとも凝った選手起用があった。だが、今年は両チームともライン特にDLに余裕がないこともあってサプライズ起用はないだろう。ただし、リーグ戦ここまで起用されていない選手、特に昨年活躍したけれども今年はまだ出場機会のない選手の復活とか、昨年の立命館大学WR#6前田(現在#11)のような新人のビッグプレー・サプライズ選手の登場は十分に考えられる。このあたりが総力戦になるだろうと考えるもう一つの観点一つの見所所以でもあるのだが。

********

 前節立命館大学は関西大学との試合でロングパス1本で試合を逆転したように、この試合でもオフェンスは一発の脅威を前面に押し出したプレースタイルになるのは間違いない。QB#12池野あるいは#3渋井に対してDLLBがプレッシャーをかけてコントロールの乱れを誘う、あるいは、QBサックというシーンもあるだろう。立命館大学OLのパワー不足は否定できないところだが、しかし、全プレーで関西学院大学ディフェンスが上回るとは限らない。ある一つの隙間でロングパスが通れば、この一瞬が試合の流れを変えるロングパスになる可能性がある。
 このパスターゲットには長身WR#88大滝と快速WR#11前田に、TE#15末原、WR#5阿南、#27和田が名を連ねる。だが、昨年のWR#6が秘密兵器だったように今年も誰かが隠れている?。

 立命館大学側のオフェンスプランとしては、この1本のパスを通すためにどのような仕掛けをするか、どのようなプレー組み立てをするかというところが最大のポイントになる。そのためにはランプレーで前進できるプレーと併用が最も効果的なのだが、今年はランプレーではあまりゲインできていない。RB#22佃、#21中西、#34石井、#28國枝など存在し、RB#22佃のスピードランは抜ければビッグゲインなるが、コンスタントなドライブにはならない。

 ショットガン隊形からのQBスクランブルは一つの選択肢だが、QB#12池野ランが今年ここまで封印されているが神戸大学戦での負傷がランプレーに制限をかけてしまうかもしれない。総力戦という名目の下にQB#3渋井のQBスクランブルラン、あるいは、RB#22佃への縦ミドルなど。WR#88大滝、#11前田へ一本のパスを通すためにどのような仕掛けを施すか、注目したい。

 一方のディフェンスは、主将LB#9塚田筆頭に、LB#41木下、#44橋本とDB#17黒田、#14藤本、#32河合、#4河村、DLは#57谷野、#56岡本、#78西畑、#92前田というのが前回関西大学戦の先発メンバーである。DB#13三宅の名が存在しないのは京都大学戦での負傷によるのだろうが、この試合でも欠場となると第3列のパフフォーンス低下が懸念されるが、DB登録だけで15名を超える立命館大学選手層の厚さを侮ることは出来ない。#31乗次など次代のメンバーが活躍の機会を伺っている。

********

 関西学院大学QB#10出原によるショットガンオフェンスは、パスターゲットにWR#81榊原、#91萬代、#20三浦、#85秋山、そしてRBはRB#26辻野、#33三浦、#23稲毛という布陣、そしてこれらを支えるOLに#70松本、#77吉村、#76小林、#78野原、#50生田という布陣で最終節を迎える。
 オフェンスキープレーはWRへのショート〜ミドルのパスとQB#10出原のスクランブルランになるで、RB#26辻野、#33三浦のランがショットガン隊形からのプレー幅を広げる。なお、シーズン中盤に出場していた高速ランナー#23稲毛がこの数試合で出場機会がない。
 関西学院大学オフェンス側から見たゲームプラン、つまり、立命館大学ディフェンスのどこを突くかだが、やはりこちらも立命館大学同様DBとWRの1対1勝負に持ち込むことになるだろう、関西学院大学WR陣と立命館大学DB陣のポジション取りは注目である。

 一方のディフェンス陣だが、負傷者続出のDLが気にかかる。前節京都大学戦では2人になってしまった瞬間があったが、この試合に向けてどのように手当てするか。また、立命館大学レシーバーと対峙するDB陣も#8泊、#16河合、#12吉岡、#15藤井、#45磯野、#21片山、#19岩城とアスリートの名は挙がるが、LB陣と比較すると年齢層が若干低めであることの経験値とDL同様負傷者の補充が懸念される点である。
 今年の関西学院大学ディフェンス陣にあって最も充実しているポジションが第2列LB陣である。#49井上、#53柏木、#56佐藤、#4橋本、#34伊東というスピードとプレー理解・判断力のあるアスリート群が健在で、DLのバックアップとパスカバーランケアに対して機能すればイーブンになる。ディフェンス第2列LB陣の働きもにも目を向けたい。

*********

 さて立命館大学と関西学院大学の戦力を簡単に振り返ってみたが、今年は両チームともオフェンスドライブに占めるパスの重要度が高いという共通点を有するが、パスの内容が少しだけ違う。

 立命館大学のパスは、WR個人のスピード・体格・技を生かしてDBとの1対1勝負に勝利して「もぎ取る」タイプのロングパスになる。DBのパスカバーをすり抜けてフリーになってQBにパスボールを要求、周辺へ飛んできたボールを必ずキャッチするという執念が、ジャンピングキャッチやスライディングキャッチによるロングパスを生む。

 それに対して関西学院大学のパスは、WRモーションによってDBを振り回して空いた空間を作り出し、そこへレシーバーを放り込んでパスを通すという巧妙にデザインされたパスである。したがって、どのようにしてLBDBを振り回し、そして、空いた空間を作り出すか、といううのが関西学院大学オフェンスの目標値である。

 立命館大学の一発TDプレーが飛距離50ヤードのロングパスであるのに対して関西学院大学のパスは、パス距離+ラン距離=50ヤードの一発TDプレーになる。いずれにしても、WRをマークして一発プレーを防ぐのが第3列DB陣の役割であり、WRとDBの競演はこの試合の最大の注目点である。

 キーは「1本のパスを通すためにどうするか」であり、「どう」とは、そのプレー中であったり、その前数プレーとの兼ね合いであったり、あるいは、シーズンこれまでの試合内容だったりする。
 たとえば、、ロングパスを出すためには捨てプレーのランが必要、あるいは、ランでミドルゲインが出来ればパスも通るとなって、QB#10出原、QB#12池野あるいは#3渋井のショットガンからのスクランブルランも重要なプレーになる。さらにRBへのショベルパススクリーンパスの受け手としてのRBに精度が要求され、さらに、パントキックコントロールとリターン/カバーチームによるフィールドポジションの優劣も。

********

 ところで、両オフェンスとも数名のビッグプレーメーカー重視という印象で、オフェンス全体が圧倒するというスタイルでもない。もしもディフェンス側が、数名のビッグプレーメーカーを完璧にマークした・出来たとしたら、その次の展開はどのようになるのだろうか。ロースコアのジリジリした試合、そして、全プレーにビッグゲインプレーの脅威が付きまとう試合になる。
 この試合は4TD前後のハイスコアリングゲームになると予想しているのだが、もしかしたら得点一桁の試合展開になる可能性も少なからず、ある。なお、4Q終了時点で同点の場合は両チーム優勝となり、甲子園出場をかけて別途プレーオフが実施される。

********

 関西学院大学今シーズンは先攻逃げ切りの試合展開が多かったが、立命館大学は前節で終盤の追い上げシチュエーションを経験している。数年前までは時計の使い方や2ポイントPAT選択など緻密さで関西学院大学有利と言われていたが、このリードも立命館大学のスキルアップによって優位差は消滅してきている。ハイスコアゲームになるかロースコアの接戦になるかは不明だが、大差はつかない。ただし最終的には冷静なパフォーマンスによって集中力を高めたほうが優位に立つ。

 4年ぶりの甲子園出場か、4年連続甲子園出場か。






リーグ戦表へ カレンダーへ