問題解決への糸口について
問題の原因を考え見つけだす頭脳の行為を帰属とよびます。
そのアプローチの方法は、科学的と臨床的の2種類に大別されています。
科学的なアプローチは、客観性・普遍性が重視される反面、感情などの
心の生きたリアリティーが不確定要素として残るためこの方法だけでは
不十分です。臨床的アプローチは、現実の心の問題に関しての対処が
優れている反面、直感に頼る事が多くなり、客観性や普遍性を
失いやすくなります。2つアプローチのどちらが適切であると云う問題ではなく
双方のバランスが大切です。
帰属にも大きく分けて2種類があります。内的帰属と外的帰属とよばれています。
内的帰属とは、行動を起こした本人の能力、性格、努力、意志などに帰属する場合つまりは
本人の内的要因に起因する場合です。外的帰属とは、本人の外側にある要因。
つまりは、その状況や問題の難易度もしくは運などに帰属する場合です。
帰属は他人の行動だけではなく、自分の行動の場合にも問題となります。
実際に人が行動を起こすときに、なぜそうするのかをはっきり意識して
いる場合は少ないようです。多くの場合自分が起こした行動でも
原因は推測して判断せざるをえないことが多い様です。
このように、他人の行動に関する他者帰属だけではなく、自分の行動に関する
自己帰属も存在するのです。
私たちの頭脳が帰属の処理を行うときに、どうしても行動をあらわした人に
ばかり目が向き、状況要因を見逃してしまいがちになります。
その為に内的帰属をしてしまいます。これを、基本的帰属エラーとよびます。
その逆に内的帰属をすべき時に外的帰属をしてしまうこともあるようです。
帰属スタイルはざまざまな形態があります。毎日の生活の中で色々な事が
起こった場合に、どのような帰属の仕方をするかです。これは人それぞれに
わりと一貫した癖があるようです。個人ごとの帰属の癖が帰属スタイルと
云われている物です。
楽観的帰属スタイルは、何か自分が関係したことで悪いことが起こった場合に、
それを、外的、一時的、限定的なものであるととらえる事が多い場合です。
悲観的帰属スタイルは、それを、内的、持続的、全般的ととらえる場合です。
このように対照的な帰属スタイルがあるということだけなら、さほど重要な
事とは云えないのですが、問題は、帰属スタイルの違いによって、気分や
モチベーション、実際の行動が大きく変わってくるという点です。
悲観的スタイルの持ち主は悲観的で落ち込んだ気分、つまり抑うつ的な
心理状態に陥りやすいのです。たとえば、何かで失敗した場合に
それは、自分に能力がないからだと考えてしまうわけですから
これからもうまくいかないと思いこんでしまいやすいのです。
仕事なら仕事へのモチベーションが低くなってしまいます。
そうすると、色々なことを実際に、一生懸命やるということが出来なく
なってしまうのです。特に難しそうなことなどを避けて通ろうとしてしまうわけです。
楽観的帰属スタイルの持ち主は、少々の失敗や悪いことに遭遇しても
落ち込んだ気分にはならず、モチベーションも下がることもなく
難しそうな事でも挑戦していきます。
このように対照的な帰属スタイルの違いは、心と行動のあり方を
二つの対照的な方向へと導くものであるといえるのではないでしょうか。
さらに、悲観的帰属スタイルの場合は、難しそうな事を避ける事によって
自分の力を鍛え、のばして行くチャンスも捨ててしまうことになりかねない
楽観的帰属スタイルに比べ、力があまり伸びない可能性も出てきてしまう
また、悲観的帰属スタイルの人ほど病気にかかりやすいという調査データも
あるそうです。このスタイルの人は、様々なことを自分の力ではどうにも
ならないと感じやすいので、それによって体の免疫機能が低下してしまい
病気になりやすいと、考えられているそうです。
この様に二つの違いは大きいと思います。もしかしたら、人生そのものを
色分けしてしまう事のように違うのかもしれません。
しかし、ここで注意しなくてはならないのは、何でも楽観的に考えるのが
良いというのではないという事です。楽観的に考えすぎると、うまくいかないのは
運のなさや状況、または人のせいにして、責任をとらない状況が生まれて
くるかもしれません。人たる微妙な感覚を失い、薄っぺらなものになって
しまう様にも思います。大切なのは、ここでもバランスではないでしょうか。
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