逃げてはいけない

 ナオミは夫と二人の息子に先立たれ、一人残された。 

旧約聖書 『ルツ記』1章5節

 私たちの願うものは・・・

  お金に困れば「お金さえあれば」と言い、体の調子が悪ければ「病気さえなければ」と言い、目障りな人がいると「あいつさえいなければ」と言う。エリメレクとナオミの一家は飢饉に直面して、「食べ物さえあれば」と言い、モアブの地に移住したのでした。

 でも、本当に食べ物さえあれば今まで通りの暮らしができるのでしょうか。モアブに移り住んだ一家は幸せになれたのでしょうか。否、食べ物には困らなくなったかもしれませんが、大黒柱であるエリメレクが死に、二人の息子たちも相次いで他界したのでした。

 皮肉な結果に終わった希望

 なんという皮肉でしょう。「食べ物さえあれば」と思ってモアブに来たのは、家族の平和のためだったに違いありません。そのために祖国を捨ててきたのです。それなのに家族を失ってしまっては、どんなご馳走を前にしても食欲など湧かないに違いありません。こんなことになるのなら、たとえみんなでお粥をすすってでも自分の国で暮らしていた方はよかったと、ナオミはどんなに後悔したでしょう。結局、モアブで得たものは悲しみと失望だけだったのです。

 何が間違っていたのか

 今の世にも、このナオミの悲しみと失望を経験している人がたくさんいます。「お金さえあれば」、「健康さえあれば」、「一流大学、一流会社に入れば」、「○○さえあれば」と人生を追い求めてきた結果、その代償として心を壊してしまったり、家族や友を失ってしまったり、心の平和や喜びがなくなってしまったりする人たちです。

 イエス様は言われました。

 「人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか」(マタイ16:26)

 神様を忘れて欲を追い求め、それで困難から逃れる方法などありません。困難に勝つ方法はただ一つ、神様の約束を信じて、困難に負けないことなのです。

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