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神戸大学は前節同志社大学戦をディフェンスDL#89牧野、LB#55岩田による押しと、DB#17吉村の2インターセプトでモメンタムを掴みとった。どちらかと言えばディフェンスで勝利した試合である。 オフェンスはQB#10江端とRB#33大崎、#4西澤、#31宮川によるランプレーを中心に組み立てた。ドライブしたオフェンスシーンは少なかったのだが、それでもシーズンが深まるにつれて徐々に安定感が出てきた。 ******** 一方の大阪産業大学は、前節甲南大学戦で4TDリードされながら最終Qにパスドライブで3TDを返してあと一歩のところまで追い上げたが、結局最後はタイムアップとなってしまった。パスドライブのシーンではQB#5藺牟田からWR#88中村、#89高橋、#1杉本、#21植木へと勢いのあるいいボールが飛んでいき、パサー藺牟田の本領発揮というシーンだった。ただ試合最初からパス攻撃を試みていたのだが、なぜ第4Qだけパスが通るようになったのかが判らない。 一方4TDをリードされた原因が中央突破ランでドライブされ続けてたことによる。ディフェンスベストメンバーを把握していないので判らないのだが、今までの試合ではこれほど中央を抜かれたことはなかった。攻守ともに判らないことばかりで、観戦していて不思議な試合だった。(私の知識不足というのが正しいのだが) ところで、これまでは試合中盤以降でアメリカンフットボールの技術戦術以外のところで力負けしていってしまうのが残念だったのだが、前節は最後まで大きなメンバー交替なしに試合を乗り切っている。 ******** さてこの試合だが、試合を大きく左右するポイントは、大阪産業大学パス攻撃と神戸大学パス守備、つまり、WR対DBの攻防にある。ロングパスを追うWRDBの交錯するシーンはこの試合の大きな見所である。 大阪産業大学オフェンスの得意とするプレーがQB#5藺牟田−WR#88中村のホットラインパスなのだが、神戸大学第3列はインターセプト王(KG戦2回・同志社戦3回)DB#17吉村をはじめとして#5天野、#37野村が完璧なパスディフェンスを行っている。大阪産業大学は#1杉本、#21植木などもレシーバーとなっているが、パスターゲットが実質的に#88中村一人なのはこのディフェンスを崩すには少し人材不足である。前節でも第3Qまでパスが通らなかったのはWR#88中が完璧にマークされていたことも原因のひとつである。パスターゲットを散らすことが出来れば神戸大学ディフェンスを撹乱することが出来るが、大阪産業大学は何を仕掛けてくるだろうか。 一方の神戸大学オフェンスは攻撃手段が多くはないが、RB陣にはTB#33大崎、#22坂東、UB#4西澤、#31宮川と揃い、これにQBオプションキープが加わったランプレーは多岐にわたる。このランプレーを大阪産業大学ディフェンスが前節のように止められない/ドライブを許すことになってしまうと一方的な試合になってしまうかもしれない。 大阪産業大学ラン攻撃はRB#2磯脇、#33阪本、340瀬川というメンバーだが、今年の神戸大学のウリであるDLLB陣をコントロールしながらドライブを続ける/ビッグゲインをするというシーンは少し考えにくい。数年前には、RBを縦に3人並べたフォーメーション(ツルーI)からのオプション攻撃でディフェンスを撹乱したこともあった。しかし今年はRB陣が不足していることもあってツルーIは考えにくい。そのかわりに採用してくるフォーメーションは、ロンリーセンター? ******** 大阪産業大学がロンリーセンターを採用するかどうかは、まったく判りませんが、とりあえずフォーメーションの簡単な説明をしておきます。 ロンリーセンター(Lonely Center):攻撃側のフォーメーション。普通はオフェンスライン(OL)の選手は隣とくっついてセットする。しかしロンリーセンターの場合、ボールをスナップする選手(センター・C)だけ違うところにセットして、他のラインの選手は、別のところで隣とくっついて(離れていてもいいのだが)セットするフォーメーション。つまりセンターだけが離れて別のところにいるのでロンリー(寂しい)センターという名がついている。 このフォーメーションの目的効果は、簡単に言ってしまうと普通でないので何をするのか判らないということにある(^^)。オフェンス側がバラバラでセットしているのでディフェンス側も最初から散らざるを得ず、結果としてディフェンスに穴が出来やすい。(ディフェンス側が慌ててしまった場合) これ以外にもいろいろな効果効能があるのですが、ここではすべてを書き尽くせません。当日の試合で確認してみてください。 |
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立命館大学は前節で京都大学に完勝して唯一5戦全勝している。この試合に勝利すれば4年ぶり3回目のリーグ優勝が決まる(甲子園ボウル出場はまだ決定しない) 一方の近畿大学は前節関西学院大学に勝利して勢いに乗っている。リーグ戦2敗だが、この試合で勝利するところから優勝への道が開けるという大目標がある。 この両校の対戦だが、近畿大学はパワー・スピードのアニマル立命館大学を必ずしも苦手としてはいない。昨年は第4Q中盤に一度は7−6と逆転している。さらに遡ると98年の長居球技場では第4Q残り時間11秒でFGが決まれば逆転にまで追い詰めた経歴がある。 ******** さて今年の立命館大学だがパワー&スピードで相手をなぎ倒すという試合展開で連戦圧勝してきている。前節京都大学戦でもスピードとパワーで圧倒するという立命館大学らしい試合展開で白星を積み重ねた。 オフェンスはQB#18高田のショットガンが冴えわたり、WR#11木下、#19冷水、#7長谷川、RB#39礒谷、#32野本、#3斎藤によるランパスは健在でショベルパススクリーンパスなど多彩な責めでデイフェンス陣を翻弄しまくっている。 課題が何なのかがはっきりと見えてこないのが課題なのだが、リーグ戦中のシーンから敢えて探し出すとすれば、やはり強烈なデイフェンス陣を相手にしたときにはQB高田のパフォーマンスが著しく低下してしまうことであろう。 第2節大阪産業大学戦の第2QDLLBの鋭い突っ込みでサックされそうになると極端にテンポが悪くなっていった。それが試合結果に結びついていないのは結局は最後はパワー&スピードで押し切ってしまっていることによる。 一方のディフェンスだがDL#92紀平、#90飾磨、#93森、LB#5西、#99八木と恐ろしいほどのクイックネスの持ち主が存在する。このDLLB陣の突っ込みを交わしてプレーできたチームを今年はまだ見ていない。ドロー、プレーアクションなど遅いプレーは通用しないだろう。 デイフェンス陣の課題はパスディフェンスで、長短様々なパスでかき乱されるとインターフェアの反則をしてしまう心配もある。DB#13小路、#2安田、#21今井、#34長田な、#43太田と揃うのだが、過去の試合では勝敗を分けるような緊張するシーンに遭遇していないのでギリギリでのパフォーマンスが判らない。これはパスディフェンスに限らず立命館大学攻守ベンチワークその他すべてについて言えることである。 ******** 近畿大学はシーズン当初は神戸大学甲南大学に黒星を喫して不安が漂ったが、その後は見事に立ち直してきた。そして、前節関西学院大学戦では試合時間残り1秒で逆転されながら最後の1プレーで再逆転して勝利するという歴史に残る試合をした。試合内容的には逆転の連続の面白い試合だったが、試合内容的には近畿大学が自分たちのゲームプランどおりに展開できたという点で十分に満足した試合だっただろう。18年ぶりの勝利ということだが、リーグ戦はまだ終わっていない。関西学院大学戦勝利というショックからどれだけ立ち直っているだろうか。前を向いて2週間を過ごしたかでこの試合の大勢は決まってしまうと言っても過言ではない。 今期の近畿大学オフェンスは、QB#3安倍をメインに据えてランパスを披露するようになてきた。RB#39大坪、#35碓井の中央突破に#20土手下のオープンラン、パスターゲットにはTE#34金子、WR#81中川、#27鉾山と揃っている。そして特筆すべきはこの3戦でOLの安定度が急速に増してきたことである。 近畿大学オフェンスパフォーマンスが悪い時/年はOLが相手に当たりに行くという基本的な仕事すらできていないことが多い。しかし、前節ではC#51松島が関西学院大学DL#58西村を完全にコントロールしていたのを含めて、OL#63熊沢、#75小玉などが相手DLをコントロール出来るようになっている。そしてこれがQB#3安倍にパスターゲットをゆっくりと探す余裕を与えている。 ディフェンスではDL#65古巻、#8中川、#96古川、#85岸上、LB#43西川、#42齋藤、#2中里、DB#5青木、18西村、#26中路、#28河村とアスリートが揃う。前節関西学院大学戦では第3列が関西学院大学パス攻撃をシャットアウトしたことで均衡した試合になっていった。 また、第1、2列の突っ込みの鋭さは立命館大学ディフェンスに匹敵するぐらいのパワー&スピードを兼ね備えている。昨年はLB3人衆を中心に底上げしていった近畿大学ディフェンスだったが今年の陣用は昨年のレベルを超えたと言っても良い。 近畿大学にあって唯一問題点はP/Kのコントロールが不安なことである。距離が伸びない、滞空時間が短いなどで優位なフィールドポジションを獲得できなていない。均衡した試合ならば致命傷になりかねない。一般的には最良ベストは「飛距離滞空時間のあるパント」である。前節は違ったが・・・。 ******** 立命館大学オフェンスと近畿大学ディフェンスとの対決の見所は、QB高田に近畿大学ディフェンス陣がプレッシャーをかけ続けることが出来るか、そしてLBDB陣がWRRB陣の多彩な攻撃に絶えられるか、スピード競争で引き分け以上に持ち込めるかと注目ポイントは多い。 近畿大学DLLBが立命館大学OLを割ってQBに手が届くか、ランプレーのボールキャリアに対してLB陣がスクリメージ付近で対応できるか、それともDB陣第3列まで抜けてしまうのか。 パスターゲットWR#11木下、#19冷水に対して#26中路、#5青木などのDB陣はパスカットできるか、キャッチ後のレシーバランを最小限に留めることが出来るか。対QB・対RB・対WRとも見所として列挙するのは簡単だが、その結末は予想も出来ない。 ところで、立命館大学QB高田であっても厳しいディフェンスを相手にすると判断が遅くなってオフェンス能力が低下してしまう。もっとも厳しいディフェンスを相手にすればもちろんどんなQBでも、ベストなパフォーマンスを繰り広げられないのは当然で、立命館大学・高田に限ったことではないのだが。 QB高田の判断決断速度は昨年と比べると増してるし、ズルズルと完封されてしまうというシーンもなかった。神戸大学戦ではデイフェンスに追われて歯車が狂いかけたが、最終的にはQBスクランブルで窮地をしのいでいる。 ただ試合の最初から最後まで厳しいマークを受けたときに、どのようにしてドライブするのか得点を挙げるのか、という冷静な解決策がチームにあるのかないのかは試合を分けるポイントになるだろう。今まで競った試合をしていないという未経験な事象に対する処理能力はチーム全体の問題であろう。 ******** 一方の近畿大学オフェンスと立命館大学ディフェンスの対決だが、こちらの見所は、立命館大学の素早いDLLB陣の突っ込みに対して近畿大学OLがいかなるパフォーマンスでQBへのプレッシャーを食い止めるか、そして、QB#3安倍は冷静にプレーできるだろうかというところに尽きる。ライン戦の段階でOLが完敗してしまうようでは、この試合も立命館大学圧勝で終わってしまう。 近畿大学は前節の試合でWR#81中川、#27鉾山が負傷退場していった、その他にも怪我人が出ている様子だが、このメンバーが復帰してくるか否かも一つのポイントである。多彩なRB陣・WRTE陣による種々のプレーが繰り広げられれば面白い試合になるのだが・・・・。 近畿大学勝利のためには、まずOLが互角の戦いをすること、そして、得点リードしてからもディフェンス陣が絶対に下がらないこと、この2ポイントだろう。 ****後振り**** 近畿大学は前節以上に攻守ともギリギリ最上級の攻防が要求される試合である。ただし、昨年も一度は逆転したように相性的には悪くない。パワー&スピードという土俵で立命館大学とイーブンに持ち込める可能性があるのは近畿大学以外に存在しない。 攻守ギリギリの攻防が繰り広げられそうだ。 ただし立命館大学側も昨年終盤にリードを奪われ、そして、前節関西学院大学を破ったという近畿大学が相手になれば、気の緩みはないだろう。 両校の攻守攻防の全ての結果を戦前に予想するのは至難の業である。すべては当日の試合会場において判明する。 |
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甲南大学QB#5大西によるオフェンスは、前節大阪産業大学戦でUB#31増田、#33近藤、TB#29冨田といういろいろなメンバーによる中央突破ランを中心に、本職WRへ戻った#88吉田へのパスを絡めた力強いオフェンスを披露した。特にRBによるランプレーが効く。 ディフェンスもLB#42山本、#43宮井が前に出てQBにプレッシャーをかけるとともに、DB#17舳が大阪産業大学WR#88中村にしっかりとマークついていてパスカットの競演だった。これによって序盤戦はパス攻撃をシャットアウトした。 ディフェンス側はシーズン序盤からメンバー構成的にもやりたいことが見えていたが、オフェンス側もQBを#5大西に固定してRBWRへランパスQBキープというここ数試合で形が見えてきた。この試合を含めてラスト2試合は攻守とも非常に楽しみである。 ******** 同志社大学オフェンスの決め手がQB#8水野からのパスプレーだったのだが、この数試合でQB#8水野からWR#83要、久世、野原、TE池内へのパスが通用しなくなってきた。相手に研究されてしまったのだろうか。神戸大学戦ではランプレーの比率も増えてきてRB#31澄川に加えて#91長谷川が復帰し、さらに#1永富のオープンランでドライブしたが、パスによるゲインが必要なシチュエーションでことごとくパスをシャットアウトされてしまったのが手詰まりの原因である。 ディフェンス側は、シーズン当初からタックルがしっかりと決まらないまま時間が経過してきてしまった状態である。前節ではLB#47西内が目立って前に出てタックルを決めていたのが目についたが、点ではディフェンスにならないところが苦しい。 ******** この試合だが、同志社大学オフェンスと甲南大学ディフェンスの攻防結果がキーポイントになりそうだ。同志社大学オフェンスの攻撃手段はまずWR#83要他のパスターゲットへのショート〜ロングパスが重要なプレーである。これに対して甲南大学第3列DB陣が、しっかりと完璧なレシーバーマークができれば、頻繁にはパス成功しないだろう。 甲南大学DB#17舳などは前節でも大阪産業大学のパスをシャットアウトしているのだが同志社大学レシーバー陣ほどのターゲットがいた訳ではない。したがって、同志社大学の豊富なWR陣と甲南大学DB陣の駆け引き、そして、QB#8水野がコントロールよく、レシーバーのところへ投げ込めるかが大きなポイントになるだろう。 さらに同志社大学は前節あたりからRB#1永富、#91長谷川などによるランプレーも攻撃手段に加わってきた。しかし甲南大学ディフェンスDL#58澤谷他1、2列にも鋭いタックルを見舞ってくる。この同志社大学オフェンスと甲南大学ディフェンスの攻防はランでもパスでも見所が多い。 一方の甲南大学オフェンスと同志社大学ディフェンスの対決だが、同志社大学ディフェンスはLB#47西内などポイントにはアスリートも存在するのだがなかなかディフェンス網が構成できない。甲南大学のオフェンスはQB#5大西のキープやRB#31増田、#33近藤などによるランプレーがメインになりそうだが、これまでの試合でも同志社大学ディフェンス陣のタックルがビシッと決まらないことが多く、この試合でも甲南大学のドライブが続くこともありそうだ。 |
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関京戦(京関戦ともいう)は、関西学生スポーツ冬の風物詩と言われて翌日のスポーツ新聞1面を飾っていたこともあった。しかし、立命館大学の台頭によってこの試合だけが注目される時代は終わってしまった。西宮スタジアム時代に関京戦が最終節に組み込まれたのは92、93、94、01年の4回だけである。西宮スタジアムを本拠地にした関西学生アメリカンフットボールの約10年間は、関京2強から関京立3強時代へと変わっていった時間だったとも言える。 今年の両チームは前節の試合で敗戦してしまい、優勝争いに残るためにはこの試合を勝利しなければならない。西宮スタジアム最後の関京戦(京関戦ともいう)は、両校とも追い詰められた対戦となった。 ******** 関西学院大学は今年のベストメンバーが組めないままシーズン終盤を迎えてしまった。それでも序盤戦中盤戦あたりは不安を抱えながらなんとかヤリクリしてきていた。しかし、神戸大学戦あたりから不安が現実味を帯びてきて前節近畿大学戦では3年間無敗だったリーグ戦で久しぶりに黒星を喫してしまった。 近畿大学戦は最後の1秒で逆転して一瞬はリードを奪った。そしてキックオフリターンで再逆転されることになるのだが、最後まで安心できるリードを奪えなかったという時点で、今年の関西学院大学の状況をよく表していた試合だった。結果を白星で終わるか黒星で終わるか、白で終わるに越したことはないのだが、今の状況を形で明確に表現してチーム建て直しのきっかけを与えたという点ではよかったのかもしれない。 QB#16尾崎によるオフェンスは、OL#71蔵谷、#75一宮、#51庭野が支え、RB#33杉原、#6田中の中央突破ラン、WR#25杉田、#80中林、TE#88松本のパスターゲットが揃っている。前節は久々にRB#3大谷が復帰してきた。ただオープンをスピードで抜き去るような高速ランナーが存在しない。 それでも、OL以外は核になるメンバーが固定されてきて、RB#33杉原の中央突破にWRへのパス、そしてQBスクランブルという今年のプレースタイルが見えてきた。あとは選手間のコンビネーションの問題であろう。前節近畿大学戦残り57秒自陣からのドライブに見るように潜在能力は高い。 一方のディフェンスだが、前節でまた少しメンバーが変わってしまった。DLには西村、佐岡、今東、大川、LBも財満、田頭、塩田、永田、田中、平郡、と名を挙げても試合当日のスターティングメンバーが発表されるまで誰が出場するのかわからない。DBも田尻、河合、草野、中島とメンバーは挙げられるが、スターティングメンバーは不明である。ただ前節はDB#27高倉がさまざまにパスカットを繰り広げていたのが印象に残る。 ディフェンスも競ったギリギリの試合をするときはメンバー間の「あうん」の呼吸が必要になってくるが、果たしてどれだけのコンビネーションが確立できているか、メンバーが固定されないということはこのあたりにも不安を感じる。 以上のように攻守とも不安を拭い去れないのは前節の試合を見た時点での印象である。今回の関京戦は本当に追い詰められた状態になってから2週間後に行われる。今までとまったく異なる関西学院大学攻守を観ることが出来るだろう。 ******** 京都大学は前節立命館大学戦では攻守ともほとんど何もできないまま敗戦してしまったという印象だった。最近の京都大学は試合前の透き通るような緊張感が感じられない時がある。もちろん感じたからどうで、なかったからどうというのではない。前節の試合でもサイドラインに並んだのは立命館大学が早かったし、遅いからどうというのでもないのだが・・・・・・・・。 今年のオフェンスは、開幕戦でQB#4川並によるランパスを披露し、川並負傷後の3試合をQB#18金沢のランで組み立ててきた。特にRB#31大住、#2高見、#32池上のランによるゲインは、ライン戦の結果に依存するが、はまれば大きくゲインしている。さらにパスターゲットWR#81小寺、#9仲田、#48四方へショートミドルパスが投じられる。 ただQB#4川並と#18金沢では少しタイプが異なり、#4川並は長短パスはあるが自分で持って走ることが少ない。一方の#18金沢は自分やRBによるランプレーが得意でパスもいいコントロールになってきたが、川並のパスに比べるとボールの勢いが劣る、という2名になれば互いの長短の比較になってしまって両方の良いところを選択したいと思うのは人の常である。 前節の試合では、開幕戦だけ指揮したQB川並と3戦をこなしたQB#18金沢では、全体的なコンビネーションからQB#18金沢を推したいなと密かに思ってたのだがパス重視したのだろうQB川並を起用した。 ディフェンスはDL#73山中、#52大鋸、#99高谷、LB#97近藤、#45伊藤、DB#20山本、#14金氏だが、今シーズン最初から全体的に動きが鈍い。動物的なカンによる動きが京都大学ディフェンスの伝統だが、春シーズンは鉄壁の鋭い動きがあったのだが秋シーズンは少し傾向が変わってしまった。 またLBDBのパスディフェンスに甘いところがあって神戸大学戦、大阪産業大学戦を苦戦してきたが、同志社大学戦ではほぼ完封している。立命館大学戦ではスピードの差を見せつけられてしまったが、この試合は如何に。 K#28西のFG、P#14金氏のパントというキッキングで試合をコントロールできるのも今年の京都大学の強みである。実は、まだ両名の強みを発揮してコントロールした試合がないのだが、そろそろ本領発揮する頃か。 ******** さてこの試合の関西学院大学オフェンスと京都大学ディフェンスの対決の見所だが、関西学院大学QB尾崎のパスと京都大学ディフェンスの攻防が試合の行方を大きく左右するポイントになりそうだ。 パスターゲットは#25杉田、#80中林と絞られてはいるのだがここにきてTE#88松本も成長している。これに対する京都大学2、3列のパスディフェンスが十分に機能するか。またDL#99高谷は前節立命館大学戦でも孤軍奮闘QB高田にサックを決めていただけにパスディフェンス成否のキーマンの一人である。 関西学院大学オフェンス/京都大学ディフェンスのどちら側からみても手の施しようがない相手ではない。しかし、このパスの攻防が試合を左右するだろうことは間違いない重要なポイントであろう。 このパス攻撃を封じ込められると関西学院大学は少し苦しくなってくる。さらにRB#33杉原、#6田中とQB尾崎によるランプレーも大きなポイントではあるが、京都大学DL#73山中、LB#97近藤など大型ラインを相手にして大きくはゲインできないだろう。この段階でロースコアゲームの様相を呈してくる。 一方の京都大学オフェンスと関西学院大学ディフェンスの対決だが、こちらが絞りにくい。 京都大学QBに誰を起用するかというところから話をはじめたい。川並の場合関西学院大学のパスディフェンスを切り崩すに最適な長短パスがあるがパスオンリーという印象もある。確かにQB川並のパスには非凡なものを感じるがパス多用によるディフェンス側の慣れと時計が回らないことによる京都大学ディフェンスへの負担が気にかかる。関西学院大学ディフェンスの目を散らすためにはQB金沢によるキープランを含めラン重視にして、パスは若干犠牲にするというのはどうだろうか。 もうひとつ前の段階で言うならば、京都大学は今年の関西学院大学ディフェンスのどのポイントを攻めて来るのだろうか、本当のところこのポイントによって攻略方法は大きく変わってくる。関西学院大学パスディフェンスに難ありなのは事実だが、DLLBもメンバーが固定されていないのも事実である。 そこで切り崩す/バラバラにすると言う点で、この試合は敢えてOLDLのライン戦によるランプレー地上戦に持ち込みたいと思うのだが。京都大学OLRBによるランプレーは、立命館大学戦を除くと神戸大学戦以降留まるところなく前進できている。さらにQBキープによる撹乱と、さらに時々のパスで小刻みなドライブを積み重ねるという展開はどうだろうか。つまりQBはどちらでも構わないが、ラン重視多用のオフェンスで組み立ててみたいと思うのだが。 そして、ロースコアの試合展開になった時にキッキングチームが活躍する。関西学院大学PK#15中野は前節入れば逆転という精神的にすごいプレッシャーの中で難しいFGを決めた。神戸大学戦では不調だったが、それ以外の試合では重要なFGをしっかりと決めている。 一方の京都大学K#28西も第3節あたりから復帰して安定したキックによるFGを決めてきた。さらにP#14金氏による絶妙なパントで優位なフィールドポジションを獲得できる。 僅差ロースコアの展開になれば、このキッキングゲームが試合を大きく左右してくるだろう。パントリターン・キックオフリターンでのファンブルミスなんかは致命傷になりかねない。 ******** この試合は京都大学にすれば後がない試合であり、関西学院大学も前日の試合結果によっては黒星は即連覇途切れる状態になる。2002年関西学生リーグ戦の大詰めの試合、そして西宮スタジアムでの最後の関京戦(京関戦)である。 11月10日(日)14時50分、西宮スタジアム。 |