関西学生アメリカンフットボール Div.1 第3節



9月28日(土) 阪急西宮球技場 13:30
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
近畿大学





同志社大学





 


 近畿大学はここまで2連敗だが、前節の甲南大学戦および前々節の神戸大学戦とも試合内容としては決して見劣りする物ではなかった。甲南大学戦では2倍の獲得ヤードながらも結果に結びつかなかったように、2週連続試合展開のアヤで黒星を喫してしまっているのが苦しいところだ。

 もし一つだけ挙げるとすればオフェンス側がもう少し形になればという感じもする。まずOLがライン戦で苦戦しているために、試合の主導権をはっきりと握りれないところがある。QBとOLの歩み寄りによるコンビネーションの確立が必要だろう。そして、プレーの組み立て方が時間とともに単調になってくる傾向がある。前半はRBの中央突破やオープンプレーにTEWRへの長短パスを巧みに繰り返すのだが、後半になると時間に追われることもあるのだろうが同じプレーが続くか、リバースのような大掛かりなギャンブルプレーを組み込んでしまうところがある。プレー順を考慮するだけでも試合内容は変わりそうな気はする。

 ディフェンスはDLLBDBとも昨年以上の鋭い突っ込みが見えるようになってきたし、DBパスカバーもしっかりで大崩れする心配はなさそうだ。試合の流れを変えるビッグプレーも頻発しているので、この試合でもディフェンスの1プレーで戦況が変わるシーンはあり得るだろう。

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 同志社大学オフェンスは、QB#8水野の度胸が据わっていて、相手ディフェンスのプレッシャーをモノともしない。もちろんサックされることもあるがそれが次のプレーに影響しないところが凄い。さらにOLの壁もあって、ほぼ完璧なフロント陣である。バックス陣もタレント豊富でランパスマルチオフェンスを仕掛ける。RB#31澄川、#20畑山の中央突破に長短パスがWR#82久世、#83要、TE#89池内へとジャストヒットする。このオフェンスは、いい調子でドライブを始めるとなかなか止まらないだろう。攻め手段が多い分だけディフェンス側が翻弄されてしまう可能性があり、それが前節関西学院大学戦第2Qだった。
 ただ、その幅広い攻め手段を効果的に広げきれなかったのも前節の試合であり、重要なプレーをWR#83要へのパスに絞ってしまったので、試合後半は厳しくマークされてしまった。

 一方のディフェンスは、DL#97谷村、#75原などによって相手QBにプレッシャーがかかるようになってきた。ただ、ランプレーでスクリメージを抜かれると弱いところがある。パスに対してはDB#26仲田、#3丸山のパスカバーなど徐々に形になって見えてくるようになってきているので、あとはランディフェンスだけだが。

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 さて試合展開だが、近畿大学オフェンスは前にも書いたようにQBとOLのコンビネーション次第だが、前節までの傾向から判断するとこの試合も爆発的な得点を挙げるとは考えにくい。もちろん、そうなれば近畿大学側優位に働くことになりそうだが、ロースコアの展開を前提にする。

 そうなると、この試合の行方を大きく左右するのは、近畿大学ディフェンスと同志社大学オフェンスの対戦結果になる。同志社大学のランパスマルチオフェンスに近畿大学自慢のディフェンス陣LB#2中里、#43西川、#42齋藤、#5青木などがどこまで対抗できるか。WR#83要とDB#25安藤などのパス対決も面白い。そして、近畿大学DLの急襲に同志社大学OL陣とQB#8水野の強心臓が持ちこたえるか。

 同志社大学オフェンス側としては攻撃手段を散らしてディフェンスをバラバラにできれば・・・/近畿大学ディフェンス側はロースコアの展開に持ち込んでパスインターセプトから自軍へ試合の流れを引き寄せて・・・という思いがあるだろう。

 一方で、同志社大学ランディフェンスが少し甘いところがあるので、近畿大学オフェンスが前節でも見せたようにRB#99杉田、#39大坪の中央突破だけで5ヤード以上進むような地上戦で優位な展開に持ち込むことが出来れば、また試合展開も大きく変わってくるだろう。

 両チームがどのように整備して登場してくるか。そして、どのような試合展開になるか???。西宮球技場Div1LastDAYです。現地観戦してみませんか。






9月28日(土) 阪急西宮球技場 16:30
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
関西学院大学





甲南大学





 


 関西学院大学QB#16尾崎によるオフェンスは前節同志社大学戦でもしっくりとした雰囲気にはならなかったが、それでも後半はミドルパスが連続ヒットして復活の兆しが少しは見えてきた様子でもあった。パスターゲットはWR#25杉田、#8仲山、TE#89東井などがパスをしっかりとコースに入ってキャッチするようになった。RB陣もエースRB#3大谷に加えて#32朝山など新しいメンバーの登場も頼もしい。

 一方のディフェンスは、前節で昨年から慣れ親しんだ3−4ではなく4−3(DL4人・LB3人)を採用し、さらにLB#5平郡やDL#52佐岡を起用しないで、開幕戦とは違った固定メンバーで試合最後まで望んだ。新鮮というよりは何かを試みている様子だった。そういう意味では、OL構成もシーズンイン直前予想とは違ったメンバーのままである。

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 一方の甲南大学は前節近畿大学戦を3−0という僅差で白星をゲットした。QB#88吉田率いるオフェンスは必ずしもドライブを重ねたという内容ではなかったが、その代わりにスナップまでの25秒をギリギリ使い切って試合時間消費に徹した。これには、以下のような意味がある。試合時間があるということは、自チームの攻撃時間も増えるが、同じように相手チームの攻撃時間が増えることである。しかし甲南大学攻撃が得点能力が必ずしも高くないのでできるだけ失点を避けたい。となれば試合時間を可能な限り減らせばよいという戦い方だった。

 一方のディフェンスはDL#58澤谷、LB#43宮井、#42山本など核になる選手が見えてきた前節だった。

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 この試合だが、勝敗の行方だけを言うならば残念ながら関西学院大学優位は動かないだろう。オフェンスの得点能力と言う点で差があるのは認めざるを得ない。しかし、試合観戦のポイント・見所はある。

 関西学院大学オフェンスは前節でQB#16尾崎のパスに復調の兆しがあるとは言え、まだ本調子ではない。一方の甲南大学はディフェンスから試合を組み立てることができる可能性が少し見えてきた。したがって、この関西学院大学オフェンスと甲南大学ディフェンスの対決は面白い攻防を繰り広げるかもしれない。DL対OLやLB対QBの結果によってQBにプレッシャーがかかるだろうか。
 甲南大学ディフェンスが頻繁にQBに手が掛かるのであれば、尾崎にも迷いが生じるかもしれない。甲南大学ディフェンスがどこまで関西学院大学オフェンスを追い詰めることが出来るか。この試合の見どころは、ここにある。そしてこの結果は、関西学院大学・甲南大学ともに今後を占う上でも重要なポイントになるだろう。

 さらに、甲南大学QB吉田のオフェンスが前節よりも一回り大きくなって登場してくるか。今年はオフェンスでは実質無得点だが、新しい展開はあるか。ここも注目しておきたい。

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 西宮球技場でのDIV1最後の試合である。選手コーチスタッフの息づかいがスタンドの最上段にいても手に取るように判る試合会場は、他にはない。本当の最後まではあと正味3ヶ月残っており、DIV2や3、高校大会、入れ替え戦などの試合予定もあるが、カウントダウンのその1です。観に来てください。お願いします。






9月29日(日) 宝が池球技場 11:40
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
京都大学





大阪産業大学





 


 京都大学前節のオフェンスは、QB川並のランパスが初戦ほどテンポよくはなかった。初戦が本当の姿なのか、それとも神戸大学戦が本当なのだろうか、ディフェンスとの力関係によってはQB川並のランパスも手詰まりになってしまうのだろうか・・と考え込んでいる間にそのQB川並が負傷退場してしまった。そしてQBが交替してからは、ラン/パス比率でランに重点を置く組み立て方になっていった。
 オフェンスバックス陣では、RB#池上、RB#2高見両名のパワーバランススピード3拍子兼ね備えた走りと、WR#9仲田、#81小寺、#48四方など攻撃手段は揃っているので、いい方向に回転すれば面白い布陣なのだが。

 一方のディフェンスもDL#97山中、LB#24近藤、DB#14金氏、#20山本などキーマンは存在するのだが、春ほどには強固な印象がない。さらに甲南大学戦・神戸大学戦とも第4QになってからミドルパスをLBDBの隙間に連続で通されれしまった。ただ2試合とも第4Qになってからのパス被弾なので京都大学が何か冒険的なことを企てているのかもしれないがそれを見抜く知識が私にはない。

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 一方の大阪産業大学は、前節立命館大学を相手に前半7−27と攻守とも大健闘だった。オフェンスはQB#5藺牟田からのクイックパスがWR#88中村へ連続ヒットして立命館大学からTDを挙げた。今年の大阪産業大学はランはRB#40瀬川の中央突破、RB#磯脇のオープンランに豊富なパスターゲットが揃い、近年では攻め手段の多いシーズンである。

 ディフェンスもDL#58石丸、#55中野がプレッシャーをかけ続けて立命館大学を第2Q無得点に抑えて勢いに乗っている。後半の大量失点は選手人数の違いによる選手全員の体力総和の差ということで、大阪産業大学側から見れば重要ではない。

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 さて、この試合の展開予想をするのだが、京都大学側の不確定要素が多すぎて考えにくいというのが本音である。

 京都大学オフェンスは前節QB負傷したがこの試合に川並が出場するのかしないのか、そして仮にQB川並だったとして初戦のようなランパス華麗なオフェンスを繰り広げるのか、それとも神戸大学戦のように沈黙してしまうのか。大阪産業大学のディフェンスも少しずつ整備されてきているので、たとえ川並がQBとして登場したとしても初戦のような華麗なドライブにはならないと思うが。
 京都大学側はもちろん起用するQBに併せてチーム整備してくるだろうが、タイプの異なるQB故に準備が膨大になるということだけでも大変さが伺える。

 大阪産業大学ディフェンスと京都大学オフェンスの対決は、その当日になってみないと判らないところが多すぎるが、それでも上り調子のディフェンスと、もしかしたら停滞気味のオフェンスとなれば、均衡したロースコアの試合になる可能性も十分にある。

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 そしてこの試合の流れ・行方を決めるのは、やはり大阪産業大学オフェンスと京都大学ディフェンスの対決だろう。

 大阪産業大学QB#5藺牟田からWRTE陣へのクイックパスの成功率がどの程度になるだろうか、ここがポイントになりそうだ。京都大学はLBDB間のパスディフェンスが手薄であり、両チームの長所短所が見事に噛み合っている。もしも試合序盤からパスドライブを行えるようならば、勝敗の行方すら混沌としてこよう。もちろん京都大学も第3節となれば整備も繰り返されてきて同じ姿で表れることはないとは思うが、この対決の行方は興味深いところである。

 大阪産業大学側から見れば、オフェンスがパスドライブを行うことによって相対的にディフェンスの登場時間が増えるので体力スタミナ面が心配だが、後半に入った時点で少しでもリードしているようなことがあれば、球技場の雰囲気がバックアップしてくれるだろう。そして、京都大学のドライブが続いたときに「やっぱり・・・」と思うか否か。さらに挙げれば、オフェンスコーディネーターが、終わった失敗をゴチャゴチャ言うことなく、次のプレー組立を冷静にQBに指示し続けていれば・・・。

 「たられば」が多いが、それでも無理な仮定ではないと思う。過去の対戦の歴史の中で京都大学から金星ゲットできるチャンスを自滅して逸したシーズンがあるが、今回はそれに匹敵あるいはそれ以上に可能性ある試合だろう。






9月29日(日) 宝が池球技場 14:20
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計勝敗
立命館大学





神戸大学





 


 立命館大学はオフェンスQB高田のショットガンから繰り出される攻撃手段の多さが目に付く。前節大阪産業大学戦では、あれもこれも繰り出して全て成功させたのには正直なところだ。
 ただしQB高田がディフェンスのプレッシャーを受けたときに、「?」というシーンが何回かあったのも事実である。春の試合では冷静にディフェンスをかわしていたので今年は一段成長したかなという印象だったのだが、プレッシャーに慌てていたシーンを見て余計に「??マーク」が飛び交った。

 また、ディフェンスはクイックパスやコーナーパスなどに対するパスディフェンス全般に不安を抱えている。ただしこの2試合ともDB#13小路が出場していない。#13小路は春の試合で学生トップ級のプレーを随所に披露していたので、出場してくればチームとしても変わってくるだろう。つまり、この試合でも起用するメンバー構成によっては長短パスが通される可能性があるということになる。

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 一方の神戸大学は、開幕戦で近畿大学に勝利していいスタートを切り、前節京都大学戦でも第4Qにあわや逆転のシーンにまで追い上げた。特に前節の試合は十分に逆転できる試合展開だっただけに、惜しい敗戦だった。

 オフェンスはQBに#33大崎と#10江端を併用し、それぞれの持ち味を巧妙にミックスしてランパスを織り込んだオフェンスを展開する。特にQB#10江端のパスはレシーバーWR#7竹山、#9村上、TE#85萩原と呼吸が合えばミドルゲインを繰り返す原動力になる。さらに、QB#33大崎のオプションもRB#4西澤、#39宮川とのコンビネーションがいい。

 ディフェンスではDL#89牧野、#73池渕、LB#6肥田、#41山本、#55岩田などの壁が厚く、集まりが早いので中央のランプレーは大きくゲインできないだろう。ただ、左右オープンランに対するディフェンスが若干手薄なところがある。

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 この試合は勝敗の行方で言うならば、やはり、神戸大学ディフェンスが立命館大学の多彩な攻撃にどこまで耐えられるかにかかっている。復活した#39礒谷、#3齋藤などの巧みなカットあるいはスピードに乗ったオープンランにLBDB陣が食い下がれるか。もしもスクリメージラインを突破する前にプレーが終了するようならば、面白い試合になる。スクリーメージを抜けられるとRBのスピードでオープンを抜かれてしまいそうなので、できることならば前で止めておきたい。

 また立命館大学のサイドからは、DLにプレッシャーをかけられたたQB高田がどのような反応をするのかを見てみたい。立命館大学は同志社大学大阪産業大学と対戦してきたが、両チームともディフェンスがまだまだ未完成の状態だった。だから、高田も冷静にプレーを選択できたというように考えれば、両チームよりメンバーが揃っている神戸大学ディフェンスが高田にプレッシャーを与えたときに、それでも、自由奔放に多彩なプレーを繰り広げることが出来るのか。ここを見てみたい。

 神戸大学オフェンスと立命館大学ディフェンスの攻防での見どころは、やはりパス対決だろう。ランプレーで中央突破を繰り返すというのはやはりアニマルディフェンスには通用しにくいことと、クイックパスを得意とする神戸大学と、パスディフェンスの甘い立命館大学という構図が合致しているので、ここがポイントになる。

 それでもスタミナ勝負になると攻守とも立命館大学に利があるのは間違いなく、P#??のパントキックで優位なフィールドポジションを維持し続けるとか、神戸大学にはなんらかの工夫が必要なところだ。ただし、神戸大学は試合毎にテーマを持って臨むチームだから、何かは準備してくるだろう。

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 第3節宝が池球技場の2試合は、挑戦者がどのような姿勢で試合に臨むかによって結果が大きく変わってくる。普通に考えれば京大立命優位だが、両校ともにキズがある。ここを上手に突くことと、劣性になったときの考え方(「いや、今年は大丈夫」と吹っ切るか、「やっぱり、かなわないか・・」と考えるか)次第だろう。今年の傾向が見えてきた第3節、そろそろ大アップセットがあってもいい。






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