関西学生アメリカンフットボール Div.1 第5節



11月01日(土) 西京極陸上競技場 14:00
TEAM1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学071014315-0-0
京都大学000004-1-0
(現地観戦)
 
立命館大学
京都大学
1Q
FG×
1Q P△
TD 2Q
END 2Q
3Q
FL
FG
TD
3Q
TD 4Q
TD
FL
END 4Q
(作者Aのメモより)


 京都大学がコイントスで前半レシーブを選択、そして自陣22ヤードからの攻撃開始となった。QB#4川並によるそのフォーメーションは、今シーズンでは珍しい「T」。最初にフォルススタートの反則はあったが、右HB#32大木のカウンターで4ヤードゲインすると、次はプレーアクションパス。左WR#34飯田への縦パスはDB2人を抜いた飛距離40ヤードのパスが成功する。
 これで敵陣へ入るのだが、ここからが続かなかった。スクリーンパスはコントロールミス、左奥へのパスもレシーバーのいないところへ飛んでいってしまう。

 オフェンス第2シリーズは自陣45ヤードからプレーアクションで右TE#89東へのクイックパス9ヤードなどを絡めてFD更新するが、左コーナーWR#82鋤崎をターゲットとしたパスに対して、今度は立命館大学DB#13三宅が体を前に入れてのインターセプト。この試合はパス主体の京都大学オフェンスだったがWRとのコンビネーションやパスコントトールは今一歩という状態だった。

 対する立命館大学オフェンス第1シリーズは自陣15ヤードから。その最初のプレーでQB#18高田から左WR#19冷水への縦パス。こちらもDB裏へのロングパスとなって45ヤードと大きくゲインした。しかし、続くスクリーンパスを京都大学DB#11廣岡がインターセプトと、両チームともオフェンスは機能しない立ち上がりとなる。

 立命館大学の第2シリーズは自陣15ヤードから、RB#21岸野へのスクリーンパスで17ヤードゲインするとTE#89栗山へのパスなど1回15ヤードゲインのロングドライブとなった。だが敵陣20ヤードまで侵攻したが、QBキープにホールディング罰退、そしてDLのプレッシャーから逃げながらのパスは失敗、そして飛距離45ヤードのFGも外れた。

 この日の京都大学ディフェンスは4−3−4を基本形に3−4−4とか4−2−5とかシチュエーションによって様々に形を変えていた。またLB位置の数名はシフトを多用してオフェンスQBを惑わせた。一般的にQBはセットした段階で相手ディフェンスの布陣を見てプレー変更を行ったり、決めたプレーへの影響を予測したりするのだが、目の前をポジションを定めずに動き回るLB陣を見ていると、おそらくイライラのつのる状態だったかも。さらにOLの隙間から漏れてくるDL陣を避けながらのパスとなる。これでコントロールが乱れるのか、外へのパスはレシーバーがキャッチしても、それはフィールドの外というパスが多かった。


 京都大学の第3シリーズは自陣30ヤードでランプレーを試みるが、ハンドオフできずDL#92紀平のタックルを受けたり、カウンターランにもDL#90が飛び込んできたりで、結局ノーゲインに終わった。そしてここでのパントがミスキック気味となって立命館大学にチャンスが訪れる。

 立命館大学は敵陣40ヤードからのオフェンスシリーズ、ここからの第1プレーで右TE#89栗山への縦パス24ヤードが決まった。だがここから残り17ヤードが遠い。QBスクランブル16ヤードは反則で帳消し、さらにパスインターフェアで後退。それでも最後はディフェンスに追われながらもエンドゾーン内のWR#84河瀬を探し出してTDパスを通した。

 しかし、その後、第2Qは両チームとも一進一退の展開となった。

 京都大学オフェンスは#89東をRBに置いたり、TEとしてのディレイパスや3レシーバーと逆サイドへのパスターゲットとして起用した。またアンバランス体型も前半に一度披露している。このようにいろいろと試みているオフェンスだがTE#89東へのパスはヒットしてFD更新するも、途中のランプレーRB#32大木、#33池上のランプレーがことごとくノーゲインに終わってしまい、ドライブが続かない。DL#90、#92紀平の壁は如何ともし難い状態で、唯一ゲインするのがTEパスだけとなってしまった。

 一方の立命館大学も、京都大学のシフトを多用するディフェンス陣に悩んでいるのか、パスコントロールに乱れが生じている。またQBがドロップバックところへのDL#97近藤、DB#23松浦によるQBサックが第2Q2回のパントの直接的原因であり必ずしもテンポはよくない。これは京都大学ディフェンスフロント陣の責めの意識の結果であることは明白で、試合前半は均衡した時間が続いた。

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 前半の立命館大学オフェンスと京都大学ディフェンスを比較した時に、やはり立命館大学パスターゲットの豊富さによる余裕に対して、京都大学の今シーズンこれまでの試合にない気合の入り方に過度の緊張を感じてしまった。得点上、イーブンか京都大学リードで前半終了していれば、モメンタムが京都大学を後押ししていただろうが、立命館大学リードという事実とQB#18高田の冷静さが、逆に、ピンと張り詰めた京都大学ディフェンスの「いっぱいさ」を浮かび上がらせていた。

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 後半、立命館大学先攻となった第1シリーズ、WR#16清水、#19冷水へのショートパスでFD更新するがDL#97近藤のサック、DB#23松浦、#27吉田のパスカバーなどで立命館大学ショットガンドライブは再び封じられる。

 そして続く京都大学は自陣35ヤード、右アンバランスでセットするが、最初のプレー直前にフォルススタートの反則ロス、そしてこの第3D、アンバランスフォーメーションでのプレー開始直後、センタースナップ時にボールをファンブルロスト、攻撃権はフィールド中央だったが立命館大学に移ってしまった。

 立命館大学オフェンスは、ここでQB高田のスクランブル、QB#18高田→WR#19冷水のリバースというバックス陣のタレントに頼ったオフェンスを展開して敵陣10ヤードに達する。この途中で京都大学ディフェンスメンバーが一人、またひとりと担架に乗って退場してしまう。一方で立命館大学もチョップブロックとかディレイ寸前のタイムアウト行使とかで手詰まり感が漂った。

 だが、京都大学ディフェンスの極限の緊張を切ったのは#21岸野によるFGキックだった。第3Q残り6分07秒、久しぶりに得点を挙げた立命館大学は、続く京都大学オフェンスシリーズをDL#59谷野、#90のQBサック、DB#34長田のパスカットで乗り切ると、WR#19冷水へのパス2本で20ヤード+55ヤードの一発速攻TDプレーを展開、残り3分25秒、得点差を17点と広げる。

 ここで京都大学オフェンスはQBに川並でなく御澤を起用した。残り時間から考えた逆転するには落とせない最後のシリーズだったと思うのだが、ここをFD更新なく終わった時点で試合が決した。

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 京都大学ディフェンスは、試合前半は立命館大学オフェンスに喰らい付いていた。4−3−4を基本にDLLBのシフトによってQBを惑わした。特に試合前半は第1プレーのWR#19冷水へのパス45ヤードとTDシリーズのTEパス25ヤード以外では大きな一発ゲインになっていない。特にDB#23松浦、#27吉田のパスディフェンスは時間が経つにつれて冴えて行った。

 ただディフェンスの粘りに対してオフェンスが応えることができなかったことは、やはり大きい。前半からRB#32大木、#33池上のランプレーは全く機能しなかったので早い段階で見切りをつけて、WR#34飯田、TE#89東への短いタイミングパスをもっと多投してもよかったかも。このパスだけは限定的だが確実に通っていたので、そこからLBDB陣を撹乱する方法もあった。ただパス失敗は時計が止まってしまい、それがディフェンスのスタミナを奪うとなれば、この試合のランパスバランスはギリギリのところだったのかもしれない。

 この試合はオフェンスのプレーがほとんど出なかったことで手詰まりになってしまったが、ディフェンスの集中力は今シーズン今までにないものだった。次に関西学院大学戦でも、今一度、このパフォーマンスを見てみたい。

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 立命館大学オフェンスは、QB318高田キープとWR#19冷水、WR#84河瀬、TE#89栗山へのパスはゲインし続けた。QBとレシーバー陣のコンビネーションはほぼ完璧である。この日のRBは#21岸野、#44齋藤だったが、総じてランプレーに切れがなかったのは、やはり、ライン戦の結果だろうか。

 相手ディフェンスのプレッシャーを苦にしながらもQB高田が冷静だったことでこの試合は決まったが、どちらかと言えばシステマチックでない個人技的なオフェンス組立であり、それならば、付け入るスキは、やはり「焦り」とか「煙たがる」とか気持ち的な面かもしれない。立命館大学は、今後、近畿大学、関西学院大学と試合が続く。







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11月02日(日) 王子スタジアム 11:00
TEAM1Q2Q3Q4Q合計勝敗
神戸大学7060130-5-0
同志社大学0077141-4-0
(現地観戦)
 
神戸大学
同志社大学
1Q
TD 1Q
2Q (?)
FL
2Q END
3Q TD
FL
FG×
FL
(RFL)
TD 3Q
4Q G×
TD
G×
4Q END
(作者Aのメモより)


 同志社大学は最初のシリーズ自陣からTEパスで2回のFD更新を行うが、神戸大学ディフェンスLB#55岩田などにOLを割られたりで、中央のランプレーは大きなゲインにならず、さらにファンブル(リカバー)、第3DロングパスはDB#25矢野川にカットと、ドライブは続かなかった。

 一方の神戸大学オフェンスは前節に続いてQB#4多和による。37ヤード付近からの2回目のシリーズはUBへのパスやRB#33大崎のオープンラン、さらに、ラフィングザパサなどで前進を繰り返し、4回のFD更新の末にTD7点を先制した。実は、神戸大学第1シリーズが右外へのパスを3本繰り返した。全て失敗だったのだが、それがこのシリーズの布石だった(?)

 続く同志社大学は自陣23ヤード付近から。今度は短いパスがQB#8水野からWR#80野原、#89池内、#81林、#9久世へヒットした。いずれもピンポイントパスだったが、そこへ投げ込むQB#8水野のコントロール、レシーバーとのコンビネーションはしっかりしている。しかし、敵陣に入りながらも、そこで止まってしまった(ファンブルロスト??)。

 一方の神戸大学は、ランパス均等オフェンスを繰り返したが、徐々に力強さが欠けてくる。ランは中央もオープンも5ヤードまで、パス狙いにはLB#47西内にサックされるなどでコントロールを乱して行く。
 そして同志社大学もRB#1永冨のオープンランなどでFD更新するのだが再びファンブルロストと、両チームともオフェンスがテンポを掴めないまま、ハーフタイムに突入した。

********

 後半は、神戸大学のキックオフで試合再開する。そしてそのリターンを同志社大学が一気にフィールド中央まで戻すと、その第2D、右WR#9久世への縦パスがDBの裏へヒット、そのまま50ヤードTDパスとなった。ビッグプレー2本で同志社大学が同点に追いついた。
 ただ、同志社大学のその後は、3連続ファンブルロスト(1回はパントリターン中)となってしまい、第3Qはほとんど何もしていない。

 このファンブルロストによってチャンスを得ているはずの神戸大学オフェンスだったが、こちらもそのチャンスをモノに出来ない。敵陣27ヤードからのスタートもDB#5関根のQBサック、DB#26仲田によるRB#33大崎オープンランシャットアウトなどでFD更新もならず、飛距離約40ヤードのFGも外れてしまった。
 それでも敵陣37ヤードからスタートとなったシリーズはTE#43石原への縦パスが30ヤード以上のゲインになったことで、ようやくTDまでドライブが完結する。だが、その最後の詰めPATキックを失敗してしまい、この1点が勝敗に影響してしまった。

 同志社大学オフェンスは、第3Q終盤からのシリーズで、再び短いパスをつないだドライブを行っている。WR#83要への連続パスヒット、ショットガンノーバックという派手なフォーメーションに神戸大学の反則などもあってエンドゾーン前7ヤード付近に達した。
 ここでの第3D、FD更新まで残り2ヤードで同志社大学はタイムアウト、そして次のプレーはQBスニークだった。ダウン数を間違えたわけでもないだろうし、2ヤードはスニークには少し長いかもしれないが、UBダイブ中央突破と同じと考えれば、そういう選択もあるのだろう。結局、第4Dに1ヤードを残し、再びTBの中央突破で攻めたが、FD更新には至らなかった。

 それでも次のシリーズを再び短いパスをつなぎ、さらにQB#8水野のキープなどで神戸大学ディフェンス陣を圧倒、残り時間3分3秒、同志社大学がTDとPATキックを成功させて1点リードした。

 神戸大学はフィールド中央から、RB#33大崎の中央突破、パスインターフェアなどで敵陣35ヤードにまで到達するがここからのパス狙いにDB#5関根他のプレッシャーが厳しく、第4DギャンブルではWR#80立澤へFD更新ギリギリの距離のパスを投じたが、キャッチした地点は惜しくもフィールド外となって万事休すとなってしまった。



 この試合で同志社大学はファンブルロスト4回(5回?)あった。普通、これだけの回数のミスをしてしまうと黒星になってしまうのだが、失敗が次のシリーズに尾を引かないというんおか、動じないというか、つまり、切り替えが早いのだろう、珍しい試合だった。






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11月02日(日) 王子スタジアム 13:50
TEAM1Q2Q3Q4Q合計勝敗
甲南大学700070-5-0
関西大学7007142-3-0
(現地観戦)
 
甲南大学
関西大学
TD 1Q
TD
1Q
2Q
G×
2Q END
3Q
3Q
4Q
FG×
TD
4Q END
(作者Aのメモより)






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11月03日(月) 王子スタジアム 13:50
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q 合計 勝敗
関西学院大学 0 10 7 14 31 4-1-0
近畿大学 0 0 0 7 7 4-1-0
(現地観戦)
 
関西学院大学
近畿大学
1Q
FG×
FG
TD
2Q END
3Q
(RFL)
TD
3Q
4Q TD
TD
TD
G×
END 4Q
(作者Aのメモより)


 大雨という最悪のコンディションの中、近畿大学レシーブで試合が始まった。

 自陣30ヤード付近で近畿大学オフェンスがスタートしたが、そのフォーメーションはQB#3安倍によるショットガンだった。しかし、ハンドオフからのラン2回とパスは関西学院大学ディフェンスに遮られてFD更新なくパントに終わる。

 続く関西学院大学オフェンスは自陣33ヤード付近からQB#10出原によるショットガン、その第3Dで左WR#9福井とWR#18中島のクロスからの10ヤード、#7岸へのショベルパスはブリッツとの入れ違いになって15ヤードなどで敵陣へ侵攻した。ただDL#8中村、LB#2中里などのプレッシャーにあってリバースファンブル(リカバー)などで止まってしまい、FGも外れてしまった。

 近畿大学は自陣26ヤード付近からRB#20土手下のショットガンハンドオフ中央突破9ヤードと、WR#16大峠への13ヤードパスなどで連続FDするがここまで。DB#8渡辺、DB#23平塚のパスカットやオープンケア、DL#90石田のQBサックなどによってドライブを続けられない。
 そしてこのシリーズが近畿大学にとって前半唯一のFD更新できたシリーズだった。

 この日の関西学院大学ディフェンスは4−3−4の配置となり、DLは#95今東、#90石田、#92横田、#91生田という配列になった。特にDT#92横田の再三のプレッシャーが随所に光った。近畿大学OLがライン戦で優位に立てなかったこととショットガンということもあって、ランプレーはほとんどシャットアウトしている。


 一方の関西学院大学オフェンスも必ずしも力で圧倒していたわけではなかった。近畿大学DL#62、#8中村、LB#2中里、DB#5青木のプレッシャーは厳しく、余裕のある展開にはならなかった。
 ただ試合巧者関西学院大学という「ディフェンスに対するいやらしさ」で確実に得点へつなげている。
 第2Q中盤、近畿大学パントがミスキック気味から、関西学院大学は敵陣26ヤードからのオフェンススタートとなった。ここでショットガンからのQBキープ右OTが巧みなステップもあって19ヤードゲイン、エンドゾーンまで8ヤードに達した。ここからのIフォーメーション3プレーは近畿大学ディフェンスの粘りに合ったが、FGの3点を得た。
 敵陣深くまで侵攻しながらTDに至らなかったことが、一瞬、シーズン前半の関西学院大学にダブったのだが、雨天の影響とここまでオフェンスに反則がなかったことで払拭できた。

 そして、第2Q残り2分18秒、フィールド中央からのTDシリーズがはじまる。ここもスタートはQB#10出原のOTキーププレーだった。それもフェイク動作に「いやらしさ」が増して、相手ディフェンスを惑わすに充分である。このQBキープで20ヤード、そしてWR#18中島への短いパスでつなぎ、オープンへのランプレーに近畿大学DB陣のコンテインを交わして9ヤード、そして最後は再びQB出原によるハンドオフフェイクの中央突破ラン、前半終了間際に関西学院大学が追加点を挙げた。

********

 前半を終わっての印象だが、近畿大学がオフェンスでショットガンを採用、ディフェンスもLBDB陣が積極的なブリッツを入れるなど、今シーズンこれまでの近畿大学攻守とはまたく違う動きだった。だが、それが逆にうまく噛み合っていない印象を受ける。

 特にオフェンスは前半のFD更新回数2回と完全にシャットアウトされてしまってる。RB#20土手下、#7樋口のランプレーにはDL#90石田,#92横田の壁が厚くて中央付近はノーゲイン、オープンランはロスゲインという状態、そして、パスにはQBサックと完全な手詰まり状態だった。パスターゲットには長いレンジのWR#16大峠だけでTEへのパスがなかったことが後半に向けて僅かな望みだった。

 一方の関西学院大学ディフェンスは今シーズン始めての4−3−4体型を採用してディフェンスの安定感が増した。近畿大学オフェンスがショットガンを採用しQBが下がってセット、一臂うの関西学院大学はDLを3人から4人に増やして前方強調、これは単なる図形上の偶然の一致だが、その通りの試合展開になっている。

 この試合は後半どちらが先に得点するかで試合の流れが大きく変わってしまうというイーブン状態の中で試合が再開した。

********

 関西学院大学オフェンスパント後の近畿大学後半最初のシリーズ、自陣20ヤード付近、この日初めてTE#4橋本へのた縦パスが成功して12ヤード、さらに左横WR#6長谷川へのパスからのランで12ヤードと後半最初のシリーズはテンポ良くフィールド中央にまでドライブした。だが、ここから再びパスを投じられず、また投げても手投げとなってターゲットに届かない。

 それでも、ここのパントキックは素晴らしいキックコントロールと転がり方によって、関西学院大学を自陣2ヤードに追いやっている。そしてさすがに関西学院大学もここはパントを蹴ることになった。

 キックされたボールが着地しようとしたのはおそらく関西学院大学陣35ヤード付近だっただろうか。近畿大学リターナーは少しでも前で攻撃権を得ようとしたのか、ここでジャンピングキャッチを試みた。ボールには触れたのだが、手には入らなかった。

 そしてこのボールを確保したのは関西学院大学だった。

 関西学院大学自陣26ヤード、ここからWR#18中島、#9福井への14ヤード、12ヤードクイックパス、QB右ロールでディフェンスを引き付けておいてから左真横パス、#7岸がキャッチ後に40ヤードラン、さらに再び真横パスからのラン10ヤードでエンドゾーン到着と、近畿大学ファンブルロストからの大技一気で追加点を挙げる。

 近畿大学もフィールド中央付近でQB出原のプレーアクションパスをDB#25安藤がインターセプト、ここからWリバースによるWR#16大峠の右オープンラン75ヤードゲインをきっかけにして第4Q残り10分57秒、近畿大学7−17関西学院大学と10点差にまで追い上げている。

 だが続く関西学院大学がRB#7岸のオープンランを近畿大学DB陣の甘いコンテインをすり抜けて55ヤードゲイン、そして再びQB#10出原の右OGからの左方向カットランTDによって再びリードを広げるとともに試合を決めた。

********

 この日の近畿大学は、オフェンスもディフェンスもいろいろと積極的な責めの姿勢にあった。第3Qパントリターンでのファンブルロストもそのような責めの姿勢から生まれたものだろう。だが、今シーズン過去4試合の「慌てず騒がず」という姿勢と比べると明らかに違う色だった。

 近畿大学オフェンスがショットガン混在で組み立ててきたところを見るとパスで切り崩したいという狙いがあったのだろう。パス比率が高まった分だけ雨の影響を受けたともいえるがそれは試合中だけではなく、試合が始まる前からプレッシャーがあったかもしれない。ランプレーではRB#20土手下、#7樋口のランを中心に組み立てたが、ことごとくシャットアウトされてしまい、パスも手投げが多く、コントロールが定まらないまま時間だけが経過していってしまった。

 何故ショットガンなのか、ここについては外部からとやかく言うべきではないのだが、今年OLで圧倒できていないことからの発想なのだろう。結果論だが、スタイルを変えたことと雨と、そして関西学院大学ディフェンス4−3−4が、近畿大学オフェンスにマイナスに作用してしまったと言える。

 近畿大学ディフェンスは、関西学院大学のオープンプレーに対する処理がまとまらなかった。キャリアはRB#6田中、#7岸とQB。特にRBのオープンランに対してDB陣の詰め方が縦に直線的だったことで、かわされると大きなゲインという状況が続いた。
 また、ショットガンQB出原に対するDLLB陣のブリッツが今シーズンでは珍しく積極的に入っていたが、これは関西学院大学側も十分予想できていたのだろう、逆にショベルパスが効果的に決まってしまい、中央オープンとも関西学院大学のペースとなった。

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 関西学院大学QB#10出原のショットガンオフェンスは、おそらくオフェンスでの反則はなく(はっきりとは不明)前節と同様に、TDドライブを繰り返した。今シーズン前半のバタバタしたオフェンスとは明らかに異なっている。またこの日は、QB出原のフェイク動作に「いやらしさ」が増し、またサイドパスからのランなど全体的にディフェンスを惑わす意図が伺える。
 次節は京都大学との関京戦となる。京都大学の強力守備に対して、どのようなオフェンスを展開するかは興味深いところである。

 一方のディフェンスはDL4人、LB3人というここ最近では珍しい4−3−4の体形という前陣強調型の体形になった。これが今年の立命館大学ショットガンオフェンスのための準備なのか、この試合特有のものなのかはわからない。ただ、今シーズン1試合平均1TD未満の失点に抑えているディフェンスの強さは要注目である。

 攻守ともシーズン序盤の形と大きく変わってきている様子がわかる。覇権奪回への道が見えてきた。



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