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近畿大学は開幕戦で相手に助けられたところもあったが最終的にはオフェンスの力で勝ち上がって無難に今シーズンスタートした。 一方の関西大学は関西学院大学に2年連続勝利まであと一歩に迫った惜しい黒星となったが、オフェンスディフェンスともに現時点での発揮できる力を全て出し切った試合だった。 両チームの試合結果は異なっているが、ともに好スタートを切っていており、その両校が激突するこのカードは第2節の一推しである。 ******** ところで、誰かがどこかで書いていたが、近畿大学と関西大学の対戦成績は、ここ数年近畿大学の勝利が続いているらしい。そこで改めて私がWEBを開設した1996年以降について調べてみたのだが、確かに、対戦のなかった00年・01年を除く全ての年で近畿大学が勝利している。 関西学生で3強絡みの試合を除くとどの対戦組み合わせも勝ったり負けたりなのだろうと思っていたのだが、こんなに一方的な結果を残している対戦カードがあったとは意外だった。 しかし最近の5試合はいずれも僅差接戦の試合になっていることから判るように、両チームに対戦結果ほどの戦力差はない。 ******** この試合の見所だが、近畿大学ディフェンスと関西大学オフェンスの対決では、近畿大学DB陣#5青木、#18西村、#26井上と関西大学RB#3松田、#34鎌倉のオープンスピード対決が面白い。 1個のタックルミスは、直ちにビッグゲインや失点につながる。このスピードプレーを第3列だけでカバーするのは厳しく、近畿大学LB陣が自由に動けることが必要であり、そのためにはライン戦の攻防も鍵を握る。 一般的にオープンへ展開するプレーでは、数的優位を作り上げるとビッグゲインにつながりやすい。例えば、オプションプレーや真横パスから縦ランプレーでは、走路を確保するために相手DBをブロックしようとするWR陣にも注目である。WR陣のダウンフィールドブロックが決まるとボールキャリアの独走につながる。 さらに関西大学には、前節関西学院大学戦で多投したWRRBへのスクリーンパスもあり、 ディフェンスを切り崩していく手段系は揃っている。 ただしオフェンスで気掛かりな点は、QB#8碇、#7堤両名の気持ちの流れに従ったスムーズな交代の成否とプレーシークエンスである。 なお、近畿大学ディフェンスについては、前節であまり厳しい状況に追い込まれていなく、どこがウィークポイントでどこが強みなのか今秋の姿がはっきりと見えていない。 ********* そして関西大学ディフェンスと近畿大学オフェンスの攻防だが、近畿大学オフェンスもランパスのタレントが充実している。 前節のオフェンススタイルは、前半がUB#23吉田、#34碓井とTB、QBによるIフォーメーションでランプレー中心、そして後半はTB#20山上、TE#4橋本、#87石田、WR#6長谷川のシングルバックからのランパスというスタイルになっている。 両スタイル併用なのか不明だが、どちらにしろプレー種類・タレントとも豊富で、こちらもディフェンスを切り崩す手段系は揃っている。 QB岡キープランも加えてランパスのテンポいいオフェンスドライブを組み立てることは十分に可能で、調子に乗って一気にTDまでつなげる力は有している。 逆の表現をすれば、調子に乗らないと完全に停滞してしまうのだが。前節同志社大学戦でも、少しだがその兆候は現れていた。 対する関西大学ディフェンスは、前節QBキープスクランブルや中央付近のランプレーで大きなゲインを奪われていて鉄壁ではない。 ただし試合終盤の追い上げがディフェンス個々人の粘りから生まれているように、DL#92澗随、#95古川、LB#6野口、#4大林、DB#5騎馬、#23長谷川など、ポテンシャルの高い選手が揃っている。シーズン序盤の発展途上ならば一戦毎に分厚いディフェンスへ変貌していくことも十分にあり得ることで、この試合は関西大学ディフェンスとして魅せ所である。 ******** そして、関西大学リターナー#17大谷と近畿大学カバーチームの対決も見逃せない。近畿大学は春からキックカバーの甘いところを見せており、この試合でも何度かビッグリターンされるシーンがあるかもしれない。 ******** この両チームオフェンスはいずれもスピードキャリアを有している。このプレーヤーに対するディフェンスの対応方法が試合の行方を左右するポイントになりそうだ。ディフェンスが相手オフェンスを如何に飲み込めるか、どちらのディフェンスが活躍するかを見ると判りやすいかも。 |
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同志社大学前節は近畿大学と接戦を繰り広げていたのだが、オフェンスバックス陣に負傷者が大量発生したこともあって、惜敗してしまった。 オフェンスはQB#7奥野、UB#33小佐井、TB#1永富、TE#89池内、WR#19久世などによるIフォーメーションからのランパスと、ショットガンを併用している。 試合序盤は同志社大学OL陣が近畿大学DLを押し込んでいてUBの中央ランとTBのオープンへの展開で優位に立ち、TEの身体サイズを生かした短いパスからのランなどによるドライブシーンもあった。ただ後半は負傷者発生のために満足にオフェンス陣容を組めなかったようだった。 またディフェンスは、近畿大学RBのスピードラン一発で持っていかれてしまったこともあったが、それ以外のシリーズは、近畿大学を封じていたと言えよう。完璧なディフェンスと言うまでではないが、DBLBDLとも発展途上で試合毎に厚みが増す可能性を秘めている。個人的にはこの試合での同志社大学ディフェンスの活躍シーンを楽しみにしています。 ******** 関西学院大学前節のオフェンスはQB#14河野のショットガンだったが、パスよりもRB#6田中、#28堀口、横田とQBによるランプレーのほうが大きくゲインしていたようだ。DLに入られてQBにプレッシャーがかかるシーンも多かったが、そこからスクランブルで逃げ切れる脚力&眼力はショットガンQBとして一つの魅力である。 このようなランプレーに魅了されてしまってパスの印象が少ないのだが、WR#9福井、#81多田などへのミドルパスも適度にヒットしていた。 一方のディフェンスは、DB#8渡辺、#16河合、#15藤井など第3列は活躍していたが、DLLBフロント陣に春の勢いがなく、相手QBへのプレッシャーも手緩かった。なお、春の固定メンバーからLBが変わり、フォーメーションも春は3−4・4−3併用だったが開幕戦は4−3固定だった。 春の段階では、どのポジションも安定していてスキルばらつきの少ない陣容だったのだが。どこかのポジションで怪我人でもいるのだろうか。 ******** さてこの試合だが、まず関西学院大学ディフェンスと同志社大学オフェンスの攻防をみてみると。 まず何よりも同志社大学バックス陣の負傷者のうち何人が復帰できるか、ここが最大のポイントになってしまう。RB(UB・TB)とTEが揃ったIからのランパスは機能しそうだたが、いずれかのポジションが欠けるとプレーが偏ってしまって、ディフェンスに狙われやすくなってしまう。 同志社大学オフェンスとしては、前節時折用いていたショットガン・ノーハドルに期待するところもあるが、それよりも控えメンバーの中から「オフェンスバックス陣の新星現る!」みたいなことは考えられないだろうか。チャンスなのだが。 仮に前節スターターメンバー全てが復帰できると、UB#33小佐井の中央突破ランとRB#1永富のオープンランとでディフェンス陣を揺さぶりたいところだ。特にRB#1永富は昨年も関西学院大学戦を欠場しており、最終学年となった今年は是非ともDB#8渡辺、#15藤井とのスピード対決をみたい。 ただし、同志社大学オフェンスの方針としては、負傷者復帰する/しないにかかわらず、時間消費を最大目標とするプレーの連続によって「攻撃機会を減らす=得点機が減る」というロースコアの試合展開に持ち込むことが必須で、そのための戦術戦略の見せ所である。 ******** 一方の関西学院大学オフェンスと同志社大学ディフェンスの攻防だが、こちらは白熱するかもしれない。 同志社大学はスピードキャリアに一発TDプレーを許しているが、それ以外のシリーズでは近畿大学のランパスオフェンスを押さえ込んでいるので、力はあると考えていいだろう。 この試合の同志社大学ディフェンスの狙い所だが、関西学院大学ショットガンオフェンスはラン偏重のところがあるので、ランプレーを止めることに専念してしまう方法も大胆だが面白いかもしれない。 RB#6田中、#28堀口へのハンドオフランプレーとQBキープに対して、DL#56谷村、#40須永、LB#2江上、#47西内、#99沖宗などフロントを集中させ、時々の短いパスに対してはDB29#成瀬と#24大長がインセプ狙い、そしてTEパスとランプレー最後の砦に主将#5関根という布陣。 同志社大学チーム全体のパフォーマンスを考えると、ディフェンス主導の試合に持ち込むことができれば、負傷者の多いオフェンスの負担も軽減され、そして競った展開の試合になるはずだ。 |
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立命館大学は1週間遅れの開幕となったが順当に勝利を収めて関西3連覇に向けてスタートした。オフェンスはスターターQBに#12池野を起用したショットガンだったが、ショートパスがWR#15末原に数回成功していた程度で、どちらかと言えばゲインしていたのはランプレーで、RB#21岸野、#23古川、WR#11木下によるスピードランでまくり得点を重ねていった。 前半終了2分前まででわずか2TDと言うのは物足りない感じもあるが、開幕戦ゆえ、こんなものかと思う一方で、最後の2分間で2TDを挙げているのは、フィールドポジションが良かったことを差し引いても、するべきところで確実なプレーが出来ている、やるべきことが出来ていることの現れだろう。 ショットガンパスという点では少し物足りなかったが、オフェンス全体で見ると、今年のチームとして着実に仕上がってきている様子が伺える試合だった。 一方のディフェンスは、DLLBのプレッシャー自体が若干甘めということも関係しているのだろう、試合前半から龍谷大学QB佐藤のショート〜ミドルレンジのパスを何度も通されていたことが少し気にかかる。 ******** 神戸大学は前節京都大学に対して、ディフェンスの健闘で得点上は僅差接戦になっているが、オフェンスがランパスともに未完成という状態だったこともあって、ロースコアながら完敗の印象の残る試合になってしまった。 オフェンスのどこかのポジションに怪我人が発生していて、日程的に遅れていることもあるかもしれない。ただ、リーグ戦が始まっているのも事実であり、完成度の低さを早急に補う必要はありそうだ。 ディフェンスは、京都大学に自陣エンドゾーンまで攻めこまれながらも1TD・2FG成功・2FG失敗・1パント(6シリーズ中)と、ほぼ完璧鉄壁ディフェンスを披露している。DL#57中西、#73池渕、LB#5清水などフロント陣のプレッシャーは例年以上に分厚い。 ただ自陣エンドゾーンを何度も背負うきっかけになったプレーがいずれもRBWRのスピードランであり、タックルミス・コンテインミスいずれにしてもディフェンス全体的にスピードに付いて行けないということなのだろう。 ******** さてこの試合だが、まず立命館大学オフェンスと神戸大学ディフェンスの攻防を想定すると。 神戸大学DLLBフロント陣がQB池野へ厳しいプレッシャーを浴びせ倒せば、ミドルレンジ以上のパスを封じることは出来るかもしれないが、スピードの乗った地上戦にどこまで対応できるかが、試合を分けるポイントになる。 立命館大学バックス陣のスピードは京都大学のそれと同等以上なのは明らか。したがって神戸大学ディフェンスの前節の傾向を考えると、やはり、立命館大学バックスのスピードが上回りそうだ。スピードキャリアに対して神戸大学が対応できるようになっていればよいのだが、やはり、追走するシチュエーションを数回は覚悟せざるを得ないだろう。 しかし、神戸大学は一発でエンドゾーンへ持っていかれないようにすれば十分である。何故なら、エンドゾーンを背負ったゴール前ディフェンスには定評があり、ここで粘って時間を消費していけば失点は少なくなるはずだからである。これで神戸大学側が京都大学戦同様ロースコアのもつれた試合展開に持ち込む可能性が出てくる。 一方の立命館大学側から見ると、ゴール前ショートを確実かつ短時間で押し込みたいところだ。 ******** また、神戸大学オフェンスと立命館大学デイフェンスの攻防だが、神戸大学がIフォーメーションのラン主体とするか、ショットガンパスを中心にオフェンス組み立てをするか、どちらをメインに据えるか、あるいは均等併用とするかで、試合内容が一変してしまいそうだ。 立命館大学ディフェンスは、前節龍谷大学にショートミドルパスによるTDドライブを許している。一方の神戸大学も、京都大学戦終盤の勝敗が決まった後とは言え、ショットガンでQB#4多和からWR#80立澤、#12村上、#43三輪などへミドルパスを連発してTDドライブを行っている。 この神戸大学のパスと龍谷大学のパスは、距離コースとも同じミドルレンジまでの速いタイミングパスだったことを加味すると、神戸大学ショットガンオフェンスが立命館大学ディフェンスに通用するのではないか。 しかし神戸大学オフェンスと言えば伝統のランプレーという印象も捨てがたい。神戸大学オフェンスがチームとして何を準備してこの試合に臨んでくるのだろうか、ここも見所のひとつである。 |
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京都大学前節の試合は、重量級OLのパワーで圧倒してRB#33池上、#38奥原のスピードランが続出、力とスピードで勝利を奪い取った試合だった。 さらにQB#3御澤からWR#34飯田、#82鋤崎、TE#89東へのパスも適度にヒットしており理想的なランパスバランスオフェンスの形になっている。 しかしエンドゾーン目前に迫ってからの最後の一押しが届かずに2FGに止まってしまっている。スピードでは抜けるけれどもパワーでは押し切れないということなのだろうか。 さらに、いずれのドライブも一発ロングゲインが絡んでいたり敵陣スタートだったので、自陣から刻んだロングドライブを行うことができるのかは興味の残るだ。 一方のディフェンスに関しては神戸大学のランプレーをほぼシャットアウトしている。中央付近のランに対してはDL#94桂木、#97近藤などフロント陣がしっかりとカバー、オープンランに対してはDB#11廣岡、#37吉田の上がりの速度が異様に早かった。ランプレーに関してはほぼ完璧に対応できそうだ。 ただし勝敗の行方が決した後とは言え、ショットガンから短いパスを連続ヒットされて75ヤードのTDドライブを許している。第3列のパスディフェンスに難ありは、今年に限ったことではない。そして、ここがこの試合結果を分ける重要なポイントになることは間違いない。 ******** 龍谷大学オフェンスはQB#19佐藤によるショットガンフォーメーシからショート〜ミドルレンジのパスと、ランプレー(ドロー)を交えたオフェンス組み立てを展開している。 パスに関しては春から定評があったのだが、パスコースが若干増えてきていて、ショート〜ミドルレンジのパスが様々なコースにヒットしていた。さらに、立命館大学DL陣のプレッシャーに臆することなく安定してパスを成功させた度胸がいい。 なお、ドロープレーは、パスの裏プレーである(ドロー:QBがドロップバックしてパスを投じるようにみせかけて、実際はRBが走るプレーのこと)そのボールキャリアは、RB#31山形と#5川上。立命館大学戦では効果的なゲインは無かったが、ショートパスを通すためには、ディフェンスにとってパスと反対の動作を強いられるドロープレーは必要である。 ******** 京都大学オフェンスと龍谷大学ディフェンスの攻防だが、龍谷大学ディフェンス側に立てばRB#33池上のスピードランをいかにとめるか、ここが全てである。立命館大学RBWRのスピードに匹敵するので、逆に考えれば1週間前に経験していることが強みになって対応できるかもしれない。もちろん同じように走られてしまう可能性もあるが。 京都大学#52表、#70近藤、#66椿などの重量級OLと、龍谷大学DL#90小坂、#99石川のパワー、そして、LB#43井阪、#42高橋のブリッツがランプレーの成否を握る。 ただし、龍谷大学はLBDBのブリッツと入れ替わり・すれ違いになることを絶対に避けなければならない。すれ違い=失点につながるためだが、システム的に入れ違いにならないよう十分に考えられているはずだ。(ブリッツ:オフェンスのボールスナップのタイミングを予測して、その前からLBDBがボールキャリア目指して突っ込むこと。スクリメージラインを超えなければ、ディフェンスはボールスナップ前でも自由に動いてよい) 一方、京都大学オフェンス側から見ると、前節は自陣からのロングドライブチャンスがなかったが、ここはRBのランとWRTEをターゲットとした短いパスで組み立てられている京都大学オフェンス力をじっくりと見ておきたい。 ********* そしてこの試合を大きく左右することになりそうなのが、京都大学ディフェンスと龍谷大学パスオフェンスの対決である。 龍谷大学オフェンスは立命館大学相手にショットガンドライブを行っており、一方の京都大学ディフェンスは神戸大学のショットガンドライブでTDを謙譲している。つまりこの関係から類推すると、京都大学パスディフェンスに対して龍谷大学のショットガンパスが通用するのではないだろうか。立命VS神戸の展望でも同じようなことを書いているが。 龍谷大学のパスは、QB#19佐藤からWR#9中川、#8山口、#15牧野、TE#4守山への早いタイミングのショートパスが低い弾道で飛んでいく。ディフェンス側から見るとDBの対応しにくいパスコースだが、低い弾道ということで長身揃いの京都大学DL陣がパスカットしてしまうこともありそうだ。 ロングパスはコントロールの悪いところがあるが、何本かに1回ぐらいはDBのレシーバーカバーが甘いと、ロングパスもヒットしてしまうかもしれない。 京都大学パスディフェンスは、この数年間で充実した時がなく、一方で龍谷大学攻撃手段のメインがパスならば、パス攻撃VSパス守備の真っ向勝負にならざるを得ないが、パス守備の方が分が悪そうだ。 京都大学としてはパスを投げさせないように早いタイミングでQBにプレッシャーをかけたいところだが、QB#19佐藤は立命館大学DLのプレッシャーに動じるところがなかったので、少なくともパスが飛ぶところまでは京都大学も覚悟せざるを得ないのではないか。あとはパスの成功率の問題になる。 たとえショートパスだけであっても、連続ヒットするような状態になってしまえば、試合の流れは一気に龍谷大学に傾きそうだが。 ******** 一般論として、第1節開幕戦を無事に終えた後という安堵感が漂ってしまうのだろうか、第2節の試合は過去に何度か大接戦になることがあった。 第2節・京都宝が池球技場。もしかしたら年に一度の灼熱地獄になるかもしれませんが、立命神戸&京都龍谷、現地観戦すべき試合です。 |