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試合は龍谷大学先攻で始まったのだが、自陣での第1プレーでファンブルロスト、関西大学が早々と得点のチャンスを得る。ポジションは敵陣7ヤード。QB#14森口中心にセットバックのIフォーメーション、そしてTBに入ったRB#22中西の中央突破ランによって第1Q開始僅か14秒で関西大学が先制した。 さらに続く第2シリーズでも自陣43ヤードから再びRB#22中西が中央付近を一瞬で抜けた独走57ヤードのTDランを決め、パスインターセプトで掴んだ敵陣スタートの第3シリーズでもRB#22中西の連続キャリーによって怒涛の3連続TDとなる。 第1Q残り4分31秒の時点で3TDであり、この後も得点量産が続くのだろうかされるのかと思ったのだが、これが関西大学前半の全得点になる。 3TDの内訳はターンオーバーによる敵陣スタート2回、一発TD1回で、龍谷大学攻守の立ち上がりの緊張した瞬間を関西大学RB#22中西が一瞬にして切り裂いた得点だった。 そして第2Qに入ると関西大学の攻撃の勢いが消える。RB#29河原、#33平が交代登場するようになったこともあるが、最大の原因は、龍谷大学LB陣のブリッツが決まり始めたことにある。 ライン戦で龍谷大学DLと関西大学OLはイーブンの力関係になったことで、関西大学OLの動きが止まり、LB#11三田村、#45末本、#13沖島などがDLの隙間を抜けてRBに届くようになっていた。これはRB#22中西も例外ではなく、LB#13沖島にロス13ヤードゲインを奪われたりショートゲインに止まる。龍谷大学デイフェンスが徐々に機能し始めていた。 ******** 一方龍谷大学オフェンスはQB#12善元のセットバックでランパスを試みた。RB#山形1オープン7ヤードや中央突破ドロー14ヤード、WR#4北山へのスローバックパス、さらに反則で取り消されたがQB#12善元の崩れたプレーでのスクランブルは10ヤード近くゲインしており、ランプレーではある程度のゲインが見込めていた。 パスは、ミドルレンジ以上の山なりパスはノーコントロールターゲット無しという悲惨な状態だったが、低い弾道のクイックパスはレシーバーとの呼吸の一致を徐々に見せるようになっていく。 ******** 試合前半は、関西大学RB#22中西の独演会とその後の沈黙、龍谷大学オフェンスはランプレーではゲインするものの決め手を欠く状況だった。後半もこのまま推移してしまうのかと思っていたのだが、両チームとも新たな展開を披露、前半とは少し様子が異なった後半戦が繰り広げられていく。 ******** 後半は、関西大学リターナー#29河原の65ヤードビッグゲインによって久々の得点機で始まった。その最初のプレーはRB#22中西の中央突破左OT付近を突く前半と同様のランで7ヤードゲイン。そして第2D。 QB#14森口がRBへボールを渡すワンフェイクが入った。そして、左コーナーフリーのTE#83三宅へのTDパスがヒット、これまでRB#22中西の連続キャリーの裏を狙った見事なプレー選択だった。 関西大学は、次の自陣32ヤードから始まったシリーズでも4回のFD更新による得点ドライブを披露する。この中には当然のようにRB#22中西のキャリーがあるのだが、龍谷大学ディフェンスにマークされてキラープレーにはならない。 この窮地をQB#14森口のパスが打破した。第3DでWR#18山添へ8ヤードパスでFD更新、さらに再び第3DのパスをTE#99牧野に縦パス20ヤード、TE#83三宅へのパス13ヤードなど、短い距離のタイミングパスが連続ヒットする。 RB#22中西とQB#14森口のキープが第1、第2Dのプレー、これでFD更新に至らないのは龍谷大学ディフェンスの堅守によるのだが、第3Dでの連続パスヒットがこのオフェンスシリーズの決め手になった。最後はRB#22中西の5ヤードTDランで得点に至ったのだが、約6分に渡るロングドライブは、これまでの関西大学オフェンスとは異質の面白い組み立て方を見せた。 関西大学は第4QからはQB#3堤を起用し、RB#29河原、#33平と自身のドロー、およびWR#86へのドロップバックパス20ヤードを決めて復活をアピールした。 ******** 対する龍谷大学オフェンスも、第3Q終盤から始まった後半第2シリーズで試合唯一のロングドライブを見せている。 RB#29楠田のドロー10ヤード、DL#92中田の追撃をかわしてWR#23梅村へのパス8ヤードを決めたり、WR#4北山への8ヤードなど。さらにRB#23梅村、#1山形による第4Dギャンブル中央突破を2回成功させたが、敵陣24ヤード付近から始まったFDでの攻撃でミドルパスを4連続失敗によってドライブはつながらなかった。 ******** ******** 関西大学オフェンスはQB#14森口によるセットバック中心のオフェンスフィーメーションとなり、春に多用したショットガンはこの試合では1回用いたのみだった。RB#22中西の多用はある程度予想できたが、第2Q中盤からディフェンスにアジャストされて手詰まりになるのも概ね予想に従った状況だった。 そして、この苦境の打開策がQB#14森口からTEWRへのパスということも戦前から考えていたことだったのだが、実際に第3Q最初のプレーアクションパスとか、その後のクイックパス連続をヒットさせており、春とは違うオフェンスの幅広さを見せつけている。 関西大学のこの試合の狙いがどこにあったか。試合序盤にRB#22中西の連続キャリーで一気に得点、試合の方向性を決めてから徐々に他のRBの起用とかパスを含めた様々なオフェンス展開を試みる、という狙い通りのストーリーを実現したというような試合運びだった。 とは言え、RB#22中西をこの日と同じような連続起用していたのでは、どこかの時点で必ず怪我をしてしまいそうで、観ていてひやひやする。第7節最終戦までRB#22中西がフィールドに立っているようなオフェンス組み立てを実現させるためにも、RB#29河原、#33平などRB陣が大きく育っていってほしい。 一方のディフェンスだがLB#44鈴木、#40高祖、#4平岡、DB#23長谷川、#7大亀、DL#90和久、#92中田などの動きが良く、中央付近のランプレーはほぼ完封、スクリーンパスにもLBが完全捕捉など、ブリッツを使いながら積極的なディフェンスではあった。 ただしQBロールアウトとその後のスクランブルに対しての追い詰め方とか、WRRBが大きく散らばったときに、ディフェンス個々人が何をすべきか、どのように動いたらよいのか判断に迷うシーンが散見される。 この試合展開だったから大きくは露呈していないが、パスからのスクランブルや、フィールド全体を大きく使ったWRRBの複雑な動きが加わると、苦境に立つかもしれない。また、パントカバーが甘く、ビッグリターンを許してしまいそうなカバーチームも今後の課題になりそうだ。 ******** 龍谷大学オフェンスはRB#1山形、#29楠田のランプレー、WRTEのパスというランパススタイル狙いである。QB#12善元は、スクランブルの判断とか、パスラッシュに動揺しないところなど、春と比較すると大きく変貌を遂げており、今後、益々面白いQBに成長していきそうだ。ミドルレンジ以上のパスだけは、どうにか改善したいが、短いパスは今後重要な武器になるだろう。 ディフェンスはILB#45末本、#43安本、OLB#13沖島、#11三田村などが時間が経過するにつれて徐々に動けるようになっていた。DL#91丹山、#93河井、#99石川、DB#21宇津、#3四方など攻撃的なディフェンススタイルは今年も健在である。 今年の関西学生ではオフェンス優勢のチームが多い中で攻撃的ディフェンス陣を擁する龍谷大学は、ロースコアの試合展開に持ち込むことができれば面白い試合を繰り広げることになるだろう。 この試合の展望コメントへ |
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先攻関西学院大学はQB#10出原によるショットガンオフェンスを展開、「短いパスをつないだテンポの良いドライブ狙い」を意図したWR#91萬代、#20三浦へ左右の短いパスで第1シリーズはFD更新まで。だが、第2シリーズで左サイドへの短いパスをLB#34碓井に二回カットされてドライブできず。 そして第3シリーズは中央スクリーンパスと右サイド3レシーバー配置によるディフェンスアンカバー狙いのパスでショートゲインを繰り返している。 第1Qは、他にWR#81榊原、RB#26辻野、#23稲毛、#31川村というバックスメンバーも参加して、相手ディフェンスの様子見(左・中・右)とオフェンス全体の慣らし運転の様子だった。 そして関西学院大学は攻撃ポイントを絞ったのだろう、第1Q終盤からボールが「中央LB裏DB前付近」に集まり始めた。さらに第2Qに入ると、ショットガンからRB#26辻野へのダイレクトスナップ、RB#23稲毛へのショベルパス、そして、QB#10出原の中央キープが加わる。いずれも中央縦のラインを突いたプレー組み立てで、自陣19ヤードから4回のFD更新で敵陣7ヤードまで侵攻した。 このシリーズはFG失敗で終わるが、ここで優位なフィールドポジションを得たこととリターナー#91萬代の20ヤードリターンがきっかけとなって、次のシリーズでは敵陣スタートになる。そして、WR81#榊原、#86水原への短いパスと、最後はTE#95韓へのTDパスによって第2Q残り1分31秒に得点を挙げた。 近畿大学ディフェンスは第1QにはLB#34碓井がショートパスに対応、オープンランにもDB#27小野澤などが対応していたが第2Q以降ディフェンスの勢いが止まってしまった。 後半の関西学院大学オフェンスは4回3TD1FG失敗。どちらかと言えばRB#26辻野、#23稲毛、#40吉岡などの中央ラン、スクリーンパスとQBキープなどランプレーによるゲインが続き、前半ほどにはパスが決まらない、失敗が多かったような。 ******** 試合は、第4Qに入った直後の近畿大学得点によって、関西学院大学14点、近畿大学7点の1TD差に縮まった。この近畿大学得点は約7分間の80ヤードロングドライブによるもので、試合の流れ的には近畿大学ペースになりかけていた。 だが、直後の関西学院大学オフェンスで、RB#23稲毛が右サイドライン際をハイスピードで駆け抜ける69ヤードTDランというビッグプレーを演出、速攻一発で持って行ったことによって近畿大学の気勢を殺いだ形になっている。 本来ならば敵陣まで進んだFG2回のチャンスを、確実に得点(TDまたはFG)していればもう少し楽な展開になっていたのだが。エンドゾーン間際でのパスなどオフェンスプレー精度が悪かったのは、開幕戦だったからだろう。 ******** 近畿大学オフェンスは、QB#10岡が先発し、第2QからQB#5春日井に交代し、IやショットガンからRB#7樋口のランとスクリーン、RB#20山上のカウンター、QBキープなどで前進を試みるが、関西学院大学LB#49井上、#34伊東、#53柏木のLB陣の堅守によって、前半のFD更新回数は、わずか1回に止まる。 だが、近畿大学は後半の第2シリーズからQB#10岡と#5春日井の2人を同時起用、QBが2人セットしたショットガンフォーメーションを披露した。このセットでの1回目は第3Dパスをインターセプトによって終わっているが、2回目が近畿大学の得点シリーズになった。 自陣20ヤードからの約7分にわたるロングドライブは、QB#5キープとWR#25冨尾、#6長谷川への短いパスをつなぎ、途中に第4Dギャンブルを2回成功させ、WR#19森へ右サイドライン際縦パス40ヤードで一気に敵陣ゴール前7ヤード、最後はWR#6長谷川へのコーナーパスによって得点に至る。 QB2人体制で成し遂げたドライブだが、これが今年の近畿大学オフェンスの売りポイントになるのだろう。#5春日井のRBWR起用があり、モーションによって#5春日井が開いて左サイド4人レシーバーなんていうこともあった。QBからのピッチを受けたもう一人のQBがロングパス(フリフリッカー)なんていうプレーも十分に考えられる。 近畿大学は続くシリーズも同様のフォーメーションで展開し、さらに再び自陣で第4Dギャンブルを行ったが、今回は失敗。このギャンブル失敗によって関西学院大学に逃げ切りの得点チャンスを与えた。 ******** ******** 近畿大学オフェンスは縦ロングパスターゲットWR#25冨尾、#19森、#6長谷川、#87石田、とショートパスTE#4橋本による単発だがミドル〜ロングレンジのパスは脅威である。パス成功率は相手ディフェンスとの力関係にもよるが、パス成功で勢いに乗れば、得点までつながりそうだ。 QB二刀流による様々なプレー変化を含めて、相手ディフェンスがしっかりと対応しないと止まらないかもしれない。ただし、ランプレーがRB#7樋口、#20山上とQB#5春日井のみで手薄な状態だった。 なお、パンター#6長谷川にコントロールされたパントキックが秀逸で、試合前半でロースコアの展開になっていた原因の一つは、コントロールパントによるフィールドポジションの確保にある。 ******** この試合の展望コメントへ |
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この試合は、結果として見所の多い試合となった。 立命館大学オフェンスはQB#12池野とQB#3渋井によるショットガンによって6TD1FG成功1FG失敗1パント1インターセプトという結果を残した。 そして、この日のオフェンスキーマンはWR#11前田。ロングパスやショートパスキャッチ後のランでは#11前任者に匹敵する超速でDBを置き去りにした。#11前田の絡んだ得点シーンは24点分。約50ヤードロングTDパス2本、サイドライン際へのTDパスミラクル着地1回、さらに、FGドライブでも30ヤードパスキャッチを披露している。 他にWR#88大滝、TE#5阿南への縦クイックショートパスなどがQB#12池野、#3渋井からほぼ正確にパスヒットなった。ただし、エンドゾーン目前にしてフィールドが狭くなった時にパス失敗が増えている。限られた範囲内にレシーバディフェンス混在するので、レシーバーの空き時間が少なくなる。精度の要求される場所ではコンビネーション不一致なのかもしれない。 RB#22佃以外に、#28國枝、#43岡前、#46山城、#21中西のランプレーも時折大きく前進する。ただし、どんな窮地でも抜けるほどの走力ではないようだ。この試合では、WR陣のダウンフィールドブロックが的確に決まったことで走路が確保されていた。WR陣はパスキャッチにもランサポートにも秀でていることを再確認する一方で、RB陣の今後の成長に期待するところである。 同志社大学ディフェンスも、第1QはDL#90赤堀スクリーンパスカット、DL#79が突っ込み、WR#11前田に対してDB#13西山が付く、DB#18津田がはじいたボールをLB#53川口インターセプトなど第1Qは動きのいい時間帯もあった。 だが、時間が経過するにつれてスピードの違いと体格の違いが際立っくる。スピードプレーで前後左右に大きくストレッチされてバラバラにされ、また、一人のタックルではボールキャリアを倒せず、複数人のタックルでようやく止まる状態だがこの時点で数ヤード以上の余分な前進、これが立命館大学ドライブが続いた原因の一つでもある。 ******** 対する同志社大学もオフェンススタイルはQB#8村上によるショットガンだった。オフェンスバックスのスピードランとQBキープ、QBからコントロールされたショート〜ロングのパスによって、オフェンスドライブ力を見せ付けた。 試合前半は無得点に終わっているが、立命館大学トップディフェンスメンバーを置き去りにするQBキープ(34ヤード・42ヤード)によって敵陣侵攻を果たしている。特に2回目のキープロングゲインではワンフェイクでディフェンスを惑わしており、芸達者なところもある。 また、後半は立命館大学DBが総換えに近い状態だったとはいえ、速攻ビッグプレーで4TDを奪った。1個目はフィールド中央からWR#9池田へ48ヤード中央縦TDパス、そして、2個目以降3連続でRB#1永富のTDラン(右オープン53ヤード・左オープン60ヤード超・第4D2ヤードを残したギャンブルでの左オープン73ヤード)がその内訳である。 ただし、RB#1永富のスピードもすごいのだが、同志社大学WR陣のダウンフィールドブロックによって立命館大学DB陣LB陣を完全に処理できたことで走路が確保されていることも要因の一つである。 立命館大学DBは大きくメンバーが変わっていたのだが、LBでは#9塚田が抜けただけであり、初戦ということもあるだろうが簡単に抜かれ過ぎてしまった立命館大学ディフェンス陣に対しても、少なからず驚いている。 ******** 試合は結局オフェンス殴り合いの様相を示してはいたが、前半から得点を重ねていた立命館大学が逃げ切った。立命館大学側については、オフェンスキャリアが偏っていたようにも感じられるが、QBが落ち着いたパフォーマンスを繰り広げていたことは、しっかりと見ておくべきだろう。 ディフェンスはバックアップメンバーで4TDを奪われたことも大きいが、QBオプション系のランでビッグゲインを奪われたのもどうなのだろう、とりあずは無難に開幕スタートを切ったということだろうか。 一方同志社大学オフェンスは、ショットガン中心のスタイルに変わった。OLが押し込まれるシーンも多かったのだが、ディフェンスプレッシャーを受けながらもQB村上のパスコントロールが冴えてWR#14田又、#9池田、TE#4天野へパスがつながっていた。度胸のある、すごいQBになってきた。 ランプレーでは、ショットガン隊形からのQBオプションキープとRB#1永富、#21山本のランプレーで効果的にゲインを重ねている。エースRB#1永富の速攻脚力も健在だが、RB#1永富にボールが集まっていたようにも見える。最終学年、怪我しないように、お願いします。 同志社大学はオフェンスの得点能力の高さ、特にランでもパスでも速攻で得点できるところを示した。この試合ではキャッチアップには至らなかったが、得点の取り合いの試合展開に持ち込める可能性を実際に示した意義は大きい。 この試合の展望コメントへ |
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試合は京都大学キック神戸大学リターンで始まる。神戸大学QB#7多和のIフォーメーションに対して京都大学ディフェンスは5−2−4の前陣強調でセット、これによりランプレー2回ノーゲイン、パスターゲットなしのパス失敗で攻撃権が移る。 京都大学オフェンスは自陣15ヤード付近スタートだったが、いきなりエンクローチメント(セット段階で侵入)の反則ロス、さらに左ピッチプレーでボールをファンブルしてしまい、攻守交替となる。 敵陣15ヤードスタートの神戸大学は、左外WR#12村上へのクイックパス7ヤードなどでFD更新、RB#1中井、RB#2井ノ上の中央突破ラン3回目でゴールラインを突破して先制した。 神戸大学は、次のシリーズでもWR#25矢野川へのパス10ヤードとか、WR#25矢野川のモーションで横縦を惑わせながらのラン突破で前進するなど、多様なフォーメーションで第1Qは神戸大学優勢だった。P#25矢野川によるパントキックも絶妙な転がり方をしいて、京都大学に1ヤードからのオフェンススタートを強いた。 ******** 京都大学は、このシリーズからQBに#12宮下を起用、その第1プレーでQB#12宮下ダイブ中央突破が11ヤードのビッグゲインとなって窮地を抜けた。そして、このQBクイックダイブがこの日の京都大学オフェンスのキープレーとなり、神戸大学ディフェンスが少しずつ崩れていくことになる。 このシリーズはQBダイブにRB#19奥原中央突破、QBドロップバックからのスクランブル中央突破で10ヤード超、さらにRB#35木戸へのショベルパスなど、いずれも中央縦のラインばかりを狙ったプレーだったが、自陣1ヤードからフィールド中央までの約5分間50ヤードドライブがつながった。 最後はショベルパスにDB#6阿部、ドロップバックにDL#90荒谷が対応してロングドライブが止まったが、何をするかわからないQBという印象を与えたシリーズとなった。 ******** 第2Q中盤、京都大学ミスパントキックにより、神戸大学自陣36ヤード、第3DでWR#12村上へのパス14ヤードを決めてFD更新する。第1Qの得点シリーズもクイックパスで突破口を開いているように、今年の神戸大学はパス精度が高い。パスターゲットはWR#12村上、TE#43三輪、TE#45東に#25矢野川が加わり、時々RBもパスターゲットとなるが、QBにも余裕があるのだろうコントローされたボールがレシーバーへ飛んでいく。 さらにRB#29中桐、#1中井のオープン中央ランも機能しており、LB#10森田、DL#91三井、DB#37吉田、の堅守で時々ロスゲインも混じるが、ドライブがつながっている。自陣から始まった約5分間のドライブは64ヤードのTDドライブとなって第2Q残り1分04秒、2TD差として神戸大学が前半終了間際にリードを広げた。 対する京都大学は、前半最終シリーズをWR#82鋤崎オンリーパスターゲットながら3本のパスを投じ、サイドライン際への10ヤードと20ヤードをヒットさせた。QBキープとの交互によって2回のFD更新して追い上げを図るが、時間が足らなかった。だが、WR#82鋤崎へのパスも後半京都大学の追い上げツールになっていく。 ******** 後半。先攻京都大学は自陣19ヤードスタート。後半立ち上がりから京都大学OLが神戸大学DLとイーブンの力関係に戻った。そして、ここから形勢が逆転していく。 QB#12宮下ダイブ中央突破と、WR#82鋤崎へクイックパスに、RB#17藤原中央突破、いずれもが1回10ヤードゲイン、プレー種類はこの3種だけだが神戸大学のディフェンスが全く対応できない上にLB#5清水、DL#10清水が負傷退場。 京都大学はQB中央突破で一度はエンドゾーンへ飛び込んだが反則取消。にもかかわらず、モチベーションが切れることなくエンドゾーン前2ヤードでFD更新すると3回連続のQBスニークで待望の初得点を挙げた。FD更新6回5分30秒のロングドライブである。 続く神戸大学オフェンスもTE#43三輪WR#19福田へのミドルパスとRB#29中桐、#1中井のランプレーでドライブがつながっているのだが、敵陣でのポスト中央パスをDB#29植竹にインターセプトされたことで試合の流れが、変わった。 第3Q終盤、京都大学自陣34ヤードスタート。 オフェンスのキラープレーはQB#12宮下の中央突破ラン。OL#50伊藤などとのコンビネーションが抜群だったのだろう、神戸大学は対処の施しようがない。このシリーズはQBラン5回計50ヤードゲインなどで第4Q残り9分54秒、京都大学が同点に追い付いく。 さらに京都大学DL#92木村のQBサックなどで神戸大学にFDを与えず、さらにハンドリングが乱れた。 この日初めて敵陣スタートとなった京都大学は、その第3D、RB#35木戸の中央突破ランによって縦ラインを切り裂いた。39ヤードTDラン、試合序盤の劣勢から攻守ともに立て直しをはかり、そして完全に力関係が逆転したことを見せ付けた。ただし、残り時間6分14秒。微妙な時間が残る。 ******** 神戸大学自陣21ヤードスタートのオフェンスは、しかし、右外パスがターゲットと合わず、中央ランもノーゲイン、第3Dではパスターゲットを見つけられず止むなしのQBスクランブルも5ヤードまで。第4Dで4ヤードを残した。第1回目のギャンブルはTB#1中井の中央突破9ヤードゲイン。 ただしフレッシュを取ってもDL#90市川,#92木村、#91三井などフロントのプレッシャーは厳しく、左ピッチはピッチボール乱れて僅かに1ヤード、ドロップバックで足をつかまれ3ヤードロス、QBキープ2ヤードで、再び第4D、今度は8ヤードを残した。 ランプレーでは少し距離が長い。神戸大学タイムアウト後半2回目。パスコースもピッチも乱れ、QB含めオフェンス全体に余裕が感じられなかったのだが。 右ロングパスはサイドラインギリギリだったが、DBを振り切ったWR#80古川がライン瀬戸際で両手を上げてキャッチ。31ヤード前進して、敵陣24ヤード。そして第1Dで左WR#19福田コーナーへTDパスが決まる。 この段階で京都大学21神戸大学20。神戸大学は3回目ラストタイムアウトを行使し、白黒決着を選択した。 TB#1中井の中央突破フェイクのプレーアクション、右コーナーフリーのRB#2井ノ上へパスが通った。 京都大学ラストオフェンスは残り時間2分09秒から。タイムアウトが2回と時間的にも余裕はあったのだが。 ランプレー中央3ヤード、ノーハドルの第2D左クイックパスはLB#47川村にあわやインターセプトのカット、第4DギャンブルでRB#17藤原へパスをつなげてFD更新する。だが神戸大学ディフェンスのボールキャリアへの集まりが早く、ロングゲインに至らない。WR#82鋤崎へのショベルパスが8ヤードに止まったあとの第3D、左ピッチ中にファンブルロスト、試合を決めるターンオーバーとなった。 ******** 昨年の秋シーズンから「詳細チャート」なるものを作成している。これは、試合の時間経過とボール位置を示して、どのような試合展開だったのか、どの時間帯はどちらのチームが優勢だったか、力関係がどのように変化していったか、を、視覚に訴えるツールであり、一応、私が考案したものである。 (私の知る限り前例はない。ただし詳細調査は未実施。さらに、「詳細チャート」という名称もAK'sのオリジナルだが、名が体を現していないようで名称に不満はある。ただし、機能は果たしていると思うので、名称不一致?については保留中。) この試合のチャートを眺めていると、前半は神戸大学が押し気味で京都大学陣にボールがある時間が多いが、徐々に京都大学が押し戻して、第4Qにはボールがほとんど神戸大学陣内に留まっている。実際にフィールド上で繰り広げられていた試合の様子がきれいにチャート上に現れている。 神戸大学は、オフェンス序盤の勢いが徐々に失われ、さらに、ディフェンスの怪我人発生とともに京都大学攻守に支配されていった。第4Qでは攻守とも完全に浮き足立つ状態だったが、最後の最後に再び試合をひっくりための集中力執念を取り戻すことができた。 一方の京都大学攻守は、試合前半の劣勢を徐々に立て直していった持久力がすごい。諦めるどころか盛り返して行って、第4Qには攻守とも完全優位に立つところまで試合形勢を逆転した。そのままリーグ戦に当てはめれば、第1節は失点したが、ここから、徐々に挽回していくはず。 両チーム攻守の精神力の強さに目を向けて第2節に突入する。 この試合の展望コメントへ |