関西学生アメリカンフットボール Div.1 第2節



09月19日(日) 王子スタジアム 11:00
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q 合計 勝敗
近畿大学 0 0 7 7 14 1-1-0
関西大学 0 14 7 3 24 1-1-0
(現地観戦)
 
近畿大学
関西大学
1Q
FG×
1Q
2Q
TD
TD
G×
2Q FG×
3Q
TD
TD 3Q
4Q
TD
FG
END 4Q
(作者Aのメモより)
詳細テーブル


 両チームオフェンスともランパスバランスアタックを緻密に試みているのだが、ディフェンスもミスなく対応するという展開で、試合前半は壮絶なディフェンス合戦が繰り広げられていた。

 近畿大学オフェンスはQB#10岡、UB#23吉田、TB#20山上というIフォーメーションを採用した。
 だが第1シリーズはDL#92澗随、LB#4大林のQBサック、第2シリーズではQBキープ、RB#20山上のオ−プンランに対してDB#23長谷川が,WR#25冨尾のリバースオープンランにもDB#12中村がしっかりと対応してFD更新も儘ならない。
 第3シリーズもDB#23長谷川、DL#90和久の鋭い突っ込みによるQBサックロスなど、プレー毎に活躍する選手が変わるディフェンスの壁を前にして近畿大学オフェンスが全く機能しない。
 近畿大学の意図するところは、RBの中央突破ランとオープンラン、QBキープやリバースなどいろいろ工夫され、スピードに乗ったプレーを試みているのだが関西大学ディフェンスのスピードが上回った。

 一方の関西大学オフェンスはQB#8碇、RB#3松田、WR#15中尾、#17大谷によるランパスだったが、こちらもDL#63泉森、LB#1中路がしっかりとランプレーに対応、WR#15中尾へのクイックパスショートパスにもDB#18西村のカバーがあってパスキャッチ5ヤードに止まる。またWR#17大谷のスピードを生かした縦パスにもDB#18西村はしっかりと反応してパスカットした。
 このように関西大学ランパスオフェンスにも近畿大学ディフェンスが完璧に対応した。なお、前半2回のパスインターセプトはDB#15渡辺とDB#18西村による。

 両チーム攻守の緻密なプレーの連続に、息苦しい時間だけが経過していった。

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 そんな状況の中、第2Q中盤に関西大学オフェンス敵陣43ヤードスタートというチャンスが巡ってきた。ただし、このスタートポジションを得たきっかけが何だったのかメモに残っていなくて判らないのだが。

 関西大学オフェンスはシングルバックとかフレックスボーンによるランパスだったが、時々用いていたIフォーメーションでUB#47門脇の好ブロックがRBの走路を確保していた。
 そしてこのシリーズもOLとUBによって作りだした空間をRB#3松田が抜けていくランプレー4ヤードゲインから始まった。さらに、RB#3松田のドロー中央突破ラン10ヤードでこの日2回目の敵陣に侵攻すると、今度はQB#8碇からWR#17大谷へのミドルパスがド真中にヒットして20ヤード前進、エンドゾーンまで11ヤード地点でFDを得た。

 ここをどのようにして前進するのか注目していたのだが、普通にRB#3松田の中央突破ランプレーを3回連続、ここまでで最もよく進んでいたプレーによって関西大学が均衡を破って先制する。

 この勢いは次のシリーズも続く。近畿大学パントキックしたボールをフィールド中央付近でキャッチした#17大谷が35ヤードのリターン、これで、関西大学は敵陣15ヤード付近で攻撃スタートと畳み掛ける絶好のチャンスを得る。
 そして再びRB&主将#3松田の2連続キャリー、スピードでオープンをまくり、OLのパワーで中央突破TDとなった。

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 一方の近畿大学は、DL#95古川の鋭いタックルを受けてQBが負傷交代、QB#12春日井はショットガンノーハドルなどパスメインのオフェンスを構成した。
 第2Q最終シリーズ自陣20ヤードからWR#6長谷川、#82三谷、TE#87石田へミドルパスをつなげたが、関西大学DL#95古川などフロント陣の勢いは衰えず、QBサックロス8ヤードなどが続く。
 前進後退とまさに一進一退のオフェンスドライブは、フィールド中央付近で第4D残り4ヤードをクリアするものの残り時間約1分、近畿大学にタイムアウトは残ってなく、縦のミドルパスを連発したがDB#23長谷川、#24川勝のパスカバーにあって止まってしまった。

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 試合前半は両チームディフェンスメンバーばかりが目立つ試合展開で、ディフェンスファインプレーの連続だったが、徐々に関西大学オフェンスのランプレーが効果を現しはじめるとともに、それに合わせたかのように、一段と関西大学ディフェンス全体が一体化して暴れ始めた。勢いは関西大学に傾き始めた。

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 そして後半最初に得点したのは関西大学だった。

 フィールド中央から始まった後半第2シリーズでQB#8碇から右横パスがWR#15中尾へヒット、ここからランで15ヤードゲインすると今度はQB#8碇のドロー中央突破が13ヤード、ディフェンスはランパスに振り回されて対応できなくなっていく。
 敵陣17ヤードから関西大学はRB#3松田のドロー中央突破11ヤードで前進するが、ここで軽い負傷による退場。しかし残り6ヤードをRB#21瀧川とRB#33平が押しこんで3TD差へと広げた。

 一方の近畿大学は、リターナー#20山上による70ヤードのキックオフリターンによって、この日最初の敵陣深いところからのオフェンススタートとなったのだが。
 UBダイブ中央突破ランにはLB#4大林に対応されてノーゲイン、その後はQBキープで6ヤード前進したが、第3D第4Dの左右コーナーへのショートパスをDBにインターセプトされてしまい、なかなか得点に至らない。

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 第3Q終盤で3TD差、大勢が決したかと判断できる時間帯だったが、ここから近畿大学QB#12春日井によるショットガンオフェンスが2シリーズ連続でTDドライブを行った。

 その1回目は自陣40ヤードから、WR#82三谷、#19松岡へ短いタイミングパスをつないで敵陣へ入る。ランプレーに対してはDL#90和久、#95古川によるロスタックルを見舞われるのは相変わらずだが、アクロスパス14ヤードなどを絡めて挽回しながら前進した。
 そして敵陣26ヤード付近、QB#12春日井のスクランブルラン2回はいずれも10ヤードを超えるランとなって1個目のTDを獲得する。

 第4Qには、自陣10ヤード付近から再びQB#12春日井のスクランブルランが大きく前進する。関西大学ディフェンスはQBランに対して機能しないのだろうか、前節同様QBだけには走り捲くられてしまった。
 最長43ヤードのQBキープランなどを絡めて第4Q残り時間5分24秒、7点差にまで追い上げた。

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 関西大学も残り5分22秒自陣45ヤードから始まったシリーズ、RB#3松田のラン、WR#17大谷へのミドルパス25ヤードなどのビッグゲインを連発させてエンドゾーン手前20ヤード。
 しかし近畿大学LB#1中路のロスタックルやQBドローを片手で止めたDLなど、近畿大学ディフェンス陣が最後の一線を許さなかった。
 そして第4DFG狙いは右へ逸れて失敗。得点差は7点のまま、だったのだが、このFG時に近畿大学がラフィングザキッカーの反則。

 FG失敗の時点で、残り時間2分09秒、7点差。近畿大学はオフェンスの組立て方次第で同点逆転のドライブは十分に可能だったのだが、痛恨の反則となってしまった。

 反則により関西大学は再び4回の攻撃チャンスを得ると時間を消費するランプレー3連発のあとにFGを決めて10点差、この時点で残り時間35秒、勝敗が決まった。





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09月19日(日) 王子スタジアム 13:40
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q 合計 勝敗
関西学院大学 7 17 14 14 52 2-0-0
同志社大学 0 0 0 7 7 0-2-0
(現地観戦)
 
関西学院大学
同志社大学
1Q
TD
1Q FL
TD 2Q
TD
FL
FG
2Q END
3Q FL
TD
TD
3Q
TD 4Q
TD
TD
END 4Q
(作者Aのメモより)
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09月20日(月) 宝が池球技場 11:00
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q 合計 勝敗
立命館大学 0 0 7 14 21 2-0-0
神戸大学 0 6 0 0 6 0-2-0
(現地観戦)
 
立命館大学
神戸大学
1Q
FG×
1Q
2Q
P×
TD
G×
2Q END
3Q
TD
RFL
3Q
4Q FG×
TD
G×
TD
4Q END
(作者Aのメモより)
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 第4Q突入時点で7−6、得点差は僅かに1点。もつれた試合展開になるかもしれないとは考えていたのだが。
 神戸大学鉄壁ディフェンスが立命館大学オフェンスを完全にコントロール下に置いたこと、そしてRBWRのスピードキャリアのロングゲインになりそうなプレーをショートに留めたことが大接戦の一番の要因である。

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 立命館大学がQB#3渋井、神戸大学がQB#4多和、ともに第1節開幕戦と異なるスターターQB起用に場内異様な雰囲気に包まれる中で試合が始まった。

 先攻の立命館大学QB#3渋井によるショットガンオフェンス第1シリーズはFD更新なくパント、一方の神戸大学QB#4多和によるショットガンとIの併用オフェンスも第1シリーズは立命館大学同様FD更新なく終わる。

 そして最初にチャンスを掴んだのは立命館大学だった。第2シリーズ、フィールド中央QB#3渋井からWR#7長谷川への37ヤードロングパスがヒットして敵陣17ヤード、先制のチャンスを迎えた。
 だが、ここからホールディングの反則など2回の罰退があり、結局FGキックも右へ逸れてしまって無得点に終わる。

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 そして立命館大学オフェンスの手詰まり感が徐々に現れてくるのもこの時間帯からだった。

 第3シリーズはWR#7長谷川へポスト20ヤードパスが成功するが、パスキャッチ後のランをDB#6阿部が許さず、さらにRB#21岸野のオープンランにDB#25矢野川が突っ込んでロスゲインを見舞うなど神戸大学ディフェンスが執拗に食い下がる。

 第4シリーズ、RB#22佃へのスクリーンパスがDLの後方へ決まったのだが、残っていたDL#56金園によってノーゲイン、第2DではWR#7長谷川のパスキャッチ後のランをDB#6阿部がシャットアウトして7ヤードゲインに止まる。その第3Dは右WR#11木下への縦パスだったが距離が全く合わなかった。

 神戸大学ディフェンスは、DL#73池渕、#99森川、#56金園、#89野口、LB#5清水、#31榎本、#51奥野のフロント陣の気迫が立命館大学OL陣を巻き込んで圧倒、立命館大学バックス陣のスピードが全く活きない。
 さらにDB#6阿部、#25矢野川の最終ラインが最後の一線を抜かせないので、ショートゲインはあってもロングゲインには至らない。鉄壁ディフェンスが立命館大学オフェンスを大混乱に陥れた

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 立命館大学第4シリーズのパントで、センタースナップが乱れてパントを蹴ることが出来ず。これで神戸大学は敵陣45ヤードからの攻撃チャンスを得た。

 神戸大学QB#4多和によるオフェンスはIとショットガンの併用だが、パスからのQBスクランブルのタイミングが絶妙だった。
 ショートパス5ヤード前進後、左側に2人のレシーバーを配置してQBキープ右OTなど大胆なプレーコールでFD更新する。だが次のQBキーププレー後にタックルを受けて負傷退場。そしてQBは#10江端に交代した。

 敵陣26ヤード付近RB#33藤田、UB#2井ノ上の中央ランプレーで再びFD更新するが次のプレーでDB#5内田の鋭い突っ込みにあって15ヤードロスと大きく後退、一度目のチャンスは無得点に終わった。

 しかし、ここのパントで立命館大学を深いポジションに追い詰めると、再びディフェンスLB#5清水、DL#73池渕の鉄壁サックが続く。そしてQBからの右ショートパスにDB#25矢野川が反応した。WRの前に割り込んで狙ったようにパスインターセプト、そのままエンドゾーン目前14ヤードに持ちこんだ。

 神戸大学はUB#2井ノ上の中央突破ラン3ヤード、TB#32森のオープンランはUB#2井ノ上の好ブロックもあって8ヤードゲインとランプレーでFD更新した。エンドゾーン手前2ヤード。
 オープンランと中央突破ランは2回計0ヤードに止まったが、続く第3DがTDプレーとなった。
 QB#10江端が中央突破ランをフェイクして右ロール、そこからQBキープフェイクのプレーアクションパスがフリーになったTE#81中川へヒットしてTDパスが決まった。第2Q残り1分55秒。PATは失敗してしまったが前半終了間際に神戸大学が6点をリードした。

 そして続く立命館大学オフェンスはQB#12池野に交代したが、LB#51奥野、DL#73池渕の的確なタックルが続く。第4D残り1ヤードのギャンブルプレーFD更新ならず神戸大学リードで前半を終えた。

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 前半の立命館大学オフェンスはQB#3渋井を起用したが、オフェンスの不調はQBが誰と言う以前にOL全体が押し込まれていたことによる。バックス陣のスピードが全く活きてこなかった。
 時折は第一線を抜けてビッグゲインのチャンスがあるのだが、神戸大学第3列DB陣がそれ以上のゲインを許さなかった。DLLB陣は後方を気にすることなく前へのプレッシャーに専念でき、そしてLB#51奥野、DL#73池渕などが再三のビッグプレーメーカーとなった。
 神戸大学ディフェンスにミスらしいミスがなく正確にタックルを決め続けられたことで、この大接戦は試合終盤まで続いた。

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 第3Q最初に得点したのは立命館大学だった。フィールド中央からQB#12池野からWR#15末原へのパス、RB#44斎藤の中央突破ランが1回10ヤード、これが連続したことで敵陣17ヤードに到達、この試合2度目のチャンスを迎えた。

 神戸大学はここでゴール前ディフェンスを披露、WR#11木下へのクイックパスにDB#6阿部、さらにDL#99森川のパスカットで計2回ノーゲインに抑えた。
 ただその第3Dでのショートパスにレシーバーの邪魔をしてしまいパスインターフェアの反則によって罰退となってしまった。

 立命館大学は敵陣7ヤードまで前進すると、神戸大学に第3Dにまで追い詰められるが、WR#87松村へのショートパス、地面すれすれのところのパスキャッチに対して審判団協議の結果パス成功となりTD、さらにPATキックも成功させて立命館大学が第3Q残り6分31秒にようやく逆転して試合をリードした。

 しかし、その後は両チームディフェンスの健闘が光る展開に戻った。

 神戸大学のパントに立命館大学リターナーはビッグリターンを狙ったが、スピードの乗った渾身のタックルを受けてファンブルロスト、神戸大学QB#10江端のパスに立命館大学DB#27福島が反応してインターセプトを奪えば、立命館大学のパスに神戸大学DB#25矢野川がインターセプトと、ディフェンス優位のまま試合時間が経過、そのまま第3Qも終わってしまった。

********

 得点差は僅か1点。そして第4Q最初に得点機を迎えたのは神戸大学だった。

 自陣24ヤードからTB#1中井のラン11ヤードなどランプレーを細かく刻んで前進、フィールド中央まで到達すると、今度はQB#10江端−TE#81中川のホットラインにプレーアクションパスがヒットした。 投げる側も受ける側もギリギリだったが、落とさずにしっかりとキャッチ9ヤードゲイン、その第4Dでも再びTE#81中川へのミドルパス23ヤードをつないで敵陣に入りこんで逆転のチャンス。エンドゾーン前22ヤード。

 この第1Dでは再びパス狙いだったがDLに突っ込まれてしまった。ボールを投げ捨てたのが、これを「インテンショナルグランディング」と判定されて8ヤードのロスとなってしまった。その後ランプレー2回で計12ヤード戻すが第4Dで6ヤードが残ってFD更新に至らず。
 そして逆転を狙った飛距離約35ヤードのFGキックだったが、僅かに距離不足となってしまい、立命館大学リードは変わらなかった。この時点で残り8分16秒。

 その後、立命館大学は自陣20ヤードから、WR#15末原パス×2本、WR#11木下パス×2本、RB#44斎藤ランの5プレーいずれも15ヤード付近のミドルゲインを繰り返してエンドゾーン前2ヤード、最後は#88大滝へのパスで残り4分15秒、リードを8点差に広げた。

 神戸大学は残り4分05秒からドライブを試みたが、1回のFD更新で止まってしまった。

********

 立命館大学オフェンスは、ほぼベストメンバーだったが試合終盤までほとんど納得できるプレーをさせてもらえなかった。バックスに人材を集めてもOLが押しこまれるとここまでプレーが止まってしまうものかと、改めてライン戦の重要性を認識した。

 立命館大学ディフェンスは、神戸大学のオフェンスにほぼ対応していたとは言え、要所のサプライズドなプレー(通常は考えられない特異なプレー)では、しっかりとゲインされてしまっている。
 もちろんオフェンス側は相手ディフェンスの考えていないプレーを選択しているのだから、ディフェンスにシャットアウトを要求するのは酷だが、ビッグゲーム・ここ一番の試合・シチュエーションでは柔軟な発想・臨機応変な対応は必要だろう。

 神戸大学オフェンスは第2Qの早々にQB交代してしまった。QB#4多和のショットガンオフェンスをもう少し見たいと思う一方で、QB#10江端のランパスオフェンスもしっかりと形になってきたことが認識できた。
 オフェンス全体が開幕戦のバタバタとは雲泥の差で、どちらのQBにしてもランパスが機能できるように徐々に整備されてきている様子が伺えた。

 神戸大学ディフェンスは改めてその凄さを認識した。開幕戦ではスピードランナーに振り回されたが立命館大学スピードキャリアにはロングゲインを許さなかった。ライン戦の結果ということも一つだが、今後の対戦相手を考えると、いずれもロースコアの大接戦に持ちこむことは十分に可能だ。次節は関西学院大学戦である。





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09月20日(月) 宝が池球技場 13:40
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q 合計 勝敗
京都大学 0 17 7 14 38 2-0-0
龍谷大学 3 7 7 6 23 0-2-0
(現地観戦)
 
京都大学
龍谷大学
1Q
FG
1Q
TD 2Q
TD P×
FL
TD
FG 2Q
3Q
TD
TD
3Q
4Q
TD
TD
G×
FG×
RTD
END 4Q
(作者Aのメモより)
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 この試合は点を取られたら取り返すの状態でボールが右へ左へと動き回り、両チーム計8TDという派手な打ち合いになった。
 ただし冷静に振り返ってみると、龍谷大学がDIV1のチームとして違和感なく溶け込んだことを確信し、さらに京都大学の冷静な攻守は、今年のチームがまだまだ潜在能力を隠し持っていることを感じさせ、脅威の念を抱いた試合だった。

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 試合は龍谷大学京都大学ともパントを蹴りあったあとの龍谷大学オフェンスがパスドライブするところから動き始めた。

 龍谷大学QB#19佐藤によるオフェンスは自陣40ヤードから、WR#15牧野へ18ヤードパスとRB#31山形カウンタードロー9ヤードと前進、さらにUB#29楠田へもパスをつないで京都大学陣23ヤード、右コーナーパスで京都大学パスインターフェアを誘うとエンドゾーン前2ヤードに到達した。

 ただ京都大学DL#90市川、#93福江、#94桂木、#99尾崎、LB#97近藤などフロント陣の壁が厚く、このシリーズはRB#31山形のランプレーが止められるなどでFG3点に止まった。

 一方の京都大学QB#3御澤によるオフェンスは第1Qはラン中心だったが、第2Q突入と同時にパス主体に切り替えてからドライブがつながるようになる。

 自陣31ヤードから始まった第3シリーズ第2Q最初のプレーでWR#34飯田へ29ヤードパスを決めるとTE#89東へのプレーアクションパス7ヤードとQBオプションキープ10ヤードとランパスの妙で大きくゲインして敵陣14ヤード、最後は再びWR#34飯田へのミドルパスイン20ヤードでTDとなった。

 さらに続く龍谷大学オフェンスをパントに追い込むとそのパントキックをLB#97近藤がブロック、転がったボールを拾った#37吉田がそのままエンドゾーンまで走りこんでTD、龍谷大学ミスを確実に得点に結びつけている。

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 龍谷大学QB#19佐藤によるショート〜ミドルレンジの様々なコースへ飛んでいくパスは、前節同様この日も#15牧野、#8山口、#9中川というターゲットにヒットしつづけた。ロングパスだけWRとのコンビネーションが合わなかったり、DBWRの攻防もあって、確実性に欠けるところがあるが、一戦毎にステップアップしているのがわかる。
 京都大学DLLBのプレッシャーもあるのだが、早いタイミングでボールを投げることでディフェンスのプレッシャーを除いていた。

 このミドルパスをつないで得点したのが第2Q最後のドライブだった。自陣35ヤードからショットガン5レシーバー#8山口へ10ヤード、プレーアクションパスが#9中川へ20ヤードと京都大学DBの隙間に次々とヒットしていく。
 これで敵陣40ヤードに到達すると、その後も右WR#9中川へのミドルイン15ヤードで前進、最後は#18斎藤に左コーナーギリギリのところへのTDパスがつながった。

 前半残り時間0分49秒、龍谷大学10−14京都大学

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 次は京都大学の攻撃なのだが残り時間僅か。しかし、ここから果敢に攻めた。

 自陣41ヤードスタート残り時間45秒。
 RB#33池上へのスクリーンパス13ヤード、ラストタイムアウト、残り31秒。

 ここから3回のパスチャレンジ、1回目は11ヤード、2回目はDB#11坂口にカットされたが、3本目が右TE#89東へのミドルパス右ライン際をエンドゾーン目指したがディフェンスに押しだされて、23ヤードラン。そして飛距離23ヤードのFGを決めて第2Q終了と同時に3点を追加した。

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 前半を終わって17−10の1TD差だが、龍谷大学から見ればパントブロック分からの失点が余分、さらに最後にFGレンジまで持っていかれたシリーズのディフェンスも惜しい。

 京都大学側から見る値と、第2Q最後の少ない時間でFGで加点したしたたかさ冷静さが不気味だった。

*********

 前半の攻守の印象だが、まず、龍谷大学パス攻撃は、京都大学パスディフェンスの隙間に通用しそうな勢いだった。ショートパスはDLLBにカットされることもあったが、DB陣にパスインターセプトやパスカットの脅威がなく、QBWR間のコンビネーションがそのままパス成功率となって現れているといっても過言ではない。
 クイックリリースということもDL等のプレッシャーを受けにくく、パスに関しては龍谷大学が主導権を握っていたと言ってよい。

 ただしそれ以上に京都大学オフェンスの攻撃手段が多彩で、この日はQBキープ、TE#89東、WR#34飯田へのミドルパスとQBキープラン、そしてRB#33池上のランプレーという構成だった。こちらもミドルレンジのパスがかなりの確率でヒットすることでドライブに繋がっている。

 龍谷大学ディフェンスもDLLBがランを止めているシーンがあるが、パスが適度にヒットすることでランパスオプションが効いている。

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 後半は京都大学先攻だったが、QBRBのランプレーをLB#42高橋、#43井阪、DL#93河井がにノーゲインに抑えられ、TE#89東へのパスがFD更新に1ヤード不足する。  一方の龍谷大学もTE#4守山への短いトリッキーなパス、RB#29楠田へのショートパス等工夫があるが、ディフェンスフロント陣に寄られてしまって、パスキャッチ後のランが出ない。こうして京都大学・龍谷大学ともパントを蹴る。

 そして京都大学は再びWR#34飯田へのミドルパスを採用して、80ヤード(35ヤードパス+45ヤードラン)のポストロングTDパスで追加点を挙げた。

 龍谷大学も自陣22ヤードから再び#8山口、#9中川、へミドルパス18ヤード・15ヤード決める。このミドルパスが出るとその裏プレーのドローランプレーも大きくゲイン、RB#29楠田の10ヤード、QBスクランブル16ヤード等ランパスでミドルゲインを連発、自陣22ヤードからエンドゾーン手前3ヤードまでわずか3分で到達する速攻だった。
 京都大学ディフェンス第4Dまで粘ったが、最後はWR#9中川に左コーナーへのTDパスが決まった。

 このように京都大学が得点すれば龍谷大学も直ちに得点するという点の取り合いによって7点差は変わらないまま第4Qに突入していく。

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 京都大学は今度は自陣20ヤード付近からRB#33池上のスピードランを起用、中央突破ランにブロッカ−がついて55ヤードのビッグゲイン、さらにQBキープ12ヤードを挟んで最後は再びRB#33池上の中央突破ラン12ヤード、所要時間1分03秒の速攻TDドライブを見せた。

 しかし、龍谷大学も即座に反応、自陣41ヤードから右WR#9中川への縦ロングパスはDB2人を抜いてヒット、これが59ヤードのTDパスとなって、京都大学以上の速攻TD。得点の取り合いは第4Qになっても衰えるところがない。ただし龍谷大学がここのPATキックを外してしまい、8点差となった。

********

 京都大学自陣40ヤード残り時間9分30秒。

 先の京都大学オフェンスシリーズは、たまたまビッグゲインになっただけかもしれないが、ラン主体だったのは事実。さらに、このシリーズも(ラン:パス=9:3)とラン比率が高い。もちろんこれは結果論であって途中でドライブが止まっている可能性もある。その時は、何故後半進んでいたパスを多用しなかったのかという話に発展するだろう。

 だが、このちょうど6分のランドライブは龍谷大学から攻撃時間を奪うことと、もしかしたら、冷静さも奪っていったかもしれない。

********

 6分のランドライブの最後を止めたのは龍谷大学LB陣#43井阪、#42高橋だった。京都大学が相手陣29ヤードでFDを獲得したのが残り時間5分47秒。

 ここからQBキープ5ヤードゲインはあるものの、第2DのRBランをLB#43井阪が片手で止めてノーゲイン、そして第3Dのパス狙いQBドロップバックに対してLB#43井阪、#42高橋がQBを追い詰めた。結果はQBサックによる12ヤードの大きいロス。これで京都大学を第4Dに追い詰めると同時にFGレンジから追い出すことに成功した。

 龍谷大学ディフェンスの執念で、得点差は8点の状態をキープ、残り時間は少なくなったが同点に追い付くチャンスは残った。

********

 残り時間3分30秒、龍谷大学自陣15ヤード、ロングパスとショートパスを失敗、第3DでTE#4守山へ5ヤード、そして第4Dパスは右ショートパスだったがFD更新に1ヤード届かなかった。

********

 残り時間2分15秒、京都大学敵陣24ヤード。ホールディング罰退10ヤード、ランプレー3回計13ヤード、第4DのFGキックは右へ逸れる。

********

 残り時間47秒。龍谷大学自陣22ヤード、QB#19佐藤からの右ショートパスだったがLB#97近藤がカット&インターセプトしてそのままエンドゾーンへ持ちこんで試合を決めた。

********

 京都大学オフェンスが取られたら取り返すの得点の取り合いの試合で勝利を奪い取った。さらに、QB#3御澤、WR#34飯田、TE#89東、WR#82鋤崎へのプレーアクションパスが精度良く決まったこと、QBキープ等でショートゲインを積み重ねたロングドライブがつながったことなど、開幕戦のランのビッグプレーを連発した開幕戦とは違った緻密な京都大学オフェンスを堪能できた。

 第4Q最後はFGレンジを外れないプレーを選択すべきだったが、それも含めてステップアップするのは確実である。今シーズン中にどこまで大きくなるのだろうか、中盤以降の試合が楽しみである。

 ディフェンスはミドルレンジのパスをほとんど100%通されつづけたのだが、それが今後どのように活きるのか。第3列パスカバーを修正するか、フロントプレッシャーを強化するか。修正の方向性も気になるが、それよりも、パスをあれだけ通されたのにもかかわらずパニックにならなかったディフェンス陣の精神的な強さ、拠り所の方が興味深い。

********

 龍谷大学は、攻守ともDIV1で通用する戦力を有していることを2試合連続でアピールした。さらに深刻な怪我人も発生していないようであり、QB#19佐藤のパスのバリエーションも着実に増えてきている。今シーズン中のDIV1初白星も射程圏内に入ってきたようだ。




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