蔦きうい詩集

 

大目付 忠五がゆく

 

忠五はやっと大目付

表は熱血正義漢

悪い大名ゆるさんぞ

裏はとっても賄賂ずき

「越後屋そちも悪よのう」

(と、いつかは言ってみたい)

奉行やないのにしゃしゃりでて

「よし、ゆけ平次!」

口と顔だけ上司づら

けれど昼寝と週刊誌ずき

鼾を妻に叱られて

耳鼻科の女医に恋をして

明日できること今日するな

石の上には一秒だけ

いんきん田虫なんじゃらほい

おれもいつかはノーベル賞

「田沼のおっさん、これズが高い」

(ウッソよーん)

いつもおれだけ贔屓して!

おれは天下の大目付

 

アキレスの春

 

僕の髪が 肩までのびて

君と同じに なったら

と言うけれど 拓郎よ

 

ボクの髪が 肩までのびたなら

(その間に)

キミのは胸までいくやんか

 

ボクのが胸までのびたなら

(またしても)

キミのは腰までいくやんか

 

こうして拓郎よ

絶対にやってこない約束と

約束のはざまの小さな

永遠を

冬には冬に

夏には夏に

アキレスの幸福

 

おんな

 

女は

男しだい

 

この言葉は真をついて 動かぬ

が、まに受けて王子を待つ女に

未来はない

 

男を恃まぬ女にのみ

王子があらわれ

箴言は完成する

 

この逆説に

堪えうる

人類ではないが

 

それでも

麦熟るる

 

おとこ

 

男は

女しだい

 

なのに、そう

思わぬ男ほど 女をたてに

男をみせたがる

そんな奴には

たてになりたい女しか

寄ってこぬ

 

男は女しだい

そう思う奴隷男

女王様が寄ってきて

 

ああ

麦熟るる夜