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立命館大学QB#18高田による4年目のショットガンオフェンスは、今年もバックス陣にRB#21岸野、#22佃、#23古川、WR#84河瀬、#19冷水、TE#89栗山と多彩なメンバーを取り揃え、前半4試合はこのバックス陣のタレントで勝利してきた。 課題はやはりOLで、シーズン序盤は同志社大学や関西大学のDLに割り込まれるシーンが続出した。だがその後の試合では早いボール回し・クイックリリースによってディフェンスのプレッシャーをかわすという形になってきている。これが今年のオフェンススタイルであり、上記のようにランパスのボールキャリアが豊富なので、どこかに空いている誰かがいる。そこへボールが渡れば、RB陣のスピードなり、WR陣のスーパーキャッチなりで前進できそうだ。空いていなければQBスクランブルという最終手段もある。 逆にいえば空いているターゲットを見つける余裕がなければそこで止まってしまう。この余裕があるか否かで、おそらくオフェンスのテンポというものが決まるだろう。 もう一つ課題を挙げるとすれば、競った試合をしていないことによる試合&時計コントロールだが、前節は2ミニッツでしっかりとドライブするなど、ここも徐々に整ってきている。 一方の立命館大学DLは#92紀平を筆頭にそのサイズとスピードとパワーは反則状態が続いている。昨年からのメンバーの残るLBとDBも同様である。ただ2・3列は昨年に比べると最初の第一歩が遅いような気もするのだが。あくまでも昨年に比べてであって同業他者との比較ではスピードは一品である。立命館大学ディフェンスの攻略方法だが、実はこれがまだはっきりと見えてこない。 ******** 京都大学オフェンスはQB#4川並からWR#81小寺、#34飯田へのショート〜ミドルパスとRB#33池上の中央付近のランプレー、ここにQBキープが時々入るという組立方である。 だが、同志社大学戦ではドライブするも最後の一線を超えることが出来ず7点1TDにとどまり、関西大学戦では相手ミスによる試合の流れを得てからオフェンスがドライブを始めたという状況である。オフェンス自らが相手ディフェンスを力で切り崩すような「聳え立つ」圧倒するようなイメージはない。手を換えプレー順の妙というアメリカンフットボールのある面によってここまで白星を重ねてきた。 ただこのパターンが立命館大学ディフェンスを相手にしたときにどこまで機能するか。QB#4川並がDLラッシュを受けないようにOLがどこまで踏ん張れるか、その厳しいプレッシャーの中でパスターゲットに正確なボールが届くか。京都大学攻守の全知全能を注ぎ込んで何か新手が出てくるか。前節関西大学戦ではパントフォーメーションからの奇策があったように、仕掛けは多いだろう。 一方のディフェンスだが、関西大学戦同志社大学戦でランパスを確実に止められたかと言えば必ずしもそうではない。関西大学#17大谷に走られ、同志社大学QB#8水野#19奥野に走られ、さらにタックルミスが散見という状態だった。DE#97近藤、#92大鋸、LB#31中村、DB#14金氏等各ポジションで各となる選手は多いが、若いメンバーも多く、安定感に欠くこともある。 試合を決めるポイントは、やはり立命館大学ショットガンオフェンスに対抗する京都大学ディフェンスがどこまで失点を抑えることが出来るか。であろう。京都大学が立命館ショットガンに対して前6人後5人の布陣をとったこともあるが、今年はどのような方法で立命館ショットガンに対抗するか興味深い。 |
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今季の神戸大学オフェンスはQB#10江端を中心にRB#39宮川の中央ゴリ押し突破とRB#33大崎のスピードランで京都大学近畿大学戦を接戦に持ち込んだ来た。さすがに前節立命館大学戦では連続したランゲインというのはなかったが、それでもRB#33大崎のスクリーンパスからTDを挙げている。 オフェンスは基本的にはQB#10江端からのランパスマルチだが、3試合をオフェンス全体の連携ミスから黒星となってしまった。そういう点から見ると前節立命館大学戦は例年通りの神戸大学らしい普通の積極的なオフェンスの末の敗退ということで、勝敗的にはあれだが、今年初めて神戸大学らしい試合になったと言える。ここを良い意味のスタート地点として、今年の神戸大学らしいオフェンススタイルがリーグ戦後半に爆発することを期待という点で、見所の一つと言えよう。 ディフェンスはDL#73池渕、LB#55岩田、DB#25矢野川、#37野村とアスリートが揃い、前節立命館大学戦では積極的なブリッツを入れてQB高田を追いまわすシーンも何度かあって、その攻撃的なディフェンスを再確認した。血気盛んなLB#55岩田、DB#25矢野川とそれを取り巻く冷静な目とで京都大学近畿大学との接戦の立役者となっている。さらにP#9村上の絶妙なコントロールされたキックもあり、攻守蹴ともタレントは豊富である。 ******** 同志社大学は第3節で3−7京都大学、第4節で0−7近畿大学と僅差敗退と惜しい試合が続いている。だが4試合の合計得点が17点(第1節関西学院大学戦14点)という結果は、今季の同志社大学の試合を観戦している印象からすると意外な結果ではある。 近畿大学戦京都大学戦とも自陣から相手エンドゾーン近くまで何回かランパスのドライブを行っている。しかし、最後の詰めが甘いということが、そのまま得点に現れているのだろう。何が悪いということも見当たらないのだが、今年ここまでの特徴は、一発ロングゲインが少なく、FD更新を繰り返すロングドライブによるが多い。だからスタミナ切れということなのか(安易には結び付けたくはないが。) オフェンススタイルは、QB#8水野中心に、RB#91長谷川、#19奥野による中央オープンランと、WR#80野原、#9久世、TE#89池内をターゲットとしたショート〜ミドルパスと多様である。さらにショットガンフォーメーションからの強心臓QB#8水野キーププレーなどランパス派手なオフェンスを繰り広げている。さらに前節はRB#1永冨がプレーに参加し後半戦からいよいよフル参戦かという状況にある。 ディフェンスはDLLBDBとも昨年と完全に様変わりしてしまっているので驚いている。京都大学戦・近畿大学戦ともロースコアの試合展開になったのはディフェンスの活躍によることは言うまでもない。 DL#73松本、#77岸本を中心にDE#56谷村、#13原がQBにプレッシャーをかけ、LB#2山下、#47西内がラインの隙間からキャリア目指して迷いなく突っ込んでいる。さらにDB陣はオープンランと#5関根と#26仲田のパスケアで、どのポジションとも良い形になっている。 昨年までの同志社大学であれば、ディフェンスの課題ばかりに目が行って、オフェンスにまでは行き届かなかったのだが、今年はオフェンスの得点力不調もあって、どうしてもオフェンスに目が移ってしまう。 ******** さてこの試合だが、両チームとも「オフェンスは詰めが甘い」のに対して「ディフェンスはアグレッシブ」という対決の構図となる。神戸大学オフェンスの飛び道具がRB#33大崎に対して、同志社大学の飛び道具はRB#1永冨が復帰しそうな状態と、攻守ともにで似通ったチームである。 このような力関係にあって、無理矢理に相違点を探すならば、QBの性格的な面だろうか。前節神戸大学オフェンスQBは#10江端に替わって#4多和だった。特にランプレーでのバックス陣とのコンビネーションに不安を感じた試合だった。同志社大学QB#8水野の冷静かつ強引さと比較すると、神戸大学QBは両名とも落ち着いているとう違いがある。このQBタイプの違いから試合が動いていくだろう。 もう一つは、神戸大学P#9村上のコントロールされたパントキックによるフィールドポジションが同志社大学オフェンスにロングドライブを強要する。この時のスタミナもポイントになりそうだ。 おそらく得点は3TD以下の競った試合になるだろうが、試合の結果までは予測できない。結果を別けるのはオフェンスの執念ということになりそうだ。 |
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関西大学は4戦を終わって1勝3敗、前節は京都大学に対して前半をリードして終えながらも第3Qのちょっとしたところから、逆に追う立場になってしまった。だがそれでも最後まで京都大学相手に最後まで点の取り合いという試合展開に持ち込んでいる。昨年までDIV2にいたチームという印象は完全に払拭されてしまった。後半戦の成績によっては同率3位でリーグ戦を終えることも可能である。 オフェンスはQB#8碇からのランパスだが、いずれもWR#17大谷をキーマンにしたプレーの組み立て方になっていることが特徴である。モーション・リバース等でWR#17大谷もスピードにディフェンスの目を集めておいて、そのスキに他のボールキャリアが・・という試合展開で、近畿大学戦・京都大学戦・関西学院大学戦とも接戦に持ち込んできた。 「その他のキャリア」にRB#34鎌倉、#3松田、TE#81岩田へのランパスであり、真正面からの力勝負を挑まないアメリカンフットボールらしい試合を見せてくれる。 一方のディフェンスは、前節怪我人によるのかわからないが若干メンバーが替わっていたポジションもあった。だが基本スタイルは攻撃的なディフェンスであり、DL#90和久、#95古川、#74柳川、LBDB#6野口、#4大林などの前に出る勢いがそのまま接戦になっている要因の一つである。ただ、どの試合でも後半のどこかでエアポットにはまったかのように全く機能しなくなる時間帯があり、ここで得点されてしまっているのが惜しい。 ******** 一方の甲南大学だが、4試合を終わって合計37得点だが、リターンTDとロングパス絡みの得点、さらに相手陣でのターンオーバーからの得点でありドライブしたシリーズというのがない。QBは開幕当初は#12今川だったが、ここ2試合ほどは#11歳内によることもドライブ不調に関係しているのだろうか。バックス陣にもRB#31増田、#2富田、WR#6松本、#88吉田、#83田中とメンバーは揃っている。きっかけさえあれば良い方向に回転しくのだが。 ディフェンスも同様でLB#42山本中心に動けているのだが、散発に終わって結果になって現れないところが苦しい。 ******** この試合だが、関西大学オフェンスと甲南大学ディフェンスの関係を見るとWR#17大谷を中心に撹乱してくるであろう関西大学優位になるかもしれない。関西大学オフェンスは基本的にはディフェンスを惑わせて、そこをスピードで抜けるという構図なので甲南大学ディフェンス個々人がしっかりとボールキャリアを捉えてタックルしないと止まらない。最後まで均衡状態が保てるか。 関西大学全体のチームスタイルは「オフェンスで相手を切り崩す」という目論見なので、甲南大学ディフェンスが均衡状態に持ち込めれば面白い試合展開になる。 |
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近畿大学オフェンスはQB#3安倍と#10岡のの併用で4試合を乗り切った。RBにはエース#20土手下を中心に、#31美濃辺、#7樋口がUBTBとして使い分けている。特に#20土手下にマークが集まる中でのフェイクプレーなどが効果的である。さらにTE#4橋本、#87石田へのショートパス、WR#16大峠などへはロングパスが飛ぶ。 ただし、どのプレーがコンスタントに前進するか、きめプレーは?となると、「これ」といえるほどの確実なものがない。OL陣の押しは弱くはないが、相手を圧倒するほどのものがないので、RBの中央突破も大きなゲインは見込めない。またロングパスもその成功率は必ずしも高くはなく、プレーセレクション上の見せプレーに終わってしまっているところがある。 つまり、どちらかと言えばオフェンス不調なのだが、この状態でも過去4戦を大量点ロースコアそれぞれの試合なりに勝ち上がって来ているところに別の脅威がある。スクリーンパスやTEパスでディフェンスを前後に揺さぶって分断し、そのスキを付くランパスプレーなどいろいろと練った組み立て方になっている。 一方のディフェンスはLB#2中里、#5青木中心にエンドゾーン前では確実に止めるなど要所では外さない固さがある。強引なブリッツを入れるのではなく、冷静にボールキャリアを見据えて、そこへピンポイントで突っ込むというスタイルである。パスディフェンスもDB#18西村、#14須田の超美技が前節あたりから現れているようにアスリートが揃う。だが前節は、ショットガンからのパスに対して2・3列がバラバラになってしまう危ういところもあった。 攻守とも力で押し捲るタイプではなく、じっくりと見据えてからという形でこの4戦を戦ってきているが、この方法で関学立命京大と続く残り3戦も通用するのかは、この試合に限らず近畿大学の今後のひとつの見所である。もしも力負けするようなことがあったときに、次はどのような手段に出るのだろうか。 ******** 関西学院大学オフェンスは、前節甲南大学戦でようやくTD量産をした。これは開幕戦同志社大学戦以来で、第2・3節で低調だったオフェンスがここに来ての復活は心強い。オフェンスのキープレーはTE#85宗助へのショート〜ミドルパスとRB#6田中、#7岸のスピードランという前節の試合展開がそのまま今年の関西学院大学オフェンスのスタイルであり、そういう意味でも完璧に復調したといえる。さらにQB#10出原からWR#9福井、#18中島へのロングパスとQBキープとプレー幅自体は広く、この試合も楽しみである。 ディフェンスは前節DLに#91生田が入ってQBサックを連発していた。LB陣も#21池谷、#16河合をOLBに据えてILB#32朝山、DB陣もメンバーが固定してきたことので、コンビネーションも確立してきている。 チームとしてはロースコアの試合が続いたこともあったが、それはディフェンスが健闘しているからであって、神戸大学戦9−6、関西大学戦6−7、同志社大学戦48−14と、失点はいずれも一発で抜かれたビッグゲインか、ファンブルターンオーバーからによるもので、ドライブされ続けていないところは心強い。 ******** さてこの試合だが、関西学院大学オフェンスと近畿大学ディフェンスの攻防は、見所の一つとしてというより、当然ライン戦は注目である。今年の関西学院大学オフェンスはOLの力で押し捲って・・という形ではない。QB#10出原からのハンドオフプレー#7岸、#6田中へのからのOTやオープンへの展開という早いボール回しと、真横へのパスからのランなどディフェンスにターゲットを絞らせない工夫をしているところがポイントである。 ただボールキャリアも絞られているので、その布陣を見えればある程度のプレー予測は出来るかもしれない。近畿大学LBDB陣はボールキャリアをしっかりと見据えて突っ込むというのが身上であり、攻守真正面からの衝突になりそうだ。 またWR#9福井、#18中島をターゲットとしたロングパスとTE#85宗助へのショートパスは近畿大学DB陣との競争駆け引きも見所のひとつである。 もちろん策士関西学院大学のことだから、これまでの定番プレーその裏をかくべくの様々なフェイクプレーを準備してくるのだろう。これに対する近畿大学ディフェンスの対応にも注目である。近畿大学ディフェンスが機能するかしないかの一つの目安としては、守備範囲の広い#5青木、#2中里などLB陣が自由に動けているか否かで判断できよう。 ******** 一方の近畿大学オフェンスと関西学院大学ディフェンスの攻防も、実は同じような見所になる。RB#20土手下のキャリーはディフェンスが完璧にマークできる。またOLは相手を圧倒するだけの力はなくやはりTEパスとスクリーンパスを用いてディフェンスを分断して・・というスタイルになっている。またロングパスターゲットはWR#16大峠と、関西学院大学オフェンスのスタイルと似通っている。 ******** 両チームともオフェンスを比較すると、ほぼ同じ攻撃手段になってしまうのが偶然の一致とはいえ面白い。力の差はなく同じようなオフェンススタイルなのだが、プレー精度・緻密さという点で今年の試合を見る限りでは近畿大学オフェンスのほうが確実なプレー試合展開を行っている。 どちらも「決め手」という点では、はっきりと目に見えるものがない。従って、ミスなく確実なプレーをするのはどちらか。そしてアメリカンフットボールの最後はやはりライン戦、となって最後までしっかりと機能し続けるラインはどちらか。 試合としてはおそらくロースコアの競った試合展開となって1TD差以内勝者20点以下の緊迫した試合になりそうだ。観戦する側も、少なくとも試合前半は、そして、おそらくは試合最後までジリジリとした息つく間のない展開になりそうだ。 |