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城 山 三 郎    著者プロフィールの紹介
書    名 出  版  社 書    評
出  版  日
価     格
男 達 の 流 儀
誰に、何を学ぶか

(初出 1998/11 光文社刊)
知恵の森文庫  日本人はいったい何を失ってしまったのか? 今の時代をどう生き抜けばよいのか? 「戦後」から「現代」に至る傑物たちの生き方にそのヒントがある!──誰に、何を学ぶべきか? 時代を見つめる姿勢とは? リーダーのあるべき姿を伝記文学で追い求める作家と、混迷する日本を鋭く斬る辛口評論家による待望の対談集!
2002/07/15
540
危 険 な 椅 子

角 川 文 庫  ロッキード事件を彷彿させ、組織にがんじがらめにされた課長の椅子の、もろさと生き方を描いた力作長編。この作品が単行本になったのは昭和37年。それから十数年後、いわゆるロッキード事件が起こるのである。商社の現在の姿の原点を描いたとも言えるこの作品だが、著者のねらいは主人公である光野の「男としてのこだわり」であろう。それは、あの本田宗一郎氏の「人間を大切にした技術へのこだわり」と相通じるもので、かけがえのない、見果てぬ「夢」の追求である。著者が男の作家といわれるゆえんでもある。
97/04/01
550
小 説 日 本 銀 行

角 川 文 庫  エリート集団、日本銀行の中でも出世コースの秘書室の津上は、インフレの中でバカと言われながら父の遺産を定期預金する。厳しい不況で一家は貧困のどん底に......。保身と出世のことしか考えない日銀マンの虚々実々の中で、先輩の失脚を見ながら、金融政策を真剣に考える”義通(ぎっとう)”な津上は、懸賞論文に応募し、あえて困難な道を選んだ。脱・金融危機の鍵を握るエリート集団の内幕を描いた長編小説。
98/04/25
651
辛   酸

田中正造と足尾鉱毒事件

角 川 文 庫  日本が近代国家に生まれかわって、まさに最初に出遭った”試された時”でもあった。
 ──足尾銅山の資本家の言うがままになって、渡良瀬川流域・谷中村を鉱毒の遊水池にする国の計画が強行されようとしていた。国家の「名」と「手」で行われた家屋強制ぶち壊しに遭った反対派農民たちの苦悩と、〈谷中救済〉の資金づくりのためにわが家を抵当にまで入れ、衆議院議員を辞し〈強権〉に抵抗した田中正造のすさまじい生きざま。
 「この村以外にわしの死に場所はない!」と、老いたる正造は日本最初の公害問題に激しく対処、彼の泥まみれの歳月、人生をあざやかに描いた名著。
93/01/30
350
大 義 の 末

角 川 文 庫  日本の経済小説の先駆者として次々とベストセラーを発表している著者が、天皇と皇国日本に身をささげる「大義」こそ自分の生きる道と固く信じて死んでいった戦争末期の愛国少年への鎮魂歌として、その時代に生きた青年の挫折感、絶望感を鮮烈に描き、天皇制の問題を究極の文学に結実させた不朽の名作。
 ”この作品を書くために作家を志した”と著者自らが認める、城山文学の最重要作である。
97/06/10
473
男子の本懐

(初出 1980/1 新潮社刊)
新 潮 文 庫  緊縮財政と行政整理による<金解禁>。これは近代日本の歴史の中でもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が、いかにして一つの政策に生命を賭けたか、人間の生きがいとは何かを静かに問いかけた長編経済小説。
 つい先頃(平成14年9月)NHKの番組で放映されたので記憶に新しい方々も多いと思う。現在日本のライオン宰相と呼ばれる小泉氏の生き方と比較しながら鑑賞しました。
83/11/25
619
花失せては面白からず

角 川 文 庫  『ここ三年ほどの正月、わたしは不思議な、そして精神的にはとても贅沢な過ごし方をしている。学生時代の教授と二人だけのゼミナールで元日の午後を過ごす、のである。教授は今年九十三歳、わたしは六十八歳。』
 忠君愛国以外に生き甲斐なしと信じ、海軍の少年兵に志願入隊した著者は、敗戦によって価値観の根本的な考え直しを迫られ、東京商大に入学。そこで出会った理論経済学の山田雄三教授こそ、著者の生涯を決めた人物であった。出会いから四十余年。探求心で結ばれた、心洗われる”人間の絆”を通して著者自身の精神形成史を綴った感動の一冊。
99/01/25
420
飛行計画変更せず

角 川 文 庫  東邦新聞航空部にカメラマンの矢崎が来て以来、田村たちパイロット仲間の周囲は、不穏な空気に包まれた。敵機撮影中に中国大陸で落命した父をもつ矢崎は、シャッターチャンスのためならパイロットを危険な飛行へと駆り立てる男だ。
 ある日、岩手県の海岸でアメリカ籍の貨物船が座礁した。過酷な条件のもと、矢崎を乗せた田村のパイパー機は目標へ向かったが......。
 空を舞台に生きる男たちの人間像を、圧倒的な飛行シーンの中に描いた表題作「飛行計画変更せず」など、後年の城山文学を彷彿させる最初期の作品全8編を収める。
91/05/10
470
ビッグボーイの生涯

五島昇その人

講 談 社 文 庫  昇ほど「休戦の価値」「休戦の美学」を知った男は少なかったのではないでしょうか。彼は人生に四期ありとしましたが、おおいに休んだおかげで、人生を四倍に生きたともいえます。そこには、「人生四倍、休戦の哲学」とでも呼ぶべきものがあったと思います(「あとがき」より)。
 大きく休み、大きく生きた男の人生評伝。
97/05/15
450
百 戦 百 勝

角 川 文 庫  一攫千金を夢みて、〈(株)〉の世界で大成功者となった者は少ない。まして、勝ち続けることは至難なことだ。
 春山豆二は貧農のせがれだが、生まれついての利発さと相撲取りまがいの体格、大きな福耳から得た耳学問から、徐々に財をなしていった。米屋のしがない丁稚をしていたころ、倉庫に寝泊まりしていた。毎晩、大群のネズミの出現に辟易していたが、交番でネズミ一匹二銭で買い上げてくれることを知った豆二は、せっせと捕獲、わずかながらも貯金をふやしていった。
 株世界に原則をとり入れ、あらゆる新情報から百戦百勝。”相場の神様”といわれた人物をモデルにした痛快小説。
96/12/20
600
風 雲 に 乗 る

角 川 文 庫  旅館の子だった鯛公介は、少年時代に家を大火で失って以来、父の死、南方戦線への従軍と苦労の多い青春期を過ごした。その中で公介が命をかけたのは”貧乏人のための信用販売”であった。──。月賦販売という初の試みに果てしない......。冷たい経済社会の中で平凡な一人間がどのように生き得るかを描いた傑作!
95/05/20
610
本田宗一郎との100時間

講 談 社 文 庫  戦後日本を驚異的なエネルギーで突っ走った創造的経営者・本田宗一郎。その独特な発想力と人間的哲学のよってきたる源泉はどこにあるのか。歴史や経済をテーマに優れた作品を書き続ける作家が、密着100時間の取材を通して、”世界のホンダ”を創った男の魅力の全てを生き生きと伝えてくれる人間紀行。
 この本の取材時(1983年)、本田宗一郎は76歳、著者は56歳。本田宗一郎がパートナーの藤沢武夫と共に、見事な引退劇を演じてから、10年後のことである。
95/05/20
500
真昼のワンマン・オフィス

新 潮 文 庫  巨大な経済力、広大な自然、人種のるつぼ──空前の繁栄を謳歌するアメリカ社会の中で、エコノミック・アニマルの尖兵といわれながら孤独な商戦を展開する商社海外駐在員。巨大組織の末端機構の一員として、ユダヤ商人や他の日本商社員との競争、本社との軋轢に苦しみつつ、インディアン保護区にまでわけ入り、南部の黒人たちに小間物を売り歩く彼らの苛烈な日々を描く連作小説集。
86/08/20
440
もう、君には頼まない

石坂泰三の世界


文 春 文 庫  「存在感のある人間が、いま求められている。大不況の壁の前で、揃って足踏みしているのではなく、広い野原へ連れ出してくれる大きな人に会ってみたい」(著者によるあとがきから)
 石坂泰三──第一生命、東芝社長を歴任、高度成長期に長年、経団連会長を務め、”日本の陰の総理”と謳われた、気骨ある財界人の生涯を描いた長編小説。
 あの「行革の土光」氏を、東芝社長、経団連会長に推挙したのがこの石坂泰三氏である。どちらも「気骨の人」であったが、石坂氏の方が先輩であるだけに、現在の我々には馴染みがうすい。本書の著者である城山氏( S 2年生まれ)でさえ、この本を執筆するまでは石坂泰三氏の本質を掴めなかったという位である。現職の大蔵大臣、日銀総裁、さらに総理やマッカーサー司令官に対してさえ、筋の通らぬ場合は「啖呵(たんか)」を切ったという。田中角栄に対しても金権体質を憎み、「角栄にはがまんできん」と言い切ったようだ。現在の政界・財界にも耳の痛い「お偉方」が多いのではないだろうか。
 
98/06/10
500
落 日 燃 ゆ

(初出 1974/1 新潮社刊)
新 潮 文 庫  太平洋戦争が終わった後開かれた東京裁判で、絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理で、終戦時の外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちとともに処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞を受賞した作品。
86/11/25
520
書評欄の背景が「黄色」の本は、yamateru お奨めの一冊です。