赤あげて。白あげないで、赤さげない。

Updated, 1999. Feb. 4 at 02:36 JST.




 古典的な遊びなのでご存知でしょう。片手に赤色、反対に白色のハタを持ち
号令にしたがって上げたり下げたりする、あれ、です。
 一応説明しておきますと、号令者は、旗を上げ下げする人をコントロールし
て最終的に指示と違う動作をさせることができるか否かを競い(?)ます。命
令者はひっかけようといろいろと画策し、一方で旗を持ってる人は合わさない
ように騙されないようにと構えて、向かい合います。

 ところが、実際にやってみると、号令をかける方もそれほど簡単ではありま
せん。相手をコントロールする「方法」というのがありますが、これを知らな
いと全く勝負になりません。
 勝つためにはスピードとバランスが要求されます。考える余裕を与えないス
ピードと、赤白や上げたり下げたりを同じ調子で指示し、最後に「はずす」バ
ランスの工夫が必要です。つまり、相手をひっかけよう騙そうとする「悪意」
が必要です。だから、性格のいい人では号令をかける役はできないかもしれま
せん。


 指示を出す側がオフェンス、旗を持っている方がディフェンスと考えれば、
アメリカンフットボールもこれと同じです。

 執拗にランランランを繰り返す。それも右右右。これを繰り返すと、さすが
に相手も、「次は左?」とか、「今度こそパス?」とか考えたりもします。こ
の状態で、再び右ランをするか、相手の望み通り左パスとするかは、オフェン
スチームの考え方次第です。ただ、バカ正直な「左パス」では、いままでの苦
労も水の泡と化してしまいます。

 この場面で、効果的なのは、当然、トリックプレー。再び右ランの動きを見
せて「やっぱり、右か」と思わせておいての左パス(プレーアクションパス)
や、右オープンへ走って「なんだ」と思わせた途端のリバースなどなど。欺く
ことに成功れば必ずビッグゲインとなります。

 ただし、単純に、「さっきはランだったから次パスにしよう」というその場
しのぎの選択では、相手を惑わすことは不可能に近いでしょう。ハタの上げ下
げと同じで、「悪意」に基づく組立でなければ、敵を欺くことはできません。
練られた手順かどうかで勝敗が変わると言ってもいいでしょう。

 また、相手に考える時間を与えないように、オフェンスがハドルを組まずに
すぐ次のプレーを行うノーハドルオフェンスも、相手を自分のコントロール下
におくための良い方法です。





 ところで、適当なランパスやコースの選択だけで、あるいは、得意なランだ
けで勝敗が決まってしまう試合があります。しかし、これは、勝利チームから
みても、とても残念なことなのです。スピード&パワーの肉体面の戦いのみで
「プレー組立能力」を発揮する場が提供されなかったのですから。

 こういう勝利を重ねていくと、体を鍛えることだけに留まってしまい、戦略
立案の重要性を感じなくなります。このチームが「悪意に満ちたカード選択」
できるチームと戦うと、優位に立つのはかなりむずかしいことでしょう。

 そして、スピード&パワーだけで白星を重ねてシーズン終盤を迎えてしまう
リーグの存在は、アメリカンフットボールの「カードゲーム」としての面白み
を消してしまい、観客にとっても不幸なことです。






次回のテーマは、『甲子園&ライス(98年度)』です。



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