関西学生アメリカンフットボール Div.1 第4節



10月12日(土) 尼崎陸上競技場 12:00
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
近畿大学





大阪産業大学





 


 近畿大学は前節同志社戦で待望の初白星を挙げた。だが、その試合内容は苦労した勝利というのではなく攻守とも圧勝だった。第1・2節の攻守絶不調は、いったいなんだったんだ??というように全く別のチームとして生まれ変わった。

 オフェンスはOLの支えもあってQB#3安倍が落ち着いてランパスを仕掛けられるようになった。バックス陣ではRB#20土手下のスピードが復活し、さらに、RB#39大坪、#35碓井の中央突破、WR#81中川、#82三谷、TE#34金子への長短様々なパスを披露した。RB#99杉田が全く登場せずだったが、整備された近畿大学は強いと改めて認識した試合だった。
 ディフェンスもDLLBDBがそれぞれラン・パスに役割を果たす様はほぼ完璧に仕上がったかのようだ。特に同志社大学の生命線だったWR#83要へのパスを封じたバックス陣、QBを追いかけ回したDL陣とも言うことはない。

 という前節の試合だったが、前節が満点で、その前2試合が0点という両極端である。どちらが本当の近畿大学なのか、それを確かめる試合になりそうだ。もちろん前節の近畿大学が本物であってほしい。次節からはいよいよ3強との対決が始まる。

 もう一つ気になるポイントは、パントを蹴るP(パンター)と、キックオフのフリーキック・FGキックを蹴るK(キッカー)が前節はボールの行方&飛距離が全く予測できないキックだったが、どのようになっているか。近畿大学側からはこの点も見てみたい。

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 大阪産業大学は第2節立命館大学戦第2Qにフルメンバーを相手にしながら7−0と攻守とも圧倒した。さらに前節京都大学戦でも、WR#88中村、#1杉本をターゲットとしたパスドライブで前半4シリーズ全てを敵陣まで攻め込んで終わらせるという(FG×G×FGTD)一歩も引けを取らないオフェンスを披露した。後半QB#5藺牟田からのパスをインターセプトされた時から大きく流れが変わってしまったのが惜しい。オフェンススタッフがもう少し違う対応をしていれば、まだ接戦が続いただろうに・・。
 QB#5藺牟田率いるオフェンスは、ランプレーはRB#40瀬川が負傷しているのか本格復帰できない状態でRB#2磯脇とQBキープが主になっているが、大きくはゲインできるプレーはパスに限定されてしまっている。

 ディフェンスはDL#58石丸、#51蔭山、CB#21植木の奮闘もLB陣他全体的に層が薄いこともあって、京都大学戦では終始ランでゲインされてしまったことが試合結果になって表れてしまった。

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 この試合だが、近畿大学オフェンスがどちらの姿で登場してくるかによって大きく変わってくるるが、前節のようにOLがしっかりとQB安倍をサポートできて、さらにRBWRTEへのランパスを繰り広げるのであれば、近畿大学優位は動かしがたい。
 もし大阪産業大学DLがQB安倍に厳しいプレッシャーをかけて続けることで、QBに迷いが生じるようになればれば試合展開も大きく変わってくる。したがってポイントは「復調なったか近畿大学OL&QB」にあり、大阪産業大学DLがライン戦を互角以上に繰り広げれば混戦になる可能性はある。

 大阪産業大学オフェンスと近畿大学ディフェンスの攻防は、QB#5藺牟田のパスターゲットが前節#88中村と#1杉田限定だったこともあって、同志社大学パス攻撃をシャットアウトした近畿大学ディフェンス優位は動かしがたい。もう一人以上同じレベルのパスターゲットがいれば、少しは展開が変わってくるだろう。
 ところで、策士大阪産業大学のスペシャルプレーが見られるかもしれない。数年前の近畿大学戦ではロンリーセンターを披露したが、今年は何が飛び出てくるか。






10月12日(土) 尼崎陸上競技場 14:50
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西学院大学





神戸大学





 


 関西学院大学オフェンスは前節甲南大学戦で、QB#16尾崎による様々なパスがヒットして徐々に今年の形に目処がついた試合だった。パスターゲットはWR#25、#80中林、TE#89東井で、それぞれに多種多彩なパターンでパスが飛んでいくという関西学院大学らしい姿になってきた。もちろんRBには#3大谷のスピードラン、パワーランナーに#33杉原、#30岡村、#36兵頭、332朝山のパワフルランナーが揃い、また、OLには#71蔵谷が復帰してきた。

 ディフェンスもDL#58西村が復帰し、DLLBは様々なメンバー構成で試合に臨み経験を重ねることで層が厚くなってきた。ただパスディフェンスの面ではDB陣の層が薄いという印象が消えないが、この試合および今後のポイントはこのあたりになりそうだ。

 K#15中野が距離コースとも安定感のあるキックを蹴るようになってきた。前節も最後のロングFGが決まったように頼りになるメンバーがまた増えてきた。

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 神戸大学は開幕戦近畿大学戦勝利を挙げながら、その後は京都大学・立命館大学相手に黒星が続いた。前節立命館大学戦はともかく、京都大学戦はディフェンスが粘ってロースコアの展開に持ち込み、神戸大学のペースに試合を持ち込むことが出来た。そして第4QにはQB#10江端からTE#85萩原、#43石原、WR#7竹山、#9村上に連続パスヒットして2TDを奪って3点差にまで追い上げた。
 ディフェンスも追い詰められながらもギリギリのところでDL#89牧野、LB#41山本などが粘ったが、試合中盤以降のランドライブを止められなかったのが試合を決めてしまった。

 前節立命館大学戦は、オフェンスが立命館大学脅威のDL陣に完封負けを喫してしまった。QB江端をメインに起用したが何もできない状態、「手も足も出ないとはこのことか」という試合だった。ディフェンスもLB#41山本など奮闘していたのは判るのだが、3回に1回でも大きなゲインを奪われれてしまっては止めようがなかった。

 今期の神戸大学オフェンスはQB#10江端とQB#33大崎の2人を使い分け、さらにRB#22坂東のスピードと、#4西澤、#39宮川の中央突破を支えるOL#71藤原、#65河原他サイズもある。パスターゲットも揃ているので、波に乗ればランパス何でもありという面白いオフェンスを繰り広げる可能性は十分にある。

 またディフェンス陣も人材豊富でパワー溢れる突っ込みは爽快である。ただ、パスディフェンス、とくにミドルレンジ以上のパスについて私が把握できていない。最初の2試合はパス自体が少ない試合だったし、前節はそういう細かいことに触れられるような試合でもない。

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 さてこの試合だが、やはり関西学院大学オフェンスを神戸大学ディフェンスがロースコアの展開に持ち込めるか否かで大きく変わってくるだろう。

 関西学院大学がこれまでの対戦した相手(大産・同志社・甲南)に比べると最もディフェンスが安定しているのが神戸大学である。前節甲南大学戦でもエンドゾーンまで迫りながらFGに終わったりと苦労する場面があったので、神戸大学ディフェンスDL#89牧野、#92家入、LB#6肥田、#55岩田、#41山本というアグレッシブなメンバー相手では手詰まりになるシーンがあっても不思議ではない。関西学院大学OLQBと神戸大学DLLBの激突は、興味深い対戦になりそうだ。
 またパスではQB尾崎とレシーバー陣のコンビネーションが確立されつつあるが、これが神戸大学に通用するか。ただ神戸大学パスディフェンスの印象がないのでここが予測できない。

 いずれにせよ、本格化し始めた関西学院大学オフェンスを神戸大学ディフェンスが再び卵の殻の中に押し戻せるかが試合をわける大きなポイントになるだろう。

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 一方の神戸大学オフェンスと関西学院大学ディフェンスの対戦の見所は、やはりパス対決だろう。神戸大学QB#10江端によるショート〜ミドルパスはWR#7竹山、#9村上、TE#43石原、#85萩原がターゲットになる。前節立命館大学戦ではパスを投げることすら出来なかったが、この試合ではそこまで追い詰められることはないだろう。

 だが対峙する関西学院大学DLにも#58西村、#52佐岡、#95今東という強烈なメンバーが揃っている。さらにLB#53財満、#49永田、#34田中のクイックパスカットも見物である。ILBのブリッツも面白いのだが、このポジションには誰が配されるか。ただし第3列DB陣は、甲南大学のミドルパスによるドライブを許してしまうようにまだ完成途上にある。したがって、ミドルレンジへのクイックパスが様々なコースに通ればディフェンスがバラバラになることも十分に考えられる。

 神戸大学がロースコアの展開に持ち込めるか否かで試合結果は大きく変わってくる。しかし、神戸大学にとって関西学院大学は組みにくい相手ではなく、過去の対戦でも平均3TD程度は得点を挙げている。したがって失点をこのあたりまでに留めておくことが出来れば面白い試合になる。







10月14日(月) 宝が池球技場 11:00
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学





甲南大学





 


 立命館大学は今期3試合平均得点が66点、失点は合計14点という驚異的な内容で白星を重ねている。オフェンスはQB#18高田からRB#3齋藤、WR#11木下、#19冷水、さらにTE#96加藤とRB#39礒谷が復帰して派手なランパスを披露している。それも試合前半は特に同じプレーを使わないぐらいいろいろなプレー種類を織り交ぜている。

 ディフェンスもDL#92紀平、#90飾磨、#56平井、LB#5西、#99八木のクイックネスは驚異的で、QBがスナップを受けると同時にDLの手がQBに掛かっていては何もできない。

 また前節神戸大学戦では前半と後半の最後にオフェンスシリーズが回ってきて2ミニッツオフェンスの練習を行うなど、ここ数年の立命館大学とは違った取り組み方も垣間見ることが出来る。

 一つだけ課題があるとすればパスディフェンスで、CBDBのパスカバーに不安が残る。この不安が試合結果に大きく影響していないのは、オフェンス大量得点によるところが大きい。

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 甲南大学は、前節関西学院大学戦で今期始めてオフェンスによる得点を挙げた。この得点シーンはQB#5大西によるパスを積み重ねての堂々たるドライブの結果である。
 今期はQB#88吉田がシーズン当初からオフェンスを指揮している。前節は試合中の軽い負傷で交替したが、パスとQBキープによる組立を披露している。バックスはプレー毎に5人全交替による底上げを行っているがそろそろキープレーヤーが出てくるかもしれない。

 ディフェンスは、DL#58澤谷やLB#42山本、#43宮井を中心になって健闘しているのが判る。京都大学戦関西学院大学戦とも相手ドライブされながらも最後まで切れることなくいろいろと試みている様子が伺え、試合を追う毎に形になってきている。

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 しかし、この試合は勝敗の行方と言う点では立命館大学優位は動かないだろう。

 ただし、見所としては、立命館大学の甘いパスディフェンスを甲南大学が突くことが出来れば、前節同様パスドライブがつながることも考えられる。ただし立命館大学のただDLの素早い動きでQBがパスを投げる時間がない、ということもありえるのだが。

 一方の立命館大学ディフェンスは前節にDB#13小路が復帰してきたこともあって、そろそろパスカバーに何らかの変化があるかもしれない。

 立命館大学オフェンスはQB高田のショットガンオフェンスが順調に仕上がっている様子が伺える。前節に始めて2ミニッツオフェンスなるものを披露した。新鮮さとぎこちなさを感じてしまったが、この試合でもそういう場面があるだろう。






10月14日(月) 宝が池球技場 13:50
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学





同志社大学





 


 京都大学オフェンスは、開幕戦でQB#4川並が派手なランパスを披露しながら、第2節神戸大学戦では一転してテンポが悪くなりさらにQB川並が負傷退場してしまう。そして、大阪産業大学ではQB#14金沢を起用し川並とは若干雰囲気が異なるがそれでもランパスオフェンスを披露した。

 はっきり言って、今年の京都大学オフェンスが見えてこない。というよりどれが本当の姿なのか判らない。パスターゲットはWR#81小寺、#9仲田、#48四方と揃っている。春の時点ではレシーバー不在という印象だったがそれも解消されてきた。ただ、ショートパスになるかロングパスになるか、またパス回数はQB次第のところがある。一方でOLの押しで5ヤード以上ゲインするRB#31大住、RB#2高見の中央突破も圧巻である。

 このように、多彩なメンバーによるいろいろなプレーが出来るという状態で、ここ数年の京都大学オフェンスとは違った傾向にあることだけは確かである。

 一方でディフェンスは良いところ悪いところ相半ばという状態である。第1・2列にはDL#73山中、#90浦上、LB#97近藤#45伊藤、#5河田というメンバーが揃い、ランプレーに対しては絶対的な自信を持っているようだ。ただ、第3列にはDB#20山本、14金氏という重鎮が控えるのだが、どの試合でもパスを通されてきているようにショート・ミドル・ロングのどのパスに対しても不安が解消されない。

 またK#28西によるFG・PATシーンが少なく、ほとんどのプレー機会を#5河田が担当しているが、春に完璧なキックをしていた#28西と比較すると、安定感を欠いているのは否定できない。

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 同志社大学は前節近畿大学戦でオフェンスを完封されてしまった。

 立命館大学戦、関西学院大学戦でもオフェンスは封じ込まれているのだが、それでも何回かの見せ場があり、WR#83要へのパスを筆頭にターゲットTE#89池内、#82久世へのパスを繰り返してドライブを行った。このようにパスを投げることが出来ればまだなんとかなるのだが、前節近畿大学戦ではパスターゲットはマークされDLLBに襲われるという状態で何も出来なかった。ただQB#8水野が倒されても相変わらず物怖じせずに立ち直っていくるのが頼もしい。

 ディフェンスは、DL#97谷村、#75原、DB#26仲田というようにポイントにはアスリートが揃い、詰めの甘さが徐々に解消されてきているのだが、まだランにもパスにも少し不安が残る状態である。

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 さてこの試合だが、勝負の行方の鍵を握っているのは両チームのディフェンスであろう。

 同志社大学パスオフェンスは前節不発だったが、京都大学パスディフェンスが甘いので、WRTEという複数のパスターゲットをフィールドに散らし、いろいろなコースへのパスが通りそうだ。一方で京都大学RB陣の中央突破ランも、同志社大学ディフェンスが甘いので、前節同様に1回5ヤード以上のゲインが可能だろう。

 このように京都大学はパスディフェンスに、同志社大学はランディフェンスに課題を抱えている。そして、それに対抗する攻撃陣がどちらも相手欠点を突くプレーを得意としている組み合わせである。どちらが先に相手の攻撃手段を消すか。京都大学LBDB陣がパスターゲットについて同志社大学QB水野のパスを止めるのが先か?それとも、ランホールを同志社大学が埋めるのが先か。あるいは自軍スタミナ切れによる勝利献上ということも考えられるが、タフなのは京都大学か同志社大学か。

 ボールがフィールドを左右に大きく動いて得点の奪い合いになりそうだ。ある意味では第4節一押しの試合だが、さて結果はいかに。







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