第1回・・・ 〜究極の選択、次世代機戦争〜
1992年次世代機の発表がされた。
機種は以下のとおり。
・任天堂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・:スーパーファミコン→ウルトラファミコン ・セガ・エンタープライゼス・・・・・・・・・・:メガドライブ→サターン ・NEC・・・・・・・・・・・・・・・・・・・:PCエンジン→PC−FX ・ソニー・コンピュータ・エンタテインメント・・:なし→PS−X高校入学時に買ったX68000の為かスーパーファミコンにはあまり興味が無く(持ってはいたが)ましてやPCエンジン、メガドライブは眼中に無かった。理由はゲーム自体のグラフィックが耐え難い。X68Kに比べたら他の機種はおもちゃでしかなく、あっしを満足させるものではなった。ゆえにこの次世代機の登場は待ちに待ったと言うところ。
さて、ここで1つ問題発生。全て買うほど金も無ければその気も無い。一体どれを買ったら良いのやら。とりあえず情報を集める為にいろいろ雑誌を買って情報収集にいそしんだ。
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1.任天堂、ウルトラファミコン(現NINTENDO64)
・特徴
この機種は現行機種同様ROMベースの機種となる。圧縮技術により10倍のデータを載せる事ができ現行のロムと同容量であっても10倍の容量になる。CPUは次世代機中最も高速な64bitRISCチップを採用。発売は約2年後でその能力の詳細は不明。
・考察
ネックは「発売時期がまだ相当先になる」と言う事。早く欲しくてしょうがないのにそんなに待ってはいられない。ROMはコストが大きく容量がCDに比べれば微々たる物。ROMのメリットは本体価格が安くなる事だ。CDを使うと言う事はCDドライブと本体にメモリーを載せる必要が出てくるのでその分割高になる。しかし、これがあっしの考えではメリットではなくデメリットである。理由はその分のしわ寄せがきてソフトの価格が高くなると言う事。本体は1度買えば済むがソフトは1本買ってもすまない。ソフトをたくさん買っていけばその分出費が増えるので結局は安物買いの銭失いとなるのだ。任天堂は独占状態をいい事にソフトの価格をどんどんと釣り上げ私腹を肥やしていく。そんな状態の会社を好きになるはずも無く潰れて欲しいと本気で願う毎日(金の無いあっしには切実です、はい)。
・結論
本体価格は安くなるであろうが、ソフトが高ければ意味が無い(実際のはこの理屈の分からない馬鹿が多い)。って事で却下。
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2.セガ・エンタープライゼス、サターン
・特徴
この機種は2機のCPUを搭載し4倍速の1部書き換え可能な(リライタブル)CDドライブを搭載(実際は実現しなかった)しCDを搭載するハードの中では最もメモリー搭載量が多く2D、3D能力を兼ねそろえたハード。当時人気のあったバーチャファイターやデイトナUSAなどの移植も発表され、早くから3Dソフトの開発に着手していた会社でもあるので次世代機の本命とされていた。
・考察
事実上本命と見られており今回の次世代機の中でシェアを取ると思っていた(その当初)。ソフトラインナップも豊富なアーケード資産が存在するので申し分ない。ただ、同時発売ソフトに欲しいソフトが無かった。これは痛いな。バーチャは別に好きでもないしそれ以外にもろくなソフトが無い。セが事態が今まで成功した事が無かったのも気になるしライバル会社である他社がこのメーカーにどう対応するかも気になった。
・結論
ほぼ本命。だが欲しいソフトが無いので保留。サードパーティーの反応も気になるので。
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3.NEC、PC−FX
・特徴
秒間30フレームの高精細なアニメーションを表示する機能を搭載。ゆくゆくはPCとの連動も考えている。しかし他の機種とは異なりポリゴン能力などは有さない。
・考察
これはスペック表を見ただけで既に死んでいる事が素人でも分かるほど貧弱なハード。しかも笑えたのが開発者のインタビュー記事。「ポリゴンを使わなくても絵で書いてしまえばどんな表現でもできる」とかほざいてた。手間の掛かり方が違いすぎるだろ。こんな馬鹿が創るハードなんぞ誰が買うもんか。
・結論
論外。
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4.ソニー・コンピュータ・エンタテインメント、PS−X(現プレイステーション)
・特徴
以前スーパーファミコンの32bitCDドライブを発表していたがその話がお流れとなって新たに新会社を設立してゲーム業界に参入してきた。32ビット機であるサターンとは違い3D能力に特化した機種であるのが最大の特徴。秒間36万ポリゴンのパワーを生かしスプライトやBGを持たずにその代わりをテクスチャーを貼ったポリゴンで代用しようと言う奇抜な発想。この辺は明らかに過去のゲーム機と言うものの延長であるサターンやPC−FXとは違う。記憶媒体にはフラッシュメモリーを使ったメモリーカードを採用。スロットを2つ設ける事で友達とのデータ交換など幅広い遊び方の可能性を示す。
・考察
ポリゴン能力の高さに驚愕。何せスペック上ではあのセガのMODEL2に匹敵するポリゴン能力を有している。かつてポリゴンゲームと言えば、X68Kで、システムソフトのエアーコンバットと言うフライトシミュレーション、スターウォーズ(これはポリゴンではなくワイヤーフレームだが)、Oh!Xのおまけディスクについてきた「SION」というシューティングゲーム、EXACTの「ジオグラフシール」(ジャンピングフラッシュを創ったスタッフの作品で同作品の原形となったゲーム)などをやってどれだけ処理能力の必要なスゴイ技術であるかを肌で感じていたのでこれにはかなり心引かれるものが有った。しかし不安要素も多かった。初参入でソフトラインナップがどうなるかと言う事。これに関してはセガのように豊富な資産を持っている会社とは違い有力なサードパーティーがついてきてくれる事に頼らざるを得ない。
・結論
ソフトラインナップ次第ではあっし的に大本命。少なくともポリゴン能力が上と言う時点でサターンよりは魅力的に感じていた。
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さて、ここまでの時点でサターンかPS−Xの2機種に絞られたわけだがかなり悩んだ。どちらも魅力的に感じていたから。さらに情報を収集する。そしてあっしにとってはこの均衡を打破するに十分な情報2つ飛び込んできたのだ。
ナムコ、PS−Xで「リッジレーサー」本体同時発売決定!!
コナミ、「極上パロディウス」と「パロディウスだ!」を1本のソフトとして本体同時発売決定!!
ナムコ好き&グラディウスシリーズ好きのあっしにとってこの情報は決定的な一撃と言えただろう。しかも驚くべきことに価格が5800円。
更に本体価格が39800円。5万円前後と言われていただけにこれは大きかった。サターンは49800円だったので1万円の差も結構大きい。これで俄然PS−X購入に傾いた。
・PS−X= 本体+ゲーム+メモリーカード = 39800円+5800円+2000円 = 47600円ついに動く画面をTVで見れた。深夜にやっていたクソゲーム番組、ゲームカタログが早朝に時間枠変更。ちなみに言うまでもないとは思うがどの変がクソかと言うと司会の2人が江戸屋小猫並みの熱心な番組への取り組み方、毎回同じ映像でのゲーム紹介などから見る気は起きなかった(ので内容はあまり覚えていない)。時間変更してからはだいぶ内容がましになったが見るには値しなかったが、司会が伊集院に変更!!Oh!デカナイト時代から伊集院を聴いているあっしにとっては願ってもいない。そこでサターン版のバーチャの動くシーンを見る。ゲーム機では見慣れない「NOW LOADING」の文字。そしてゲーム画面が。読み込みはさほど遅くない、と言うよりむしろ速い。ロムでしかゲームをやった事はない人間にしてみればわずらわしく感じるであろうが、PC−6601SRでブラックオニキスをテープで15分もかかってロードしてやっていたあっしには何でもない。X68Kのストリートファイター2’をハードディスクに入れてやってる場合より速い。そしてはじめてみるゲーム画面。「あのゲーセンで見たバーチャファイターが動いてる!!」ゲーセン版をやり込んでいる人間にはしょぼく感じるのかもしれないがそんな事は知らないあっしにはどうでもいい事だ。これは予想以上に凄いものだと言う事を再認識した。
・サターン= 本体+ゲーム = 44800円+8800円 = 53600円
(サターンの本体定価は49800円だが発売記念として44800円で発売された。しかし結局そのまま定価となった。)
しかし、その考えはプレイステーション(この頃には正式に名称が決まっていた。)のリッジレーサーを見てその認識は甘すぎた事を実感させられた。とにかく凄い!!テクスチャーの貼られた画面であのリッジレーサーが動いているのだ!!バーチャファイターはテクスチャーは貼らずにフラットシェーディングで処理されており、背景も殺風景だがそれとは一味もふた味も違う!!ビルや山やヘリコプターまですべて3Dで表現されそれらが動いている。
これは決定的だった。この時よりも前からPS購入を決めてはいたがこの時それが決定的になったと言えるだろう。そして
より「今回もセガは勝てない」と言う結論が導き出された。
結果はご存知のとうり、PSの圧勝に終わっている。まさか任天堂をも上回るとは正直思わなかったがサードパーティーの不信を買ったのが敗因と言えるだろう。ROMにこだわり自社の利益のみを図ろうとした報いとも言えるが。