LOMOカセ・ニュートン鏡精度検査証明書

 57cmカセ・ニュートン鏡の精度等検査結果や証明書です。
 凹面鏡の精度は芸術作品のように、○○鏡などと製作者の名前で評価する風潮もありますが(私も書いてますが・・・)私は工業製品と見ています。また、大口径凹面鏡の製作は軍事技術だとも言われるようです。(数が出ない上に検査機械が大がかりで採算が合わないからでしょう、日本では技術はあってもコストが合わず作れないようです、すばるも結局アメリカ製でした)。で、まあまあ会社として大口径凹面鏡を作っているのはニュートン以来のイギリスと軍事大国のロシアやアメリカだそうです。
 ということで、私は人件費のかからない(?)ロシアのLOMO社(吉田正太郎の望遠鏡光学反射編にでてくる会社で、かってパロマ−の5m鏡をしのぐ世界最大の6m鏡を磨いた工場です、日本はこの分野で50年遅れているともありました)に図面を送り作ってもらいました。
 ここには向こうで作り直した設計書と完成後の検査測定結果や保証書等をのせてみました。
 図面は製作前に送られてきてました。私は素人なのでと設計をお願いしたのですが、誤差など加工の問題に配慮しただけの加工設計書で、鏡面の大きさ、Fはそのままでした。大丈夫というはなしでしたが、今見ると副鏡の大きさが少し足りないようです。もっとも何に使うのかを伝えてないわけですから当然かもしれません。もちろん眼視では問題ないですが低倍率の写真撮影(写してませんが)では少し
周辺減光がでるのではと思ってます。

完成品と一緒に送ってきた製作指示書です LOMO社のサンプル品となる超高精度鏡の製作です

 主鏡は望遠鏡システムの波面誤差が1/10ラムダ
以下にになるよう
波面誤差1/20ラムダ以下で作るよ
う指示しています
 右の副鏡も同じような内容です
 手書きの図面のようですが、専門家が書いたのでしょう
きれいなロシア文字でした

干渉計の測定写真ですね

ニュートン副鏡・・完璧な平面です
 
オプチカルフラットとしてロンキーテスターの基準平面に
使用しています。
(写真が丸まってます)

 

干渉計の測定結果です、波面誤差は1/20ラムダに収まっています

検査者のサイン(4人が部門別に検査してます)と職長、工場長のサインです

LOMO社の保証書ということですね

図面の上で写してしまいました

このシステムで波面誤差は1/10ラムダを超えないこととあります

 余談ですが、発注から完成まで6ヶ月かかりました。当時サンクトペテルブルクの平均給与は3千円ちょっということで、日本での販売価格の1/4〜1/5という破格の安さで入手できました。今モスクワではちょっと良い会社なら給与は20万円もでていると聞きますから(モスクワのSkype仲間の話)もう高くて買えないでしょうね。
 凸副鏡の再メッキのためジオマテックに持ち込んだところ、この鏡は高反射(増反射)メッキされているということでした。
発注時、増反射メッキの指示はした記憶がないので、ロモ社でより良い物をとベストを尽くしてくれたものと思う。(2011/8/31)
 

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主鏡(凹面鏡)

副鏡(凸面鏡)

STREHL=98%
の超高精度鏡になっています