反歌 感情を恐れ 心象の低湿地帯を抜け出し 空虚の囲い込まれた 他人の庭を通り抜けて 王国の夢の舞台裏まで あるいは 言葉の通じない 夕暮れの王国を追われ 廃墟の上に建った 都市の闇市に紛れ 一度きりの花道 光の三角地帯へ ぼくたちがきみたちと出会い 二度と出会わない別れの舞台に生まれて後 ぼくはいつも一人分足りなかった きみたちの間をたらい回しにされて やせ衰えていく一人分のために ぼくは 二度と見ることのできない表情を なんとか書き残そうとも してきたのだ 出会う舞台は反目の原点 逆さに川に吊されて育ったぼくの 誕生の地にしてノスタルジアの根 ぼくが不足した大陸を歩くとき 空白が充足する 付け加えることは何もない 何千行書いても何も変わりはしない ゆるやかに目の前を過ぎていく歌声と 時間と共に連れ去られる言葉を そっと止めて また放してやると 悲しい喜劇が あと一回始まる それだけのこと ぼくが立て続ける 問いに いつ返ってくるのかも 分からない答えを 待つ あいだ 何も起こらない地上で どこまでも不快な青空の下で いつまでも眠りから覚めない 音楽--ぼくは      それを       詩と       定義した 1978年のことだ