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同志社大学の開幕節は立命館大学と得点の取り合いを演じた。そのディフェンス陣は、DB#13西山、#24大長、#18津田、DL#90赤堀、#78松本、LB#99沖宗、#55岩佐、#53川口を中心とし、春と比べると全体的に動けていた印象がある。 だが、一人のタックル一発では相手を倒すことができず、ズルズルドライブが続いてしまったことが失点の要因のひとつにある。プレー的には止まっていたのだが、ボールキャリアに手は架かっているのだが、という惜しいプレーが続いた。 立命館大学のWRRB陣と比較すると関西学院大学RBWRはサイズ重量とも少し小さくなるのでタックル一発で止めておきたい。一発ロングゲインされないことが前回と同じ点の取り合い・競った試合に持ち込むための条件になる。 ******** 関西学院大学の前節近畿大学との開幕戦は、ロースコアの試合展開で第4Qにもつれる可能性もあったが、最終スコア28−7として無難なスタートを切った。 QB#10出原のショットガンオフェンスは、エンドゾーン手前でパスがつながらずに苦労したシーンもあるが、フィールド中央ではWR#20三浦、81榊原、#91萬代へミドルレンジまでのパスが、ほぼ自在に決まっていた。さらにTE#95韓も加わってり、パス陣容は充実している。 RBでは技巧派#26辻野を筆頭に、#23稲毛のスピード、#40吉岡のパワーラン、そして変幻自在のQBスクランブルとタイプの異なるランナーが揃う。さらに、開幕戦からダイレクトスナップやショベルパスなども積極的に用いてがプレー幅を広げていた。 OL陣もほぼ安定しており、攻撃手段としてはおおむね順調に成長している。このオフェンスは、力強さというよりは堅実さが売りのポイントになっていて、この試合でも優位に進みそうだ。 ただし、関西学院大学の今シーズン全体を考えたときに気掛かりな点が一つ、それは、前節もロースコアの試合展開になったことでバックアップQBの登場が第4Q終盤までずれ込んだことにある。今シーズン今後と来シーズンに向けて実戦経験を積ませたいところだが、この試合でも早い段階で起用できる余裕があるだろうか。それを決めるのは、関西学院大学ディフェンスと同志社大学オフェンスの攻防である。 ******** 同志社大学オフェンスは、QB#8村上によるショットガンフォーメーションからの攻撃が安定している。自身のキープとRB#1永富、#21山本のランプレーに、ショートミドルの様々なパスを加えた巧妙なドライブが、前節立命館大学相手に繰り広げられた。特に、QB#8村上がDLLBの鋭いプレッシャを受けながらも物怖じせず安定したパス判断を行っていたことは脅威で、そのパスターゲットはWR#9池田、#14田又、TE#4天野。そしてRB#1永富の快速ランとそれを支えるWR陣のブロックも十分に整備されていた。 対する関西学院大学ディフェンスOLB#34伊東、#16河合、ILB#53柏木、#49井上、DB#45磯野、#21片山、#19岩城という布陣は、近畿大学に対して前半はシャットアウトしていた。しかしQB2人になった後半は、縦パスでDBが抜かれたり7分に渡るロングドライブを許すなど精彩を欠く場面もあり、さすがに秋初戦となれば完璧鉄壁になるための発展途上にあるようだ。 そしてこの試合も同志社大学のオフェンスの組み立て方次第では、関西学院大学ディフェンスをリードできる時間帯があるかもしれない。 もしも、RB#1永富のランプレーでゲインできるようならば、RB永富へのプレーアクションの効果が絶大になる。RBへのフェイクでDBを吊り上げて、その瞬間にWRがDBを抜く。そこへQB#8村上からのロングパス。DLLBのプレッシャーにも動じないQBならば、コントロールの乱れも少ないはず。 関西学院大学DB#19岩城、#15藤井、#45磯野というメンバーも経験豊富なので、フェイクに簡単に引っかかるとも思えないが、ランとパスで相手ディフェンスを混乱させて、その瞬間を突いて前に進もうとするのがアメリカンフットボールの真髄・醍醐味ならば、この試合は、まさにそのとおり。 同志社大学にはQBオプションキープあり、プレーアクションパスあり、快速ランナーも存在し、ディフェンスを惑わすことができる陣容であり、この試合、僅差でもつれる可能性を完全には否定できない。 |
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前節の立命館大学オフェンスは、QB#12池野のショットガンパスがWR#11前田へ連続ヒット、さらにWR#5阿南、#88大滝へも同様にパスがつながっていて、オフェンス全般に好調さが伺える内容だった。 おそらくこの試合でも、QB#12池野がパスを投じさえすれば、WR#11前田などのレシーバー陣がボールに飛びついてパスヒットが続きそう。さらにRB#22佃、#28國枝、#43岡前、#46山城、#21中西などのパワースピード系とタイプの違ったランプレーでも、前節同様WR陣のダウンフィールドブロックによって走路が確保されれば、立命館大学怒涛オフェンスの再現も十分にありえる。 近畿大学ディフェンスLB#9井上、#2吉田、#34碓井、DB#27小野沢、#26井上とRBWRとの対決は楽しみな見所ではあるが、トップスピードに乗ってしまってからでは、なかなかつかまらないだろう。やはり近畿大学DLLB陣がQB池野にプレッシャーをかけて、QBの段階でプレーの芽を摘み取ってしまわないと、バックス勝負では少し苦しい。ポイントは近畿大学DLLBが、QB池野に届くか否かになる。 ******** この試合、もしももつれる展開になるとすれば、それは、立命館大学ディフェンスと近畿大学オフェンスの攻防で、近畿大学のオプションプレーがゲインを重ねたとき、だろう。 近畿大学オフェンスは前節でQB#5春日井と#10岡の2人を同時起用するショットガンフォーメーションを披露した。ショットガンでQB複数配置は日本大学が甲子園ボウルで大暴れしていた頃にQB2人とか3人の同時起用があったが、それ以来という珍しいフォーメーションである。 「2人同時」の狙いはディフェンスを惑わせることにあり、例えばOLセンターがどちらのQBに向けてボールをスナップするか相手にとって判断しにくいことと、QBロールアウトから別のQBへのピッチ、そこからQBランもあればパスも投げられるというフォーメーションである。 ただし、一般的に行われているショットガンフォーメーションでのRBへのダイレクトスナップとか、ピッチを受けたRBがパスを投じることがあるように、実際のところは1QB1RBと2QBは大きくは変わらない。RBよりもQB経験が長いということで、相手を惑わせ、そして、観客も楽しみが増えるという隊形である。 さて近畿大学QB#10岡、#5春日井のオプションキープは、春の試合からキレがあり、フェイクもピッチも得意とするところである。さらにピッチターゲットとなるWR#25冨尾、RB#20山上はスピードに乗ったランでOTオープンをまくりあげる。 さらに、前節は両QBからWR#87石田、#19森、#25冨尾、#6長谷川などへミドルレンジパスが飛んだように、ランパスバックスは揃っている。 立命館大学側から見ると、今回の近畿大学オフェンス布陣と 前節にQBオプションキープやRB永富のオープンランとロングパスで大きくゲインを許した同志社大学オフェンスが似ていることもあって、もしかしたらこの試合でも近畿大学オフェンスが立命館大学ディフェンスに対して優位に経つ時間があるかもしれない。 立命館大学ディフェンスLB#9塚田、OLB44橋本,#41木下やDB#13三宅、#32河合などが、オプションランにどのように対応するか。前節同様ビッグゲインを許すか、なんらかの修正が加わっているか。だが、近畿大学もスピードはある。 近畿大学オフェンスが一旦調子に乗ればとんでもない力を発揮することは皆さんも御存知の通り。これで立命館大学ディフェンスを圧倒し、接戦に持ち込む。 そして近畿大学チーム全体が勢いに乗れば、ディフェンスも立命館大学のショットガンオフェンスを止められるかもしれない。QB#12池野にDLLBプレッシャーをかけることができれば・・・。これが近畿大学側から見た、理想的な試合展開である。 昨年も最終節での対戦で近畿大学が立命館大学ディフェンス1.5軍に優位に立ったように、また、それ以前にも近畿大学VS立命館大学は接戦になることが多い。 ポイントは立命館大学ディフェンスが近畿大学QB2人体制のオプションランを止めることができるか否か。 |
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関西大学は開幕戦をRB#22中西のスピードランによって試合序盤に大勢を決めた。その後RB#22中西のランプレーに対して龍谷大学ディフェンスがアジャストした時点でオフェンスの破壊力が低減している。 だが、春の関西大学と大きく違うところは、QB#14森口からTE#83三宅、#99牧野、WR#18山添などに短いパスがつながったことある。RB#22中西のランプレーを棄てプレーにしたランパスドライブがつながったことは特筆すべき項目である。 おそらくこの試合でも神戸大学ディフェンスは最終的には、RB#22中西に対してアジャストできるだろう。だが、その時間帯がいつか、がポイントになる。 前節神戸大学ディフェンスは京都大学戦QBのクイックヒット中央突破ダイブで中央縦のラインを大きく割られ続けたが、RB#22中西の中央突破は、これと少し趣が異なる。 京都大学QBの中央突破はボールを受けると同時にスクリメージを抜けるプレーだが、今回はスクリメージを抜けるまでに時間がかかる。つまり、DLLBが走路を判断して封じるまでの時間の余裕は前回京都大学戦と比較すると、十分すぎるほど長い。 RB#22中西のセット位置は、トップスピードになるまでの走路時間が必要ということなのだろう、通常のRBと比較すると深い位置にセットしている。そして、トップスピードでスクリメージラインを抜けるのだから、ランコースは左右OT付近までの中央縦ラインに限定される。ならば、DLLBの担当分野だろう。DL#57中西、#90荒谷、#10清水、LB#5清水、#47川村などのフロント陣がスピードとコースに慣れるまでにどの程度のプレー数を要するか。 神戸大学ディフェンスフロントが優位に立った段階で、RB#22中西のスピードランはほぼ止まるだろう。(止まるとはいえ、やはり、スピードはある。試合最後までタックルに確実さを要求されるのは間違いない。) 関西大学オフェンスがこの時点で、どのように対応するか、WRTEへの短いパスがヒットするようであればだが、神戸大学第3列も#6阿部、#25矢野川とアスリートが揃っており、パスだけでドライブするのは簡単ではない。やはり、RB#29河原、#33平も加わったランとパスのコンビネーションが必要になる。 前節中盤の中だるみを生んだ原因が関西大学OLにあるならば、この試合はOL含めオフェンス一丸となった攻めが無いと、手詰まりになるかもしれない。 ******** 今年の神戸大学オフェンスは、RB#2井ノ上、#1中井、#29中桐のランプレーは春の段階で見込めていたが、QB#7多和からWR#19福田、#12村上、#25矢野川、TE#43三輪へコントロールされたパスが飛んでいたのには正直なところ驚きでもある。前節京都大学戦は、苦しいときも、そうでないときも、長短のパスがWRTEはもちろんRBにも通ったことがプレー幅を広げていた。神戸大学オフェンスと言えば長らくラン偏重だったが、今年は久しぶりに、パスもある。 一方の関西大学ディフェンスは、LB#44鈴木、#4平岡、DL#90和久、#92中田などの動きが良く、LBはブリッツを多用した積極的なディフェンスになっている。ただしQBロールアウトとその後のスクランブルに対するカバーとか、ディフェンス個々人が何をすべきか、どのように動いたらよいのか判断に迷っているようなシーンが龍谷大学戦で散見された。 したがって、神戸大学オフェンスの手数の広さに関西大学ディフェンスがどこまで対応できるかがポイントになりそうだ。直線的な動きが得意な関西大学ディフェンスが、「手数」に振り回されてしまう可能性も否定できない。 神戸大学OLが関西大学DLをコントロールできれば、フリーのパスターゲットWRRBが増えて、どこにでもパスヒットしそうにも思えてしまう。 これが前節の試合から見た、関西大学ディフェンスと神戸大学オフェンスの攻防予想なのだが、こちらもオフェンス優位な力関係と見ている。 ******** この試合は神戸大学ディフェンス陣が失点をいくつに止められるか(RB中西にどの段階で対応できるか)がポイントになるのは間違いないが、試合としてはTD数3から4ぐらいの、どちらかと言えば乱打戦になりそうだ。ボールがフィールドを左右に激しく動く観戦していて面白い試合になります。長居球技場で第1試合からお待ちしています。 |
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