わたしなんで朝あんな事言ったんだろう?
学校に着いてからも全然落ちつかなかった
いやな感じ
なんでだろう?
気のせいのはずなのに
おちつかない
でも 気のせいだよね
ずっと ずっと いまのままの しあわせが続くんだよね
わたしがいて 祐一がいて
そして 大好きなお母さんがいて
ずっと みんなで しあわせにすごしていけるよね
ずっと・・・・・
そう おもっていたわたしの願いは簡単に崩れ去った・・・
五時間目の授業中見なれない先生が入ってきた
なんだろう?
とても慌てている様だ
「水瀬さん お母さんが事故で病院に運ばれました急いで帰宅の準備してください」
なに?
なにをいったの?
混乱した
お母さんが?
病院?
わたしが ぼー っとしてしまっていると祐一が傍に来て言った
「名雪!!なにしてんだいくぞ!!」
いく?
どこに?
そうだ 病院だ
お母さん病院にいるんだ
いかなきゃ
わたしは我にかえるとそのまま飛び出していた
「名雪 病院わかるのか?市立の病院だそうだ」
そういえばどこの病院かさえも聞いてなかった
わたしはずっと考えていた
なんで?
どうして?
おなじ事ばかり繰り返し繰り返し
その途中人だまりが出来ていた
そんなことに気にしてる余裕などないのに
ふと 目に止まるものがあった
道路にはガラスの破片
壊れた車
警察の人達
赤い染み
つぶれたイチゴケーキ
そして・・・
お母さんの財布
わたしはただ立ち尽くしていた
わたしの所為だ
わたしがケーキなんか頼んだから
さっきまで考えていた事の答えがでた
なぜ?
ケーキを頼んだから
どうして?
わたしがわがままだから
わたしの所為だ・・・・
どうしよう
お母さんいなくなっちゃう
どうしよう・・・・
「名雪!! いくぞっ!!!」
腕を引っ張られそのまま引きずられるようにして病院まできた
祐一が受付でお母さんの事聞くと
担当の先生が出てきてくれた
なにか 言ってくれてたが良くわからなかった
わかったのは お母さんに会えないって事だけ
事故のことについても何か言ってた
でも そんなことどうでもいい
お母さんに会えないなら・・・
そのままわたしは家に帰った
部屋に入っても同じ事ばかりぐるぐる考えている
どうしよう
お母さん
ねえ
会えないなんていやだよ
おねがいだよ
もうわがままなんていわないから
ひとりにしないでお母さん
・
・
・
・
コンコン
コンコン
ノックする音がする
でも答えない
しばらくすると声がする
「先に行くぞ」
階段を降りる音
それからドアを開けて出ていく音
そうしてまた静寂だけがこの部屋を包む
ひとりぼっちだ
ひとりぼっちになっちゃうの?
いつだってそばにいてくれたお母さん
どんなときでもいっしょだったお母さん
もうそばにられないの?
どうしよう
ひとりぼっちになっちゃうよ
・
・
・
・
・
また1日が過ぎ朝になっていた
カーテンをしても部屋にこぼれる朝日
まぶしいくらいの天気
今の気分にふさわしくない天気
全てがいやなものに思えた
ドン!ドン!ドン!
「おいっ、名雪」
祐一の声がする
ドンドンドンドン
「名雪っ!」
ドンドンドンドン
「名雪っ!」
ドンドンドンドンドン
「・・・・やめて」
「・・・お願いだから・・止めて・・」
「お前が落ち込んだって仕方ないだろう」
わかってる
「・・・・」
「お前まで倒れたら、秋子さん戻ってきた時、絶対悲しむぞ」
わかってる でもね
「・・ごめん祐一・・」
・
・
・
お母さんのいた頃
わたしはずっとしあわせでいられた
お母さんがいたから
わたしはずっと笑っていられた
お母さんがなぐさめてくれたから
7年前のあの日の事も乗り越えられた
わたしはずっとこの街で
お母さんと一緒に暮らしてきた
そして これからもずっと一緒のはずだった
お願いお母さん帰ってきて
ひとりにしないで
そんな事ずっと考えてると 朝の祐一の言葉が思いだした
『お前まで倒れたら、秋子さん戻ってきた時、絶対悲しむぞ』
そうだね
そうしてわたしは何か食べようと部屋を出ると
足元にお盆にのった食事があった
祐一が用意してくれたのだろう
食欲はない・・・でも食べた
しかし 半分も食べられなかった
わたしはそのお盆を廊下に戻し部屋に戻った
また同じ事の繰り返し
そして夜がまた来た
「名雪」
廊下で声がする
「入るぞ 名雪」
祐一が入ってきた
ドアのかぎを忘れていたみたい
「・・・祐一・・・」
会いたくない
「・・・出ていって・・・」
「わたし・・・誰とも会いたくないから・・・」
「久しぶりだな名雪」
「・・・」
いろいろ話しかけてくる祐一
お願い会いたくないの そっとしておいて
「・・祐一 出ていって・・」
「このままずつと避けるつもりか?」
「・・出ていって・・」
「秋子さんまだ助かる可能性だってあるんだ」
祐一知ってるはずだよお母さんの状態
「いや、絶対助かる」
それは 奇跡だよ
「あのマイペースな秋子さんがこんな事でいなくなるわけないだろう」
じゃあね、祐一・・・
「・・・祐一,奇跡って起こせる・・?」
「・・・・」
祐一が黙り込んでしまった
「・・・わたし、ずっとお母さんと一緒だったんだよ・・・」
「・・何年も・・ この街で・・ この家で・・」
「ふたりだけだった・・」
「・・・わたし・・・お父さんの顔知らないから・・・」
「・・ずっとお母さんとふたりだけだったから・・・」
「・・でも、お母さんがいてくれたから、寂しくなかったんだよ・・・」
「今までがんばって来れたんだよ・・」
「・・・それなのに・・・」
「・・・これでもうひとりぼっちだね・・・・」
「ひとりぼっちなんかじゃないだろう名雪は」
ひとりぼっちだよ
「学校に行ったら、友達がたくさんいるだろう?」
祐一そうじゃないよ
「香里や、北川や、・・・俺だって、ずっと一緒にいる」
ダメなんだよ祐一
「それに秋子さんだって絶対に帰ってくる」
「・・祐一・・・・・・ダメ・・なんだよ・・・・」
いままでこらえていたものが溢れ出していた
「笑えなくなっちゃったよ・・
わたし強くなんてなれないよ・・・」
今まで泣けなかったのに
いちど溢れ出した涙は止まらなかった
「ずっとお母さんと一緒だったんだから・・・」
ずっと 一緒だったんだよ
なのに なのに
そこからのことはよくおぼえてない
気付いた時は祐一はいなかった
わたしは ひとりぼっちだ・・・
・
・
・
・
そしてまた夜が明けたみたい
今日は雪らしく なんだか薄暗い
今のわたしにはちょうどいい
コンコン
祐一がノックする
「名雪」
でもこたえない
「俺は今日一日、あの場所で待ってる」
「ずっと待ってる」
ダメだよ祐一 いけないよ
「それとこの目覚まし時計名雪に返すから」
ことんと 置く音がする
そして 廊下を降りる音
部屋にはまた静寂だけが残った
また同じ繰り返し
・
・
・
・
・
・
どのくらいこうしてたんだろう
でも、それももうどうでもいい
このままこうしていよう
お母さんいないなら
このままで・・・・・・・・
・
・
『ほんとにいいの、名雪さん』
えっ?
『ほんとにこのままでいいの?』
でももうわたしひとりぼっちなんだよ
『ほんとにそう?』
『よく耳をすましてみて』
えっ?
『きこえるよねっ?名雪さんの事想っていてくれてる人の声』
だれ?
廊下から、かすかに聞こえてくる声
・・・・祐一?・・・・
『名雪・・・・』
『俺には奇跡を起こせないけど・・・』
『でも、名雪のそばにいることだけははできる』
『約束する』
『名雪が悲しい時には、俺がなぐさめてやる』
『楽しい時には、一緒に笑ってやる』
『白い雪に覆われる冬も・・・』
『街中に桜の舞う春も・・・』
『静かな夏も・・・』
『目の覚めるような紅葉に囲まれた秋も・・・』
『そしてまた、雪が降り始めても・・・』
『俺はずっとここにいる』
『もうどこにも行かない
『俺は・・・』
『名雪のことが、本当に好きみたいだから』
祐一・・
いいの?
甘えるよ わたし?
うそついたら やだよ?
ずっとずっと そばにいてくれるの?
わたし ひとりぼっちじゃないんだね?
気が付くと涙があふれていた
でもいやじゃない
嬉しい涙だ
しばらくこうしてたい気分だ
『名雪さんは、もう大丈夫だよね?』
『じゃ、僕はもう行くね』
そして
そんな風に聞こえた後少し辺りが光ったよううな気がした
『お母さんは、 大丈夫だよ』
そう聞こえた様に思う
それからわたしは着替えた
約束があるから
『7年前のあの場所で待ってる』
もうすぐ日付が変わる
もういないかもしれない
でもいかなきゃ
待っててくれるって言ったから
わたしはその言葉を信じてはしった
あの場所まで
・・・
・
・
いた
祐一だ
待っててくれたんだ
約束通り待っててくれたんだ
近づきながら、少しだけ息を整えてから言った
「学校、さぼってる人発見」
エピローグへ
TOPへ帰る