Dark Suspicions
2bb
Enchantment
At the beginning of each opponent's upkeep, that player loses 1 life for each card in his or her hand more than you have in your hand.

昔、Urza's SagaにBulwarkという名前のカードがあった。

3RRというキャスティングコストのこのカードは、自分のアップキープ時に手札が相手より多ければ、その分だけダメージを与える、というエンチャント(場)だった。

私にとっては、とても興味深いカードだった。そして、このカードの評価は低かった。

何よりもまず、色が赤かった。Urza's Sagaが登場した頃は、今に比べればまだまだバーンスペルが豊富だった。何もこんなまわりくどいものに頼らなくても、相手を焼き切る事が十分に可能な時代だった。そして、赤の展開速度を考えたら、相手より多い手札を持っていることなんて、あるわけがなかった。

そこで私は、相手の手札を破壊し、こちらの手札をNecropotenceで獲得することによってBulwarkの効率を高めようと考えた。それは確かに有効だったのだが、黒マナ3つと赤マナ2つが必要となるという事実には本当に頭を悩まされたし、見事回転して手札の枚数差を広げることに成功した時には、やはりBulwarkなどを使わなくても勝利は得られるものになっていた。つまり、このデッキにはBulwarkは必要のない無駄カードとなっていたのだ。

こうして、私はBulwarkを強力なカードだと皆に知らしめることを諦めた。

時は流れ、Planeshift。Bulwarkが黒くなって帰ってきた。これでもはや色マナに悩まされる心配はなくなった。だがしかし、効果の一部分−−−おそらくもっとも重要な部分−−−が逆になっていたのだ。

Dark Suspicionsは、MAGIC史上に延々と続く、手札に関してダメージを与えるカードの最新版である。あのBulwarkがそうであったように、手札の枚数の差でライフを奪い取る。

Dark Suspicionsをより効果的に働かせるためには、この差を広げてやればいい。自分の手札はより少なく、相手の手札はより多く、ということだ。だが、MAGICの基本を考えると、本来はこの状態は好ましいものではない。カードアドバンテージの喪失は、そのまま優位の喪失である。カードアドバンテージを失いつつもDark Suspicionsで勝つためには、どうしたらよいのだろうか?

大きく分けて、2つの手法が考えられる。

まず最初に思いつくのは、昔、あの悪名高きアーティファクトCursed Scrollが担っていたように、高速で展開するデッキの最後の一押しとしての役割を与える手法だ。

低コストで優秀なパーマネント−−−普通はクリーチャーになるだろう−−−を並べ、序盤から相手のライフを削っていく。当然、この間手札は減りつづけていく形になる。そして、ようやく相手が体勢を整え、こちらの進撃を止め始めたところにDark Suspicionsを出すのだ。こうなると、相手はやっとの思いでこちらの勢いを止めたにもかかわらず、持っているカードアドバンテージを何とかして放棄しない限りそのまま倒されてしまう。これが第一の手法の理想的な流れだ。

Dark Suspicionsが出ないと話にならない、ということもなく、柔軟性があって比較的有効な手法であるが、勿論問題はある。この手法では、自分の手札は兎も角、相手の手札が全くコントロールできない。相手が手札を多く抱えることの多い受動的なデッキであれば良いが、そうではなくて相手も積極的に手札を消費するデッキだった場合、Dark Suspicionはライフを奪うことができなくなってしまうのだ。

第二の手法は、先ほどとは逆の思考法、つまり、相手の手札を常に多く保つ、という考え方だ。この場合、相手のカードアドバンテージをそのものを無視できるような状態に追い込むのが一番わかりやすいだろう。つまり、手札が多くてもそれを使うことができない、という状態だ。具体的には、手札破壊と並ぶもう一つの資源剥奪、つまりはマナソースを奪い去ることだ。これは、素直に土地破壊でもよいし、相手の手札を増やすということを考えれば、バウンスでもよいだろう。ある程度こちらの手札減っているのであれば、Tangle Wireなども使える。序盤から相手の土地を次々と破壊、もしくは戻していき、相手の手札が多いうちにDark Suspicionsを置いてしまう。マナを拘束する過程で自分の手札を消費しているはずなので、形が出来上がった時にはDark Suspicionsはそれなりのダメージを与えられるようになっている。

この手法でも、相手が高速展開デッキであった場合は問題が生じる。例えば緑でマナクリーチャーを用いるデッキの場合、高速でしかも土地への依存度が低いため、全く歯が立たないようなことがあるだろう。すべてをバウンスするわけにはいかないし、それができたとしても相手は再び高速で展開してくるだけの話だ。その場合、すでにカードアドバンテージを失っているので、どうすることもできないだろう。

また、第一の手法と異なり、たとえ回転して相手のマナソースを封じ込めて手札を増やしても、それだけで勝つことはできない。それどころか、1点のライフさえ奪うことはできない。つまり、Dark Suspicionsが出てこない限り、このタイプのデッキはただの時間稼ぎデッキに成り下がってしまう。何とかしてDark Suspicionsを手札にいれ、できる限り早く場に出さねばならない。そうなると当然、特定のカードに依存するデメリットが生じる。相手のDisenchant1枚にびくびくすることになり、最悪の場合、場に出す前にLobotomyでも使われようものなら、勝利手段を完全に失って投了を余儀なくされることすらありうる。

以上2つの手法は、Dark Suspicionsをサポートに使うか、メインに使うかの選択そのものでもある。サポートに使う場合、有効に働く可能性は低くなるかもしれないが、あくまで勝利手段の補完に過ぎないため、さほどの問題とはならないことが多い。一方メインにした場合、ほとんどのライフをDark Suspicionで削り取ることになるため、Dark Suspicionsが場に出し、有効に動かさないと勝負にならないが、あらゆるサポートカードで固め、最大限動くようにすることはできる。この辺りは、デッキの好みやメタゲームによって使い分けることになるだろう。勿論、あくまで「Dark Suspicions deck」を名乗りたいならば、手法としては後者を選択することになる。

総じて、高速展開するデッキが多い環境ではうまく働きづらいカードであり、まわりくどいカードであることは否めない。だが、今は昔ほど高速展開するデッキばかりではないし(もしも周りがあの「ストンピィ」だらけだったら、誰がこんなゆっくりとしたカードを使ってデッキを組もうとするだろうか?)、一度環境を制御してしまえば、除去されづらいエンチャントである上に、効果が手札に関する内容とあいまって、その環境を覆すことはなかなかに難しい。私のように環境制御型のデッキを好む人間にとっては、挑戦しがいのあるカードだろう。


サポート型デッキの一例 メイン型デッキの一例
"The Graveyard" "seven vs zero"
2 Dark Suspicions 3 Dark Suspicions
4 Maggot Carrier 4 Nightscape Familiar
4 Nightscape Familiar 4 Hoodwick
4 Sinister Strength 4 Boomerang
3 Phyrexian Scute 4 Stand/Deliver
2 Pyre Zombie 4 Rain of Tears
2 Lava Zombie 2 Parallax Nexus
2 Lord of the Undead 3 Tangle Wire
1 Zombie Master 3 Collective Restraint
2 Blazing Specter 4 Opt
2 Deadapult 2 Vampiric Tutor
4 Terminate 8 Swamp
2 Void 9 Island
1 Tsabo's Decree 4 Underground River
4 Dark Ritual 2 Rishadan Port
4 Sulfulous Springs
7 Mountain
10 Swamp