関西学生アメリカンフットボール Div.1 第3節



10月02日(土) 宝が池球技場 11:00
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
近畿大学





龍谷大学





 


 龍谷大学はDIV1で2試合を行ってきたが、何よりも最初に書かなければならないことは、オフェンスQB#19佐藤のパス攻撃が立命館大学・京都大学の強力DL相手に通用したことであり、良い意味で衝撃的で新風を吹き込んでいる。ショートからミドルレンジまでのパス成功率は私の見た限りではDIV1トップではないだろうか?DLLBのプレッシャーに臆することがなく、また、QBWR(#8山口・#9中川・#4守山・#15牧野)間のコンビネーションも完璧である。このパスは近畿大学戦でもオフェンス組立の中心として用いられることになるだろう。

 しかしパスと比較するとランで効果的なゲインがない。プレーとしてはRB#31山形のドローやQBキープなどがあるのだが、パスを通すための本当の捨てプレーになってしまっているのが惜しい。ランでもある程度ゲインすると組立がもっと楽になって面白くなっていくだろう。

 一方のディフェンスは、LB#42高橋、#43井阪、DL#90小坂、#99石川などが片手で引っ掛けたりソロタックルを決めたりという、執念のタックルが目立つ。プレー毎に判断のよさがボールキャリアに直線で突っ込ませているのだろう。個人レベルで止まっているのがシステム的にそこへ追いこんでいるのかは不明だが、立命館大学・京都大学相手に想像以上の大健闘だった。

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 近畿大学前節のオフェンスは、試合途中の負傷ということもあってQB#10岡と#12春日井の併用だった。ランの岡に対してパスの春日井という表現は、おそらく両名からの反発反論を受けてしまいそうなので、いずれもランパスバランスアタックを身上とする。
 確かにRB#23吉田、#20山上、WR#6長谷川、#82三谷、TE#87石田等のバックス陣用は揃っている。さらに、これまでの2試合ともにテンポのあるランパスオフェンスでTDドライブを見せているので潜在能力は高い。このオフェンススタイルが試合全般で発揮されれば試合の流れをコントロールできるのだが、安定感が少し欠けるところが混戦になってしまう原因のひとつだろう。

 ディフェンス陣では、第3列DB#18西村、#26井上、#15渡辺によるパスディフェンスが良い。前節関西大学戦でも3回のインターセプトを見せ、快速大谷とのスピード競争でも抜かれていない。ミドル〜ロングパスに対しては今秋リーグでもトップ級の布陣である。
 この第3列と比較すると若干見劣りするのがDLLB陣で、前節は中央付近のランプレーでドライブを許している。

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 さてこの試合の見所と考えてみると。

 近畿大学オフェンスQB岡・春日井どちらにしてもランパスバランスアタックと龍谷大学ディフェンスLBDL陣の個人パワーの対決は、どちらも計算できないところがあって比較は難しい。
 しかし、オフェンス組立VSディフェンス破壊という構図を考えれば、一般的には緻密さを要求されない「破壊」が上回る。つまり、もともと近畿大学オフェンスには好調不調の波が大きい傾向があるので、龍谷大学ディフェンスが調子付かせなければディフェンス優位となるはずだ。

 近畿大学RBによる中央/オープンへのランプレーは、RB#20山上のスピードラン、RB#23吉田のパワーランいずれも龍谷大学DLLBのスピードディフェンスと均衡してしまう可能性もありそう。
 したがって、近畿大学の狙いどころはミドルレンジ以上のロングパスになろうかと思うが、しかし、パス3連続失敗で簡単に攻撃権を譲渡するような展開になってしまうと、自らオフェンステンポを乱してしまうことにもなりかねない。近畿大学としては狙いどころの難しいオフェンス組立を強いられそうだ。

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 そしてこの試合最大の見所となれば、龍谷大学パスオフェンスと近畿大学パスディフェンスの正面衝突が筆頭に来るのは異存のないところだろう。リーグトップ級のパス攻撃と、リーグトップ級のDB陣の対決は必見である。

 龍谷大学としてはランプレーで前進できていないので、やはり、QB#佐藤のパスに頼らざるを得ない状況にある。したがって、シングルバックとかショットガン5レシーバーのように多数のレシーバーを投入し、10ヤード〜20ヤード付近への積極的なパスアタックを試みてくるのは間違いないだろう。そのパスターゲットは(#8山口・#9中川・#4守山・#15牧野)。

 対する近畿大学ディフェンスだが、過去2戦の龍谷大学パスコースをスカウティングビデオから研究し尽くしているはずである。したがって、第3列DB陣はパスカットはもちろんのことだが、積極的にインターセプトを狙ってくるかもしれない。

 もしも再三のインターセプトとなれば、QBの投げるところがなくなって追い詰められた感覚から萎縮することも在り得る。反対に、攻めたDBとすれ違いのパスキャッチならば、オフェンスロングゲインは必至である。

 一般的に、複数レシーバーが動き回る状況を第3列だけでカバーするのは限界があり、やはり、DLLBフロント陣によるQBへのプレッシャーが必要になってくる。
 だがQB佐藤も京大立命DLLB陣のプレッシャーに対して全く動じない強心臓を披露しており、さらに、パスコース&パス精度が増してきたこともあって、第3列への負担はかなり厳しいものになりそうだ。

 龍谷大学側から見ると、この状態でさらにランプレーでゲインしそうな様子を見せておくと第3列はランプレーにも対応せざるを得なくなって、大混乱に陥る。つまり、龍谷大学OL陣がラン走路をしっかり確保できれば、龍谷大学優位の試合展開も十分にありうる。

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10月02日(土) 宝が池球技場 13:40
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学





同志社大学





 






10月03日(日) 王子スタジアム 11:00
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西学院大学





神戸大学





 


 神戸大学前節は立命館大学オフェンスを前半零封して開幕戦京都大学戦に続いて鉄壁ディフェンスが冴え渡った試合だった。DL#73池渕、LB#5清水、#51奥野などが立命館大学OLを粉砕してRBのスピードランをシャットアウト、パスもショートパスは通るがパスキャッチと同時にDBタックルを受けてプレーが止まる状態で立命館大学オフェンス全プレーを完封した。
 ディフェンスの完成度としては3強に匹敵またはそれ以上で、この試合も神戸大学ディフェンスが主導権を握ってロースコアの展開に持ち込むことは十分に可能だろう。

 一方、開幕戦でバタバタしてしまったオフェンスは、QBに#4多和を先発起用してショットガン併用のランパスバランスアタックを試みた。QBキープなどのラン系でゲインしていたのが第2Q途中で負傷退場、そして#10江端が交代出場した。だが、開幕戦ほど両QBの違いはなく、またオフェンス全体としても徐々に整備されてきている様子が伺える。この点においても、この第3節関西学院大学戦は重要な試合になる。

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 対する関西学院大学オフェンスもQB#14河野によるショットガンからのランパスバランスアタックを試みる。開幕戦ではラン比率が高かったが前節ではパスもある程度ヒットするようになって全11シリーズ中7TD・1FG・3Pと完勝、こちらも少しずつだが形になりつつあるようだ。

 そして、ディフェンス陣も潜在能力はあるのだがそれが、まとまっていない印象がある。DLはほぼ春から固定メンバーだがLBには#53柏木、#49井上など若いメンバーが積極的に起用されていることもあって、発展途上にあるようだ。このDLLB陣の活躍シーンが少なく相手QBに自由に仕事をさせているので圧勝した印象が残っていない。
 ただし第3列DB陣だけは#16河合、#8渡辺、#15藤井、#13岡本等アスリート人材の宝庫でパスにもランにも完璧に対応、特にDB#8渡辺のパスインターセプトはすでに複数回あり、彼のサイドへは投げにくい。
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 この試合の見所ポイントとして、まずは、神戸大学オフェンスと関西学院大学ディフェンスの攻防だが、両チームともまだ発展途上のところがあり、第2節からの2週間で変化していることも十分に考えられるので、どのような展開になるか想像しにくいところがある。

 まず神戸大学オフェンスはQBに江端・多和のいずれを起用してもTE#81中川、WR#12村上、#80立澤へのショート〜ミドルレンジのパスがキープレーになりそうだ。基本はランで組み立てて時間消費しながらのドライブだが、ランプレーだけでロングドライブするのはさすがに厳しく、勝負所(第3Dロングではない)でパスがヒットしないと攻め手段的に苦しい。
 ただし関西学院大学第3列のパスディフェンスは秀逸で、実際のところここにパスヒットさせるのもかなり困難だが、そこはQBWRのコンビネーション成長に期待。

 そしてオフェンス組立のメインになるランプレーだが、RBは#32森、#2井ノ上、#1中井とメンバー豊富だが距離数値を残していない。OLRBのコンビネーションの問題だろうと思うが、前節あたりから本来の力が見えかけてきているので、あとは、本格的に開花するのはいつか。

 関西学院大学DLLBがまだパワー&迫力不足という点を突いて、神戸大学の中央突破ラン・オープンランと、いやらしさの増したQBキープで僅かでも前進し続ければすれば、最低でも時間消費はできる。神戸大学側から見ればランプレーで関西学院大学DLLBを混乱させればイーブン、ここからショートミドルパスを少し加えて切り崩していくというのが理想の展開である。

 一方関西学院大学ディフェンス側からすると、QBOLにプレッシャーをかけて力でねじ伏せることができれば最良、つまり、ディフェンス本来の力を発揮できれば関西学院大学がそのまま試合をコントロールできそうる。

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 そしてこの試合展開を大きく左右することになるのが、関西学院大学オフェンスと神戸大学ディフェンスの攻防である。
 神戸大学オフェンスも復調してきているが、点の取り合いの展開はやはり苦しいだろうから、ロースコアの展開に持ちこむことが必須になってくる。したがって、神戸大学ディフェンスが試合展開のカギを握ることになる。

 関西学院大学QB河野からWR福井多田羅82などのミドルパスに対して、神戸大学DB#21松田、#25矢野川がパスカバーしている。このパスカバーを外そうとするレシーバーのコース取り・パスコースに対するDB陣の対応方法がひとつの見所である。ただ、パス精度とDB能力を比較すると、何回かはミドルパス成功もあるだろうが、パスだけでロングドライブが続くような一方的に力関係ではない。

 次に関西学院大学ランプレーはRB#6田中、#28堀口、#22横田へのショットガンからのハンドオフランがメインだが、立命館大学のランプレーを完封した神戸大学DL#73池渕、LB#5清水、#51奥野などフロント陣は強力である。力もあるが絶対に抜かせないという意気込みが片手でボールキャリアを引っ掛けてショートゲインに抑えている。

 ところで、ランプレーがゲインするためにはOLがDLLBをブロックしてRBの走路を確保すればいい。したがってランプレーが出ればOLが相手をねじ伏せたことになり、つまり、ライバル立命館大学OL陣との比較と言う点も見所のひとつになる。


 さて、このランプレーが出るか止まるかで試合内容が大きく変わってしまうのだが、おそらく神戸大学鉄壁ディフェンスは、少なくとも自陣エンドゾーン手前ゴールディフェンスは完璧、フィールド中央でも簡単にはゲインを許さないだろう。

 そして最後に残った関西学院大学の攻め手がQB#14河野のスクランブルランである。ショットガンのパス狙いからのキープは、その切り替えの判断、コース取りの判断とも秀逸で、これまで2試合でも効果的なゲインを奪って試合の流れを引き寄せている。これに対する神戸大学最終列DB陣がどのポイントでタックルを決めるか、スクリメージから3ヤードゲイン程度で止めるか、追走するか。最終列キーマンに注目。

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 おそらく最後まで拮抗した試合、精神的に厳しい追い詰められる試合になりそうだ。神戸大学が前節立命館大学戦に続いて試合終盤までもつれる大接戦を演じるか、それとも、関西学院大学オフェンスが爆発して力でねじ伏せる展開に持ちこむか。必見です。

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10月03日(日) 王子スタジアム 13:40
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学





関西大学





 


 関西大学前節近畿大学戦は、終盤にもつれる展開になったが、全体を通してオフェンスは安定していた。QB#8碇がフル出場し、また主将&RB#3松田の連続キャリーで得点を重ねた。

 一方ディフェンスだが、こちらは開幕戦同様にQBスクランブルで何度もビッグゲインを奪われてしまっているのだが、システム的な問題なのだろうか。このQBスクランブルランを少しでも止めていれば、2試合とも全く違った試合展開になっていたに違いない。

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 京都大学のオフェンスはRB#33池上、#38奥原のランにWR#34飯田、#82鋤崎、TE#89東へのパスとQBキープランが加わった幅の広いランパスマルチとういう構成で、さらに安定したOL陣がこれを支えている。派手さはないが、重厚感のる堅実なオフェンス陣用になった。

 ディフェンスはランプレーはぼ止めているのだが、パスディフェンスが甘すぎる。甘いと言うよりほとんど諦めの境地という状態だが、その実体はショート〜ミドルレンジまでは許すが、一発TDのロングパスだけは避けるという布陣である。
 DLフロント陣がQBに襲いかかってプレッシャーからパス失敗に追いこむ、次に長身揃いのDLLBが手を伸ばしてパスをカット、カットできなければパスは通るがミドルレンジまでというのが狙いなのだろう。

 ミドルパスがヒットすれば失点も増えるが、今年のオフェンスはその分の得点を取り返すためのスピードのあるプレーとボールキャリアが揃っているのが強みで、取られたら取り返すの点の奪い合いになったのが前節の試合だった。

 京都大学の試合と言えばロースコアの表面上は競った試合展開でその実体は力でねじ伏せる、というのがここ数年の傾向だったが、今年は得点の取り合いも可能になったという点で要注目・要注意である。

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 さてこの試合の見所としてまず関西大学オフェンスと京都大学ディフェンスの攻防だが、QB#8碇からのミドルレンジまでのパスは、パスコントロール&タイミングさえ合えば通るだろう。そして、そのパスターゲットがWR#17大谷であればスピードでDBを振りきってそのままTDということも十分に考えられる。WR#15中尾、TE#81岩田へのパスも同様で、レシーバーとのコンビネーションが完璧ならば、パスは成功する。

 一方の京都大学ディフェンスだが、ここまでの2試合ではDLLBがQBへプレッシャーをかけるシーンがなかったのだが意図したところなのだろうか。しかし第3節なのでDL#94桂木、#93福江、LB#97近藤などが、前に突っ込むプレッシャーと長身を活かした圧迫感というプレッシャーをQBへかけてくる頃だろう。これらに対して関西大学OL陣がQBを守りきれるか、QBも冷静な判断を失わないことが重要なポイントである。

 ただし、このパスの成否のカギを握るのは実は関西大学のランプレーにあると思う。つまり、ランプレーが出なくなると、関西大学側にパスを決めなければ・・・の心理的負担が重くのしかかってしまい、これがパス精度に影響するという悪循環が気になる。


 その関西大学ランプレーだが、前節はRB#3松田だけが際立っているように見えるが、#3松田負傷退場の間の2プレーでしっかりと役割を果たしたRBも存在する。
 さらに、Iフォーメーション、つまりRB#3松田の前にもう一人のRB(UB)を配置した隊形によるランプレーを試みている。OLを押しこんでRBの走路を確保するのがUBの役割のひとつであり、UB#47門脇の好ブロックによってRB#3松田の中央突破ランプレーが進んだと言っても良い。この一人が居るのと居ないのとでは大きく違う。

 京都大学のこれまでの対戦相手(神戸大学・龍谷大学)はいずれもシングルバックからのランプレーだった。このあたりで関西大学ランプレーが進むという可能性はある。

 OLUBがどこまで支えられるか、そして関西大学ランプレーが進むか止まるかはパスの成否にもつながる。ここがこの試合展開を大きく分けることになる。

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 関西大学ディフェンスと京都大学オフェンスの攻防だが、京都大学オフェンスプレーの種類が大幅に増えてきているのに対して、関西大学ディフェンスもDL#92澗随、#95古川、#90和久、LB#4大林が前に詰めて、その後方ではDB#23長谷川、#24川勝の完璧なパスカバーとほぼ完璧の状態にある。この攻守は、ほぼ均衡状態で、見応えのある攻防が繰り広げられそうだ。

 ただし一つ、ミスマッチのところがあって、それは京都大学QB#3御澤がオプションキープなど自分で持って走るようになっていることと、関西大学ディフェンスがQBキープランで走られるまくっていることである。
 ここは京都大学側の一つの攻めポイントであり、関西大学ディフェンスの対応方法が修正されていないようでは戦況が大きく変わる。
 もし関西大学がこのQBキープを止めることができればが止まれば、ドライブされ続けることはないだろう。そこから試合の流れを引きこむという展開が関西大学側の理想形になりそう。

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 この試合はロースコアかハイスコアかは判らないが僅差接戦になりることは間違いないだろう。そこで冷静にプレーを選択する・各選手が正しく実行する・FGを決めるなど繊細な部分が問われることになりそうだ。オフェンスディフェンスどちらも、選手・スタッフ・チームとしての熟成度が問われる。

 今年のリーグ戦は1敗までならプレーオフの可能性が残る。2敗すると「今年が終わる」ことを意味する。関西大学が上位進出を狙うならば、クリアしなければならない。

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 今年の関西学生DIV1は下位からの突き上げが厳しく、第一試合も第二試合も試合終盤まで均衡した展開になることは必至です。関西近郊の方も、そうでない方も。。秋空の王子スタジアムでお待ちしています。



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