The Tower of Gazzel 〜Xak Precious Pacckage〜

1991年、RPG+PZL、MICRO CABIN

○ストーリー

1.新たなる妖魔
漆黒の闇の中、二つの影が揺らいだ、一つは男、一つは女。
影の一つ、妖魔ギル・ベルゼスが、暗闇に向けて口を開いた。
「やっと、ヤツが餌に食いついたようだな。」
もう一つの影、アル・アクリラの手には、一つの水晶球が光を放っていた。
その球は、徐々に光を強め、その中に一つの影を映しだした。まだ、顔に幼さの残る、一人の少年の姿を。
「可愛い坊やじゃないか。本当にこんな子が、バドゥーやゴスペルを倒したのかい。」
アクリラがあざけるような声で言うと、先のベルゼスが声を投げかけた暗闇から、重厚な声が響いた。
「甘く見るな。ヤツはあれでも”デュエルの末裔”だ。我らの天敵とも言える。」
ベルゼスは、一瞬不服そうな顔をしたが、鼻で笑い言い返した。
「・・・どちらにせよ、やつをやっちまえばいいんだろう。」
「そうだ。そうすれば、お前達も妖魔軍に・・・」
「間違えるな!俺達は、あんたの仲間になりたいんでも、味方になったんでもねえ。」
ベルゼスの声に、アクリラも続く。
「あたし達は、あんたに助けられた、その分あんたのために働く。それだけだよ。」

いくばくかの沈黙が流れ、再び”暗闇の声”が口を開いた。
「・・まあいいだろう。やつを処分してくれるのならばな。」
「そういうことだ。あなたは座っててくれ。それで済む。」
ベルゼスとアクリラはその身を翻すと、吸い込まれるように暗闇に消えていった。
「・・・たかが、”はぐれ妖魔”風情が。」
”暗闇の声”がそうつぶやくと、世界はまた、元の闇に戻っていった。

2.再会、そして出発
あのゴスペルとの戦いから、一年が経とうとしていた。
その時、勇者ラトク・カートはレイジアという小さな村のそばまで来ていた。
妖魔が住むという”ガゼルの塔”が、このあたりにあるということを聞き、やってきたのだ。
小さいけれど平和な、このレイジアの町に。
「ラトク!やっぱりいた!」
「え?フレイ!?何でこんな所に・・・」
振り向くと、底には、満面に笑みをたたえた少女、フレイが立っていた。
「えへへ。ラトクの考えることなんて、すぐわかるんだから。”ガゼルの塔”でしょ。」
フレイはいたずらっぽい顔で聞いた。
「・・・う、うん。」
「やっぱり..。他にもよくない噂も聞いたしね。」
「よくない噂?」
「あ、知らないんだ。このごろ”ラトク・カート”っていう戦士が、いろいろ悪いことしてるって話よ『俺は、神の子孫だ』って。」
「お、俺、そんなことしてないよ!」
ラトクは大慌てで弁解した。
「でしょうね。そう思ったんだけど、心配だったから。それで、ピクシーと一緒に来たってわけ。」
「ピクシーもいるのか!?」
「”ガゼルの塔”の方を見に行ってるわ。村長さんの話では、中に入らなければ、危険はないそうよ。そのうち、戻ってくると思うわ。」
「そうか、とりあえず村の人たちに話を聞いてみよう。」
数刻の後。

ラトクとフレイは。村のはずれにある、レイティア湖のほとりにいた。
ラトクは村の人々から聞いた話を整理していた。

わかったことと言えば・・・
 ガゼルの塔に行くには、村の東にある橋を渡って行けば、そう遠くない、ということ。
 ガゼルの塔を調べにいった者もいるが、生きて返ってきた物は一人としていない、ということ。
 何日か前に、ラトクと同じくらいの青年が塔へ向かったが、やはりまだ帰ってきていない、ということ。
あとは・・・フレイが前にもこの村に来ていた、ということぐらいだろうか。

「結局、たいした収穫はなかったなあ。」
「でも、やっぱり、あの塔が怪しいっていうのはわかったわ。」
ラトクは、しばらく考えていた。
「・・・ピクシーは!?」
「あれ?そういえば戻ってきてないわね・・・何かあったのかしら!」
「・・・行こう!」
2人はガゼルの塔に向かって走りはじめた。

 聖歴757年、平安を迎えたと思われたサークの地。多くの謎を秘めたこのサーク界に、また新たなる戦いの伝説の一頁が刻み込まれようとしている。

結束の勇者達、今、超越の力を導かん。

○内容・感想

この「ガゼルの塔」はマイクロキャビンの看板RPG「サーク」シリーズの外伝的存在です。PC88、PC98、そしてMSX2以降で発売されました。MSX版はターボRの高速モードに対応していて快適に遊べました。
内容はRPGというよりもパズルゲームに近い物でした。経験値を稼いでレベルを上げて、あちこち歩き回ってという展開ではなく(経験値を稼ぐのがRPGじゃないぞ!という意見もお有りでしょうがここでは、まあ、そういうことで。)、それぞれに異なる能力を持つ仲間を連れて”塔”に入り、あちこちに仕掛けられた、謎やトラップをクリアし、雑魚敵、中ボスを倒しながら塔を進んでいくという物です。
その連れていくことができる仲間達は

ルゥ・ピクシー 
探知能力に優れ、罠を未然に察知、簡単なものは解除する

フレイア・ジェルバーン
強力な魔法を使うことができ、マジックポイントの回復をすることが出来る。

ホーン・アシュタル
バランスの取れたキャラクター、マジックポイントの回復が出来る。


リューン・グリード
できの悪いラトクといったイメージ。剣技に優れ、攻撃力が2倍になる。

フェル・バーウ
塔の外で待っていて回復をしてくれる。




といった感じになっています。このメンバーを状況ごとに選んで一緒に塔に入ります。登場人物は味方はこれしかいません。場所も塔の中と入り口部分だけです。
ですが、謎解きが楽しく、ボスの歯ごたえも十分だったので、かなり楽しめる作品でした。
私はこういうパズル的要素を持ったRPG(代表格はソーサリアンです。)が好きなので、このガゼルの塔はとても気に入っている作品です。サークシリーズは一通り遊びましたがその中でも一番面白いと思います。
ちなみにサークシリーズは「I」と「II」をX68Kで、「フレイ」と「ガゼルの塔」をMSXターボRで「III」をPC98で遊びました。どれもよく出来た作品でしたが、お使いイベントが多い、ボスが異常に強い、あまり楽しいとは思えないシューティングが入っているなどの欠点もありました。あとはどうしてもイースが比較の対象になってしまったのは辛かったかも知れません。

↓パッケージです。菊池通隆氏の絵ですね。当時流行ってましたから。

パッケージ表 パッケージ裏

↓おまけの絆創膏のパッケージです。「RPGのキズの手当にどうぞ」とあります。
おまけ おまけ

○画面写真

塔の入り口と内部です。

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