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どちらかが初白星ゲットとなる試合である。両校とも結果は5敗だが、しかしどの試合も内容のある試合展開だった。 神戸大学は攻守とも形になってきた。シーズンの最初と最後ではチームは大きく変わるのが普通だが、神戸大学だけは、いつも飛躍的な成長を遂げている。リーグ戦が7試合ではなく例えば14試合だったら順位も変わってくるのにと考えてしまう。 オフェンスはQB#12林とRB#29坂東、#23沖本によるランオフェンスで第4節では関西学院大学から4TDを奪い、前節も強力ディフェンスを有する近畿大学から2TDを奪った。とくに近畿大学戦では白星ゲットの可能性も見え隠れしていた。パスターゲットにWR#80伊藤、#9今里が揃うが、簡単なパスをポロリと落としてしまうところが玉にキズ。 ディフェンスはシーズン当初からDB陣の奮闘が目立っていたが、LB#34紀、#41山本など全体で盛り上がってきた。 一方の大阪産業大学も京都大学や甲南大学、同志社大学とロースコアゲームのいい展開で試合を行っている。オフェンスは甲南大学戦からRB#31松岡、#2磯脇、#32吉住のにRB3人体制によるウイッシュボーンやノーマルTによるパワーとオプションを繰り広げるようになった。 さらに、QB#5藺牟田からWR#87村川や#1山本へのパス主体へと変貌することもあり、的を絞らせない。ただ、反則罰退が積み重なったりミスで自滅してしまうのが非常に惜しい。 さてこの試合だが反則をしない手堅さで神戸大学が一歩リードか。しかし、一昨年のこの対戦で神戸大学は大阪産業大学RB3人によるツルーIからのオプションに完敗を喫した苦い経験がある。もちろん、当時とはメンバーが違うので同じ結果になるとは思えないが、大阪産業大学は、当然の如く、仕掛けてくるだろう。神戸大学ディフェンスの対応は一つの見どころである。 |
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京都大学の前節は、立命館大学に対して攻守ともいろいろな工夫を施したのだが、ディフェンスでは良いところまで詰め寄りながらも、オフェンス面を完封され、また、タイミングの悪いところでのミスが重なって1敗を喫してしまった。11日の関西学院大学−立命館大学の試合結果によっては優勝の芽も復活するし、優勝争いとは関係なく、最終節の京関戦は今年の目標の一つであろうし、意気消沈している場合ではない。 この試合は京都大学にとって内容重視である。オフェンスディフェンス両面の再整備と新たな可能性を探りながらも丁寧な試合運びを行うことが第1目標であろう。最終節に向けて、堅実・頑強・静・慌てない・騒がない・落ち着きはらった透明感のある京都大学を見てみたい。 甲南大学は春の京都大学戦であと一歩まで迫った実績がある。さらに京都大学オフェンスの今シーズンは得点能力という点では低迷している。したがって、甲南大学ディフェンスが京都大学オフェンスを封じてロースコアゲームに持ちこめば勝機も見えてこよう。今年のメンバーによる活きのいい試合を、待ってます。 |
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3強対決の第2ラウンドを迎える。前節、立命館大学が京都大学に勝利して全勝を守り、一方の関西学院大学も甲南大学に圧勝して全勝をキープしている。 この試合の勝者が関西学生Div1優勝となる。さらに、立命館大学が勝利ならば最終節甲南大学戦勝利が条件だが甲子園ボウル出場が濃厚となる。一方、関西学院大学が勝利すると、最終節の関京戦の結果によってはプレーオフの可能性も出てくる。 さて、この試合の展開予想だが、どうなるのか皆目検討がつかないというのが正直なところである。 私の春先段階の試合展開予想では、関西学院大学QBからの華麗なロングパスと、立命館大学ショットガンオフェンスからのパスという、パスの投げ合いを思い浮かべていたのだが、少し様子が違ってきている。 まず、立命館大学ショットガンの性格が、ロングパス主体の一発タッチダウンよりはミドルまでの距離を小刻みに前進することに主眼を置いていることにある。そして関西学院大学も、今秋の攻撃では左右へ大きくロールしてのロングパスが鳴りを潜めて、ランとミドルパスによる小刻みなゲインに終始している。つまり、パスの投げ合いという試合にはなりそうにない。ということで、まずは、これまでの試合をもとに、両校の今シーズンを振り返ってみる。 何かと話題の立命館大学QB#18高田によるショットガンオフェンスは、第3節までの3試合は大勝だったが、第4節近畿大学戦と前節京都大学の2戦連続で不発である。強力ディフェンス相手にはRB#32野本、#39礒野へのショベルパスもなかなか通用しないし、昨年のメインターゲット#96加藤へのパスが少ないことも厳しいマークによるものだろう。ディフェンスがそれなりに対応すれば、今の立命館大学ショットガンは簡単に止まるということがわかってきた。 パスターゲットとしてはシーズン当初に活躍していたWR#81岡部に加えてWR#19冷水、#11木下が登場してきた。そして、ここ2試合でラッキーボーイ的なターゲットがWR#19冷水である。 一方のディフェンスはパスディフェンスが課題であり、開幕戦の同志社大学戦や近畿大学戦でミドル〜ロングとあらゆるパスに対して防御が甘いところがあった。前節京都大学戦では幸か不幸か大きくは露呈しなかったが、それは修正されたからなのか、単に、パスがなかったからなのかは不明である。 しかし、DL#57山中、#56平井、#55西村、LB#99中島、#5西、#45八木による第1、2列のスピードは例年どおりに目を見張るものがある。西宮ボウルで見た山中・西村・中島によるQBサックが目に焼き付いていて離れない。QBサックとオープンランのコンテインは完璧だろう。 問題は、ここ数年の立命館大学ディフェンスの攻略方法であるカウンタープレー(右へ行くと見せて左へ行く)への対応である。前節京都大学戦では、何回かあったカウンター気味のプレーにも、まま、無難にこなしていたように見えたが。 そして、接戦になると重要な最後にK#14鏑木によるパントは前節でようやく本来の力を取り戻したように見えた。重要なところでのFGトライに今年は完璧とは言わないまでも、昨年分も含めれば実績はある。 対する関西学院大学だが、シーズン突入前は3連覇確実視されながらも、フタを開けてみると、攻守ともイマイチしっくりとしないように見える。原因がどこにあるのかを外野が勝手に詮索して文字にすることではないので省略するが、決戦の日が来たことだけは確かである。 関西学院大学QB#16尾崎によるオフェンスは、RB#2三井、#3大谷の中央突破バランスランと、WR#27松山、#86東畠へのパスと手段は揃っている。これを効果的に用いているかは意見の分かれるところだが、前節までの5試合平均得点57点、最小得点でも27点(近畿大学戦)と、好調そうには見える。 しかし、関西学院大学は前節の11TD79点などのような、ある意味余分な得点をスコアボードに重ねていくようなチームではないように思う。早い段階で来年以降のスターター候補に出場機会を与える余裕を見せていたのだが、今秋の試合にはその余裕を感じ取ることが出来なかった。 唯一本当に苦戦したのが近畿大学戦だったが、強力ディフェンスを相手にQB尾崎をはじめオフェンス全体が浮き足立っていた。QB尾崎に直接的なプレッシャーがかかると脆いのは、春の神戸ボウルでも見せていたことだった。 一方のディフェンスだがDL#90石田、#58改め#91西村による学生トップクラスのディフェンスという戦前予想だったが、DLLB陣による効果的なQBへのプレッシャーシーンというのがほとんど印象に残っていない。LB#60弘中、#44星田、#5平群の売りポイントはスピードなのかサイズなのか。私の観戦態度に問題があるのかもしれないが、よくわからない。 PATとFGを担うキッカーにも安定感があるかといえば本当に競った試合ではどうだろうという疑問が沸いてくる。 今シーズンのここまでを振りかえると、春の時点での思い入れが大きかった分だけ関西学院大学に対して厳しくなってしまうのだが。 ******** さてこの対戦だが、関西学院大学オフェンスと立命館大学ディフェンスでは、QB尾崎が落ち着いたプレーが出来るか否かにかかっている。この試合でも近畿大学戦のような厳しいプレッシャーがかかってくるだろう。立命館大学のスピードとパワーのDLLBは、近畿大学ディフェンスと若干趣が異なって、網としてコンテインしてくる。これをOLが支えきれればよし、である。 しかし、QB尾崎が逃げ惑うことになれば形勢は逆転する。尾崎はタイプ的にはパッシングQBであり、パスを投げて組立ていくタイプである。しかし、逃げまわるシーンが連続するとテンポに乗れない。WRへのクイックパス数ヤードとRBゲインだけでドライブできるだろうか。 オプションQB4年#10山田の早い段階での登場があるだろう。立命館大学ディフェンスに対抗する手段としてランかパスかと言えば、ランのほうがいい。したがって、自らも走れるQB#10山田とRB#2三井、#3大谷による中央付近の細かいフェイク動作を含めたカウンターランなどラン重視時々パスオフェンスをメインに据えるというのは、いかがでしょうか。 関西学院大学ディフェンスと立命館大学オフェンスの対戦だが、やはり、この対戦結果が試合内容を大きく左右するのは間違いないだろう。 立命館大学ショットガンオフェンスに関西学院大学ディフェンスが対応できれば、立命館大学3戦連続のロースコアゲームになる。しかし、関西学院大学ディフェンスが対応できなければ、予想外の大差で立命館大学勝利にまで発展しそうだ。 立命館大学ショットガンを止めた近畿大学ディフェンスはDLLBによる執拗なまでの突っ込みでQBにプレッシャーを与えた。もちろん第3列DBは完璧なパスカバーをこなしている。一方の京都大学ディフェンスは、第3列に5人を並べてロングパスを防ぎながらレシーバーカバーをして、ターゲットを探すかスクランブルしたところをDLLBが戦略だったのだろう。 さて、関西学院大学ディフェンスがどのような攻め方をしてくるのかだが、それが私には見えてこない。大阪産業大学戦、神戸大学戦でドライブされたがいつの間にか相手オフェンスの勢いが衰えたのは、ディフェンスが立ち直ったとも言えるが、大量得点差による追求の衰えという面も否定できない。 ******** ここ2戦で厳しい闘いを強いられた立命館大学の攻守は、それなりにステップアップしただろう。しかし、関西学院大学は接戦らしい修羅場を経験していない。第2節近畿大学戦は厳しかったが、昔過ぎる。戦術面での工夫や試合中の対応能力、タイムアウト行使や時計の使い方など細かいことでは、長年培ってきた関西学院大学の優位は否定できないが、果たしてそういう試合展開になるだろうか。 ******** ある程度今年の力を見せた立命館大学と、今年の本当の姿をいまだに見せていない関西学院大学を比較して、経験ズミによる上乗せ分で立命館大学優位だが、今年の最高レベルを見せてくれるのならば関西学院大学優位になっても不思議ではない。やってみないとわからない。 |